Babylon5 #25

#25 The Geometry of Shadows

粗筋

Garibaldiは医療室で、PPGで撃たれた背中の傷の診察をFranklinから受けていた。 順調に回復しており二三日で仕事に戻れるとFranklinは告げるが、 Garibaldiはあまりうれしそうな顔をしない。 理由を尋ねるFranklinに彼は、自分を背後から撃ったJackをそれまで 全く疑っていなかった事を話し、 自分が保安主任として失格ではないかと考えて、復帰を迷っていると言う。 さらに彼は、Sinclairが急に転属になった理由が解らず、 新司令官のSheridanが本当に信頼できるかとも疑っていた。

Londoは彼の部屋でVirと共に、Babylon5を尋ねてきた本国の有力者Refa公爵と密談していた。 RefaはLondoに向かい、 Centauriが頭を悩ませていたquadrant37にNarnが建設した前哨基地に関して Londoが一人で何とかすると言ってきたときは皆が彼は頭がおかしいと思ったが、 実際にその基地が壊滅してしまい驚いていると告げ、 彼は皇帝の犯した過ちの一つからCentauriを救ったと述べた。 そして彼のような人物がCentauriには必要であると言った後、 現皇帝の息子が最近死んだため後継者がいない事に言及し、 自分たちが皇帝の死後権力を握ろうとしている事を示唆して 暗にLondoの協力を求めた。 Londoは、それは謀反ではと言いながらもRefaと乾杯し、彼への協力をにじませた。
その頃Zocaloで紫のたすきと緑のたすきをしたDraziのグループ同士が、 突然乱闘を始めていた。
Refaを出国ゲートまで見送ったLondoは、入港したばかりらしい 黒い服を着た背の高い地球人に気がついた。 それはめったに見かけられる事のないTechnoMageで、しかも 一人ではなく三人も同時に見かけられるのは何かの前兆と思われた。

SheridanはオフィスでIvanovaから最近ステーションで頻発している Drazi同士の乱闘事件についての報告を聴いていた。 Draziは五年ごとに二つのグループに分かれて 次の主導権をどちらが握るかをめぐって闘争する習慣があり、 本星でもBabylon5でもその闘争が始まっていた。 Sheridanはこの一件は彼女が外交能力を磨く為に処理を任せると言い、 その後自分が赴任した直後に彼女の中佐への昇進を申請していた事を伝えた。 そして中佐としての彼女の最初の任務として、 改めてDrazi問題の平和的な解決を命じた。

Londoはバーで飲んでいる所にAbaiの代表団が待っている事を知らせに来たVirに対し、 運命を信じるかと尋ねた。 言い伝えによるとCentauriの初代皇帝はその地位につく前に 三人のTechnoMageから祝福を受けており、 Londoは自分がそれに習えば祖国の人々に対して絶大にアピールするだろうと考えていた。 そこで彼は、TechnoMageたちに彼に会いに来るように伝えろとVirに命じた。

部屋で沈み込んでいるGaribaldiの所にSheridanが現われた。 彼はFranklinからGaribaldiがもう仕事に復帰できる状態であると報告があったのに、 なぜ彼本人が何も言ってこないのか尋ねた。 Garibaldiが自分が辞職した方が皆の為によいのではと考えている事を話すと、 司令官は自分は彼が復帰してくれる事を望んでいるが、 決めるのは本人だと突き放し、部屋を出て行った。

IvanovaはDraziの両グループを会議室に招いて、 ステーションの他種族は彼らの事など気にはしていないけれど、 とにかく平和的に事態を解決するように求めていた。 彼女が両グループのリーダーに紫グループと緑グループは なぜ対立しているのかを尋ねると、 二人はたすきの色の違いだと言い、次のように説明した。
大きな樽の中に人数分の両方の色のたすきを入れ、 Draziたちが一人ずつたすきを取る。 それぞれの取ったたすきの色に従って彼らは二つに分かれ、 彼らが再び一つになるまで両者は戦う。 特にリーダーの印がついたたすきが一つずつ樽に入っていて、 それを手にしたものが両グループを率いる。
Ivanovaはまさかそのようなばかげた理由であるとは思っても見なかったので すっかりあきれ果て、 たすきの色なんて何の意味もないと言いながら、 一人の紫Draziのたすきを取り緑Draziの一人にかけた。 その途端会議室のDraziたちは怒りの発作に襲われ、彼女の周囲では乱闘が始まった。 乱闘に巻き込まれた彼女は、何人ものDraziの下敷きになって痛みのあまり悲鳴を上げた。

