A Call to Arms

A Call to Arms

粗筋:

ISNでは、来月に迫った惑星間同盟の設立5周年式典の準備が 地球とMinbariで進んでいるというニュースが流れていた。 初年度のCentauriとの紛争を除き、同盟設立後は基本的に加盟諸国間の平和が保たれていたが、 同盟副大統領のDelennがMinbariでの式典準備に姿を見せているに関わらず Sheridan大統領のここ数日の同行は不明で、憶測がささやかれていた。 次のニュースは地球での最近のテレパス危機の犠牲者を悼む記念碑建立についてだった。

Garibaldiの乗るWhiteStarは、MinbariのSharlin級巡洋戦艦と合流した。 Minbari巡洋艦からSheridan大統領の乗るFlyerが収容されると、 彼にディナーの準備が出来ていると伝えるようにGaribaldiは部下のRangerに命じる。
二人で食事をしながら、 Sheridanは極秘で進めている同盟の新型駆逐戦艦建設の進展状況を尋ねる。 これは現在のWhiteStar艦隊に替わり、 VorlonとMinbariのテクノロジーを併せて地球艦隊仕様に適用したもので、 ほぼ完成した試作艦二隻の視察に彼らは向かう所だった。 Minbari人Rangerが大統領に、他の艦を追い払った事を報告し、 彼らのWhiteStarは秘密の造船施設に向けてジャンプした。 全速力のWhiteStarに追いつけるものは存在しないとSheridanは言うが、 そのWhiteStarを小さな探査機が追尾している。
探査機からの映像を謎の場所で水晶玉のようなモニターを通して見ていた男Galenは、 使者に呼び出される。 「サークルが彼の行動について釈明を求めている」と言う使者に、 Galenは誰に釈明するのだと尋ね、 関係者全員にだという答えには「さぞかし広い部屋なんだろうな」と皮肉を言う。 使者が手を振ると、ドアの向こうの霧の中に長い道が現われた。 それを見たGalenは、「長い道だが、道とは長いものだ、 お前も思っているより早くに行動の責任を問われるぞ」と 水晶玉の中に見えるWhiteStarに声をかける。

やがて通常空間にジャンプしたWhiteStarは、新型艦の建造ドックに接近する。 出迎えた建造責任者のSamuel Drakeが、 火星生まれの自分にこのような重要プロジェクトを任せてくれた事に感謝すると、 同盟においては地球も火星も出身は関係ないとSheridanは答える。 やがて新型艦Excaliburのブリッジについた大統領は、Drakeから艦の説明を受けていた。 これまでの円形配置と異なり、潜水艦に習って主要な部屋は直線状に配置されており、 操縦や武器システムは地球軍仕様なので簡単に扱えるという話を聞いたSheridanは、 実際に艦を動かしてみたのかを尋ねる。 Drakeが困った顔をして、大統領が来るまではシュミレーションは完璧に行ったが 実際には動かしていないと答えると、 いざと言う時に働かなかったら困るとSheridanは渋い顔をする。 そのときDelennからのメッセージが入ったという連絡があり、Sheridanは作戦室に向かった。 残ったGaribaldiは、なぜ自分の指示通りに戻ってくる前に艦を動かしておかなかったのかと Drakeを頭ごなしに叱り付け、直ちに艦をドックから出すように命じた。 トラブルは何も起こらないはずとDrakeが言っているそのとき、 メインエンジンがダウンしてしまう。 艦長席にどっかりと座ったGaribaldiは直ぐに動くようにするようにDrakeに言い、 Babylon5の方がよほどましだったとため息をつく。

そのBabylon5の入港ゲートを通ろうとした異星人の女性が武器を所持していたために 引き止められ、Zackは彼女に全ての武器を提出するように求めた。 彼女は黙ってそれに応じるが、 机の上にはいろいろな所から取り出した短剣その他が小山を成す。 その後彼女はZackに、「忘れられた者たち」の居場所を尋ねた。 始め意味が解らずに聞き返したZackは、もう一度尋ねられてBrown地区のDownbelowを教える。

