Babylon5 #7

#7 The War Prayer

粗筋

Minbariの女性詩人のShaal MayanはBabylon5を訪問し、 旧友のDelennの部屋で四方山話を楽しんでいた。 Mayanは地球で詩の朗読会を行うために明日の朝早く出発する予定だったが、 Delennの部屋を出て自分の部屋に戻る途中で何者かに襲撃される。 襲撃者は彼女の腹部をナイフで刺した後で額に焼印を押し、 「地球に近づくな、化け物め!」と言って立ち去る。

幸いMayanは間もなく発見され一命を取り留めたが、 Delennはかんかんに怒ってSinclairとGaribaldiに Babylon5において平和的な詩人がこのような襲撃に晒された事を抗議した。 彼女との話し合いの後、 二人はZocaloを歩きながらこの所多発している同様の事件について話し合った。 この二週間で六件の異星人襲撃事件があり、 地球至上主義組織のHome Gaurdの関与が疑われていた。 GaribaldiはBabylon5だけでなく地球や火星でも同様の事件が多発している事を指摘し、 Home Gaurdの主張が地球人の間で支持を広げている事に懸念を示す。
彼が立ち去った後でG'KarがSinclairに近づき、 もしNarn人がMayanと同様の目に会ったら、必ず報復すると警告した。 それに対してSinclairは、 そうなったら基地の全Narn人を拘束室に入れてでも基地の秩序を守るとやり返す。

Garibaldiは病室のMayanに会って襲撃の状況について事情聴取したが、 自分が覚えているのは影と恐怖と額の焼印だけだと彼女は答え、 犯人に結びつく手がかりは得られなかった。 Garibaldiが出て行った後で、Franklinは彼女に焼印を消す事が出来ると言うが、 彼女は忘れてはならない教訓として残しておくと答えた。

Centauri船からIvanovaに、船で拘束中のCentauri人の若いカップルを引き渡したいと 連絡があった。 そのカップルはIvanovaに、"Cotto大使"への面会を求める。
その処理をしている時、 彼女は8年前に別れた昔の恋人のMalcolm Biggsに再会した。 彼を見た彼女はそれほど喜ばず、今は仕事で手が離せないと彼に答える。
やがて非番になった彼女がバーで飲んでいる所に、 再びMalcolmがやって来た。 彼は彼女とよりを戻したいと言うが、彼女は気が進まない様子で 暫く話した後でさよならを言う。

手紙ではCentauri大使だと書いていたと 会議室のSinclairの面前で先ほどのCentauri人カップルになじられたVirは、 気まずい顔をしていた。 そこに遅れて現われたLondoに、 Virは二人を従兄弟のKiron Marayとその恋人のAria Tensusと紹介した。 二人が理由も無く拘束されたと主張したためLondoはSinclairに抗議するが、 Sinclairは二人がクレジットチップを盗んだと説明して、 Centauriの当局者である迷惑顔のLondoに彼らの身柄を預けてしまった。

Londoの部屋でVirは彼に、 KironとAriaは家族からそれぞれ望まない相手との結婚を迫られて 自分を頼って駆け落ちしてきたと説明した。 しかしLondoはまったく心を動かさずに、 Centauriでは結婚は有力な貴族の一族同士が結びつくための手段であり、 両親によって子供の結婚は用意される事になっていると恋人たちに答える。 自分の机の上の妻たちの写真に目をやりながらLondoは、 この伝統は時には大きな犠牲を伴うがCentauri国家の為のものであり、 それを無視してはいけないと二人に説教する。 しかし二人は、そんな伝統は正しくないと反論した。

Garibaldiは血のついたナイフを隠し持っていたRobertsという男を逮捕した。 RobertsはMayanを襲った事は否定するが、Home Guardの主張に共感している事を認める。 Garibaldiがナイフの血がMayanのものなら彼をMinbariに引き渡すと脅すと、 Robartsは異星人より彼らにへつらう地球人の方がさらにろくでなしだと言い返した。

SinclairはKosh大使を尋ね、異星人襲撃が多発して基地が不穏な状況になっている事を話し、 彼に他の大使たちに口を利いてもらうように求めた。 Koshは「他種族の事は興味ない」と言下に断わるが、 Sinclairは彼が自分が部屋に入ったとき、 地球の歴史に関する映像を見ていたのに気がついた。 彼の問に対しKoshは、「学んでいるのだ」と答える。 「何を学んでいるのです?」という質問にはもはや答えなかった。

