Babylon5 #28

#28 A Spider in the Web

粗筋

Sheridanに彼女が決めたT'Karの使節団の席割りを褒められたIvanovaは俄然やる気になり、 大使区画でトラブルが起こったという司令室からの知らせに元気よく現場に向かった。 Sheridanはそれを上機嫌で眺め、 「大佐って楽で良いな」と気楽に呟く。 その頃Taliaは会議室に居て、 旧友でFutureCorp代表のTaro Isogiを待っていた。 部屋に入ってきたIsogiは彼女を抱きしめてから、 これから話し合う自分の計画についての感想を求める。 Taliaは火星での彼の野心的な新事業計画を評価しながらも、 地球の議会がそれを許さないのでは、と危惧した。 対してIsogiは、この計画が失敗すれば 火星独立運動の激化で多くの血が流れるだろうと答えた。
やがて火星コロニー事業委員のAmanda Carterが現れ、 Taliaの立会いでIsogiとの商談に入った。

多数のモニターやディスプレイに囲まれた部屋の中に、 謎の女が座っていた。 ディスプレイの一つではSan Diego荒廃地の空撮映像をバックにして 「故Santiago大統領が目指した世界を実現させる義務がある・・・」 というClark大統領の演説が流れている。 彼女は"13"と名乗り、モニター上の奇妙なパターンの後の 「コンポーネントはすべてBabylon5に無事到着」という通信に対して、 「作戦を開始せよ。」と命令を下した。
そのときBabylon5の貨物室では、Classified Cargoと書かれた箱が開き、 中から中指に指輪をした手が現れた。

Sheridanの元に地球のElise Voudreau議員から、 IsogiとCarterとの会談を監視するようにという要請が入った。 彼女はIsogiは火星独立運動を支援しており、 一連の暴動にも資金援助していると主張するが、 Sheridanはスパイ活動はできないと彼女の要請を断った。 すると彼女は、人命が危険に晒されている今は原則を言っている場合ではない、 と言って通信を切った。

火星には異星人が必要としている資源が沢山あり、 彼らとの貿易によって得られる資金で 火星は10年以内に独立を果たせる、というIsogiの提案に、 Carterは火星事業委員会を説得するにはもっとはっきりとした保証が必要だと答えた。 Taliaは彼女をスキャンして、実際には保証を求めているのはCarter自身だと補足した。 Isogiは、Babylon5を交渉場所にしたのはそのためで、 ここなら異星人政府の代表と交渉する事が出来ると言った。 Carterは委員会に話してみた結果を次回に知らせる事を約束し、交渉は終わった。 彼女が出て行った後、Taliaは彼女は好意的だがまだ疑っていると言い、 彼の計画は壮大だが大変なリスクがあると自分の意見を述べると、 その続きはディナーでとIsogiは答え、二人はレストランに向かった。
そのレストランでは、勤務明けのSheridanとIvanovaもディナーを取っていた。 彼が再びT'Karの使節団に対するIvanovaの手際を褒めると、 彼女は彼がT'Karとのファーストコンタクトを行った事を持ち出し、 それに促されて彼はそのときの話を始めた。
T'Karの船は緑色の雲のように見え、 呼びかけにしばらく応答しなかったが、 実はこちらの言う事は全て向こうには解っていた。 彼らの船で二日過ごしたが多くを学んだし、 あれほどゆったりとした造りの戦艦は始めて見たとSheridanは話す。

IsogiとTaliaが彼の計画について話しながら帰る途中で、 一人の男が近づいてきて、いきなりTaliaを床に投げ倒し、 "Free Mars!"と叫んでIsogiの首筋に掴みかかった。 男の手から電流のアークがIsogiに襲い掛かり、彼は床に倒れた。 次に男はTaliaに向かってきたが、 そのとき彼女は男の心の中に宇宙船が爆発するようなシーンを見た。 男もそのシーンによって混乱し、Taliaを置いてそのまま逃げ去った。 Taliaは急いでIsogiに駆け寄ったが、彼は既に死んでいた。

Sheridanのオフィスで、Taliaは男に襲われたときに心の中に見たシーンを説明していた。 彼女が見たのは閃光と爆発音そして暗闇で、他には何の感情も感じられなかった。 これは彼女が火星にいたときにFree Marsのメンバーをスキャンしたときのものとは 全く異なっていた。
Sheridanの問に対し彼女は、 IsogiがFree Marsに狙われる理由は全く無いと言い、 地球議会が彼の計画は火星を混乱に陥れる事だと言っていると Sheridanが指摘すると、 彼女は泣き出して、Isogiは他人の幸福のために働き続けていたと抗議した。 部屋へ帰る彼女に護衛についたGaribaldiは、 彼女の気分をなんとか立ち直らせた。