Excaliburの作戦室でDelennからというメッセージを受けたSheridanだったが、 その内容は互いに関連がない無数の画像の早送りのような意味不明のものだった。 彼がそれを見終わったときGaribaldiが入ってくるが、 彼が30分もここに居たと言う。 そんなはずは無い、たった今メーセージを見たばかりだが意味不明だったと答える彼に、 不審顔のGiribaldiはトラブルが起こり艦が動くまで暫くかかるので寝室で休むように勧める。

ベッドで横になったSheridanの目に炎が映った。 何時の間にか彼はどこかの見知らぬ場所の岩山に横たわっていて、 周囲の見渡す限りの荒野から炎が吹き上がっている。 そのとき「聞いたか?」という声がし、見るとフードを被った男が座っていた。 何も聞こえないとSheridanが答えると、 この惑星には生き物も機械も何もない、殺されたのだとGalenと名乗る男は続け、 Delennからのものと見せかけてメッセージを送ったのは自分で、 電子魔術(electron incantation)のために接続が必要だったからと付け加えた。 この星は攻撃されたのかというSheridanの問にGalenは、 「想像してみろ、この星は単にテストとして破壊されたのだぞ」と言い、 殺し屋たちが戻ってきた、見つかったら大変な事になると、 何かの影が見える空を示す。 そして、この光景を決して忘れるなとSheidanに告げ、かき消すように居なくなった。 彼の居た場所の砂が風で吹き飛ばされ、 "Daltron7"という文字が現われる。 そこで目を覚ましたSheridanは、窓の外を見て艦がゆっくりと動いている事に気付く。

Babylon5に入港した異星人女性は、Downbelowをゆっくりと歩きながら 壁や天井に書かれたある種のマークを探していた。 その彼女を一人の男が後をつけていた。 やがて彼女はマークに従ってシャフトの階段を上ってゆくが、上の通路に顔を出したところで 待ち構えてきた男に蹴り落とされ、下に転落する。
何時の間に彼女は、Sheridanが夢で見たのと同じ炎を上げる荒野に囲まれた場所にいた。 「まさか、戻ってくるなんて・・・」と彼女が呟くと、 「どう思う」という声がし、見るとSheridanが立っていた。 その姿を見て彼女は怒りに燃えて飛び掛るが、彼女は彼の像をすり抜け、 振り返るとその姿はDrakhに替わっていた。 さらにその姿も消え、別の場所にGalenの姿が現われる。 彼は彼女の名前を呼び、 「お前が撃てる弾は一発だけだ、良く狙って正しい的を撃て」と言う。 すると彼女の周囲の岩が崩れ、彼女はよろめいて倒れこんだ。
気がつくと、彼女は両手に鎖をつけられて台の上に倒れており、 大勢が彼女を取り囲んでいた。 一同のリーダーらしいサングラスに名前を尋ねられた彼女はDureena Nafeelと答える。 印を見せろと言われた彼女が上着の胸元を開くと、 そこに彼女が探していたのとおなじマークの刺青が現われた。 そして師匠とその師匠の名前を尋ねられた後で、 技量を問われた彼女がどんな物でもお手の物だと答えると、 彼女を蹴落とした男が彼女が簡単に捕えられた事をあざ笑う。 しかし彼女はわざと捕まったんだと答え、両手の鎖をあっさりと外して 男を伸してしまった。 それを見たリーダーの男は彼女を制し、彼女の盗賊ギルドへの加入を認める。 そしてスリや強請などは認めるが殺し等の当局の注意を引く行為は厳禁で、 稼ぎの10%を納めるというギルドのルールを説明した。 リーダーは最後に、恐らく遠くの惑星の出身である彼女が、 なぜBabylon5に来たのか尋ねると、彼女は判らないと答えた。

