中核国フランスでの国民投票に続き、
EUの優等生オランダでもEU憲法条約批准が大差で否決され、
これまで順調に拡大路線を進んでいたEUに逆風が吹きつけています。
一部の国では統一通貨Euro離脱を公言する政治家が現れるなど、
内部の足並みの乱れはかなり深刻なようです。
国際政治問題の議論は専門家に任せるとして、
ここではBabylon5の「惑星間同盟」に絡めた話を書きます。
惑星間同盟は、名前から想像するような国連の宇宙版ではなく、 むしろEUが目指している国家連合に近い概念です。 その前身は第三シーズン後半に発足したShadowに対する軍事同盟で、 地球内戦の終盤にはSheridanらを側面支援して 連合艦隊を送り込みました。 内戦終結直後にDelennが提案し、LondoとG'Karの支持によって 正式に発足した同盟ですが、 主権の制限を嫌った国々の反発によって「原則の宣言」調印に手間取ります。 共通の敵を失った同盟はその存在意義が問われる事になった訳で、 最初の危機はテレパスの協力によって乗り切ったものの その後もごたごたは収まらず、 主要国Centauriの変質と同盟離脱が引き起こした第二の危機では 有効な手を打てないまま、一部諸国の暴走による Centauri爆撃を招いてしまいます。 その後も映像本編では描かれていませんが、 Drakhに支配されたCentauriに対しての同盟の結束は、 最終的にVirらによってDrakhが放逐されるまで乱れ気味でした。
一方EUは、ソ連圏崩壊によって旧東欧諸国を一気に取り込み、 ヨーロッパ全体への拡大をほぼ達成した結果目標を失い、 現在そのゆり戻しが来ている状態です。 各国の世論はEU全体よりも自国の国内問題に意識が行きがちで、 遠心力が働きやすい状況になっています。 それが今回の事態を招き、今後しばらくは EU統合は停滞を余儀なくされそうです。
しかし惑星間同盟は、最終的には分解の危機を乗り越え持ちこたえました。
Delennの言葉を借りれば、
「人々に愛される物は必ず持ちこたえ、生き残る」のです。
EUも現状の体制が最善かはともかくとして、
国家の壁を越えたヨーロッパ統一という夢は今も多くの人々に
支持されていると思います。
今回の挫折を乗り越え、一時的な停滞はあっても
最終的には夢が実現する事を信じています。
2005/6/6