The River of Souls

The River of Souls

粗筋:

辺境の惑星にある巨大な古代遺跡に掘ったトンネルの中で、 地球人考古学者の一団が発掘作業をしている。 リーダーのBryson博士はここに長年彼が探しているものがあると確信していたが、 彼の同僚はそれを疑っていて、もう二日も作業しているのに何も出ないと不満を述べた。 しかし間もなく、Brysonは遺跡の壁から小さな金属の円盤を掘り出した。 円盤の両面には、それぞれ死と永遠の生命を意味する印が刻まれており、 彼は自分が当りを掴んだと確信する。 その壁面を壊すと小さな穴が開き、そこから長く封印されてきた空気が噴きだした。 穴を広げて中に入った彼らが見たのは巨大な円形の広間で、 壁面の棚には無数の小さな輝く球体が置かれていた。 しかし彼らがそこに入った時にどこかでセンサーが作動し、警報が発せられていた。
BrysonはサブリーダーのKlausに、これらの球は魂を持っており、 自分たちを不死の秘密へ導いてくれると言って手を近づけると、 広間に何かささやき声にようなものが広がった。 そのとき、外で飛行艇が飛来する音が聞こえた。 Klausは部下に何も取らずに直ぐに逃げるように叫び、 Brysonを残して広間から逃げ出す。 しかしBrysonは、近くにあったひときわ大きな球体を脱いだジャケットに包み込み、 それを持って後から広間を出た。 先に逃げたKlausらは自分たちの船に逃げ込んだが飛行艇に攻撃されて爆発が起こった。 トンネルの入り口から外の様子を伺いながら、 Brysonは抱え込んだ球体にいとおしげに話し掛けていた。

Babylon5の司令官LochleyはZocaloを散策していた。 彼女は自分を探していたCorwinに、 SheridanらがMinbariに去って以来この基地はすっかり平和になっていたと 話し掛け、何かを報告しようとする彼を遮ってPauli効果の話を始めた。 そして個人的にはSheridanとGaribaldiが居なくなって寂しいが 彼らは避雷針のように事件を引き付けていたと結論付けてから 改めてCorwinの報告を尋ねる。 そのGaribaldiが基地にやって来たと彼が報告したそのとき、 Zocaloの客同士が殴り合いの喧嘩を始め、あたりは騒然とする。 急に頭が痛くなったと言って出て行くLochleyに、 それなら役に立つものがありますと言ってCorwinも付いて行く。 二人の横のテーブルに座っていた中年の男が、 意を決したように立ち上がり移動チューブに向かった。
チューブを出た男がBrown地区の一室のドアをあるリズムでノックするとそのドアは開き、 彼が入ったのはホロデートクラブの受け付けだった。 彼が経営者の男に「彼女は出来ているか」と尋ねると、 経営者は男の持ってきた写真をもう一度確かめて 完成した女性のホログラムを彼の前に出した。 彼女はなまめかしい下着姿で客の男を誘い、 それを見た男は喜び勇んで早速彼女を連れて個室に入ろうとする。 経営者は男に個室にあるVRスーツの使い方を説明しようとするが、 男はそれも聞かずに個室に消えた。 経営者が受付嬢に冗句を言っていると、 男の入った個室でなにかがショートする音と男の悲鳴が聞こえた。 舌打ちした経営者は、様子を見に行く。

Lochleyは自分のオフィスでGaribaldiと面会して、 彼が現われた理由を尋ねていた。 彼は火星に戻ってからLiseの前夫だったEdgarsが 資金援助を行っていたプロジェクトを調査し、 有用なものに資金を集中して不要であるか違法なものは支援を打ち切る事にしたが、 今回あるプロジェクトの責任者とここで会って話を聴く事にしたと彼女に説明した。 そこで司令室から、Garibaldiの客をLochleyのオフィスに通しますかと問い合わせが入り、 ここを待ち合わせの場所に指定したGaribaldiの図々しさに彼女は呆れる。 入ってきたのはRobert Bryson博士で、 宇宙考古学のうち特に花粉分析を専門にしていたという彼の自己紹介に Lochleyは興味を示すが、Garibaldiは二人の話を遮ってBrysonを連れてオフィスを出て行く。 「最近なにか新しい発見でも?」というLochleyの最後の問いに、 実は面白いものを、とBrysonは答えた。 その頃彼の部屋では、遺跡から持ち込んだ球体が輝きを放っていた。

