Babylon5 #8

#8 And The Sky Full of Stars

粗筋

Babylon5の入港ゲートで検査を受けている男"Knight2"は、 待合室に座っていたもう一人の男"Knight1"と視線を交した。 Knight2が検査を通過したのを確認し、Knight1もその後を追う。
同じ頃、保安部員のBensonはSincliarと通路ですれ違った直後に二人組の男たちに捉まり、 借金の返済を迫られていた。 彼は入金予定が遅れていると言い訳をするが、 男たちは24時間以内に金を返さなければ殺すと脅迫する。
暫くしてKnight2の部屋に入ってきたKnight1は、 後を付けられたのかというKnight2の質問に対してターゲットを確認したと答え、 Sinclair司令官の3D画像を示した。 それを確認して、もう直ぐ決行するとKnight2は答える。
SinclairはオフィスにBensonを呼び出し、 Garibaldiの立会いの下で 彼がギャンブルにはまって借金漬けになっているのではと質問していた。 確かに問題はあったが限度は超えていないとBensonは主張し、 Sinclairの再度の問にも沈黙を守った。 結局Sinclairは彼をシフトから外すだけで放免するが、 GaribaldiはBensonが嘘を言っている事を見抜いていた。

Knight1とKnight2は部屋で奇妙な機械を組み立てていたが、 動力源はスキャンに掛るため基地に持ち込めなかった。 しかしKnight1はエネルギーパックの調達を手配済みだと言う。
その頃Bensonは倉庫の中に入り、無断でエネルギーパックを持ち出していた。

FranklinはMinbari人に関する医学データを得るために医療室でDelennを検査していた。 これは基地でMinbari人の病人が出た場合に備えてのもので、 彼女の協力に彼は感謝する。 検査が終わってから、彼女は彼が昔宇宙船をヒッチハイクしていたという噂について尋ねた。 彼はMinbari戦争が始まるまで、船医の仕事と引き換えに宇宙船を乗り継いで 色々な惑星を訪れた事を認める。 Minbari戦争時に彼は何をしていたのか尋ねる彼女に彼は、 戦況が不利になると地球軍は異星人関係の生態学者を集めて 生物兵器の研究に協力させようとした事を話し、 それに協力するのは医師の誓いに反すると考えて研究ノートを全て破棄したと説明した。 Delennはそれを聞いて微笑んで感謝したが、 彼が戦争時に彼女は何をしていたのか尋ねると、 彼女はその話はいつか別の機会にとだけ答えた。

自室で眠っているSinclairはMinbari戦争での最終防衛線の戦いの夢を観ていた。 彼の飛行中隊はMinbariの戦艦を迎え撃ったが、 部下のMitchellが彼の指示を無視して戦艦に突撃していった。 彼が罠に懸かり死んだ事を悟った時に、Sinclairは悪夢から目を醒ました。 部屋のBabComユニットが消えており、コンピュータも呼び出しに答えない。 彼は修理班を呼ぶが応答はなく、司令室も問い合わせに反応しないため、 彼は急いで着替えて部屋の外に出て司令室に向かった。 途中の通路やZocaloにも全く人影は無かった。
たどり着いた真っ暗な司令室も空っぽで、地球も呼び出しに応答しなかった。 突然一つだけモニター画面が復活したため、 彼はコンピュータに基地に異常事態が起こって要員が避難したのかと尋ねるが、 そのような事実はないという返答が返って来た。 そして基地内をスキャンした結果、中央通路に一人の生命反応があったため、 何が起こったのかを自問しながら彼はそちらに向かった。
突然通路のライトが次々と点灯し、不思議な声が辺りに響いた。 振り向くとKnight2が彼を見つめていた。

ZocaloでPsi Corpsの選挙介入疑惑の記事を読んでいるGaribaldiの前にDelennが現われ、 一時間前に会議室で会う約束をした司令官が現われないと懸念を伝えた。 彼は司令官と連絡を試みるが応答はなく、直ちに彼の部屋に向かった。
部屋が空っぽなのを知ったGaribaldiはIvanovaに事態を説明した。

