Babylon5 #20

#20 Babylon Squared

粗筋

SheridanとGaribaldiはやつれた顔のIvanovaと食堂で顔を合わせた。 彼女はSector14での異常なTachyon放射の知らせで数時間前に起こされて、 StarFuryのAlpha7を調査に送っていた。 朝は大嫌いだと彼女がぼやくのを聞いたSinclairは、 自分がイエズス会の学校で早起きの習慣を身に付け、 そこでは早朝ミサの後一時間の瞑想をしたと話し始め、 彼が話す瞑想の手順につられて彼女が目を閉じてうとうとしている隙に Garibaldiと二人で食器を隠して、 彼女が食事時間中ずっと居眠りしたように見せかけてからかった。
Alpha7がSecter14に到着したときTachyon放射が増加し、 パイロットの目の前に輝く巨大な何かが現われた。 Alpha7は白い輝きに包まれ、 Babylon5の司令室への通信は「そんな!ありえない!」という声の直後に悲鳴が聞こえ、 そのまま途切れた。 その通信を聞いたIvanovaはSinclairに連絡し、 通信が途切れたときにTachyon放射が増加した事を報告した。 Alpha7は帰還信号に従ってBabylon5に戻ってくるため、 彼らはFranklinに待機させた。
同じ頃、Delennは一人で自分のFrierを操縦して基地を離れた。 パイロットは不要なのかという管制室からの問い合わせに対し彼女は、 一人でやるべき事があると答え、ジャンプゲートに入った。

やがてAlpha7は自動操縦でBabylon5に戻ってきたがドックには入らず、 スキャンの結果船体には異常は無いが、パイロットは死んでいた。 調査の結果パイロットは30才であるにも関わらず老衰で死んだ事が判る。 IvanovaはSector14に調査チームを送ることを提案したが、 Sinclairはまだ早いと言い、とりあえずこの空域を通る全航路の変更を命じた。

Delennが彼女の目的の空域に到着し、相手の船を待っている頃、 GaribaldiがSinclairとIvanovaの元に、 Alpha7の死んだパイロットのバックルを持って現われた。 その表面には爪で引っかいた"B4"という文字が残されており、 Ivanovaはそれが消えたステーションBabylon4を意味している事に気がついた。 Sector14のTachyon放射が起こっているのは ちょうどBabylon4が四年前に消滅した場所だった。 彼らが議論しているうち、今度はSector14からの救難信号が受信され、 Babylon4からの信号だと確認される。
司令室に戻ったSinclairは救難信号に答える前に、 Ivanovaにその信号とBabylon4の記録にあるIDコードとの比較を命じた。 Minbari戦争以来、全ての地球軍指揮下の施設はその通信と共に IDコードをサブチャネルで送ることになっていた。 確認の結果IDコードもBabylon4のそれと一致したため、 Sinclairは通信回線を開いた。 Babylon4の指揮官は彼らに、 そちらでは30%しか基地のパワーが作動していない状態で 搭載機もダメージを受けており、 1200--1300人のクルーを退避させる必要があると説明した。 そのとき、その指揮官が「また始まった!」と叫び、通信は途切れた。 Ivanovaはその通信の日付が四年前のものである事に気がついた。

SinclairはGaribaldiと共にBabylon4への救援部隊の準備をしていた。 彼はZeta中隊のパイロットたちに危険を説明し、いやなら任務から降りて良いといった。 だれもその場を去らなかったため、一行はStarFuryとシャトルで出発した。 SinclairはIvanovaに、自分たちと連絡が取れなくなって8時間たったら 地球本部に連絡するように言い、 その代わり決して増援部隊を送らないように命じた。

DelennはMinbariのSharlin級戦艦に到着し、 白いマントを着たMinbari人たちに出迎えられる。 やがて彼女はグレーのマントをつけて大きな暗いホールに入っていった。 同じようにグレーのマント姿でフードを被った8名が輪になって 一人ずつスポットライトに照らされている中に彼女は立ち、次のように話し始めた。 「召還により参りました。 Valenの名において私に用意された場所に。 私はGrey, 私が立つ場所は蝋燭と星の間。 我々はGrey, 我々が立つ場所は暗闇と光の間。」 そしてGrey評議会に、なぜ自分を呼び戻したのか尋ねた。
手に杖を持った評議員がフードを外し、Dukhatが死んで10サイクルが過ぎ、 彼の喪に服す期間が終わって新たな指導者を選ぶときが来たと言った。 そして別の一人が、自分たちがこれまで議論した結果、 宇宙と他の種族の事を他の誰よりも良く知っているDelennが次の指導者に選ばれた と説明した。
しかし彼女は自分のBabylon5での任務は未だ終わっていないと言って 指導者に就任する事に難色を示す。 そして自分は予言を恐れているが、評議会は彼女なしでも難局に対処できるだろうと言い、 自分はBabylon5に残って任務を全うする事を求めた。