レストランで食事をしながら、GaribaldiはBrysonに彼の研究成果を尋ねていた。 彼はEdgarsから年に200万クレジットの研究費を受け取っていたが、 彼の残した記録には唯"L.E."としか記載されていなかった。 それを聞いたBrysonは、L.E.とはLife Eternal(永遠の生命)の意味であり、 自分は不死の秘密を探していると話す。 地球人の寿命は110--115年程度だが、その数倍の長さの寿命を持つ異星人も居る、 さらに古代種族の中には数千年もの寿命を持ったものも居り、 一部には永遠の生命の秘密を解き明かしたものも、と話し始めた彼を遮り、 彼の研究の実現性についてGaribaldiは尋ねた。 そして、三年間の調査の後でごく最近に発見した物が 不死の秘密を解き明かす鍵になると信じていると話すBrysonに、 これまでの成果をまとめた報告書を明日の朝に提出するようにGaribaldiは求め、 その内容で援助を打ち切るかどうかを決めると通告した。 始めは抵抗したBrysonだったが結局は条件を受け入れ、 人間は死んだものの肉を食べて何時までも生き続けようとする、皮肉なものだと、 料理を食べながら話した。

Lochleyのオフィスに入ってきたCorwinは抱えていた三角柱上の包みを置いてから、 Downbelowについての苦情があるという男を招き入れた。。 この男Cluteはホロデートクラブの客で、 恥ずかしいので家族には話さないでくれと念を押してから、 クラブの設備が危険でショートして死者も出かねないと訴える。 ホロデートクラブが基地で営業している事を知らなかったLochleyは問い返すが、 店側は基地から営業許可を受けていると主張しているとCluteは答えた。 彼女はCorwinにこの件についてCluteから聞き取りをするように命じ、 さらにZackをデートクラブに立ち入り検査に行かせるように言った。
Cluteが出て行った後でCorwinはLochleyに、 頭痛がするのは大抵ストレスが原因で、 自分にはこれが効いたと言って持ってきた包みを開ける。 それは「ラブバット」で、彼がそれで自分の身体を叩くと 「愛してる、許してあげる」と女の声で喋った。 説明を聞いて苦笑したLochleyは彼に礼を言い、 彼が帰った後でバットで素振りをしてみた。

Brysonは部屋で、基地の電源を組み立てた自分の装置につないでいた。 その装置から出た折畳式の探針の対を遺跡から持ってきた球体に近づけると、 球体と二本の探針の間に人の顔のような像が現われたが、 彼の呼びかけには反応しなかった。 彼は「接触を始める」と記録に吹き込む。

ZackはBrown11区のホロデートクラブに入った。 彼は出てきた経営者のJacob Mayhewに向かって、 さっさと荷物をまとめて基地を出て行くように求めるが、 Mayhewはここの権利を半年間前金払いで借りているし 娯楽業の営業許可もあると答えた。 Zackがホロデートクラブは認可された娯楽業に入っていないと指摘すると、 明示的には禁止もされていないとMayhewは反論し、 さらに自分の商品のホログラムは幻影に過ぎない、 しかし良く出来ていて特殊なスーツを着れば相手に触って感じる事も出来る、 客が遠く離れたガールフレンドに会いたいなら、写真を持ってきさえすれば そっくりのホログラムを作ってやると説明する。 そしてZackが肖像権の問題を指摘すると、 このような利用は法律で認められているとMayhewは開き直った。 彼はZackに、もし興味があるなら一回はサービスしても良いが、 自分を脅して追い出そうとするならお門違いだ、 それなら法廷で会おうと言って話を打ち切る。 Zackは出て行く前に、ここの装置は欠陥品で死者が出ないのが不思議だと放言し、 それを聞いていた客たちが一斉に店を出て行く。 Mayhewは受付嬢に、自分の弁護士に連絡するように命じた。

Brysonは装置のパワーを上げ、球体の内部の存在と意思の疎通を試みていた。 突然球体から炎の帯のようなものが現われ、 部屋の向こうに飛んで人の形に変わる。 その人影に彼が名前を尋ねると、 「名前・・・失われた・・・彼らが捕えに来る・・・ 閉じ込める権利などないのに・・・」と人影は答え、パニックになった。 そしてBrysonに、自分たちを死なせてくれ、放って置いてくれと叫び、 球体の中に姿を消した。