SheridanがExcaliburのブリッジに戻り、武器のデモンストレーションが始まった。 まずPhase1で艦首砲によって近くの小さな小惑星を破壊するが、 WhiteStarの火力と替わり映えしないと言ってSheridanは不満そうな表情をする。 それを聞いたGaribaldiがDrakeにPhase2に進むように命じると、 Drakeは困った顔をしてちょっと問題があると答える。 主砲はVorlon技術によるものだが、艦自体のエネルギー貯蓄容量がVorlon艦に 遥かに劣っているため、主砲を使うとエネルギーがほとんど枯渇するので これは最後の手段にして欲しいと彼は説明するが、 Garibaldiは構わずに巨大な小惑星を的にして発射準備を命じた。
そのときSheridanの目に映るスクリーンには、地球と月が浮かぶ光景が見え、 彼は慌てて発射するなと叫び、火器管制士官は怪訝な顔で振り向いた。 あそこに地球があるじゃないか、と尚も叫ぶSheridanに、 GaribaldiとDrakeも心配そうな顔をする。 何時の間に地球の幻影は消え、 気を取り直したSheridanは、主砲の発射を命じる。 Excaliburの三枚の尾翼の先端から前方に伸びたエネルギービームが艦首に集まり、 そこから真っ直ぐに伸びたビームは一撃で小惑星を木っ端微塵にする。 しかし同時に艦内がパワーダウンし、 辛うじて重力制御だけが生きている状態になった。 Drakeは済まなそうに、この状態が一分間続き 艦はその間無防備になると説明する。 それを聞いたSheridanが、一分間あれば何でも起こり得ると言ったとき 辺りの景色が変わり、彼は自分が草の生えた夜の広場に立っているのに気がついた。
周囲には大きな石柱が幾つも立っており、空には大きな二つの月が見える。 彼の前にはマントを纏った数人の人物が焚き火を囲んで話していた。 その中のリーダーらしい男が、この場所に部外者を連れてきたと別の男を非難すると、 関係者で関係者全員の前で釈明しろと言うから連れてきたと相手は答えた。 それはGalenで、さらに彼は、本人が知らなくてもSheridanは当事者だし、 彼は自分たちの目的に合致するとも言う。 それを聞いたリーダーは、もしこれによって自分たちの隠れ家が知れたり 自分たちの命が危険になったりしたらまず死ぬのはお前だとGalenに警告する。 そのとき稲妻が光り、Galen以外の者たちの姿は掻き消えた。 自分たちが何者か判るかとGalenに問われたSheridanが、 電子魔術と言っていたから恐らくTechnoMageだろう、 以前に一度会った事があると答えると、 Galenは彼に、Shadowの後を引き継いだDrakhが 地球への復讐を企んで準備を進めていると告げた。 母星を失った彼らにそんな能力があるのかと尋ねるSheridanに彼は、 それを探るのがお前の仕事だと答え、 予想が正しければいずれ彼らは地球を攻撃し、 何も手を打たなければ地球はDartlon7と同じ運命を辿ると警告する。 Sheridanは仲間と共にそれを防がねばならないが 情報源を誰にも明かすな、Drakhのスパイはそこら中にいると彼は続けた。 こんな話はどうせ誰も信じない、自分だって半信半疑だと叫ぶSheridanに、 「それでもお前は一人になっても確かめようとする、それがお前を選んだ理由だ、 私も一緒に行けたらな・・・」とGalenが言うと再び稲妻が走った。 振り返った彼の目の前で、近くの岩の表面に四つの人の顔が迫り出してきた。 再び振り返ると既にGalenの姿はなく、空にはBabylon5ステーションが浮かんでいた。 同時に自分に呼びかける声が聞こえる。
気がつくと彼はExcaliburのブリッジの椅子に座っており、 Drakeが熱心に船体装甲について説明していた。 彼は立ち上がり、「直ぐに行かなくては」と叫ぶ。 怪訝そうな顔のGaribaldiが何処にです、と尋ねると、 彼は先ほど見た光景を思い出して WhiteStarを準備してBabylon5に向かうように命じた。

亜空間を飛ぶWhiteStarのブリッジで、Sheridanは記憶を手繰りながら 熱心に何かのスケッチをしていた。 Garibaldiは彼になぜBabylon5に向かうのかを尋ねるが、 彼自身も上手く答えられなかった。 しかしMinbariへ戻ってDelennに会ったらという勧めをきっぱりと断り、 あくまでもBabylon5に急ぐように命じる。 彼はさらに、Daltron7という星について調べるように求めた。 首をひねって出て行くGaribaldiは、 Lochleyに通信回線を開くようにRangerに命じた。 Sheridanは黙ってスケッチを続けていた。 それは岩の表面に現われた三人の顔の絵だった。