Sinclairが率いる救援部隊はSector14に到着し、 それまでは信じていなかったBabylon4の出現を自分の目でみた。 Tachyon放射は依然として続いており、 Babylon4は時空変異のフィールドに包まれているようだった。 Sinclairは残りの部隊には調査が済むまでフィールドの外に留まるように命じ、 自分とGaribaldiの乗るシャトルで内部に突入した。
ドッキングベイで二人は錯乱して「怪物だ!」と叫ぶ男に襲われる。 彼らがその男を取り押さえた所に、Babylon4の指揮官Krantz少佐らが駆けつけた。 Sinclairが自分たちは2258年のBabylon5からやって来た事を説明すると、 Krantzは直ぐにここから総員を脱出させなくてはならないと言った。 そのとき白い閃光が走り、あたりの様子が一変した。

突然Sinclairは自分が混乱状態の基地の真中に居る事に気がついた。
「奴らは7,8デッキを焼き切って侵入して来た!止められません!奴らはそこら中に居る!」 大型の武器を持ったGaribaldiが叫んでおり、 近くの壁は反対側から焼き切られようとしていた。
「核融合炉を操作しました!行ってください、ここで出来る限り奴らを食い止めます! Jeff, やっと解ったんです。俺はこのときのために生きてたって事を!」
パニックに陥って逃げようとする人波に巻き込まれたSinclairは、 Garibaldiの名前を叫びながら姿を消す。 そのとき壁が崩れ落ち、Garibaldiと部下たちは 穴の向こう側に向かって銃を撃ちまくった。
再び白い閃光が走り、Sinclairは自分が元のBabylon4に居るのに気がついた。 Krantzは、これは人によって過去だったり未来だったりする、 自分たちは時間の中を彷徨っており、だから早く脱出しなくてはいけないと説明した。

MinbariのGrey評議会の艦では、 Delennが次の指導者への就任を固辞したのに対し、 評議員の一人はいままでそれを拒んだ者はいないと言った。 それに対して彼女は、 指導者の地位にあこがれる気持ちはあるが、 自分はBabylon5に留まって来るべき変化の一部を演じなければならないという 心の声が聞こえると答え、評議会の再招集を求めた。

Babylon4ではKrantzがSinclairたちに、 「これは基地が稼動して24時間後に、時間表示のずれから始まった。 最初は装置の誤作動かと思ったが、それから地獄が始まった。」 と説明していた。 Sinclairがそのときに他に何か異常なものを見なかったかと尋ねると、 Krantzは二人にZathrasと名のる異星人の話をする。 Krantzによると、Zathrasは閃光と共に突然会議室に現われ、 何の種族かも、何処から来たのかも不明だという。
二人が会議室に入ると、Zathrasは興奮して立ち上がろうとし、 Sinclairをしばらく見つめた。 そしてがっかりしたように、「いや、違う。その人じゃない。」と言った。 Zathrasはさらに、その人は怪我をしており自分の助けが必要だと言い、 彼らの問いかけに対して、 一番大きなステーションが必要で、だからここに来たと言うが、 それ以上は自分の使命が失敗するかもしれないので話せないと拒んだ。
しかしGaribaldiが脅しつけるとさらに、 「大きな恐ろしい戦争で大勢が死ぬ、巨大な暗闇と皆戦っている、 全ての終わりが来た、Zathrasは警告したが、誰も自分の言う事を聞かなかった、 大きな戦争だが、平和への大きな望みがある、 光の側に立って銀河を救う、だからやらなくてはいけない、さもなければ皆滅びる、 その人は自分たちの指導者だ、 その人が言ったから自分はそうする、その人の為に生き、その人の為に死ぬ。」 とまくし立てた。
彼らがZathrasに何処から来たのか尋ねると、 彼は自分たちの暦で4993年から来たが、地球人の暦ではいつだか判らないと答えた。 そのとき別の士官が会議室に入ってきて、 Krantzに「また戻って来ました」と叫んだ。 KrantzといっしょにSinclair, GaribaldiさらにZathrasまでもが部屋の外に走り出た。
通路には青い宇宙服の人物の姿があり、苦しんでいるように見えた。 その姿は時間の中を彷徨っているように揺らめいていた。
Zathrasはこれこそ「その人」で、自分が犠牲になってBabylon4をここに留め、 他のものを避難させようとしていると説明した。 Sinclairはその人に近づき、その手に触れた。 その瞬間彼は後ろに弾き飛ばされた。 GaribaldiとKrantzが彼を助け起こしている隙にZathrasはその人に走りより、 その手に何かを手渡して、急げと叫んだ。 するとその人の姿は消えたが、Zathrasは皆に取り押さえられた。
彼はSinclairに、もう時間がない、 急いでここを離れなくては永遠にここに閉じ込められると警告した。 SinclairはGaribaldiを、要員を脱出させる手助けに行かせる。

