Babylon5 Column 9

ShadowはなぜLondoの願いを叶えたか

第一シーズン要の回である"Signs and Portents"において、 Shadowの僕となったMordenがBabylon5を訪れて各種族の大使たちに それぞれの「本当の願い」を尋ねて回ります。 そして結局Londoの願いが叶えられ、その結果CentauriはShadow復活に手を貸して 最後には破滅へと導かれる事になりますが、 ShadowはなぜG'KarでなくLondoの願いを叶えたのでしょうか?
Londoの願いは母国Centauriの嘗ての栄光を取り戻すという、ある意味真っ当なもので、 一方G'Karの方はCentauriを破滅させCentauri人を皆殺しにしたいという恐るべきものでした。 それだけを見ると、どう見てもG'Karの願いの方が悪魔が喜ぶような内容で、 当然Shadowもそちらの方に惹かれそうに思われます。

実はLondoがMordenに言った「本当の願い」には続きがありました。 それは、「今のように過去から目を逸らし未来を恐れ、 ただひたすらじっとしているだけの人生なんて我慢できない。 嘗ての我々にまた戻りたいのだ。 麿は古き良き時代のCentauriを取り戻したい。」というものです。 この「古き良き時代」というのが曲者で、 同じ回にEyeを我が物にして権力を簒奪したいと洩らしたKiro公爵に対してLondoは 「クーデターを起して権力を奪えるような古き良き時代はもう終わった」と諭しています。 つまり、Londoの言う「古き良き時代」とはそのような混乱した 冒険時代という事なのです。
一方G'Karの願いにも続きがあります。 Mordenに誘われるようにCenturiへの憎悪を噴出させて彼らを破滅させたいと言った彼ですが、 「それでその後は」とさらに続きを尋ねられたとき言葉に詰まり、 少し考えてから「判らない、私は我が国の平和が保証されればそれ以上何も望まない。」 と答えます。

Shadowの哲学は「混沌こそが進化を招く」というものであり、 単純に「悪」という訳ではありません。 そう考えたとき、Londoの真の願いは「再び銀河を混乱状態に導きたい」というものであり、 一方G'Karの方は平穏を願っていたのですから、 ShadowがLondoの願いを叶えたのは当然という事になります。 そして実際に、それによって銀河は混乱状態に陥った訳でした。

2005/3/11


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