Babylon5に何をしたと叫ぶSinclairに対して、 Knight2はここはSinclair自身の脳内の仮想空間だと答える。 そしてその証拠としてGaribaldiの姿を出し、いきなり射殺して見せて ここでは好きな相手を何回でも殺せると嘯く。 すべては現実ではないが痛みは現実だと言ってKnight2が一歩下がると、 Sinclairを耐えがたい痛みが襲った。
現実世界ではSinclairの頭には装置が取り付けられて椅子に拘束されており、 隣では同じような装置を付けたKnight2をKnight1が見張っていた。 Knight2がKnight1にSinclairの脳へのショックを止めるように指示し、 脳内空間でKnight2は再び話し始めた。 彼はSinclairが軍に提出した、最終防衛線の戦いで地球軍に発見されるまで 24時間気を失っていたという報告を信用しておらず、 その間何が起こっていたのかを探り出すと言った。
その頃Ivanovaらは司令官捜索の方法を検討していた。 一つ一つの区画をしらみつぶしに探すには時間が掛かり過ぎ、 司令官が負傷しているなら間に合わない可能性が高い。 基地の外壁を補修ロボットで(死体を)捜索すべきというGaribaldiに、 思考パターンが彼と同じでなくて良かったとIvanovaは厭味を言った。

Knight2はSinclairの個人データを並べ立て、最終防衛線で何があったのか話すように Sinclairに迫る。 そして彼の記憶から作り出されたMitchellが現われて、 あなたは自分たちを裏切った、 自分は死んだのになぜあなたは生き残ったのかと責めた。 始めは答えるのを拒んでいたSinclairは、 彼に迫られて自分はMinbariの戦艦に体当たりを試みたと答える。 Knight2はさらにその続きを追求し、 彼は何があったか思い出したくないだけだ、彼は裏切り者だと決め付けた。 怒り狂ったSinclairがKnight2に殴りかかると、 不意をつかれた彼の姿は消えた。 現実世界でもSinclairの手がKnight2を殴りつけ、彼は倒れていた。 一人残されたSinclairは、 なるほど相手にとっても痛みは現実なんだなと呟いた。

DelennはIvanovaに司令官捜索への協力を申し出たが、Ivanovaは断った。 そしてTaliaに協力を頼んだらとDelennが示唆すると、 Taliaのテレパシー能力では近くでなくては感知できないとIvanovaは答える。

Knight1は捜索隊がここを見つけるまであと4時間程度しかないとKnight2に警告した。 Knight2はSinclairが何か隠しているのは間違いないと言い、 彼を危険に晒す事を承知で、もっと薬品を投与し装置の出力を上げるように求めた。

保安部員がGaribaldiに報告に来たが、今のところ司令官の消息はつかめなかった。 しかし彼の話から、GaribaldiはBensonが司令官が失踪するわずか4時間前に 大金を受け取っていた事を知り、Bensonを連れてくるように命じた。

Knight2は再び装置を使って仮想空間に入り、Sinclairへの尋問を再開した。 Sinclairは突然自分が灰色のマントを被った人影に囲まれているのに気がつく。 「ここで何をしているんだ? 何が望みだ?」と彼が言うと、 突然人影の一人が持っていた杖から電撃を放ち、彼を撃った。

その頃他の保安部員に追われたBensonがKnight2の部屋に逃げ込んで来た。 そこで彼は装置に拘束されている司令官が悲鳴を上げているのを見てしまい、 Knight1に射殺される。
Knight2が仮想空間の中でSinclairへの尋問を続けている頃、 Bensonの死体がステーションの外壁に張り付いているのが発見された。