Delennは召集されたGrey評議会の席で、 「Valenの予言に従って評議会は地球との戦争を終わらせた、 地球人の何人かは干渉してはならない運命を持っていると判ったからが、 予言が正しければ、私は彼らの間に留まって学ばなくてはならない。」と述べた。 評議員たちは、予言は彼女の事か不明だし、 彼女が地球人にそれほどまでに惹かれる理由が判らないと言ったが、 彼女は次のように説明した。
「彼らは同調を求めず、何者にも屈せず、多様性から調和を生み出す。 困難に立ち向かって闘おうとする固有の能力から傷つき、 それを経てより強くなって戻ってくる。 我たちが疎む感情が、彼らを星の世界へ、偉大な運命へと導くだろう。 彼らの唯一の弱点は、自分の偉大さを知らないことだ。 彼らは二百万年の進化と闘争と流血によって今の高みに到達した事を忘れている。 彼らは自分たちが思っている以上の存在で、自らを星の間を闊歩する巨人へと導いている。 彼らは未来だ。 我たちは彼らから学ばなくてはならない。」
そして彼女は自分が彼らの間に留まろうとするのは、心の声に従っているからだと言った。 評議員たちは、彼女が評議会を離れればその地位を失い二度と戻れないし、 評議会を分裂させるかもしれないと警告したが、 彼女は自分の決断が正しいと信じていた。
評議会は投票に入り、彼女の決断を認める決定を下した。

Zathrasは彼がその人に渡したのはタイムスタビライザーで、 それなしでは次の時間のジャンプを生き延びられない、と説明した。 そして彼自身のスタビライザーをその人に渡してしまったので 自分は死ぬだろうが、自分の犠牲は忘れらせずに残るだろうと言った。 Krantzは彼がまた逃げる事を警戒したが、 彼は自分はここを離れれば死ぬ運命だと話す。
Garibaldiは他のクルーと共に、 パニックに陥った基地作業員たちを整理して脱出シャトルへと誘導していた。 そのとき基地が揺れて再び白い閃光が走り、 Garibaldiは過去の自分自身の出来事、 Liseとの別れの場面に戻っているのに気がついた。 彼は彼女が去るのを止めようとしたが過去を変えることは出来ず、 彼女が立ち去ったあと彼は自分がまた元のBabylon4に居るのに気がついた。

ここから直ぐに脱出しなくては、というGaribaldiからの連絡にKrantzも同意し、 ここでは自分が指揮官で、この事件の真相の鍵を握るZathrasをどうしても連れて行くといい、 三人とZathrasは警備班の二人と共に、脱出口へ向かった。 しかしまた基地が大きく揺れ、Zathrasは倒れてきた柱の下敷きになる。 Sinclairは彼を救おうとするが、 Zathrasに「おまえには運命がある、行け!」と言われ、 彼を置いて皆の後を追った。

基地がさらに揺れてきしんでいるときに、 下敷きになったままのZathrasの横に宇宙服姿のその人が戻ってきた。 それを見たZathrasは、その人が救いに来ると信じていたという。
Sinclairたちや基地の要員たちが脱出していった直後に、 Babylon4は再び時空のゆがみの中に消えていった。 その頃Babylon4のエアドックでその人はヘルメットを取った。 現われたのは年を取り傷を負って髪が白くなったSinclairだった。
「警告しようとしたのに、記憶通りのことが起こってしまった。」 と言い苦悩の表情を見せる彼の肩に赤い服の手が置かれ、 「解っているわ。もう行きましょう、彼らが待っているわ。」 と言った女性の声はDelennのものだった。

