Babylon5 #22

#22 Chrysalis

粗筋

2258年12月30日、LondoとG'Karは顧問会議の席でquadrant37の件で激しいやり取りを交わしていた。 G'KarがCentauri政府がNarn領に軍艦を送ったと非難すると、 Londoはquadrant37は条約によれば中立地帯だと反論、 それに対してG'Karは、その条約は強制されたもので無効だと言い返した。 SinclairがNarnはこの五年間Centauriとの境界に軍事基地を置いていて 衝突も無かったのに、なぜこの時期に諍いが始まったのか尋ねると、 G'Karはquadrant37の前哨基地はNarn本星の安全に不可欠だと主張した。 それに対しLondoは、いずれ守るべき惑星を失ってから後悔しても遅いぞと言い返し、 それを聞いたG'Karは怒って席を立った。

ZocaloでGaribaldiが部下と立ち話していると、ひどい傷を負った瀕死の男が現われ、 「奴らを止めなければ・・・奴らは彼を殺そうとしている・・・」と言い残して死んだ。 死んだ男Stephen PetrovはかつてGaribaldiが些細な盗みで捕らえたが 更正して真人間になろうとしていた情報屋で、 ここ二週間はGaribaldiと会っていなかった。 Garibaldiは彼の死の真相を探ろうとする。

Sinclairは恋人のCatherineといっしょに部屋でTVニュースを見ていた。 アナウンサーはSantiago大統領が火星を発ち外宇宙コロニーを訪問して、 Ioのジャンプポイントで過去五年間の異星人との関係改善に関する新年のスピーチを 行うと伝えていた。 彼女が新年の予定を尋ねたのに対し、 彼はNarnとCentauriとのトラブルが片付くまでは予定が立たないと答えたが、 その後で彼女に結婚を申し込んだ。 Catherineは喜んでそれを受け入れる。

Londoは自分の部屋でVirとquadrant37の件の話をしていた。 彼は本国がquadrant37をNarnに割譲すると決めた事を知らされ、 それを顧問会議の席でG'Karに伝えなければならない事を怒っていた。 そのときLondoにある人物から連絡が入った。 それは一旦奪われたEyeを彼の手に取り戻した男、 Mordenからのものだった。 彼は一時間後に庭園で会いたいと言い、Londoは了承した。

Delennは自分の部屋で以前から取り組んできた水晶体の立体の組み立てを続けながら、 LennierにKoshに会ったかどうかを確認していた。 彼女は自分の質問をKoshに一語一句正確に伝えたかを彼に確認し、その返答を尋ねた。 Koshの返答はただ一言、「はい」だった。 それを聞いたDelennは仕事の手を休め、 彼女を待つようにLennierに言って直ぐに部屋を出て行った。

GaribaldiはDownbelowで、Petrovの死の原因に関する情報を聞いて回っていたが、 住民たちは彼の姿を見ると皆その場を立ち去り、 一人の女は自分の息が掛かった者にしか興味がないのかと彼を罵った。 最後に彼はある男から、 先週Devereauxという名の男が荷役の仕事でPetrovを含む基地の浮浪者たちを雇った事、 Petrovが死の直前にGaribaldiを探していたが、 彼は自分の知った事で死ぬほどおびえていた事を聞き出した。

庭園でLondoはMordenにEyeを取り戻してくれた事の礼を言ったが、 Mordenはそれには及ばないと答え、 彼には偉大な可能性があるのに、現在はそれにふさわしくない扱いを受けていると言った。 彼はquadrant37の件を知っていて、 この件をCentauriに有利に解決してあげようと持ちかけ、 Centauri本国には紛争をLondoが何とかすると伝えるよう指示をした。 そしてこの件に関しても見返りは無用だが、 いずれ彼に頼みごとをすると言って立ち去った。

DelennはKoshの部屋に入り、彼と面会していた。 彼女はマスクをして深呼吸をしてからそれを外し、 自分が言われたようにやってきたがまだ迷いが残っている事を告げ、 彼の真の姿を見せて欲しいと頼む。 Koshの環境スーツの上部が開き、大きな羽が羽ばたくような音がして 中からあたりに光がもれ始めた。 自分の目の前に現われたものを見て彼女は微笑み、 「この秘密は守ります、さようなら。今度会うときは違う姿で。」 と礼を言って部屋を出て行った。

カジノでGaribaldiはDevereauxを見つけ、話を聴こうとした。 始めDevereauxは拒否したがPetrovの遺体確認のために保安部への同行を求められると、 「大きな間違いをしたな、理解できない事に首をつっこんではいけない、 これはおまえには大き過ぎる。」と言い、Garibaldiに付いて行った。

Londoは指示を顧問会議に伝えたかという本国からの確認に対して、 quadrant37の件は自分が片付けると返事するようにVirに命じた。 Virは始め彼が酔っているのだと思ったが、彼はそうではない、 早く伝えるようにと重ねて命じる。