司令室に戻ったSinclairは、IvanovaにKoshについてどう思うか尋ねた。 彼は彼女に、KoshがBabylon5到着時に暗殺されかかった経緯を話し、 環境スーツに覆われた彼の「手」にどうやって毒を注入したのだろうと疑問を呈した。 IavnovaはVorlonはとても秘密主義が強く、 環境スーツの本当の目的は自分たちの姿を他者に見せないためではと推測を述べる。 Sinclairはさらに、環境スーツの中のKoshの姿を見たただ一人の人物である Dr. Benjamin Kyleと、KoshをスキャンしたテレパスのLyta Alxanderが共に、 直後に地球に召喚された事を指摘する。

Sinclair司令官の元にKironとAriaの両親からの要請があり、 Londoはそれに従って二人をCentauriに送り返す事を決めた。 Virは彼らは愛し合っていると言ってその決定に反対するが、 Londoは自分の三人の妻たちを例にあげて、 結婚には愛など関係なく、自分がここに留まっているのも 妻たちに会わないためだと言い返す。

検査の結果RobertsはMayan襲撃の犯人でない事が判り、 Garibaldiは彼を釈放した。 彼はSinclairに、Robertsを泳がせておけばHome Guardが接触を図るのではと言い、 監視を続ける事を説明する。 Home Guardによる襲撃の結果、異星人たちの地球人への怒りが高まっており、 基地は危機的な状況になっていた。

IvanovaはMalcolmとのディナーに同意し、自分でも意外だったが結構楽しんでいた。 彼女は彼がここで仕事を始めるつもりだと言うのを聞いて驚く。
KironとAriaは庭園に座っている所を、 まるで空気から湧き出したように現われた覆面の男たちに襲撃された。 身を守ろうとして男たちに掴みかかったKironに一人が覆面を剥がれたため 彼はPPGで撃たれ、Ariaはショックスティックで気絶させられたが、 二人を探しに来たVirの気配に襲撃者は逃げ去り、倒れている二人は直ぐに発見された。 二人は医療室に運ばれたがKironは昏睡状態で、 Ariaは襲撃者の顔を見ていなかった。
SinclairとGaribaldiは騒ぎが起こっているという連絡を受け、そちらへ向かう。 中央通路ではG'Karが異星人の群集を前にして 地球人の襲撃者を引き渡すよう当局に求めるようにアジっていたが、 Garibaldiの警告で、G'Karはその場は引き下がった。
その直後、釈放されたRobertsはDraziの一団に襲われ、 殴る蹴るの暴行を散々受ける。

IvanovaとMalcolmはディナーの後彼女の部屋に入りキスを交している所に、 Sinclairからの会議への呼び出しが入った。 会議の席でGaribaldiは、G'Karが率いた騒ぎは収まったものの依然状況は危機的であり、 またRobertsが襲撃された事を報告する。

医療室ではKilonの傍に付き添いたいと主張するAriaをFranklinが説得していた。 Londoは彼女がここで出来る事は何もないと言って、彼女に出て行くように命ずる。 Ariaがしぶしぶ立ち去ると、横で話を聴いていたMayanは、 愛の力は偉大でありAriaを付き添わせるべきだとLondoに言うが、 彼はMinbariにCentauri人の心の何が解ると言って相手にしなかった。 「いずれ彼女は愛のない生活に慣れるさ」と言い捨てるLondoに、 「あなたと同じように?」とMayanは言い返し、 意表を突かれたLondoは黙り込んだ。

Garibaldiは監視していたRobertsの病室にMalcolmが現われ、 彼をHome Guardに誘っている映像をSinclairらに示した。 それを見たIavnovaは強い衝撃を受ける。 Sinclairは、彼らは基地の指令スタッフを仲間に引き入れようとするだろうと考え、 自分を異星人嫌いを装って彼に紹介するようにIvanovaに求めた。 司令官が彼を捕える場に自分も立ち会う事を条件にして彼女は同意した。 その後彼らはAvaiの使節団のための今晩の祝賀会の打ち合わせをした。 Ivanovaは、Malcolmが贈ったバラを花瓶から抜いて塵箱に投げ込む。

VirはLondoに、KironとAriaをCentauri本星に送り返すという決定を見直すよう求め、 彼らの愛が偉大な共和国を揺るがすはずが無いと言った。 LondoはVirに、伝統は変えられないと答えるが、 Virはさらに富や権力は愛には替えられないと反論する。 それを聞いたLondoは唐突に、「麿の靴はきつ過ぎる。」と悲しげに答える。 これは彼の父が子供の頃の彼に言った言葉で、 「しかし如何で良いのだ、もうダンスの仕方を忘れたから」という父の言葉は 当時は理解できなかったと彼は続けた。 怪訝な顔をして理解できないと言うVirに、Londoは微笑んで何時かお前にも解ると答える。