Isogiを殺した男はStellar Comにアクセスすると、 モニターには"13"の部屋で見られたのと同じパターンが出現した。 第一段階の終了を報告した男は手袋のように手の皮膚をはずして、 現れた黒い指を使ってIsogiの殺害場面を送信した。 対してコンピュータ音声は、Taliaを抹殺して第二段階へ進むことを命じた。

SheridanはIvanovaに、犯人を逃がさないために 指示があるまで出港許可を出さないように命じた。 彼は犯人が目撃者のTaliaを狙いに来ると予想しており、 その事からTaliaが信頼できるかという話になった。 Ivanovaは多分信頼できるだろうが、TaliaはあくまでPsi Corpsに忠実だと言い、 対してSheridanは、テレパス一般については理解できると思わないが、 自分は組織ではなく個人の信念を信じていると答えた。

SheridanからIsogiとの会談について尋ねられたCarterは始め解答を拒んだ。 しかしIsogiが殺された事を知り、彼を邪魔に思う組織の心当たりを尋ねられたのに対して、 彼は火星の平和的な独立を望んでいて、 Free Marsが彼を敵視する可能性はないが、 地球議会とMars Conglomeratなら大いにある、 しかし彼らが暗殺までするとは思わないと答えた。 そしてSheridanに、Isogiを殺した者は火星の未来の希望を殺したのだと言った。

GaribaldiはSheridanがオフィスを訪ねてきたとき、Isogiの検死レポートを読んでいた。 彼はIsogiは大量の電流によるショック死で、 喉に残った指の跡には指紋がない事を指摘し、 Free Marsが持つとは考えにくい高度な武器が使われた可能性が高いと言った。 そのような武器が検査にかからずに基地に持ち込まれた事に疑問を投げかける彼に対し、 Sheridanは高度な協力者が存在する事を示唆した。 そして彼に引き続きTaliaの護衛と政府関係をも含む事件の背後の調査を命じた。 そしてどこに行き着くかと尋ねたGaribaldiに「暗闇だ」と答えた。

Taliaが護衛付きで歩いているときに再び暗殺者に襲撃された。 男は護衛を倒して彼女に襲い掛かったが、再び頭の中に 前回と同じシーンを見て立ち尽くし、その間に彼女は難を逃れた。 男は混乱して、「俺に何をした?」と苦しんでいた。
TaliaはSheridanに、 今回男の心の中に見たシーンで地球の巡洋艦が攻撃してくるのをみたと言い、 彼はその攻撃で殺されたのだと主張する。 Sheridanは死人が彼女を襲ったという話を容易に信じなかったが、 Garibaldiが暗殺者の落とした髪の毛のDNA鑑定の結果を報告に来た。 男はAbel HornというFree Marsのリーダーの一人だったが、 彼の船は実際に火星暴動の最中に地球軍の巡洋艦に破壊されていた。

Carterが部屋に戻ると、Hornが部屋の中で待っていた。 彼が死んだと聞いていたと言う彼女に対し、 彼はPhobosで攻撃されたが友人の助けで逃れ、 彼女がここに居ると聞いて逃げてきたと言い、火星に戻るための助けを求めた。 そして彼女の問に対し、自分がIsogiを殺したと言うのはデマだと主張した。 彼女は彼を助ける事は自分のFree Marsに居た過去を明るみに出し、 火星独立の夢を失う事になると断ると、 彼は自分を助けなければその秘密を暴露すると逆に脅迫した。 彼女は彼がそこまで身を落とすとは思わなかったと言うが、 急に彼は苦しみだし、腕の覆いを取った。 それを見た彼女が何をされたのか尋ねると、 彼はそれを知り、自分を救うためにTaliaを部屋に呼ぶように要求した。

司令室のIvanovaは出航停止措置に対する苦情処理に追われていたため、 Sheridanは全艦チェックの上での出港許可を出させた。
GaribaldiはTaliaに誘われて二人でお茶を飲んで、彼女に自分の父親の話をした。 対して彼女は自分は両親を知らず、子供の頃からPsi Corpsの施設で育てられ、 そこではAbbiという女性が親切にしてくれた話をした。 そのときGaribaldiはSheridanに呼び出され、二人は別れた。
Sheridanは彼に「Lazarus計画」の地球軍の極秘ファイルを見せた。 この実験は死に瀕した被験者の記憶をディープスキャンによって死の瞬間に固定し、 脳内に埋め込んだクリスタルチップによってコンピュータがその肉体を操るというもので、 SheridanはTaliaが見たHornの脳内記憶の内容からして、 彼がこの実験の犠牲者ではないかという推理をしていた。 もしそれが真相なら、クリスタルが含む放射性物質をスキャンすることによって Hornの居場所を探す事が出来る。 Sheridanがそのためのセンサーの調整方法を尋ねようとしたとき、 Garibaldiは部下からTaliaがCarterとの会談に向かうという連絡を受け、 彼自身が護衛につく事にした。 そのためSheridan自身が調整をする事になった。