同じ頃、やはり亜空間を飛ぶ地球同盟のOmega級駆逐戦艦CharonのAnderson艦長は 地球からの指令を無視してBabylon5に向かうように命じていた。 副長は彼の謎の行動を心配するが、艦長は大丈夫だと答える。 しかし彼はその後、「大丈夫のはずだ」と独り言を続けた。

Babylon5のドッキングポートでSheridanを迎えたLochleyは、 彼が突然現われた事に驚きの表情を見せる。 彼は彼女にスケッチを見せ、これらの人物を探すように命じる。 既に基地に居るか、そのうち現われるはずだと言う彼に彼女は首をひねり、 彼が出て行ってからGaribaldiに説明を求めるが、 彼も肩をすくめるばかりだった。

DureenaはZocaloの人ごみの中をゆっくりと歩きながら、 買い物客の下げている財布の紐を切ってスリを働いていた。 そのときSheridanの描いたスケッチを持った警備員が現われ、 彼女の顔を見て呼び止めようとする。 彼女は直ぐに逃げ出したが、大勢の警備員に挟み撃ちされ、取り押さえられた。

LochleyはSheridanに、スケッチの人物の一人を見つけたが、 Dureena Nafeelというけちなスリだった事を報告する。 彼女はShadow戦争時にDeath Cloudの犠牲となったZander本星の出身だった。 彼女には基地からの追放を言い渡したが、 護送する途中で彼に会わせるとLochleyが言っている最中に、 CharonのAnderson艦長がSheridanに話があるという連絡が入った。 名前を聞いて、知り合いではないとSheridanは首をかしげるが、 回線が開くとそれは、彼のスケッチの第二の人物だった。 自分をお探しですかと尋ねるAndersonに、そのようだと彼は答える。

Sheridanに迎えられたAndersonが夢で彼を探すように言われたと話しているとき、 警備員に連れられたDureenaが入ってきた。 Sheridanは二人を紹介しようとするが、 彼女はSheridanを見るなり怒りに任せて飛び掛り、 Andersonと警備員に取り押さえられる。 彼女はもがきながら、自分の惑星が滅びたのは彼の所為だと叫ぶ。
一方Lochleyのオフィスでは、 彼女とGaribaldiがSheridanの異常な行動について話し合っていた。 同盟の権威の失墜を狙う外部の勢力に大統領が操られている可能性を彼女が指摘すると、 Garibaldiは彼が謎のメッセージを受け取ってからおかしくなったと話し、 実害が出るまえに止めるため、彼を監視すると提案した。
椅子に両手を固定されたDureenaは、 近くの星がShadowに攻撃されたときに救援を求めたのにSheridanらは無視したと糾弾するが、 それは違う、戦争の後何度も、当時の自分の決断について 思い返したが、あれしか選択の余地はなかった、 自分たちの艦隊はDeath Cloudを止めるには火力が足りなかったと言い、 さらにDeath Cloudを実際に操作していたのはDrakhで 彼らはShadowが去った後も残って次の攻撃を企んでいる、 それを阻止するのを手助けして欲しいと説得した。 それを聞いたDureenaは夢のシーンを思い出し、 あれは過去の記憶ではなく、未来への警告だったのだと気がついた。
そのときAndersonが、自分の艦のCharonは使えるが この相手と闘うにはもっと強力な艦が必要ではと口を挟む。 するとSheridanはにんまりとして、 それならうってつけの艦があると答える。

次の日の朝、Lochleyのオフィスに入ってきたGaribaldiは そこにSheridanが居ないので意外そうな顔をする。 彼女の方も彼と一緒に来ると思っていたので、 司令室にメッセージを送ったかと問い合わすと、 大統領は部屋で仕事中という返事だった。 しかし映し出された彼の留守メッセージを見て、 二人は彼が基地を出発したらしい事に気がつく。 WhiteStarは残っていたが、夜のうちにCharonが出航していた。 GaribaldiはSheridanの意図を察して、慌ててDrakeへ連絡を試みる。

