Babylon5 #15

#15 Grail

粗筋

SinclairがGaribaldiと食事中にDelennとLennierがやって来て、 地球から重要な客人がBabylon5を訪ねて来たので司令官も自分たちと一緒に 迎えに出る事を求めた。 そのような話を聞いていないSinclairは混乱する。

Downbelowでは犯罪組織のボスのDeuceが、 Babylon5の秘密通路の情報を渡すようにJinxoという男に迫っていた。 Jinxoは自分はBabylon5の建設中は全体構造の方の作業をしており そのような情報は知らないと答えたがDeuceは納得せず、 彼を隣の部屋に連れて行く。 そこにはDeuceについて法廷で証言を申し出ていた Mirriam Runningdearという女性が椅子に縛られており、 Deuceが合図すると物陰からVorlonの環境スーツが現われた。 そしてスーツの前面から触手が伸びだし、 恐怖に慄くMirriamの頭にくっつく。 Deuceは、Kosh大使がまた空腹になる300サイクル以内に 5万クレジットの借金を清算するか情報を渡せとJinxoに言い渡した。

Babylon5のオンブズ法廷では、判事がうんざりした様子で 自分の曽祖父がこの異星人の祖先に誘拐されたと言ってVreeを連れてきた男の 訴えを聞いていた。 「それで被告の弁明は?」と尋ねる判事にVreeは ミステリーサークルのような模様を書いた紙を広げて見せた。 通訳が出来る者が見つかるまで休廷を宣言した判事は、 この種の訴訟に毎日悩まされているのは自分くらいではとぼやく。

Sinclair, Garibaldi, DelennとLennierはAldous Gajicという男を出迎えていた。 Sinclairの問に対し彼は、 自分は地球政府とは関係ないので司令官に到着の連絡が無かったのだと言い、 自分は聖杯を求めて地球上を探しつづけてきたが、 このたび異星人政府にも情報を求めるためにここに来たと説明する。
呆れて彼と別れたSinclairをDelennが追ってきて、 なぜ彼に失礼な態度を取ったのかとなじった。 Sinclairは聖杯などただの伝説だと言うが、 DelennはGajicは生涯を真実の探求に捧げる聖人だと反論する。 それなら彼はただ一人の真実の探求者だと茶化すSinclairに彼女は、 あなたもまた真実の探求者だ、 あなたは自分が思っているほど自分自身を知らない、と言って立ち去った。 残された彼の元にFranklinから新たな記憶消去の犠牲者が出たという報告が入る。

Jinxoは両替をしているGajicから財布を掏ったが、たちまちGaribaldiに捉まった。 Gajicは彼をそのまま行かせるように頼んだがGaribaldiは拒否し、 Gajicに法廷での証言を求めた。
医療室ではSinclairとFranklinが意識不明となったMirriamを前にしていた。 Franklinは彼女の記憶は完全に消され、人生の全てを始めからやり直さなくては ならないと説明する。 やって来たGaribaldiはDeuceを追い詰めるための証人である彼女が証言不能にされた 事に激怒し、司令官にDownbelowを手入れする許可を求めた。 しかしSinclairはDeuceが実際に事件に関わっている証拠がないとして要請を却下した。

法廷で判事から5年間の基地からの追放の判決を言い渡されたJinxoは、 自分がこの基地を離れればこの基地が破滅すると言ってパニックを起こす。 それを聞いたGajicは判事に自分がJinxoの保証人になると申し出て受け入れられた。 Jinxoが法廷から連れ出されるとき、やはり召喚されていたDeuceは 彼にあと240サイクルしかないと言って脅した。
次に判事はDeuceの件に掛かったが、 重要証人であるMirriamが記憶を失ってたため、 判事は彼の起訴を却下した。

Gajicは自分の部屋にJinxoを連れて行き、 なぜ彼がここを去る事が出来ないと考えているのか尋ねた。 Jinxoの説明では、彼はこれまでの五つのBabylonステーションの建設に関わって来たが 彼自身が「たたり」であり、 始めの三つのステーションはいずれも彼がそこを離れている時に破壊され、 Babylon4は完成して彼が離れた直後に消滅したという。 彼はそれと同様の事がBabylon5にも起こる事を恐れていた。

