Minbari

Minbari連邦 (Minbari Federation)

Minbari本星

Minbari本星は竜座カイ星(Chi Dra)の第7惑星であり、 公転周期は548日、また表面重力はほぼ1.2gである。 衛星は1つ。
主星は絶対等級が太陽よりやや明るい主系列星(スペクトル型F7V)で、 実視等級は3.57等級である。 太陽系からの距離は24.4光年とあり、 これに基づいて計算すると絶対等級は4.20等級となる。
Minbari本星は、地球よりやや寒く惑星表面の20%は氷に覆われている。 水晶やその他の鉱物資源が豊富な惑星で、 それがこの星の文明の発達を支えた。


Minbari人の生理的特長

Minbari人は男女の性を持つ哺乳動物であり、 外見は地球人に良く似ているが頭髪が無く、 頭の周囲を覆う外頭骨が見かけ上の最大の特徴である。 外頭骨は男女によって形が異なり、男性の方が大きい。 平均寿命は地球人より長く、男女とも140年程度である。 肉体的には地球人よりも強靭だが、暑さには弱い。


Minbari文化

2000年以上前から宇宙に進出していた「若い種族」の中では最古の文明である。 聖職者、戦士、労働者の対等な三つのカーストからなる連邦国家で、 カーストの独立性はかなり高く、艦隊も別々に持っているようだ。 連邦の首都はYodorである。 カースト間の混血はまれである。
三つのカーストの上にあるのがGrey評議会である。 Grey評議会は1000年前にValenによって創設され、 各カーストから三名ずつ、九名の評議員によって構成される。 国家の最高指導者は基本的には評議員とは別に存在し、 両者の関係はややあいまいである。 Dukhatが最高指導者であった時には、Grey評議会は彼への諮問機関の役割だったようで、 制度上は彼一人で評議会全体の意見を覆す事が出来たようだ。 (#75 "Atonement")
最近まで長年に渡って鎖国に近い政策を取ってきたため、 高度な科学力を持つにも関わらずその版図は小さい。
戦士カーストは5つの氏族(Clan)からなり、 その名はStar Rider, Wind Sword, Fire Wing, Moon Shield, Night Walkerである。 Wind Swordは軍事力では戦士カースト中最強だが、 Dilgerの戦犯Jha'durを匿い彼女の開発した細菌兵器を地球との戦争で使う事を Grey評議会に進言するなど芳しくない評判が多く、 Star Riderが戦士カーストを代表している。
聖職者カーストは元々はその名の通り宗教を司っていたが、 現在ではより多くの役割もこなしており、 また独自の武術も発達しているらしい。
戦士カーストと聖職者カーストは、Valen以前にはMinbariの覇権争いを何度もしており、 どちらのカーストが指導権を握るかを決定したのが、 Varenni寺院でのStarfire Wheelの儀式だった。 (#80 "Moments of Transition")


Babylon5本編当初時点までのMinbariの歴史

Minbari人は宇宙に進出する以前は、 血なまぐさい戦いに明け暮れながら 氏族単位での放浪生活を送っていた。 この第一次Triumvirate(普通は三頭政治と訳されるが、 この場合は三つの勢力が覇権を争っている状態を意味する)の時代に、 各氏族内に現在の三つのカーストがそれぞれ分化されていった。
最終的に20の氏族の聖職者カーストが主導してTuquali渓谷での和平会議を開き、 異なる氏族が協力して都市を作るようになった事で第二次Triumvirate時代が始まり、 これ以後Minbari人は定住して暮らすようになった。
この時代の初期には聖職者カーストが主導権を握っていたが、 それに他のカーストが不満を持つようになり、カースト間の争いが始まる。 この対立は数千年の間続き、その間に多くの都市や国家の興亡があった。
3000年近く前にMinbariは第三次Triumvirate時代に入った。 この時代に彼らは宇宙に進出し、400年程度をかけて彼らの太陽系内に植民地を築いた。 その後彼らは亜空間を発見し、他の恒星系にも進出し始めた頃、Vorlonが彼らと接触した。 VorlonはMinbariに多くの科学技術を援助し、彼らの進歩を促進したが、 それはShadowとの戦いに備えたものだった。 Vorlonとの接触から400年後(現在から1000年前)、 Minbariが現在のCentauriと同程度の技術水準に到達した頃、 Shadow戦争が始まった。 Minbariは光の勢力の中核としてVorlonと同盟して戦ったが、 最大の宇宙基地を失い苦境に立つ。 そのとき「Minbari生まれでないMinbari人」Valenによって未来から 替わりの指令基地が送り込まれ、勝利を得る事ができた。
ValenはGrey評議会を設立してそれまでのMinbariのカースト間の争いに終止符を打ったが、 後に結婚してから何らかの理由で迫害を受けたらしく、他の星に逃れた。 そのため彼が何時何処で死んだのかは謎に包まれている。 彼の子孫は後にMinbariに戻り、Delennの一族であるMir家はその血を引いている。
Valen以後1000年に渡ってカースト間の平和が保たれ、 対外的にも鎖国に近い状態にあったが、 ValenはShadowの復活とGrey評議会の分裂を予言していた。
地球暦2245年に、Shadowの本拠地惑星だったZ'ha'dumへと調査に向かう途中の Minbari艦隊が地球艦隊と遭遇し、 攻撃されると誤解した地球艦隊の発砲によってGrey評議会の戦艦は大破して 指導者Dukhatは死亡する。 これがきっかけとなってMinbariは地球との全面戦争に突入し、 二年強の戦争でMinbari艦隊は地球艦隊をほぼ一掃して地球目前に攻め入った。 しかし最終決戦の場でGrey評議会に捕えられたパイロットが 実はMinbari人の魂を持っている事が判明し、 地球人の中のMinbari人の魂を救うために、Grey評議会は 理由を伏せたまま艦隊に降伏命令を下した。 この事件は戦士カーストの多くの反発を招き、後の内戦の火種となった。
その後、地球同盟のBabylonプロジェクトにおいて 四回の基地建設が失敗に終わって計画続行が危ぶまれたときに、 Minbari連邦が資金援助を行い、Babylon5ステーションがようやく完成した。