その晩の祝賀会の席でDelennはSinclairに、 Babylon5の水耕栽培施設の見学に来たAvaiの代表を紹介した。 彼はAvai使節団の団長にわざと無愛想に対応し、警備に対する代表の懸念を退ける。 その後彼はIvanovaといっしょに居るMalcolmと話し、 自分が異星人を嫌っている事を匂わせた。
祝賀会の後、SinclairとIvanovaは再びMalcolmと会い、 Minbari戦争での最終決戦の話をする。 Malcolmは二人に自分たちが地球への異星人の影響を一掃する計画を進めている事を打ち明け、 彼に会わせたい人物が居るがまず彼の信念を試したいと答えた。

顧問会議の席でSinclairは各国の大使たちに、 地球至上主義者たちは地球に戻りもはや基地での危険は無くなったと発表する。 しかし彼はその証拠を示さず、大使たちは不満を募らせた。
その頃医療室では、Ariaが見守っていたKironが昏睡状態から意識を取り戻した。

司令室でIvanovaはSinclairに、Malcolmとの次の会合について伝えた。 会合の場所は不明だが彼とはZocaloで落ち合い、 武器を持ってきてはいけないという事だった。 二人はGaribaldiとの通信リンクを隠し持って出かける。

医療室ではLondoがKironとAriaにCentauri本星に帰るように命じていた。 そこで彼らはLondoの従兄弟Andillo Mollariの養子となり、 成人後は自由に結婚相手を選べるようになる。 Andilloは名士であるため、その養子になることを二人の両親が反対する理由はない。 喜んで彼に感謝する二人にLondoは、 「子供にはダンスを楽しむ権利がある。」と述べた。

Sinclair, IvanovaとMalcolmとの会合が始まると、 "black light camouflage"を使って姿を見えなくしていたMalcolomの仲間たちが 姿を現した。 Malcolmの命令で周囲に妨害場が張られ、二人からの通信が途絶えたため、 監視していたGaribaldiは部下を率いて現場に急行する。
MalcolmはHome GaurdがBabylon5の異星人外交官たちを皆殺しにする計画を話し、 Sinclairに外交官地区への侵入を手助けするように求めた。 そして捕らえられたAvaiの使節団長が彼の前に引き出され、 手始めに彼女を殺すように求められたSinclairが躊躇ったときに、 Garibaldiが部下を率いて部屋に突入した。 撃ち合いの末にHome Gardeたちは捕えられ、 その隙に逃げようとしたMalcolmはIvanovaによって拘束される。

拘束されたMalcolmとその仲間たちが地球へ向かう船に護送されるのを見ながら、 「相手への無理解がこんな大きな憎しみを生むなんて、 私には全く理解できない」とMayanはDelennに話し掛けた。 「人類はいつでも不可解な生物よ、でもそのうち共存できるようになる。」 と答えるDelennに、 「こちらに強靭な忍耐力があればだが。」とG'Karが口を挟んだ。 「異星人の肩を持つなんてそれでも人間か」というMalcolmの捨て台詞に、 「彼らの方がよっぽど人間らしいわ、あなたには理解できないでしょうけど。」 とIvanovaは言い返し、彼が去って行くのを見守っていた。


印象に残ったシーン、台詞


Memo

Londoの結婚もかなり悲惨な状況である事がそれとなく示されている。 彼の妻たち(Centauri貴族の男性は、3人の妻を持つ)は後にBabylon5にやってくる。 (#29 Soul Mates)

Centauri本星とBabylon5との距離は75光年あるらしい。 それが正しければ、巨嘴鳥座ZetaというCentari主星の同定は間違っている事になる。

Malcolmが昔の恋人であるIvanovaはともかく、 基地の司令官であるSinclairまでも簡単に信じてしまうのはちょっと安易では? ここまで都合の良い段取りはそうは無いと思うのが普通の気がする。 ただここは、MalcolmがMinbari戦争の最終決戦で闘ったSinclairの過去を知っていたため 却って騙されたという面もあるだろう。

Londoの父親の言葉はやや解り難いが、 Centauri人は大国の伝統に縛られて、人生を真に楽しむ術を失ってしまった という事を言いたかったのだろう。

Home Guardがblack light camouflageのような装備を持っている事は、 政府の上層部に彼らが浸透している可能性を窺わせる。 そうなると、地球に送還された彼らが裁判を受けるどうかも判らない。

この話で出てきたAva4は、Abbai4と同一の国家か? "v"と"b"の発音は英語では異なるが、それでも時には混同されている事もある。

この回の話でSinclairが疑問を抱いたKosh暗殺未遂事件の実際の手段は、 後にKoshの真の姿が明らかになるとさらに疑問が膨らんでくる。

Garibaldiの事情聴取にMayanが答えた「影と痛みと・・・」という言葉は、 もしかすると"Shadow"を暗示しているのかもしれない。


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