Knight2は、Minbariが勝利直前に謎の降伏をしたのは 地球の防衛が予想外に強かったからで、 そのために彼らは降伏したSinclairを操って 地球を内部から征服する事を企んだという自分の推測を述べ、 死を恐れて降伏したSinclairは裏切り者だと責める。 それに対しSinclairは怒りを露にして、自分がMinbariの戦艦を見たとき 自分の死だけでなく人類そのものの全滅を予感したのだと反論する。 そしてMinbari人を見るたびに部下が次々と殺されていった光景を思い出し、 彼らを殺してやりたいという怒りに駆られると告白した。 それならなぜMinbariは降伏したのか、 あのときに何が起こったのか思い出さないのかと執拗に問うKnight2に対して、 Sinclairは「何も思い出せない、ただ・・・」と口篭もった。 そのとき彼は、Minbari人暗殺者の「お前の心に隙があったからだ。」 という最後の言葉を思い出していた。 「何を思い出したんだ」とKnight2は彼を追及し、 彼の記憶の中の最終防衛線の光景がもう一度再現された。
今度はSinclairが戦艦への特攻を図った後、艦からの光線に彼のStarFuryが捉まり 中に引き込まれた光景が続いた。 彼は灰色の影に囲まれ、両手を拘束されて宙に吊るされていた。 小さな金属縁の三角形の装置を持った一人の影が彼に近づくと、装置は輝いた。 それから自由にされた彼は再び灰色の影に囲まれていた。 彼は一人に歩みより、そのフードを跳ね除けて顔を見て、 「お前を知っている。お前を誰か知っている。」と言った時、 別の一人が彼を再び撃った。
このとき現実の世界のSinclairは激しくもがいて拘束が外れ、 彼の手がKnight2を殴り倒した。 Knight2はそのまま気絶し、装置からのフィードバックを受け続けていた。 拘束から逃れて立ち上がったSinclairは、 隣の部屋から入ってきたKnight1を殴り倒し、武器を奪って廊下に走り出た。 しかし彼は自分がMinbariに囚われていると信じており、艦から脱出しようとしていた。 彼を見た保安部員が声をかけるが、彼はMinbari人と思って発砲する。 Ivanovaに連絡する保安部員を追いかけてきたKnight1が撃ち倒した。
SinclairとKnight1と撃ち合いをしている現場にGaribaldiが部下を連れて到着するが、 自分の部下に向かって発砲を続ける司令官にショックを受ける。 司令官が拘束されていた部屋を調べたFranklinから、 司令官は大量の薬物を投与され、幻想を見ているらしいと知らされる。
そのときDelennが現われ、Garibaldiの警告を無視してそっとSinclairに近づいた。 彼女は、彼は安全で誰も彼を傷つけないと話し掛けるが、彼は耳を貸さなかった。
しかし彼の意識の中で先ほどの光景が再現され、 灰色のフードの中に今より若い、額に銀色の三角形をつけたDelennの顔を見て、 「お前を知っている!」と叫ぶ。 「あなたの友達よ、司令官。あなたの友達のDelennよ。」と彼女が答えると、 「違う!」と彼は叫び、PPGを構えた。 しかし発砲したPPGはその向こうで立ち上がったKnight1を倒し、 DelennはSinclairに「おかえりなさい、司令官」と呼びかけた。

数日後、治療を終えたSinclairは医療室でFranklinの検査を受けていた。 彼は拘束されたKnight2を連れてくるように求めるが、 Garibaldiは地球当局が事件の管轄権を主張したため 彼は地球に送還護送されることになったと説明する。 やがて連れてこられたKnight2は記憶を失っており、 彼を見ても始めのうち何の反応も示さなかった。 しかし連れて行かれる前に何か思い出した様子で、 「あなたも私も未だあの中に居る」と呟く。

Delennの部屋を尋ねたSinclairは、 あの時混乱していたが、彼女の顔を見て正気を取り戻したと礼を言った。 彼女は彼に最終防衛線の戦いについて何か思い出したか尋ねた。 彼が「残念ながら何も」と言って立ち去った後、 彼女の部屋に額に銀色の三角印をつけ灰色のマントを着たMinbari人が現れた。 彼の「あの事は知られてはならない、万が一、思い出せば生かしてはおけんぞ。 解っているな」と言う言葉に、Delennは同意した。

部屋に戻ったSinclairは個人日誌を記録していた。 それはDelennへの返事とは異なり、次のようなものだった。 「思い出した。私はMinbari艦に囚えられ、尋問と拷問を・・・。 あれはGrey評議会か? 恐らくそうだ。 彼らは私の記憶を消して解放した。 Delennは私に何をした? 何を思い出させたくないんだ。 つきとめなければ、何があろうと。」


印象に残ったシーン、台詞


Memo

Sinclairに関する個人データ: フルネームはJeffrey David Sinclair, 2218年5月3日09:15地球標準時に火星植民地に生まれる。 2237年に地球軍に入隊、2240年に戦闘機のパイロットになる。

今回の事件をきっかけとして、Sinclairは「24時間の空白」の真相を追い求め続ける。 最初のヒントは#13 "Signs and Portents"で与えられるが、 最終的な説明は#23 "Points of Departure", さらにその背景の真実は #61 "War without End, part2"で説明される。

Franklinが尋ねたDelennの戦争時の役割は、 今回のSinclairの記憶のシーンが一応の答えにはなっているが、 実はもっと奥が深い。 彼女が開戦時にも重要な役割を果たしていた事が、 ずっと後の#75 "Atonement"で明らかになる。

Knight2による尋問の中で、Sinclairは戦争以来のMinbariに対する激しい憎悪を 隠していた事を告白する。 これは後の展開での彼の役割を知ると、とても皮肉である。

タイトルの"And the Sky Full of the Stars"という言葉は、 Pilot Movie "The Gathering"で SinclairがCarolynに最終決戦での体験を話した時に、 味方の船が次々と散って行く光景として使っていた。

最後のDelennとSinclairのやり取りで、 もしかすると彼女は彼が囚えられたときの記憶を一部取り戻したのに 気がついていたのかもしれない。


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