球体の調査を続けていたBrysonは疲れきって座ったまま転寝をしてしまう。 手に持っていたペンが滑り、ぶつかった球体が転がって装置の探針に接触した。 エネルギーサージが電線を伝わって基地のパワーグリッドに走った。
Blue地区をパトロールしていたZackは、女性のすすり泣く声を聞いた。 彼があたりを探すと、暗い階段の中ほどに人影が居て、 自分の子供たちは何処なのと嘆いていた。 しかし彼がライトの光をそちらに向けると、 その人影を通して後ろの階段が見える。 人影は泣き叫びながら彼に飛び掛り、彼の身体を通過して消えた。

次の日の朝、LochleyがZocaloで朝食を取っていると James Rileyと名乗る男が近づいてきた。 彼はMayhewの弁護士で、LochleyとBabylon5当局への告訴状を示す。 彼の主張によると、彼女はMayhewに対する嫌がらせと権利の侵害、 さらに彼女の部下であるZackが行った店の設備への中傷によって告訴されていた。 始め彼女は冗談だと思ったが、彼女は莫大な賠償金を払うはめになり、 一部は保険では賄えるだろうが軍の規則で大部分は自分で払わねばならないとRileyは続ける。 そして法廷で会いましょうと言い残し、Rileyは彼女を残してZocaloを出て行く。

GaribaldiはBrysonの部屋のドアベルを鳴らしたが、 始めBrysonは開けようとしなかった。 それなら別の金蔓を見つけたと判断して火星に帰るとGaribaldiが脅すとやっとドアが開き、 入ってみると散らかった部屋の中にはほとんど眠っていない様子のBrysonが居た。 彼は何か判ったのかと尋ねるGaribaldiにあなたは何も判っていないと答え、 彼が約束した研究報告書を求めると燃えカスの入った箱を渡した。 そして、夜のうちに全ての資料を燃やしてしまった、 もはやこれまでの研究は無価値となるような大発見をしたと言う。 あなたの本質は何だ、記憶のパターンを記録すればそれはあなた自身と言えるのかと 熱にうかされたように話し続ける彼に、 ストレスが原因ではとGaribaldiは声をかけるが、 彼は研究費の援助などもはや不要で必要なものは全て揃っている、 後は彼らの声を注意深く聞くだけだと言って、 Garibaldiを部屋から追い出した。

Lochleyのオフィスで彼女からRileyの事を聞いたZackは、 裁判になっても相手には勝ち目が無いと主張するが、 裁判に勝つのが目的ではなく 店の賃貸契約切れまで引き伸ばすのが目的だろうと彼女は指摘した。 Shadowを始めとする侵略者を追い払ってきた自分たちが 弁護士ごときに降参するんですかとZackは憤慨し、 さらにMayhewたちがホログラムを使って自分に脅しをかけていると言って 昨晩の女の幽霊の話をした。 それを聞いたLochleyは、 店の外でホログラムを使うには莫大なエネルギーが必要なはずと首をひねる。
そのときGaribaldiが入ってきて、用件が済んだので火星に戻るつもりだと 別れの挨拶をした。 その途中で司令室から、ジャンプゲートに予定外の船が現われたと連絡が入った。 その船の映像を観たGaribaldiは、 数年前に一度基地に現われたSoulHunterの船だと指摘する。 その頃Brysonの部屋では持ち込んだ球体が輝きを増し、 彼は「彼らか」と球体に話し掛けていた。
GaribaldiはLochleyに、SoulHunterについて知っている事を話す。 彼らは誰かが死ぬときにそれを嗅ぎ付けて現われて 魂を保存しようとすると聞いたZackは急にむせ込み、 GAribaldiが自分の顔をじっと眺めるといやな顔をした。 Lochleyは彼がSoulHunterと遭遇した事があるなら手助けしてくれるように求め、 彼は同意する。 Zackを含めた三人はドッキングベイに向かい、 武装した警備員と共にSoulHunterを待ち受けた。
やがて入港した船から降り立ったSoulHunterを遮り、 誰が目的で来たのかとGaribaldiは尋ねた。 それに対しSoulHunterは、 今回は誰が目的という訳ではなく、 自分たちの物が盗まれてこの基地に持ち込まれたので取り返しに来たと答える。 なぜそれが判るのかとLochleyが問い返すと、 急にライトが暗くなり、SoulHunterの手のひらに球体が現われた。 それは輝きを放って宙に浮いており、 歪んだ人の顔が現われて何かを訴えかける。 これが告げたのだと彼は答え、盗人の名前はBrysonだと告げた。 その名前を聞いたGaribaldiは目を伏せ、 Lochleyは「またあなたね、どうして何時もそうなの!」 とGaribaldiを忌々しそうに睨み付けた。 その頃Brysonは盗んだ球体をバッグに入れ、 部屋を逃げ出す準備をしていた。