SinclairはG'Karの部屋を訪れ、Na'Tothに彼への面会を求めた。 始め彼女は大使は今忙しいと拒んだが、 彼の寝室から数名の女性が出て行き、その後彼自身が顔を出した。 Sinclairは彼にCentauriに対し譲歩するように求めたが彼は拒んだ。 さらに彼が考え直すように言い、NarnはCentauriから受けた仕打ち以上に 彼らを痛めつけていると指摘したのに対し、 G'Karは自分たちのしている事は解っていると反発した。 そしてSinclairが、自分たちは今運命の岐路に立っており、 このままの道を行くのは正しくない、まだ決断には間に合うはずで、 G'Karは賢明な選択をすべきだと求めると、 彼は自分たちはすべき事をするまでだと答えた。

SinclairとCatherineは夕食の席でIvanovaとGaribaldiに、 自分たちが結婚する事を話した。 二人が祝福を受けている時、 GaribaldiにDevereauxと二人の仲間が姿をくらませたという連絡が入る。 GaribaldiはSinclairに、彼の持っていたPPGのコイルには シリアルナンバーが入っていなかった事を話す。 そのようなPPGを持つのは、地球軍保安部の特別なエージェントに限られていた。

quadrant37のNarnの前哨基地の周囲をパトロール中の戦闘機の前に、 突然長い多数の突起を持った巨大な黒い宇宙船が出現し、戦闘機を一撃で破壊した。 さらに同じ形の船が次々と現われ、基地の周囲の艦船を簡単に撃墜し、 前進基地も破壊して姿を消した。

Ivanovaは出入港船の管制業務が終わって寛いでTVニュースを観ていた。 そのニュースでは副大統領がIoへ向かうEarthForce1から感染症の検査の為に 一時的に降りている事を伝えていた。
その頃Garibaldiは部下の一人と共にDevereauxの雇った貨物船の積荷を調べて、 トランスミッターと通信妨害装置を見つけていた。 前者はIoのジャンプポイントにセットされており、 後者はEarthForce1のゴールドチャネルを妨害するようになっていた。 彼が司令官に急を知らせ、急いで走り出た後ろで、 彼の部下の男は"Blue Alpha"と名乗ってどこかに通信していた。
Garibaldiの行く手をDevereauxと彼の仲間が遮り、 立ち止まった所をBlue Alphaは後ろから撃ち、彼はその場に崩れ落ちた。

SinclairはGaribaldiとの連絡が途絶えたため、彼の身を案じていた。 そのとき彼の部屋にDelennが尋ねてきた。 彼女は彼にTriluminaryを示し、「これを憶えている?」と尋ねた。 それを見た彼は最終決戦のときの「空白の24時間」で、Minbari艦に囚われ、 灰色のフードを被った人物の前に引き出された記憶を蘇らせた。 さらに彼女がそのとき何があったかを憶えているかを尋ね、 彼が一部覚えているがその意味は解らないと答えると彼女は、 話さなくてはならない事が沢山ある、いっしょに自分の部屋に来てくれ、 これは自分たち二人を危険に晒す事になるが、ある物が動き出した、 あなたはそれを知らなくてはならない、と言った。 彼がGaribaldiが行方不明で今は時間が無いと答えると、 彼女はそれではなるべく早く来てくれ、 もうあまり時間が無いから、と言って立ち去った。

重傷を負ったGaribaldiが移動チューブに向かって這い進んでいる頃、 G'Karの元にNa'Tothがquadrant37の前哨基地が跡形も無く破壊され、 一万人のNarn人が全滅したという凶報をもたらした。 始め彼は信じなかったがNarn政府が事実を確認した事を聞き、 これは未知の種族の仕業だと気がついた。
新年を祝おうとしていたカップルが、 移動チューブの中で血まみれのGaribaldiを見つけて悲鳴を上げた。

Delennの部屋では、彼女が水晶体の立体パズルのような物を組み立て終わっていた。 「他に方法は無いのですか?」とLennierが悲しげに尋ねると彼女は、 これはValenによって予言された事だと答えた。 そしてTriluminaryを水晶体のくぼみに差し込むと、 全体が白い輝きを放ちだした。 Delennは「司令官、早く来て・・・。もうあまり時間が無い・・・。」 とつぶやく。

瀕死のGaribaldiは直ぐに医療室に運ばれ、Sinclairも急行した。 Garibaldiは意識を失う前に、「奴らは大統領を殺そうとしている、 早く止めないと」と伝え、それを聞いたSinclairとIvanovaは EarthForce1との回線を繋ごうとしたが、 Gold Channelを含む全ての通信は妨害されていた。 彼らは為す術も無く、ISNのIoからの中継映像を見守っていた。 アナウンサーが大統領の新年の挨拶が遅れている事を伝えた直後に、 EarthForce1は大爆発を起こした。