Babylon5に向かうシャトルの中で、 Babylon4が大戦争の基地として使われるというZathrasの話を信じますかと Garibaldiに問われたSinclairは、 判らないがもし本当なら彼らに成功して欲しい、 もともとあの基地は宇宙平和を築くために作られたものだったから、 誰も予想しなかった形ながら同じ目的だから、と答えた。

評議会の戦艦を去る準備をしているDelennに、 評議員の一人が会いに来た。 彼は彼女にいつかまた会いたいと言うが、 彼女は評議会の場では二度と会う事はないでしょうと答えた。 彼は彼女に布に包まれたものを手渡した。 それは金属製の縁をした透明な三角形のもの、Triluminaryで、 始め受け取ろうとしなかった彼女に彼は まだ他に二つあると言い、さらに次のように言った。 「今は困難な時代だ。私は大きな変化が起こり、 言う事の出来ない何かが始まり終わっているのを感じている。 我々は徴候と凶兆(signs and portents)に囲まれていて、 私は暗闇が近づいているのを感じている。 もし君が私を必要とするなら、私はここに居る。」 DelennはTriluminaryを包んで服の中に仕舞い、Babylon5への帰途についた。

Babylon5では、SinclairがIvanovaに起こったことを話していた。 彼女は自分がその眼でBabylon4を見られなかったのを悔しがるが、 彼はBabylon4が何処に消えたのか判らず、 またいつか突然現われるかもと言う。 それを聞いた彼女は、そうしたら今度は自分が行って、 Garibaldiが留守番だと言い、 GaribaldiがBabylon4を「彷徨えるオランダ人」に喩えた事を聞くと、、 それで彼らは故郷に戻れたんですか、と尋ねた。 Sinclairは、いや、戻れなかったと答え、彼女はいやな顔をする。


印象に残ったシーン、台詞

"I am Grey. I stand between the candle and the star. We are Grey. We stand between the darkness and the light."
(Delenn): Grey評議会での誓いの言葉。 今後ほぼ同じ形で何回も現われる。


Memo

この話ではBabylon4消滅事件の真相はほとんど明らかにされない。 それが最終的に明らかになるのは、 二年後の#60,61 "War without End"での事である。 そしてそのとき、最後にBabylon4に現われたもう一人のSinclairとDelenn, さらに「彼ら」の正体が明らかになり、 また「大戦争」の意味も解る。
最後のDelennは声だけで、手以外の姿は映らないのに注目。 第一シーズン最終話での出来事に関係がある。

Sector14は元々Babylon4が建造されていた空域で、 Babylon5からStarFuryで三時間の距離にある。

Babylon5よりも一代前のステーションBabylon4の方が大きい。 Babylon5は長さ8,064.5m, 質量9.1*10^12kgであり、 Babylon4は長さは7,720mだが質量は22*10^12kgで直径はかなり大きい。 (上記の数字はTech-Manualの記述だが、Starship Dimensionsの図では Babylon4の長さは9000m以上あるように見える。) さらにこの時点のBabylon5より重武装であった。

Grey評議会の場で二人目に発言してDelennが新指導者に選ばれた事を告げた評議員は、 #8 "And the Sky Full of the Stars"で 彼女の部屋に現われた人物である。

DelennにTriluminaryを渡した評議員が言った"Signs and Portents"は、 そのまま#13のタイトル、さらには第一シーズン全体のタイトルになっている言葉である。

SinclairがBabylon4で見た未来の破滅シーンは、 既に#13 "Signs and Portents"で Lady Ladiraが夢で観ていた。

「三角形」のTriluminaryが三つあるというのは、 Minbari人が"3"という数字を好む事と関係があるようだ。 Minbariのカーストは三つ、それぞれから三人のGrey評議員が選ばれる。 彼らの船の形も前から見ると三角形をしている。
また、Triluminaryは以前にもSinclairが評議会に尋問されるシーン (#8 "And the Sky Full of Stars")に登場する。
さらにMordenがやって来たときにDelennの額に現われた 三角形とも関係あるようだ。

今度Babylon4が現われたら自分が行ってGaribaldiが留守番だというIvanovaの言葉は、 後に現実になる。


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