FranklinとIvanovaに頻発する記憶消去事件は 嘗てCentauriの植民星を滅ぼしたna'ka'leen feederの仕業ではと指摘されたSinclairは Londoにfeederについて尋ねた。 feederがこの基地に居るらしいと聞いたLondoはすぐさま自分の部屋に閉じこもる事にし、 Sinclairにもそうするように勧めた。

GajicはJinxoを伴ってDelennの元を訪れた。 彼女の説明では、Minbariはこれまで聖杯について聞いた事がなかったという。 しかし過去の全ファイルを調査中で、 さらにMinbariの全ての前進基地に聖杯についての情報を問い合わせ、 もし何か判ればすぐにGajicに知らせると約束した。 Jinxoは地球と戦争したMinbariが自分たちに敬意を示すのに驚くが、 LennierはMinbariには聖職者と戦士の二つのカーストがあり、 戦士カーストは理解しないためこの件については黙っていると説明した。 そして両カーストがこれまで意見が一致した事があるのかとGajicに尋ねられたDelennは、 「一度だけありますが、その結果恐ろしい事が起こりました。 最近の出来事が示すようにそれは恐ろしい力です。 二度とこのような事が起こらないように願っています。」 と答える。

DownbelowではVorlonの環境スーツからの声がDeuceに、 もっと人間の魂を食わせろとねだっていたが、 その声はKoshのものとは全く違っていた。 Deuceは部下に判事とJinxoを捕えてきてえさにするように命じた。

LondoがCentauri政府の代理にfeederの惑星の検疫を再開するように政府に伝えろと 要求している所にGajicとJinxoがやって来て聖杯の件を尋ねた。 彼はCentauriと地球との通商目録を調べてもよいが それには時間と金がかかると答えた所にVirが現われ、 既に自分で調べてみたと口を挟むが直ぐにLondoにしかられた。 Gajicたちは急いでLondoの元を去った。
GaricはJinxoにもし聖杯を見つけたら人類全てを癒すために使うつもりだと説明し、 自分が聖杯探しを始めた経緯を話し始めた。
彼は以前は地球の会社で会計の仕事をしていたが、 火星コロニーを休暇で訪れたときに事故で妻子を失った。 喪に服した後会社に戻った彼は自分の仕事の意味を疑い始め、 そのとき聖杯探しをしている人物に出会い、 彼を「無限の可能性と善良さ(promise and goodness)を持つ」と評し、 死ぬ時に彼に聖杯探しを託したという。
その頃判事がDeuceの手下に捉まって拉致されていた。

二人の暴漢がJinxoを捕えようと襲い掛かったが、Gajicに撃退された。 どうやってそのように戦う事を覚えたのかとJinxoに尋ねられたGajicは、 Jinxoも学びたい事を学べる、 なぜなら彼もまた無限の可能性と善良さを持つからだと言い、 彼がこのステーションと人々を破滅から救うために 自分の生活を犠牲にしてここに留まりつづけている事を指摘した。

次に二人はKoshの元を訪れたが、Koshの姿を見た途端Jinxoはパニックを起こして、 魂を食われると叫んで逃げ出した。
追いかけたGajicが彼に司令官の元に言ってVorlonについて尋ねてみようと 言っている所に再びDeuceの部下が襲い掛かった。 Gajicが戦っている間にJinxoは逃げたが、Gajicは連れ去られた。

判事が誘拐されたという知らせをGaribaldiから受けたSinclairが現場に向かう途中で Jinxoがやって来て、DeuceがGajicをVorlonに食わせるために連れ去ったと訴えた。 Sincalirは彼に案内させ、Garibaldiにも連絡した。