Sinclairは意識不明のGaribaldiの病室を24時間体制で厳重に警備するように命じた。 そして彼が調査していたDevereauxに関する情報を警備班に尋ねてから 医療室を出て行ったが、その中にはBlue Alphaも居た。

G'KarとNa'Tothがコアシャトルに乗り込むと、そこにはIvanovaが居た。 彼女はquadrant37の件を既に聞いており、 彼らに新たな情報を尋ねたのに対し、 G'Karは彼女に大統領の死に対しお悔やみを言い、 今日は自分たち双方にとって暗黒の日だった、 責任者を見つけ処罰しなければ、と答える。 Na'TothはNarnは必ず基地を破壊した相手を見つけ報復すると言い、 二人は出て行った。

庭園でMordenに会ったLondoは、quadrant37の攻撃で一万人もが死んだ事を責めるが、 彼は死んだのはNarn人で気にする必要はないと答えた。 そしてLondoの名はCentauri本国で噂されており、彼は英雄となった、 いずれ大きな褒美が与えられるだろうといって立ち去った。

Sinclairは地球同盟の議員に大統領は暗殺されたと主張するが、 彼女は核融合炉の故障と言い張って彼に取り合わなかった。 さらに彼女はパニックを起こす恐れがあると言い、 彼の暗殺説を口外する事も禁じた。

Blue Alphaに呼ばれて駆けつけた仲間の警備員が見たのは、 Devereauxと彼の仲間の死体だった。 彼は彼らが発砲してきたので反撃したと主張するが、 DevereauxのPPGは冷たかった。 しかしそれを口にした男はBlue Alphaににらまれ口をつぐんだ。

Sinclairが難を逃れたClark副大統領の大統領就任式の中継をバーで観ているとき、 気配に気がついて振り向くとそこに居たのはKoshだった。 彼は、「いよいよ始まってしまった。君は何かを忘れていないかね?」と言い、 それを聞いたSinclairは思い出してDelennの部屋に急いだ。
彼が部屋に飛び込んだとき、そこに居たのは 部屋の片隅を凝視するLennierで、声をかける彼に「遅すぎました」と言う。 彼の視線の先には、大きな白い糸に包まれた物体があった。 Sinclairの問に対し彼は、これはDelennの蛹で彼女は変身していると言うが、 何に変わるかは判らないと答えた。

Na'TothがG'Karの部屋に入るとそこには誰も居らず、 彼女宛のメッセージが残されていた。 その中でG'Karは、quadrant37の件で思う所があるので本国に帰ると告げ、 そして司令官に、彼が自分たちは今岐路に立っていると言ったのは正しかったと 伝えるように言い残していた。

Garibaldiの手術の様子をLondoとIvanovaが外から見守っていた。 彼女は彼の助かる確率は五分五分だと説明していたが、 手術室の反対側の窓にはBlue Alphaの姿があった。

Mordenは部屋の真中に座り、彼の周りを巨大な蜘蛛のような姿の影が囲んでいた。 彼はその影と会話している様子で、「彼は使えます、申し分ありません。 少しも疑っていません。機が熟せばMollari大使はこちらの思うままにあやつれます。 運命は我々の側にある」と話していた。

SinclairはCatherineと共に部屋のソファに座っていた。 彼女は彼の肩に手を回したが、彼はただ「全てが変わっていく・・・。」とつぶやいた。
Lennierは蝋燭をDelennの繭に捧げていた。 繭の中で彼女はゆっくりと変化をしていた。


印象に残ったシーン、台詞

quadrant37の基地が消えた事をG'Karに告げたNa'Tothは、 「まるで宇宙から大きな手が伸びてきて消し去ったようだ」と形容する。 この言葉は、しばらく後の回に再び別の人物が口にする。


Memo

quadrant37のNarn前哨基地を破壊した謎の宇宙船は、 "Signs and Portents"で 海賊の船を破壊した宇宙船と同じタイプのものである。 これこそ"Shadow"と呼ばれる謎の種族で、シリーズの最大の焦点になる。

DelennがLennierに託したKoshへの質問の内容は、 #38 "In the Shadow of Z'ha'dum"で明らかにされる。

Delennが何に変わって行くかは、この時点では明らかではない。 しかし、#20 "Babylon Squared"で 彼女がGrey評議会の場で説明していた 彼女の予言されていた使命(の一つ)がこの変化であろう。
彼女が変化に使用した水晶体の構造物は、 既に#17 "Legacies"において組み立て始められていた。

一方Santiago大統領の死の真相は、視聴者にはこの時点ですでに半ば明らかになっている。 この事件を境に地球の状況とBabylon5との関係は一気に悪化して行く。


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