SoulHunterは三人に対し、 自分たちは指導者や詩人、芸術家などの貴重な魂を、 死の瞬間に回収して保存すると話し始めた。
数千年前に宇宙の彼方にRalgaという惑星があった。 そこに住む種族は高度な文明を持っていたが宇宙を飛び回ろうとはせず、 自分たちの惑星に美しい都市を作って生活していたが、 何らかの理由によって10億人全てが死に絶えようとしていた。 それを感じ取ったSoulHunterたちには 彼らが滅びようとしている原因は不明だったがそんな事は如何でも良く、 彼らの魂を救おうと種族を挙げてRalgaに向かった。 首尾よく作戦は成功して10億人の魂を全て回収し、 器に納められて「囁きの間」に安置された。 その器がBrysonに発見されて盗まれたのだった。
彼の話を聞いたLochleyは球体を返す事に同意するが、Zackは異議を唱えた。 彼はRalga人たちの魂を勝手に保存する権利など誰にも無いはずで、 彼らの魂を天国に行かせるために解放すべきだと主張した。 それを聞いたSoulHunterは、天国など存在せず 死の後にあるのは空虚だけだ、 魂を解放すれば彼らは無に帰るだけだと答える。

LochleyはBrysonの部屋を捜索させたが、彼は既に逃亡した後で盗まれた球体も無かった。 SoulHunterは、自分は盗まれた魂を感じておりそれを持っているBrysonは 未だ基地内に居ると言う。 そして魂の容器を安全に扱えるのは自分たちだけだと言う彼にLochleyが意味を尋ねると、 一つの魂でも宇宙を変える力があり、 ましてや10億の魂が力を合わせればほとんど何でも出来ると彼は答える。 それを聞いたLochleyは、数千年も閉じこめられた彼らは あるいは復讐に燃えているかもと指摘する。
一方基地の人気のない場所に逃げ込んだBrysonは、 球体に向かって「解るよ、奴らに渡すぐらいならこの基地を破壊した方がいい」と 話し掛けていた。

オフィスに部下たちを集めたLochleyは、 SoulHunterによればBrysonは魂の器を持ってまだ基地内に居るはずなので、 基地内をくまなく捜索して異常現象があれば直ぐに報告するように命じていた。 ミーティングが終わり、Corwinを除く部下たちがオフィスを出て行くのと入れ違いに Rileyが入ってきて、彼女が告訴されている件について彼女が考え直したかを尋ねる。 彼女は今は非常事態なのが解らないのかと怒って彼を追い出し、 椅子に座るとそこに置いてあったラブバットが「許してあげる」と言った。
その頃Brysonは再び自分の装置を取り出して基地のエネルギー源に接続し、 球体とのコンタクトを試みていた。 そのとき再びサージが走り、逃げ出した魂はホロデートクラブの装置に入り込む。
クラブでは、特殊スーツで身を包んだ男性客が、 デートを夢見ていた相手の女性のホログラムに話し掛けていたが、 突然ホログラムの目が光り、その横に別の男性のホログラムが現われた。 二人のホログラムは客を無視してお互いに懐かしそうに話しだし、 さらにキスを始めた。 始め客の男は抗議するが、結局諦めて個室を出て行くと、 二人のホログラムはRalga人の姿に変わった。 個室を出てきた客の男は経営者にトラブルを訴えるが、 別の客の相手のホログラムを見て彼女に変えてくれないかと言い出す。 それはLochleyのホログラムだった。
Bobcomユニットを使おうとした男が、自分のカードを認識しない装置に当り散らしていた。 突然火花が走って画面が飛び散り、 そこに黒いマントを被り手に大きな鎌を持った人影が現われた。 そして恐怖に震えてじりじりと下がる男に鎌を振り上げる。

