Babylon5 #6

#6 Mind War

粗筋

逃亡を続ける地球の貨物船の周囲を、 黒地に白いOmegaマークをつけたStarFury部隊が包囲していた。 それはPsi Corps所属のBlack Omega大隊のStarFuryで、 逃亡船のパイロットに降伏を呼びかけるが、 突然貨物船から輝く空間のゆがみのようなものが周囲に広がり、StarFuryを飲み込んだ。
Babylon5ではSinclairと恋人のCatherine Sakaiが目を覚ました。 彼女は彼に、惑星開拓事業団(Universal Terraform)との仕事の契約を交す話をする。 その頃逃亡船のパイロットIronheartはBabylon5に入港した。

Taliaは交渉に立ち会ってもらうために彼女を雇った惑星開拓事業団の職員と 移動チューブに乗ったが、そこにはGaribaldiも乗っていた。 強い感情は遮断できない事もあると顧客と話しているとき、 彼女はその「強い感情」を感じ、 チューブを降りる直前にGaribaldiの胃に肘鉄を食わせる。
その頃ステーションにP12レベルの "Psi-Cop"であるBesterとKelseyが到着した。 税関の職員はBesterがPSi Copと知っても始めは特別扱いしなかったが、 彼にじっと見つめられると急に態度を変え、 自ら司令官のオフィスへ二人を案内する。

惑星開拓事業団の職員はTaliaを立ち会わせたCatherineとの交渉の席で、 Quantum40を埋蔵している可能性がある惑星に調査に向かうように依頼するが、 Sincalir司令官も含め他者にはその事を秘密にするように求めた。 それを聞いてCatherineは、仕事と私事とは分けていると不快そうな顔をし、 TaliaはCatherineが約束を守る事を保証した。 彼はまた、問題の惑星Sigma957はNarnが領有を主張する宙域にあるため、 調査にはG'Karの同意を取り付ける必要がある事も注意した。

BesterはKelseyを伴ってSinclairのオフィスに入ってきて、 いきなりテレパシーを使って彼の頭の中で話し始めた。 これは通常は違法行為のためSinclairは怒るが、 彼らは自分たちPsi Copには通常より強い権限が与えられていると言う。 そして彼らは地球同盟の軍事機密を持って逃亡中のテレパスを追っていると説明した。 Sinclairは保安部に連絡を取ろうとしたが、 Besterは指令スタッフとTaliaとの会議を求めた。
その頃Ironheartは借部屋に座って頭を抱えていた。 彼の頭痛と呼応するように、部屋の壁がたわんだ。

会議の席でBesterとKelseyは、P10レベルのテレパスであるIronheartは 一年前に地球軍の秘密実験に参加し、 そのときに得た重要な情報を異星人政府に売ろうとしていると説明し、 彼を生死に関わらず拘束する手助けを求めた。 しかし彼らは、 実験の中身やIronheartの危険性の具体的な内容については一切の説明を拒む。 そしてTaliaに、Psi Corpsの訓練施設で彼女のインストラクターだったIronheartが 会いに来なかったかを尋ねた。 彼女は否定するがBesterらは信用せず、 痛みを伴うメンタルスキャンを行ってようやく、 彼女が真実を言っていると納得した。 Ironheartに近づいたり話したりする事を禁じて、Psi Copたちは立ち去った。
会議の直後暗い通路を歩くTaliaの前にIronheartが現われた。 彼女は直ぐに立ち去ろうとするが、 彼はPsi Copがやってきたのに気が付いていたと言い、 彼女へ説明させてくれるように頼む。

CatherineはSigma957への調査に対するG'Karの反対に遭ってイライラしていた。 彼は自分が反対しているのは単に彼女の安全のためであり、 Sigma957ではいろいろと不思議な事が起ると説明するが、 彼女は納得しなかった。 彼は彼女が自分に関して聞いている話は信じるに足らないもので、 ここにいる者は誰もその見かけ通りではない、MollariもDelennもSinclairでさえも、 と言い、自分の警告を無視すれば危険な目に会うと脅した。 彼女はそれを信じず、彼ではなくNarn政府に直接話すと答えた。

IronheartはTaliaの部屋で、自分が一年まえにテレパシー能力を強める 軍の実験を受けた事を彼女に話した。 数ヵ月後彼の能力は飛躍的に増強され、どんなテレパシーブロックも破れるまでになったが、 それと同時に彼は実験の真の目的に気づいた。 彼はテレパシーだけでなく強力なテレキネシス能力も持つようになり、 軍とPsi Corpsはそれを暗殺手段として利用するつもりだった。
二人が部屋で話している頃、GaribaldiはIronheartが盗んだ船の入港記録を見つけ、 それ以後に借りられた部屋を捜索すればよい事を知った。 彼が司令官にそれを報告した直後にBesterが入ってきて、 その情報を彼の脳から読んだ事を公言し、 さらにGaribaldiの自分に対する不快感を口に出してからかった。
CatherineがSigma957の調査に基地を出発した頃、 G'Karは部屋でNarnの軍本部と連絡をして、Sigma957に戦闘機を送るように求めた。