しかしそれより早く、Charon艦上のSheridanはDrakeに連絡を取り、 通信がハックされている可能性があるので 現在の周波数以外の通信は絶対に受信しないように命じていた。 DrakeはGaribaldiの居場所を尋ねるが、もう直ぐそちらに着くとだけ告げて Sheridanは通信を切る。 そしてAndersonに、本当にこのまま自分についてくる覚悟なのかを確認する。 Andersonは、もしBabylon5に行ってSheridanが居なかったら そのまま任務に戻るつもりだったが彼が居て地球に危機が迫っていた、 地球内戦時には彼の敵に回ったが間違っていた、 今度は勝つ側に回りたいと答え、部下たちも同じ気持ちだと付け加える。 一方Dureenaはブリッジの隅に黙って立ち、ナイフを研いでいた。 Sheridanは通常空間へのジャンプを命じる。
亜空間を急ぐWhiteStarのブリッジでは、 GaribaldiがDrakeへの通信を試みていたが、相手は出ようとしなかった。 Minbari人Rangerが、なぜ新型艦の造船所に向かったのでしょう、 まさか船を盗む訳ではないでしょうに、と言うと、 彼は必要で正しいと思えばどんな事でもすると憮然とした表情のGaribaldiは答える。

Sheridanは出迎えたDrakeに、Andersonと彼の部下にも新型艦の操縦方法を 説明するように求めた。 極めて異例の事だと抗議するDrakeを相手にせず、 Andersonの部下たちはたちまちブリッジを占拠してしまう。 呆然として「こんなはずでは・・・」と呟くDrakeを横目に、 Sheridanは上機嫌でExcaliburの艦長席に座っていた。
もう一隻の新型駆逐戦艦Victoryの艦長席に座ったAndersonは、 Excaliburに準備が整った事を知らせた。 Sheridanはメインエンジンの点火を命じたが、 艦はまだドックに固定されたままだったため、 彼は火器官制パネルを自ら操作してクランプを破壊する。 目的地を問われた彼は、 「何も手を打たなければ地球はDaltron7と同じ運命になる」というGalenの言葉を思い出し、 Daltron7への進路を命じた。 二隻は亜空間にジャンプする。

情報によればDaltron7は緑豊かな天国のような星のはずだったが、 軌道上に到着したExcaliburのスキャナーは、 星全体が死滅している事を示していた。 惑星の核は異常に低温で、地表には無数のクレーターがあり、 Sheridanは惑星がDeath Cloudに破壊された事を確信するが、 Shadow戦争の戦場からはかなり離れている事に首をひねった。 地表には生命反応は無かったが、Draziのマーカーが一つ見つかり、 彼は上陸するためのシャトルの準備を命じ、 Andersonにも同行するように求める。
マーカーのある場所に降り立ったSheridanは、 これが夢で見た場所である事を知る。 マーカーの横にDraziの死体が半ば埋もれており、 どうやら彼がスケッチの最後の人物らしかった。 部下たちが遺体を調べている間に地表の調査をしていたAndersonは、 この星がDeath Cloudに襲われたのはせいぜい一週間前だとSheridanに知らせる。 死んだDraziが何かを知っていたかもしれないが手詰まりだと肩を落とすSheridanに、 遺体の様子を見ていたDureenaはそうでもないと言うなりナイフを振り上げ、 遺体の服を切り裂いて手を突っ込んだ。 そして暫く探って情報クリスタルを取り出す。 Draziの男性の左脇の下には袋があり、 密売人はそこに物を隠すという彼女の説明にAndersonが感心すると、 Sheridanは可笑しそうにその袋は正確には生殖器だと補足した。
Excaliburへ戻るシャトルの中で、 DureenaはSheridanにShadowの遺物は他にも残っているのかを尋ねると、 彼は他にも幾つか出くわしてその度に痛い目に遭ったと答える。

ようやく造船ドックに着いたGaribaldiは、Sheridanが新造艦を強奪していった顛末を Drakeから聞いていた。 彼らがどこに向かったかは不明だったが、GaribaldiはDaltron7の名を思い出し、 Drakeを伴ってそこに向かう。