Minbariの儀式

Minbariの社会はさまざまな儀式によって成り立っており、 それらを順序だてて行う事が重要である。

再生と結婚の儀式:

地球同盟本部が発案した宗教祭においてMinbariが行った儀式。 Delennが主催し、赴任したてのLennierが準備した。 その場でDelennが語った言葉は、 実はValenが最初のGrey評議員たちに呼びかけた言葉である。 またCatherineによると、 赤い果物を出席者に配って食べさせたのは、彼らのうちの誰かが近いうちに結婚する事を 象徴するという。 (#5 "The Parliament of Dreams")

食事の儀式:

祈りを捧げながら正しい方法によって何日もかけて調理された料理を、 正しい順序で食べなければならない。 もし食べ方の手順を間違えると、 もう一度始めから料理を作り直さなくてはならない。 (#40 "Confessions and Lamentations")

Nafak'cha(再生の儀式):

参加者一人一人が、誰にも打ち明けていない秘密を儀式の主催者に打ち明け、 自分にとって重要なものを贈る。 それに対し主催者も彼らにお返しの贈り物をする。 (#55 "Ceremonies of Light and Dark")

親しくなった男女の第一段階の儀式:

二人は三晩共に過ごし、男性が眠っている間女性は彼を見守る。 昼の間は二人は相手に良い所だけを見せようと仮面をかぶっているが、 眠っているとき、相手に真の顔を見せる。 女性が相手の真の顔を気に入らなければ、彼女は彼の元を去る。 (#65 "Shadow Dancing")

shan'fall:

親しくなった男女が結婚するための、準備と相互理解の第三段階の儀式。 お互いの全てを理解するための一環として、お互いの「快楽の中心」を 「慎重に、尊敬の念を持って」探し合う。 同じカーストのMinbari人たちが儀式に立ち会って、 行き過ぎが無いように祈りながら見張る。 (#76 "Racing Mars")

Denn-Shar(決闘の儀式):

本来はどちらかが死ぬまで行われる決闘の儀式。 Minbariの護身棒が武器として使われる。 Valenが禁じたため、その後は生死を賭けた決闘としては行われていなかった。 (#63 "Grey 17 Is Missing")

Dreaming:

意識下にある行動の原因を探るために、記憶の一部を他者に明らかにする儀式。 被験者と彼を守る立会人によって行われる。 特殊な飲み物を飲み、「囁きの間」に入ると被験者の記憶のシーンが蘇ってくる。 (#75 "Atonement")

Minbariの艦船

Sharlin級巡洋戦艦(War Cruiser):

全長1600m, 総質量44.4*10^9kgの Minbariの主力艦で、 「若い種族」たちの内では最強の戦艦である。 外見は「青緑色の金魚」のような姿をしている。 重力発生装置を備え、20年もの長期の航行が可能である。 動力源は量子特異点で、補助動力として8つの核融合炉を持つ。 15機のNial級戦闘機を搭載している。

Nial級戦闘機(Heavy Fighter):

全長22mの一人乗り戦闘機で、 地球同盟の戦闘機Starfuryと比べ二倍以上の加速性能を持つ。 三門の重粒子砲を備えており、 正面から見るとほぼ正三角形をなす。 地球-Minbari戦争時には、Nial級1機に対するStarfuryの損害は12機だった。

Lintira級Flyer:

個人用にも使われるシャトルタイプの宇宙船で、 宇宙空間と大気圏とを両方飛行でき、全長40m, 十分な防御用の武装を備えている。

Memo

Minbariのモデルの一部は明らかに日本人である。 彼らの一部を青く塗った頭は歌舞伎のそれに酷似しているし、 聖職者の裃のような服や箸を使って正座して食べる食事の儀式も 「欧米から見た日本文化」の典型である。
一方Star Trekシリーズの二大異星人種族とでも言うべきVulcanとKilngonもまた、 Minbari人のモデルの一つになっている。 「魂」の話を始めとするMinbariの神秘主義は明らかにVulcanのそれを思わせるし、 Minbariの戦士カーストのさまざまな性格はKlingon的である。 もちろんVulcanとKilngon自身もモデルの一部が日本由来だから、 その類似は当然かもしれないが。
もう一つ、第四シーズンでのMinbari内戦の描写は、 1990年代の旧Yugoslavia連邦崩壊を思い出させる。 Tito大統領の絶大なカリスマによって統一が保たれていたYugoslaviaは、 彼の死後、各民族共和国のエゴ剥き出しの争いによって分解し、 激しい内戦が起ってしまった。 なおDelenn役の俳優Mira Furlanは、旧Yugoslaviaの一国Croatia出身である。


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