Lochleyが昼食を持って私室に戻ると、そこにはSoulHunterが立っていた。 どうやってこの部屋に入ったかと驚く彼女に、 拘束されそうになったので警備班を眠らせ、 彷徨っているうちにここにたどり着いたと彼は答え、 勝手に入った事を咎めると、自分たちは魂が導く所に行くだけだと涼しい顔だった。 諦めた彼女は持ってきたファーストフードを食べながら、 彼らが回収された魂の扱いを尋ねると、 大きな広間に安置して拝んで話し掛ける、 時には他の魂と意思の疎通も出来ると説明した。 しかしLochleyには、そのような状態は地獄と同じように思えた。 彼女は肉体の存在にとらわれているから理解できないのだ、 そうしなければすばらしい魂が滅びてしまうとSoulHunterは言うが、 自分を表現できずに永遠に囚われているなら滅びて無になった方が ましだと彼女は答える。
彼らの会話の最中に、部屋の明かりが暗くなった。 Lochleyは司令室に何が起こったのか問い合わせようとするが、 通信も繋がらなくなっている。 球体から逃げ出した魂がSoulHunterがここに居るのを知って部屋に入ろうとして、 部屋の壁を歪めてコンソールから火花が散った。 SoulHunterはLochleyに部屋から直ぐに出て行くように求めるが、 そう言っている彼の背後から魂が炎のようになって 襲い掛かろうするのを見た彼女は、彼を突き飛ばした。 炎は稲妻となって彼女を貫き、壁に叩きつけられた彼女はその場に崩れる。 慌ててSoulHunterが彼女の上にかがみこむが、彼女はゆっくりと目を閉じた。

酸素マスクをつけられた彼女はZackらによって医療室に運ばれるが、 ラボの外からZackとGaribaldiが見守るなかで、 彼女の心臓は止まってしまう。 その光景を幽体離脱状態の彼女はラボの片隅で呆然として見ていた。 彼女の鼓動が止まると、見ていた彼女は床を抜け、 下へ下へと何処までも落ちて行き、彼女は思わず目を閉じた。 再び目を開けるとそこはテラスのような場所で、 眼下には海辺まで迫る森のなかに幾つもの塔が立つ美しい都市が広がっていた。 思わず見とれている彼女の後ろから声を掛けたのは、Dr.Franklinだった。 彼はこの光景はRalgaのもので自分はRalga人であり、 彼女の目にFranklinとして見えるのは 無意識の内に彼女が医者と友人を求めていたからだと説明する。 見ている光景は実際には遥か昔に失われたものだが、 記憶の中では今も生きていた。 自分に何が起こったのかと尋ねる彼女に、 権力闘争に巻き込まれたのだと彼は答え、 一部の過激派がSoulHunterに復讐しようしたが彼女がその身代わりになった、 しかし自分たちが彼女の心臓を一秒だけ止めて、彼女をここに連れてきたのだと話す。 そして過激派たちはあそこにおり、時が経つに連れてその数は増して行くと言って、 海の向こうに見える別の都市を示した。 その上には黒い雲が立ち込め、稲妻が光っていた。 外の世界に影響を及ぼせるならなぜBrysonに容器を破壊させないのかと彼女が問うと、 そうすれば自分たちは滅びてしまう、 だから一部の者は道連れにSoulHunterも滅ぼそうとしているのだと彼は答えた。 しかしあなた方Ralga人たちは滅びようとしていたのではとさらに彼女が尋ねたとき、 外の世界では一秒が経過し、彼女の心臓は再び動き始めた。 テラスから空に向かって上昇してゆく彼女に、 それがそもそもの誤解だった、我々は滅びようとしていたのではない、 進化していたんだ、それを彼らに伝えてくれと"Frankin"は叫ぶ。

医療ラボの中で、Lochleyはゆっくりと目を開けた。 外で見守っていたZackとGaribaldiは、彼女が生きているのを知って 安堵の表情を浮かべる。 その頃やはり彼女の様子を見に来ていたCorwinに、司令室から緊急事態の連絡が入った。 ジャンプゲートから無数のSoulHunterの船が現われて基地を包囲していた。 彼はStarFury中隊を発進させると共に防御砲を作動させ、 近づいてきたら発砲するように命じる。