VictoryのAnderson艦長は、地球に居る妻に連絡していた。 彼が職場放棄して行方不明と聞いて心配していた妻に、 自分は上からの命令で動いているが、オープンチャンネルではそれ以上言えない、 心配しなくていいと彼は話す。 そして怪物が追いかけてくるので寝られないと言う幼い娘に、 自分が追い払うから大丈夫だと言って通信を切った。
死んだDraziの記録が解読され、スクリーンに映し出された。 彼は夢でここに行くように言われ、 到着した直後にDeath Cloudを伴った巡洋艦が現われて 惑星を破壊していった事を話す。 そしてその艦を追ってある場所に居ったら大勢の敵艦が居たため、 惑星に引き返して夢に現われた人々を待つ事にしたと続けていた。
AndersonからSheridanに、別の艦隊が接近中という連絡が入った。 映像を観るとそれはDrakhの艦で、Excaliburに呼びかけてきた。 自分たちの正体が判らないと判断したSheridanは応答しないように命じるが、 Dureenaは逆に味方と思わせて騙す事を提案する。 しかしそれを実行する前に、Drakhの周波数で強力な通信が遠方から送られてきた。 それを受け取ったDrakh艦隊は接近を止め、攻撃態勢を取る。 対してExcaliburとVictoryも迎え撃って数隻を破壊して追撃するが、 Drakh艦が逃げて行く先に謎のゼロフィールドが現われた。 敵艦がそこに逃げ込む直前に、Excaliburは主砲での攻撃を行い、 そのままゼロフィールドに入り込んでしまう。 そこは死んだDraziの記録に有った場所だとSheridanは気がついた。 彼らが出てきたのは、Drakhの大艦隊の真中で、Excaliburは敵の激しい攻撃に晒される。 何とか脱出してフィールドの外に居たVictoryと合流したExcaliburは、 追撃をかわして亜空間に逃げ込んだ。
二隻は亜空間で先を進むDrakh艦隊をよけ、地球への先回りをする。 その途中SheridanはBabylon5のLochleyに連絡を取り、 Drakhの艦隊がDeath Cloudを持って地球に向かった事を告げた。 始め彼女は彼を狂人扱いしたが、 彼は重ねてこれは真実だと強調し、既にDelennに同盟の艦隊を集結させているが とても足りないので、彼女が地球艦隊集結に尽力するように求めた。 そんな力はないという彼女に彼はファーストネームで呼びかけ、 嘗て一度でも自分を信じたのなら今度も信じてくれと言った。
通信終了後、少し躊躇った彼女は指令室にGold ChannelでLuchenko大統領へ 回線を開くように命じる。 そして、どうせ何時かは軍法会議送りだわ、と呟いた。

GaribaldiはWhiteStarのブリッジで、 謎の暗号通信が送信されていたという話をMinbari人Rangerから聞く。 彼がその調査を命じようとしたとき、Sheridanからの通信が入った。 彼もまたSheridanの話を信じず、 Drakh側にExcalibur建造の情報が漏れているという主張にも、 かえって盗賊ギルドの一員であるDureenaがスパイではと指摘した。 彼女がギルドの一員だと初めて知ったSheridanがそれを確認すると、 彼女は悪びれずにそれを認めるが、 スパイなら殺される危険を冒してこんな所に居ないと言う。 Drakh側に謎の通信が送られた時刻を聞いたGaribaldiが、 先ほどの謎の送信の件を思い出したとき、彼の頭にPPGが突きつけられた。 それはDrakeで、裏切った理由を尋ねるGaribaldiに、 Drakhから同盟側を上回る厚遇を約束され、 地球がどうなっても自分には関係ないと言い捨てた。 しかしGaribaldiは、もし自分を撃てば部下がお前を 死んだほうが良かったと思うような目に遭わせるぞと脅し、撃ってみろと挑発した。 そして隙をみて彼を取り押さえ、首に腕を回して全てを吐くように脅す。

やがてGaribaidiから、Drakeが全てを告白したとSheridanに連絡があった。 Drakhが持っているDeath Cloudは一機だけなため、これさえ封じれば何とかなると 聞いたSheridanは、自分たちはもう直ぐ地球に着くがGaribaldiもこちらに向かって、 万一阻止に失敗したときは自分たちの骨を拾い、生存者を救って欲しいと求めた。