Ironheartは自分のテレキネシスの暴走を止められなくなり、Taliaの部屋の壁が歪み始めた。 彼は彼女に直ぐに立ち去るように言う。 その頃SinclairはBesterらと歩いていたがステーション全体が振動を始め、 数区画が破壊される。 ステーションの一部の区画は通路が奇妙なシールドで封鎖されてしまい、 その区画には誰も近づけなくなっていた。 BesterらはこれがIronheartによるものだと気がつく。 Sinclairは彼らがIronheartの具体的な危険性について何も教えなかった事に腹を立て、 彼は知る必要がないというBesterを押し切って会議を開催した。
会議の席でBesterは、 Ironheartは実験の結果もはや人間とは言えない別の何かに変わってしまったと説明する。 彼は実験の責任者を殺して脱走し、彼のテレキネシス能力は日増しに増加している。 異星人政府に彼を渡してはならないと言うBesterにSinclairはそこまで強力な Ironheartを止める方法はあるのか尋ねると、 Besterは実験中に彼にはある種のプログラムが埋め込まれており、 十分強いテレパシーで命令を送れば彼を"shutdown"する事が出来ると説明した。 彼ら二人のテレパシー能力を合わせれば、それが可能だとBesterは言う。

Taliaは通路を封鎖しているシールドの前に立ち、 自分を通してくれるようにIronheartに呼びかけた。 呼びかけに応じてシールドは彼女を通し、その後ろで再び通路を封鎖する。 廃墟と化した区画を進む彼女の前に姿を表したIronheartは、 自分は誰も傷つけるつもりはなく、この基地に来たのは彼女に Psi Corpsの真実について警告するためだと言う。 彼はPsi Corpsは彼女が考えているよりずっと強力になり、 政府を支配するまでになっていると話し、 自分は変化しつつありもう直ぐ別のものに変わってしまうと告げた。
その頃CatherineはSigma957の周回軌道に到着し、惑星の調査を開始した。

TaliaはSinclairに会い、二人だけで話したいと告げた。 コアシャトルの中で彼女は、Ironheartが彼と話したがっている事を告げ、 彼の問に対しIronheartは自分の恋人で、 ここに来たのは彼女に別れを告げるためだと説明した。
Sigma957を巡るCatherineの船の近くに、突然巨大な何かが現われた。 彼女がそれが何なのか解らないうちに全艦のパワーが失われ、 船は惑星に向かって落下を始めた。 彼女はBabylon5に救難信号を送ったが、それが届くには出力が足りなかった。

TaliaとSinclairはIronheartが座り込んでる場所に到着し、 彼は司令官にTaliaに話したのと同様の説明をした。 彼はこの基地をこれ以上危険にさらすつもりはないと言い、 自分のような存在をこれ以上作るわけには行かず、 そのためにやむを得ず実験の責任者を殺したのだと釈明する。 結局Sinclairは、 彼の意思に従って彼を基地の外に安全に出すために警備班を配置するように IvanovaとGaribaldiに命じた。

Catherineの調査船が惑星に落下する寸前に、 Narnの戦闘機が二機現われた。 彼らはG'KarによってCatherineを救助するために送られたもので、 戦闘機の警護の元で彼女の船はBabylon5に向かった。

IronheartがSinclairとTaliaに付き添われてドッキングベイに向かう途中を BesterとKelseyが遮った。 二人はSinclairを無視し、テレパシーを集中してIronheartをShutdownしようとする。 その様子を見たSinclairはとっさにBesterに掴みかかり、彼を殴り倒した。 その結果一人でIronheartに立ち向かったKelseyはPPGを抜くが、 彼の力によって消滅する。 彼はSincalirらに、もう時間が無いと告げ、 乗ってきた貨物船でBabylon5を発進した。
司令室で見守るSinclairらの目の前で Ironheartの船は消滅し、何かのエネルギーが残った。 それはTaliaの頭の中で別れを告げ、 彼女にある贈り物を残したと言う。 また、Sinclairには「100万年後に会おう」と告げて去っていった。

事件の後、ここで起こった事を説明しても上司は納得しないだろうとこぼすBesterに Sinclairも同意し、 Ironheratはステーションを逃亡したがその船はジャンプする前に爆発した、 またTaliaはIronheartに操られており彼女の行動に責任はないという 公式見解をBesterに同意させた。
Besterが立ち去った後で、 IronheartがPsi Corpsについて言った疑いを地球に報告するか Garibaldiに尋ねられたSinclairは、 恐らくIronheartはパラノイアに罹っており疑いは本当ではないと思うが、 今後はPsi Corpsの動きを注視して行くと答えた。
その頃Taliaは自分の部屋でテーブルの上のコインを見つめて動かし、 以前はなかったテレキネシス能力を確かめていた。

Narnの戦闘機の護衛で無事に戻ったCatherineはG'Karに助けてくれた礼を言った。 あなたの事を誤解していたと誤る彼女に彼は、 自分が彼女を助けたのは見殺しにして司令官を怒らす事が 自分たちの利益に反するからだと答え、 さらに彼女がSigma957で見たものについては、 宇宙には自分たちより何億年も古い者たちが存在し、 彼らは蟻にとっての人間のような者だと教えた。


印象に残ったシーン、台詞


Memo

地球のテレパスは、その能力に応じてP1からP12までに分類されている。 一般の商業テレパスは、概ねP5レベルが多く、 彼らを訓練するインストラクターはP10レベルである。 テレパスの取り締まりに当たるPsi Copのメンバーは、 全て最強のP12レベルで構成されている。

IronheartとTaliaの会話によると、 地球人のうちテレパシー能力を持つ者は千人に一人で、 テレキネシス能力を持つのは一万人に一人、 そのうちの半分は精神を病んでいるという。

今回の場面で、G'Karが初めて単なる悪党ではない別の顔を垣間見せる。 Sigma957の一件についての彼の説明の台詞は、 「ストーカー」("Piknik na obochine" A&B Strugatskii)での 「ゾーン」の説明を思い出させる。
また彼がDelennやLondo, Sinclairたちに関して言った 「ここに居る誰もその見かけ通りではない」という言葉は、 実際に当たっている事が今後段々と明らかになる。 この基地に集まった大使たちには、皆非凡な運命が待っていた。


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