VirはしぶしぶTechnoMageが滞在している地区にやって来て通路で自己紹介をしたが、 何の反応も無かった。 彼がもう一度試みると、通路の角の向こう側から唸り声が聞こえ、 燃えるような眼と長い牙をした巨大な怪物が現われた。 しかし彼が大しておびえずにひたすら自己紹介を繰り返すと、 「プログラム終了」という声が聞こえ、物陰から一人のTechnoMageが現われた。 彼にここに来た理由を尋ねられたVirは、 Londoが彼らに謁見に来るように求めている事を伝えたが、 TechnoMageはそれを断った。 Virは十分な報酬を払う事を約束し、 さらにもし自分が空手で帰ったら困った立場に追い込まれると訴えるが、 TechnoMageは逆に彼が今すぐ帰らなければもっと困った事になると言った。 最後に名前を尋ねられたTechnoMageはElricと答え、 二度とここに来ないように警告した。
Virは戻ってLondoに報告したが、Londoはそれを受け入れようとしなかった。 彼はVirをTechnoMageにもう一度会いに行かせようとするが、 彼らは金にも地位にも興味がないとVirは説明する。 不機嫌そうに聞いていたLondoは、別の方法を思いついて部屋を出て行った。

Ivanovaの足を診察したFranklinは彼女に三箇所も骨折している事を告げ、 ギブスで数週間固定する処置をした。 Sheridanが医療室に入ってきて、Ivanovaに任務を暫く延期しようかと提案したが、 彼女はそれを断り、Drazi問題の非暴力的な解決策を探る作業を続ける事にした。 Ivanovaは再び警備員にDraziを会議室に呼ぶように求めた。

GaribaldiがZocaloで部下のLou Welchに会うと、 彼はGaribaldiがいつ復帰するのかと尋ねた。 彼は始めはそれに答えなかったが、皆が彼の復帰を待ち望んでいると言われ、 直ぐに戻ると答えた。 Drazi関係のトラブルの拡大の為にLouは呼ばれ、 後で会いましょうといって彼は立ち去った。
Drazi本星で暴力が拡大し、殺し合いが始まったというニュースを聞いたIvanovaは、 基地内でも状況が悪化する事を恐れて戦略部隊の召集を命じた。 彼女が会議室に戻ると、そこには何人もの紫Draziが倒れていた。

LondoはSheridanのオフィスを訪ね、TechnoMageは対応を誤るとトラブルの元になると警告し、 Centauriは昔から彼らの事を良く知っていると説明していた。 Sheridanが地球から彼らがどこに向かうかを突き止めるように命じられた事を話すと、 彼はElricへの仲介を申し出た。
やがてElricをオフィスに呼んだSheridanは、 このところ多くのTechnoMageがどこかに移動しており この基地にも100名ものTechonoMageが居るようだが、 行く先はどこで目的は何なのかを尋ねていた。 Elricは自分たちは誰にも迷惑をかけていないし行きたい所に行くだけだと 答えている所にLondoが現われ、 持っていたグラスを置くついでにその陰に何かを隠した。 ElricはLondoを見て、彼が自分を謁見させようとしたと言い、 彼が否定するとVirが通路でLondoからのメッセージをしゃべっているホログラムを 出して見せた。 Londoが無断で録画した非礼を怒ると、 ElricはLondoこそ無断でこの会話を録画していると指摘し、 彼がグラスの後ろに隠したマイクロレコーダーが爆発した。 うろたえて謝罪するLondoを、Sheridanは怒って追い出した。
Zocaloを歩きながら、 もう一度彼らの行き先を尋ねたSheridanに、Elricは魔法を信じるかと尋ねた。 Sheridanは子供の頃に父の庭でオレンジの花の香りを嗅いで空を見上げていたときは 全てを信じていたと答え、 人には理解できないものがあり、人はそれを魔法だと思うと言った。 それに対しElricは自分たちは科学の力で魔法を作り出す者であり、 もうすぐ暗黒で恐ろしい嵐がやってくるので 自分たちの知識を失ったり悪用されたくないから遠い星へ旅立つ所だと 先ほどの質問に答えた。 そして最後にSheridanの手を握ってから立ち去ったが、 彼の手の中にはオレンジの花が残された。