地球の軌道上に現われたExcaliburとVictoryは、地球の大艦隊に迎えられた。 艦隊司令官のYuri Denisov将軍は、要請に従って艦隊を集めたが このような演習に付き合わされるのは迷惑だと不機嫌そうに言う。 Sheridanがこれは演習ではないと説明しているとき、 巨大な黒い雲のようなDeath Cloudが現われ、 同時にジャンプポイントからDrakhの艦隊が出現して 地球への進撃を始めた。 SheridanはDenisovに、敵艦隊ではなくDeath Cloudが最大の問題だ、 始末出来るのは自分たち二隻しかないので、自分たちの脇を援護して欲しいと作戦を話し、 地球目前での決戦が始まった。
地球-惑星間同盟連合艦隊とDrakh艦隊は互角の戦いを繰り広げるが、 その間にもDeath Cloudは地球に近づいていた。 Sheridanは艦首砲でのDeath Cloudへの攻撃を命じ、内部の構造を探ろうとする。 その結果、内部に超格子構造があるらしいと判り、 さらにスキャンをかけると間もなく、スクリーンに 巨大な網目上の内部構造が写し出されて、ブリッジのクルーは息を飲む。 中心にある構造体が制御部分だと判断したSheridanは、 そこに接近して主砲を撃ち込もうとするが、Dureenaが彼を止めた。 自分は盗人だがそれを誇りに思っているしDrakhたちも同様だろう、 一番の宝物は目立たない場所にあるもので、 Drakhたちも中心が狙われるのは想定していたはずだと彼女は主張し、 夢でGalenが言っていた言葉を思い返しながら、 少し離れた目立たない結合部分の周囲を短距離兵器が囲んでいるのを指摘して、 自分の勘ではそこが制御部分だと言う。 そして躊躇うSheridanに、自分が選ばれてここに居るのには理由があるはずで、 それは恐らく考え方だ、自分の勘が正しいと尚も彼女は強調した。 二人のやり取りをモニターしていたVictoryのAndersonは、 もう時間がないし主砲は一回しか使えないから、どちらか一方を選ぶしかないと迫った。 Sheridanは操舵手に、Dureenaの示した目標へ向かうように命じた。
ExcaliburとVictoryは護衛艦を伴ってDeath Cloudの目標に向かうが、 激しい攻撃に晒される。 Victoryは尾翼が大きく破損し、主砲が使えなくなった。 その報告を受けたVictoryの司令室のクルーは表情を凍らせたが、 怪物から守ると娘に誓った、それが出来なければ父親でないとAndersonは叫び、 ExcaliburのSheridanに通信をつなぐ。 彼はVictoryの主砲が使えない事を伏せたまま、 Excaliburが先に主砲を撃ってVictoryの進路を空けてくれるように求めた。 Excaliburの攻撃は目標から僅かに逸れたが、 Andersonの命令によってVictoryは隊列を離脱し、目標に全速で突進する。 激しい反撃によって原型を留めないまでに破損しながら Victoryは目標の結合部に激突した。
爆発の衝撃でDeath Cloudの無数のミサイルが一斉に発射され、 Sheridanは全艦隊に退却命令を下す。 制御を失ったDeath Cloudの全体に爆発が広がるなか、 Excaliburを含む連合艦隊は脱出に成功した。 しかしそのとき地球の大気圏には、Drakhの輸送船団が近づいていた。 地球軌道上の防御砲によって輸送船は次々と撃ち落とされるが、 その前に黒い霧のようなものが噴き出して大気圏に拡散してゆき、 その光景を見たExcaliburのブリッジ要員たちは目を伏せて黙り込んだ。 状況の判らないDureenaが何が起こったのか尋ねるが、 それに答える者は居なかった。
その地球攻防戦の終結の様子を、 焚き火の周りに座ったGalenと他の数名が水晶玉で見ていた。 稲妻が走り、Galen以外の姿が消え、彼は一人で残される。 再び彼をサークルに召喚する声が聞こえた。

Babylon5のLochleyのオフィスでは、 Sheridanが彼女とGaribaldiの質問に答えて地球の状況を説明していた。 DrakhはDeath Cloud以外にもう一つの最終兵器として生物兵器を用意しており、 地球の大気圏に撒かれたのはShadow技術によるウイルスだった。 恐らく全住民がウイルスに感染したため、地球は隔離状態に置かれ 誰も出入りできなくなった。 唯一の幸いは、地球人の生態にウイルスを適合させる時間がなかった事で、 発病するまでには5年程度掛りそうだが、このまま手を打たなければ 5年後に地球の全住民は死滅するだろう。 遥かに進んだShadow技術の産物への対処法を5年で考え出すのはとても不可能だが、 他の古代種族の技術なら可能かもしれないとSheridanはGaribaldiに言った。

