Babylon5 #4

#4 Infection

粗筋

Babylon5開港二周年の特別番組での司令官へのインタヴューのために 基地にやってきたISNの女性レポーターMary Ann Cramerは Sinclair司令官の居場所をGaribaldiに通路で尋ねていたが、 貨物船の調査のためにStarFuryでちょうど基地を離れていると彼は答える。 なぜそんな事を部下に任せずに一々本人が出て行くのかとCramerは食い下がるが、 そういう性格なんですとGaribaldiは彼女をあしらい、 傍で売っている品物を手に取り、 媚薬か床用ワックスのどちらからしいと言って彼女に勧めた。 彼女は相手にせずに、 この基地が稼動したときの世論調査では多くの人が5分も持たないだろうと予想し、 保険組合でも一年持つ可能性は500対1だとしていたのに、 二周年を迎えるとは奇跡だとまくし立てる。 彼女にトイレの場所を教えた後で、 Garibaldiは先ほどの品物を買い、 両方で試すが効かなかったら返品すると相手に念を押した。
医療室で仕事中のFranklinの所に、 突然基地を訪ねてきた恩師のVance Hendricks博士が現われた。 彼はFranklinに自分がある惑星の発掘で驚くべき発見をした事を話すが、 その内容についてはその場では語らなかった。

Babylon5の入管では、通常のように入港者の所持品の検査が行われており、 最後の入港者Nelson Drakeを迎える。 彼のスーツケースが二重底になっているのに気付いた検査官が 中身を出すように求めると、 同意したように見せかけたDrakeは隙をみて検査官の首に腕を回して締め上げて スタンガンのような武器で殺し、 問題の品物を持ったまま基地に入り込んだ。
まもなく検査官の死体が発見されFranklinが呼ばれたが、 一見したところ死因は心臓麻痺のように思われた。 しかしGaribaldiと基地に戻ってきたSinclairの要請で、 Franklinは検死を行う事にした。

医療室に戻ったFranklinはHendricksに会い、 彼が言っていた発見について話を聴いていた。 Hendricksは自分の助手として先ほどのDrakeを紹介し、彼は持ってきた箱を開ける。 そのときBabylon5のブリッジでは、異常なエネルギーのスパイクを観測した。
HendricksはInterplanetary Expeditions社(IPX)の依頼でIkarra7にある遺跡を調査し、 千年以上前の高度な人工遺物を発見したと言い、Franklinに渡した。 彼に促されてその遺物をスキャンしたFranklinは、 それが毛細血管や神経さらには遺伝子らしきものを持つ生体組織である事を知り、 地球をはるかに超える高度な文明の遺物だと感嘆する。 Hendricksは彼に、Vorlonは既にこの種の技術を持っており Minbariも開発中らしいが、地球はこれまで見ることすらできなかった、 この秘密を解き明かせば生きた宇宙船や体内でエネルギーを生産できる武器なども 開発できると言うが、それを聞いていたFranklinは、 48時間の検疫を受けずにどうやって基地に持ち込んだか疑問を挟む。 HendricksはProximaで既に検疫を済ませたと誤魔化し、、 この遺物は調査のために地球に送った方が良いというFranklinに、 自分と一緒にこの遺物の調査を行えば歴史に名が残せるだろうと誘った。 躊躇いながら、Franklinは同意する。

医療室で一人で遺物を整理していたNelsonは、 遺物の一つの箱から光が出ているのに気がついた。 箱の蓋を開けたNelsonは中から発するエネルギーサージを顔面に浴び、 部屋の向こうまで弾き飛ばしされる。 暫くして、何事も無かったかの様にFranklinらと作業しているNelsonだが、 彼の手の甲の一部は金属状に変わっていった。
ブリッジではGaribaldiがSinclairに、死んだ税関検査官について 自然死にしか見えなかったがさらに調査中と説明していた。 Ivanovaは奇妙なエネルギーサージを検出したと報告し、 それからSinclairに明日の朝のISNのインタヴュー予定を確認した。 なぜレポーターを避けているのかと尋ねるGaribaldiに、 自分がインタヴューが嫌いなのは、 以前にインタヴューを受けた直後に僻地に飛ばされた経験があるからだと Sinclairは話す。