Lochleyの病室を花を持って見舞ったSoulHanterは、 彼女が自分を庇ってくれた事に感謝する。 彼は、自分たちはこれまで他種族に忌み嫌われ死ねばいいと思われてきた、 命を救われたのは初めてだと言うが、 同時に彼は、他のSoulHunterたちが自分の仕事の遅さに痺れを切らして 基地を包囲しており、直ぐに盗まれた容器を返さなければ 押し入って来て自分たちで回収するつもりだと告げる。 仲間たちは自分ほど他の種族の失態に寛容でなく、決して過ちを犯さないと言う彼に、 それは違う、あなたたちは大きな過ちを犯していると彼女は反論し、 自分が一瞬死んで魂の器の中に入りRalgaを見て魂たちと話をしたと告げる。 Ralga人たちは滅びようとしていたのではなく、 Vorlon人と同様に肉体を捨てて精神的な存在に進化しようとしていた、 SoulHunterはそれを誤解して、彼らが進化の絶頂期に立とうとしたときに 魂を閉じ込めてしまったのだという彼女の説明を聞いて、 SoulHunterは始めは信じなかったが、 結局自分たちが大きな過ちを犯した事に気がついて大きな衝撃を受ける。 どうしたらこの過ちを正せるのかと尋ねる彼に、 彼女は仲間に会って説得して時間を稼いでくれるように頼み、 Brysonの捜索をしているZackが的を絞ったBrown11区に向かう。 Corwinからの報告では、SoulHunterの船団には動きが無かったが、 基地の核融合炉の数値が異常を示していた。

Brown11区を捜索中のZackとGaribaldiは、 恐怖で心臓麻痺を起したらしい男の死体を発見した。 二人が周囲を調べていると、ホロデートクラブの経営者Mayhewが現われ、 嫌がらせはやめろとZackに苦情を言う。 何の事か解らない二人が店の方に近づくと、 店から通路に光の帯のようなものが流れ出していた。 逃げ出した魂の仕業と気がついたZackが、一万年も閉じ込められてれば、 まず欲しいのはホログラムでも何でも宿れる肉体だろうと言っていると、 艶かしい姿のLochleyのホログラムが現われて、彼らを見てウインクする。 ZackはMayhewをどやし付けるが、彼女は公人だから問題ないし 特に女性客に人気なんだと彼は開き直り、 一方Garibaldiはそのホログラムに見とれていた。 そこにやって来た本物のLochleyは自分のホログラムを見て激怒するが、 何処から店の外にホログラムを投影するエネルギーが出ているのかと 疑問に思ったそのとき、 軍服姿に変わったLochleyのホログラムは 他の人形ホログラムたちと共にどこかへ向かった。

広間に集まったホログラムたちを前に、Lochleyのホログラムは SoulHunterへの復讐を呼びかける演説を行っていた。 しかし周囲の明かりが揺らいだときにホログラムは揺らがなかったのを見た 本物のLochleyは、ある事を確かめに自分のホログラムの方に近づく。 ホログラムが何の反応も示さないのを知った彼女は、 これが陽動作戦で魂たちは別の場所に行った事に気付き、 ホログラムを通して自分たちの動きを悟られないために 手榴弾でホロショップごと破壊した。 そして核融合炉を爆発させて基地と周囲のSoulHunter船団を破壊するつもりだと 悟った三人は、制御システムのあるGrey4区に向かう。

