Babylon5 Column 12

惑星間同盟とEU:フランスでのEU憲法条約批准の否決に思う

中核国フランスでの国民投票に続き、 EUの優等生オランダでもEU憲法条約批准が大差で否決され、 これまで順調に拡大路線を進んでいたEUに逆風が吹きつけています。 一部の国では統一通貨Euro離脱を公言する政治家が現れるなど、 内部の足並みの乱れはかなり深刻なようです。
国際政治問題の議論は専門家に任せるとして、 ここではBabylon5の「惑星間同盟」に絡めた話を書きます。

惑星間同盟は、名前から想像するような国連の宇宙版ではなく、 むしろEUが目指している国家連合に近い概念です。 その前身は第三シーズン後半に発足したShadowに対する軍事同盟で、 地球内戦の終盤にはSheridanらを側面支援して 連合艦隊を送り込みました。 内戦終結直後にDelennが提案し、LondoとG'Karの支持によって 正式に発足した同盟ですが、 主権の制限を嫌った国々の反発によって「原則の宣言」調印に手間取ります。 共通の敵を失った同盟はその存在意義が問われる事になった訳で、 最初の危機はテレパスの協力によって乗り切ったものの その後もごたごたは収まらず、 主要国Centauriの変質と同盟離脱が引き起こした第二の危機では 有効な手を打てないまま、一部諸国の暴走による Centauri爆撃を招いてしまいます。 その後も映像本編では描かれていませんが、 Drakhに支配されたCentauriに対しての同盟の結束は、 最終的にVirらによってDrakhが放逐されるまで乱れ気味でした。

一方EUは、ソ連圏崩壊によって旧東欧諸国を一気に取り込み、 ヨーロッパ全体への拡大をほぼ達成した結果目標を失い、 現在そのゆり戻しが来ている状態です。 各国の世論はEU全体よりも自国の国内問題に意識が行きがちで、 遠心力が働きやすい状況になっています。 それが今回の事態を招き、今後しばらくは EU統合は停滞を余儀なくされそうです。

しかし惑星間同盟は、最終的には分解の危機を乗り越え持ちこたえました。 Delennの言葉を借りれば、 「人々に愛される物は必ず持ちこたえ、生き残る」のです。
EUも現状の体制が最善かはともかくとして、 国家の壁を越えたヨーロッパ統一という夢は今も多くの人々に 支持されていると思います。 今回の挫折を乗り越え、一時的な停滞はあっても 最終的には夢が実現する事を信じています。

2005/6/6


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