FranklinはHendricksと遺物の調査を続けながら、 この生体テクノロジーを解明したらどうするつもりなのか尋ねた。 二次的特許を申請してから地球の企業に売りつけると答えるHendricksに対し、 彼のやっているのは異星の文明の盗掘で、 まともな学者のやる事ではないとFranklinは非難する。 Hendricksはこれまでも企業からの金銭援助を得て多くの発見をして来たと反論し、 IPXの性格に対する疑問にはいずれ全てを説明するとだけ答えた。

ISNのレポーターはSinclair司令官やBabylon5との自分の係わり合いを説明する Garibaldiを遮り、彼が過去に何回も問題を起こしており、 最後の更正の機会としてこの基地に送られたという噂を持ち出した。 彼は激しい調子でその噂を否定する。
夜中の医療室ではIkarra7の遺物が彼に対する支配を強め、 彼は自分の胸に別の丸い遺物を取り付ける。 すると彼の姿は段々と変貌していった。

夜中の医療室に入ったFranklinは、 今や人間と別の何かとの合成物に変貌したNelsonに出くわした。 "Nelson"は「守れ!」と一言叫び、彼を撃った。
Franklinが襲われた事を聞いたSinclairは、Garibaldiと共に彼の病室に急いだ。 Nelsonが自分を襲った武器がIkarraの生体テクノロジーの遺物にそっくりだったと Franklinが言うのを聞いたGaribaldiは驚き、 それは検疫を通過したのか尋ねた。 FranklinはHendricksの言い分を信じて確認をしていなかったと答える。
その頃"Nelson"はどこかの通路を彷徨っていた。 彼の姿はさらに変貌し、もはやNelsonと見分けがつかないまでになっていた。

SinclairはHendrickに会い、Nelsonの「鎧」が彼が持ち込んだ Ikarraの遺物にそっくりだった事を追求した。 Garibaldiはさらに、Ikarraの遺物が違法に基地に持ち込まれた事を指摘する。 Hendrickは、自分はNelsonが検疫を受けたと言ったのを信じただけだと言い訳をするが、 彼が知っていたかに関わらず違法行為に荷担した事になるとSinclairは言い、 対策への協力を求める。 Hendricksは、遺物は他の生体に結合して働く生体兵器で、 なぜNelsonに取り付いたのかは判らず、 Nelsonはもはや生体兵器に操られていると説明した。 そして対策のために、Franklinといっしょにさらに研究をさせる事を求める。

Nelson=生体兵器は別の場所に現われ、「守れ!」と言いながら人々の一団を攻撃し、 二人の死者が出た。 ブリッジでの計測では、前回の攻撃のエネルギーよりも今回の方が20%強くなっていた。 Garibaldiは生体兵器の位置を特定して警備班を向かわせ、 Sinclairはレベル2の警報を出し、 知る権利を振りかざしてブリッジに押しかけたCramerを追い出した。
警備班はNelson=生体兵器に対して発砲するが、全く止める事は出来なかった。

Ikarraの遺物を研究中のFranklinはNelsonの荷物から電気ショック装置を発見し、 とっさにHendricksから隠した。 Nelson=生体兵器が再び動き出し、基地の中央通路を目指している事がはっきりしたが、 Ivanovaによると攻撃を行った後の休息の周期が段々短くなっている上にパワーが増しており、 次に止めなければもはや生体兵器を阻止するチャンスは無いようだった。 Sincalirは自ら指揮を取るため、武装して現場に向かう事にした。

Franklinはついに遺物に含まれていた記憶データへのアクセスに成功し、 その結果を現場に向かう途中のSinclairに報告した。
異星からの侵略をたびたび受けていたIkarraは、 侵略者を一掃するための生体兵器を開発し、 開発者の一人だったTularの意識をそれに与えた。 しかし生体兵器は極端な宗教的概念に基づく「純粋なIkarra人」以外の 命令を受けつけないようにプログラムされたため、 戦争に投入された11機の兵器は、敵を一掃した後に今度はIkarra人も攻撃の対象とし、 ついにIkarraは滅亡してしまった。
それを知ったSinclairは、ある作戦を思いつく。