Grey4区には、先ほどのSoulHunterが待っていた。 彼は彼女に、仲間たちは自分たちが過ちを犯したなどと信じず、 自分の言う事に耳を貸さない、 20分以内に器を渡さなければ、基地を攻撃すると言っていると話す。 それを聞いた彼女は、15分で融合炉が基地もろとも爆発すると答えた。
融合炉制御システムの前には太い光の柱が立っており、 その中に魂の器の球体を持ったBrysonが座っていた。 一方Zackと部下たちは周囲に展開し、攻撃指示を待っていた。 まずGaribaldiがBrysonに近づき説得を試みるが見事に失敗し、 逆に光の柱からの攻撃を危うくかわした。 それを見たZackらが攻撃を始めるが、Lochleyは直ぐに中止させる。 しかしそうしているうちにも、融合炉爆発までの時間が迫っていた。 SoulHunterは彼女に自分たちの過ちを詫び、 彼女と話せば仲間たちも過ちに気付くだろうと言い残して、 一人でBrysonの前に進み出た。 そして仲間たちは自分たちの過ちを理解すれば 必ずそれを正す方法を見つけるのでそれまで時間をくれるように求め、 その保証として自分の魂をLochleyにしたように器の中に受け入れてくれるように頼む。 すると光の柱から電撃が伸び、彼の姿を包み込む。 そして彼が倒れると直ぐに光の帯は球体の中に吸い込まれ、 Brysonもその場に崩れた。 走り寄ったZackはBrysonがまだ生きていると知って医療室に連絡する。

外の船団を代表して現われた第二のSoulHunterを迎えたLochleyは、 Ralga人たちの魂の器を渡しながら、 最初のSoulHunterが命を投げ出して約束した事を必ず守るように念を押した。
やがてSoulHunterの船団がジャンプゲートから消えたのを見て、 彼女は安堵のため息をつく。 火星に戻るGaribaldiは彼女に別れを告げるが、 Brysonはこれにも懲りずにまた不死を探求するらしいと話した。 そしてそのうちまた基地に来るので楽しくやりましょうと言って オフィスを出て行くが、そのとき飾ってあった花瓶を落ちて割れた。 それを見送った彼女は、「私を射殺して」とうめく。
彼と入れ替わりに弁護士のRileyが入ってきて、 Mayhewの店を破壊した事で彼女に対してさらに刑事訴訟も起すと告げる。 しかし彼女は、軍事行動による破壊は訴訟の対象とはならず、 作戦に参加した警備部員たちの宣誓供述も得ているし、 さらに店そのものがなくなったので民事裁判も無意味になったと反論した。 手ぶらで帰れと言うんですかとすっかり腐ってしまったRileyに、 彼女は贈り物よとラブバットを渡した。 それは少し改造してあり、叩くと「私って馬鹿・・・私って負け犬・・・ みんな私が嫌い・・・」と声がした。 ふてくされたRileyが出て行った後で彼女は、 「Zackの言う通り、天国は存在する。」と呟いた。

Ralga人たちの魂の器の世界で、 最初のSoulHunterがバルコニーに立ち、美しい都市を眺めている。 彼が振り向くと、そこには微笑みを浮かべたLochleyの姿があった。


印象に残ったシーン、台詞


Memo

これはSheridan大統領夫妻がBabylon5を去ってから半年後、2263年6月の話であり、 特にBrysonが初めて球体の中の魂に接触を試みたのは6月11日である。

SoulHunterは本編では唯一回#2 "Soul Hunter" に出てきた種族であり、Garibaldiが遭ったというのもそのときの事である。 なお、"The River of Souls"の日本での初放送は、 偶然なのか放送局が合わせたのか、 ちょうど"Soul Hunter"の再放送と同じ週となった。

「Pauli効果」とは、オーストリアの理論物理学者Wolfgang Pauliに関する半伝説である。 彼が実験室に現われるとしばしば装置の具合が悪くなり、傍を通ると故障する事もあった。

「不死の探求」というテーマは、 本編の#9 "Deathwalker"でも扱われていた。

SoulHunterが種族の全ての魂の保存のような大規模な作戦を行ったのは Ralgaが三度目という事だが、他の二種族はどのような状況で行われれたのだろうか。 本編ではMarkab人がDrafaによって絶滅しているが、 彼らの魂が回収されている可能性はあるだろうか?

私室でのSoulHunterとの会話の場面で、 LochleyはDownbelowで一番のバーベキューバーガーの店で昼食を買っているが 他のスタッフは誰も行かないとぼやいている。 どうやら彼女は一人でDownbelowに何度も行っているようだが、 この設定は後のCrusadeでもそのまま使われているようだ。 (narumiさんのガイド参照)

SoulHunterの船は、魂の回収のために他の種族のどんな船にも接続し 穴を開けて乗り込む事ができる。

SoulHunterは不死ではないが長命な種族であり、4000歳はまだほんの若造らしい。


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