Deuceの目の前で、 縛られた判事がVorlonの環境スーツからfeederの触手が伸びてくるのを 慄きながら見ている所に、 Gajicが連れてこられた。 それを見たGajicは判事とfeederとの間に立ちふさがる。 feederは彼に襲い掛かろうとしたが、触手を引っ込めた。 彼は「暗闇の中には何もない。 恐れも、痛みもない。ただあるのは光だけだ。 君自身をみせなさい。」と環境スーツに話し掛ける。 するとスーツの中から烏賊と水母のあいのこのような姿のfeederが這い出してきた。
その時Garibaldiが率いる保安部隊が突入し、銃撃戦が始まった。 feederは天井に飛び付いて逃れ、再び判事に近づいたが、 Jinxoが縛られている判事の手を解いた。 しかしDeuceの部下が彼を撃とうし、それに気づいて彼を庇ったGajicが替わりに撃たれた。 feederはSinclairとGaribaldiたちに射殺されたが、Deuceは逃亡した。
Gajicは死に際にSinclairの証言の元でJinxoを聖杯探求の後継者に指名した。

SinclairはKoshを訪ね、Deuceが精巧なVorlonのスーツのレプリカを作って 自分の背後にKoshが付いているように見せかけていた事を説明し、 だれもVorlon人の真の姿を知らないため、 人々はナーヴァスになっていると指摘するが、 Koshの答えは「そうか」の一言だった。

Gajicの遺体の前でSinclairがDelennに、 (彼が)人生の全てを探求に捧げて結局答えを得られずに死ぬなんて、と嘆くと 彼女は、「それはGajicの事を言っているの?それは違うわ。 彼は探していたものを見つけたの。」と答え、 さらに、私たちは皆理由を求めている、全ての事の理由を、と言った。

JinxoがGaricの棺を積んだ船に乗ろうとしている所にDelennがやって来て 彼にクリスタルを渡し、これをGajicの墓の上で壊してくれ、 そうすると100年の間これは毎夜成長を続ける、 それが真実の探求者への捧物だと言った。 そしてSinclairの方に意味ありげに視線を送った。 同じく見送りに来たGaribaldiが、 「元気でな、Jinxo」と呼びかけると、 彼は自分の名はThomasだと言ってステーションを離れた。

Thomasの船がジャンプゲートに消えるのを眺めながら、 SinclairとIvanova, Garibaldiは彼のたたりについて話していた。 Ivanovaは今日は何も起こらなくても、明日はどうなるか判らないと悲観的な事を言う。


印象に残ったシーン、台詞

Gajicに対するSinclairたちとDelennたちの認識の対称性が、 この話の可笑しい部分である。 Minbari人は非常に論理的な思考を好む一方で、 一見馬鹿げているように見える神秘嗜好の所があり、 時々このような文化ギャップが見られる。 実はMinbariが地球との戦争で降伏した理由も、 地球側には信じがたい理由である。 (#23 "Points of Departure")


Memo

Vreeはいわゆる「灰色の頭の大きな小人」型の異星人であり、 その宇宙船は「空飛ぶ円盤」タイプである。 つまりCentauriとの接触以前の20世紀に、 Vreeが地球を何度も訪問していたという設定になっている。

DinxoはBabylon4が自分の目の前で消滅したときの経緯を 「(Babylon4が)皺が寄って少し捩れたように見え、 突然消滅した」とGajicに説明しているが、 これはかなり正確な観察だった事が#61 "War without End: Part2"の映像で判る。

Delennの説明の中では未だ労働者カーストについては触れられていない。 また彼女の言った「恐ろしい事」とは地球との戦争で地球人を滅ぼしかけた事だろう。 Delennがこの戦争の開戦時に果たした役割(#75 "Atonement")を知ると、 彼女がここまで強い言葉を使った理由が理解できる。

DelennがSinclairに「あなたは真実の探求者だ」と言ったのは、 直接的には彼が最終決戦での「24時間の空白」の真実を追究している事を 意味しているように思われる。 しかし同時に、それを含んだもっと大きな意味で Sinclairは「自分の生きる意味」を探していた事がずっと後に彼の口から語られる。 (#61 "War without End: Part2")

Gajicは結局Koshには聖杯の事を尋ねられなかったが、 もし尋ねてKoshにその気があれば、有益な情報が得られただろう。 (c.f. #43 "Comes the Inquisitor")

Thomasは彼の本当の名であり、"Jinxo"はBabylon3が彼の不在中に破壊された後に つけられた綽名である。


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