松葉杖をついたIvanovaは緑Draziのリーダーに、 紫Draziが殺された件について事情を聴きに行った。 彼は彼女にこの問題を解決するうまい方法があると言い、 紫DraziをBrown29区に集めてエアロックから放り出す事を提案した。 そして彼女の名前で紫Draziにそこに集合するようにメッセージを送ったと言い、 彼女を監禁してしまった。
LouからIvanovaが紫DraziにBrown29区に集まるように メッセージがあったと聴いたGaribaldiは、 異常を察知して緑Draziの所に彼女を救いに向かい、 彼らと乱闘になった。

LondoはTechoMageにコンピュータをハッキングされてしまい、 部屋の中はめちゃめちゃになった上に、耐え難い騒音のようなNarnオペラが大音響で 響いていた。 さらになけなしの財産を勝手に投資され、彼は破産寸前に追い込まれる。 始めは頑固に拒んでいた彼も、 結局Virの勧めに従ってElricの所に謝罪に行くしかなかった。

Brown29区に向かう緑DraziたちをIvanovaとGaribaldiは なおも説得しようとしていた。 Ivanovaは彼らの習慣はばかげていると言うが、 リーダーはIvanovaに自分たちのやっているのは国旗の元に戦うのと同じだ、と反論した。 議論の最中に興奮した彼女は、リーダーのたすきを毟り取ってしまう。 その瞬間に一団の動きが止まり、彼らはリーダーのたすきを持つ彼女が 緑のリーダーだと言った。 今や緑のリーダーとなった彼女は彼らを閉じ込め、 緑のたすきを紫に染め直すように命令した。

TechoMageの居る区画に向かったLondoは、 始めは面子を失わないような仕方で詫びていたが、 通路の向こうから怪物の唸り声が聞こえ、結局彼は全てを認めて謝罪するはめになった。 しかし微妙に謝罪が足りなかったらしく、 立ち去る彼の背中に三匹の小鬼が取り付いていた。

士官のラウンジでIvanovaの中佐昇進パーティーが開かれていた。 その席でGaribaldiは、彼女の危機に気がついて彼女を救出できた事で 仕事に対する自信を取り戻したと言い、警備主任への復帰を宣言した。 そのとき司令室から、TechonoMageの船が出港許可を求めていると連絡があり、 Sheridanは席を外す。
出航ゲートに並んでいたElricをLondoが呼び止め、 彼らがここを去れば自分への懲らしめは終わるのか、 それともこの先も自分は今回の過ちの代償を払わされるのかと尋ねる。 それに対しElricは、 魔法は解いたが暗黒と関わったLondoは一生かけて自分の罪を償うのだ、 Londoを殺しても他の者が後を継ぐから自分たちは去るだけだと言い、 さらに次のように続けた。
「Mollari大使、私には宇宙から大きな手が伸びてくる光景が見える、それはおまえの手だ。 声も聞こえる、無数の人々がお前の名を呼ぶ声が。」 「麿の支持者か?」と尋ねるLondoに、Elricは一言、 「犠牲者だ。」と答えた。

司令官の出航許可が出たため、TechnoMageたちの船は基地を離れ、 ジャンプゲートへと消えた。 彼らが去った後、SheridanはElricの残したオレンジの花を見ながら 彼の言った事を思い返していた。 理性ではElricが言ったように彼らにもう会えないだろうと解っていたが、 なぜか彼は何時かもう一度彼らに遇うのではという予感もしていた。


印象に残ったシーン、台詞

12才の頃、よく父の庭で過ごしました。 オレンジの花が香る中、空を眺め、い星の事を夢見た。 その頃はどんな事でも信じられたが、今は判りません。 理屈では説明できない事も存在します。 今から千年前にタイムスリップしてBabylon5の話をしたら、 人々は魔法と思うでしょう。
--「魔法を信じるか」というErlicの問に対して Sheridanが言った答え。 何でもないようだが、後の展開を知った上でもう一度聞くと 「あれっ」と思う。


Memo

TechnoMageは種族ではなく、種族を超越した一種の秘密結社である。 現在は地球人がかなり多いらしい。

緑Draziと紫Draziの争いの習慣は五年おきに一年間続く。 なお、Draziの一年は1.2地球年である。

ElricはShadowが動き出した事だけでなく、 どうやらLondoが彼らと取引をした事も知っているらしい。

このエピソードの撮影の時に、Ivanova役の俳優Clauria Christianは実際に骨折していた。


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