Sheridanは地球のLuchenko大統領に、 惑星間同盟の全資源とWhiteStar艦隊を自由に利用するように申し出た。 Drakhウイルスの治療法を探すため、Rangerたちが銀河中を探索する。 Drakhの攻撃によって造船ドックは破壊されたため、 当分の間Excaliburが唯一の新型艦となったが、 Rangerの情報に基づいて、改装されたExcaliburが追跡調査を行う。

以下、Sheridanの独白が続く。

Excaliburの指揮官は決して止まらず、屈せず、 治療法が見つかるまで速度を緩めない。 協力者が居れば、何処の誰であろうと歓迎する、 国境や人種の違いをも超越する大義のためなら。 地球の存続を賭けた使命なのだ。 今後五年間、我々が祖国と星の間の暗闇で何をするかで、 地球全体が生きるか死ぬかが決まる。 負けられない戦いだ。 決して負けはしない。
Babylon5のジャンプゲートから、TechnoMageの船が現われ、 入港してきたGalenをDureenaが迎え、二人は急ぎ足でどこかに向かう。
一方地球では、また太陽が昇ろうとしていた。


印象に残ったシーン、台詞

Those who command the Excalibur will never stop, never give up, and never slow down until a cure is found. And we'll take any help we can get. Wherever and whoever it comes from. Because this is a cause that surpasses borders and difference and distrust. This is a mission of about the survival of Earth itself. What we do over the next five years, here, at home, and across the darkness between stars, will determine whether an entire world will live...or die. It's a fight we can't afford to lose. And we won't... We won't.
--最後のSheridanの独白


Memo

この話はBabylon5のTV-Movieというよりむしろ、CrusadeのPilot-Movieである。 登場人物のうち、GalenとDureena, Lochleyは、Crusadeにもレギュラーとして登場する。

この話の映像でのジャンプポイント(ジャンプゲート内部に開くものも)は、 これまでのものとは見かけがやや異なり、色が黄色に近い。 (これまでは青色である。)
上の記述は勘違いで、元々ジャンプゲートの色は、 「通常空間側から開いたものが黄色、亜空間側から開いたものが青」という規則らしい。 (narumiさんからのご指摘)

ISNニュースで言及された「テレパス危機」とは、いわゆるテレパス戦争の事である。 テレパス戦争は恐らく2264年頃に、Lyta Alexanderの帰還によって始まったと思われ、 その結果Psi Corpsは解体される。 ここでの話によると地球ではかなりの犠牲者が出たようだが、 あくまで地球に限定させた紛争であり、惑星間同盟が大きく巻き込まれる事はなかったようだ。 Denisov将軍の発言から想像すると、特にRussia州での犠牲者が多かったらしい。

WhiteStar艦隊に替わる同盟の新型艦隊建造の構想は、 本編の#105 "Movements of Fire and Shadow" の中でSheridanがDelennに持ちかけたのが始まりである。

DrakeへのGaribaldiの頭ごなしの叱りつけ方は、彼の裏切りの遠因になっていると思う。

Galenは仲間のTechnoMageに、Sheridanは自分たちの目的にぴったりだと話した。 ここでは判らないが、小説のTechnoMage三部作で、 TechnoMageが滅亡の危機に瀕している事が明らかになる。 おそらく「目的」とは、彼らの滅亡を阻止する手段を探すという事だろう。
そう考えると、TechnoMageたちは既に地球がDrakhウイルスに汚染されて その治療法を探すためにSheridanたちが手を尽くす事を予想しており、 その調査に乗っかって自分たちの滅亡を阻止する情報を得る事を企んでいた可能性がある。

Sheridanが以前にTechnoMageに会ったというのは、 本編#25 "The Geometry of Shadows"での事である。 そのとき彼が会ったElricはGalenの師であり、小説によればこの時点では既に死んでいる。

SheridanがDureenaに言ったShadowの他の遺産とは、 例えば#105 "Movements of Fire and Shadow"の 遠隔操作デバイスがある。 痛い目に遭う、といえばさらに問題なのは、 Davidが憑かれると思われるKeeperがそうだが、 この存在はこの時点では彼は知らないはずである。


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