Garibaldiに合流したSinclairは、生体兵器にもう一度攻撃を仕掛けるが何の効果もなく、 それは床を破って下の区画に逃走した。 そこで彼も生体兵器を追って床の穴に飛び込んで、 それの持つTularの意識に呼びかけ、 彼は任務に失敗しIkarra人は滅びたと言って挑発してドッキングエリアに誘い出した。 そしてTularに、自分の言っている事が本当なのはNelsonの記憶を探れば判ると言う。 Ikarraはずっと以前に自分たちによって滅んでしまったという真実を知った生体兵器は、 創造者に犯した過ちの許しを乞い、 自らの胸から丸い部品を取り外してその場に崩れた。 その姿は、元のNelsonに戻っていた。

事件が収束した後、FranklinはHendricksに Nelsonが彼の指示で税関検査官を殺した証拠として電気ショック装置を示した。 Hendricksは自分の指示だった事は否定したが、 Ikarraの遺物が生体兵器である事を始めから知っていて、 検査をごまかして基地に持ち込んでFranklinに解析させるつもりだった事は認めた。 そしてIXPは生体兵器の供給も扱っており、 軍に売って大儲けするつもりだったと告白する。 儲けのためには大勢の犠牲も厭わないのかと追及するFranklinに Hendricksは自分を信頼するように言うが、 Franklinはもはやそれは出来ないと答えた。 二人の警備員によってHendricksは連行される。

GaribaldiはSinclairの私室を訪ね、 彼が自らを危険にさらすのは昨年来これで三度目だと指摘し、 司令官としてもっと慎重に行動するように苦言していた。 そしてMinbari戦争で死を目前にした者たちは 戦後は生きる目的を失ってもっぱら死ぬ口実を探しているように見える、 Sinclairもそうなのではと指摘した。 それを黙って聞いていたSinclairは、 出て行こうとするGaribaldiを呼び止め、 その質問には答えられない、これから考えると返事した。

Zocaloのバーで、FranklinはIvanovaと今回の出来事について話していた。 Franklinは純粋さや完全さの概念に疑問を呈し、 地球では地球至上主義を振りかざして異星人を憎悪する勢力が存在する、 自分たちはIkarra人と同様ではと言うが、 Ivanovaはもっと楽観的で、人間はそれほど愚かではないという。 そのとき二人の士官が現われ、 Ikarraの遺物は軍防衛部の生物兵器部門が押収して、 地球へ輸送されることになったと告げる。 肩を竦めたIvanovaは異星人たちと飲んでくると言い、その場を立ち去る。

Mary Ann Cramerからインタビューを受けたSinclairは、 「地球は宇宙から手を引いて地球の問題に専念すべきではないか」という彼女の問に 「太陽は何時か必ず死滅する。そのとき地球の遺産が全て消えてしまう、 だから宇宙へ向かうのです」と回答した。


印象に残ったシーン、台詞


Memo

Babylon5が稼動し始めたときに、ほとんどの人々が直ぐに破壊されると考えていたと いうのは悲観的過ぎるように思えるが、それまでの四つのステーションの運命を 考えれば当然の反応かもしれない。

Babylon5世界では、 進歩した科学技術の行き着く先は生体組織による機械(生きた宇宙船等)に 行き着く事になっている。 Vorlonの技術はその例であり、またMinbariもそれに手が届く水準にいるが、 地球の技術はまだはるかその手前である。

今回のIkarra7の生体兵器は、その姿や攻撃に適応する所など Star Trek世界のBorgを思わせる。 ただしIkarra7の滅びた理由は、TNGの"The Arsenal of Freedom"の展開に近い。

Sinclairは生体兵器のTularの意識に、 この世に遺伝的に純粋な種族など何処にも存在しないと呼びかけていた。 一見一般論に思えるこの言葉だが、 後に明らかになるSinclairとMinbariとの関係、 さらにDelennと彼との関係を知ってしまうと、 想像以上に正しい事が判る。

SinclairがMinbari戦争後に自分の生きる意味を探し続けているという設定は、 後の彼の運命と関係してくる。 特に彼は最終防衛ラインでの空白の24時間に何があったかについては 疑問を持ち続けており、後にその調査を開始する。

最後のIvanovaとFranklinの会話の場面は、 地球で排他的な反異星人運動が盛り上がり、 一方で軍備が増強されている事を垣間見せている。
宇宙開発に対する地球世論の意識が変わり、内向きな意識になってきているのは、 最後のSinclairへの質問にも現われている。


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