TaliaがGaribaldiを外に残してCarterの部屋に入ると彼女は床に倒れており、 駆け寄ったTaliaの背後からHornが掴みかかって声を立てたら殺すと言った。 彼の要求に応じて彼女は再び彼をスキャンし、 以前に見た船の破壊の後、彼が手術をされている光景を見た。 手術室には医師の他にPsi Copの女が居て、彼を見ながら微笑み、 「すべて我々のもの」と言った。
TaliaはHornに自分が見た光景を告げ、 彼は死んだあと何らかの処置を受けて生き返ったと伝えた。

その頃Sheridanはセンサーの調整を終え、HornがCarterの部屋にいるのを突き止めた。 知らせを受けたGaribaidiは部下と共に室内に突入したが、HornはTaliaを人質に取っており、 彼らに武器を置かねば彼女を殺すと言った。 Garibaldiらが武器を捨ててHornとにらみ合っている所にSheridanが駆けつけ、 Hornに彼は火星を裏切るように操られているのだと言って、 黒幕を突き止めようと説得する。 説得に応じかけたHornだったが、 意識を取り戻したCarterに「地球人の血によって砂が赤く染まらなければ 火星には平和は来ない」と叫びSheridanに発砲し、彼の反撃で倒れた。 死ぬ前に彼はSheridanに自分を殺してくれた事を感謝するが、 彼の死体にエネルギーサージが起こり、皆が室外に逃れた直後に爆発した。 Sheridanは証拠が失われたことを悔しがった。

医療室で治療を受けるCarterはTaliaに、 Hornの求めに応じて彼女を危険に晒した事を謝罪した。 Garibaldiの追求に対して彼女は Hornと自分はかつて恋仲にあり平和的な組織だったFree Marsに所属していたが 組織が過激化したために脱退し、 その事を自分のキャリアを棒に振らないために隠していたといった。 Taliaも彼女がHornを助けようとしていただけで、 火星の平和的な独立を望んでいることを保証した。 そしてSheridanは彼女がIsogiの遺志を継ぐ事を条件に 彼女の過去を秘密にする事を約束した。
Carterと別れた後、Taliaは自分が見たHornの手術のシーンについて Sheridanに話したが、その場に居た者については誰だか判らなかったと答えた。

なぜLazarus計画について知っていたかとGaribaldiに尋ねられたSheridanは、 秘密集めが自分の趣味だと説明した。 そしてこの所の地球同盟内部の不穏な事件の背後に居る黒幕について なにを知っているか尋ねるGaribaldiに口止めをして、 Bureau13という地球政府内の秘密組織の存在を明かした。 そしていつか必ず黒幕を見つけて殺してやると誓った。

San Diego荒廃地の小部屋で"13"はBabylon5から、 作戦が半分しか成功せず、 Isogiは殺されたがHornも火星に向かう前に死んだという報告を受けた。 彼女の問に対し相手は、 "Control"は組織は安全だと思っていると答えるが、 思うだけでは不十分だと彼女は叱責し、通信を切った。 彼女はHornの手術場面にいたPsi Copと同一人物だった。

Taliaは自分のコンピュータで、彼女が見たPsi Copのデータを検索していた。 やがて彼女のファイルが表示されたが、 画面には彼女が既に死亡していると表示されていた。


印象に残ったシーン、台詞


Memo

"13"と名乗るPsi Copの女の正体はだれか? Taliaは彼女のファイルをあっさり検索していたから、名前を知っている可能性が高い。 彼女の教育係だったAbbiかもしれない。 しかしTaliaの記憶の中の彼女は、暖かい心の持主だった。 とすると彼女もまた、HornあるいはTaliaと同じプログラムの犠牲者の可能性もある。

San Diegoでは2150年に核によるテロ攻撃があり、 それがきっかけとなって世界戦争が勃発し、 最終的に地球同盟の支配が確立した。 そのテロ攻撃によってSan Diego一帯は居住不能地帯となっている。

SheridanとIvanovaとのTaliaが信頼できるかどうかの会話は、 もっと後の"Divided Loyalties"での彼女の運命を知ってしまうと どちらが正しかったか判断が難しい。

Carterの部屋でHornに捕まったTaliaは、「痛み」という言葉を 何度も彼に言う。 この言葉は#16 "Eyes"で GreyがBen Zaynに言って動きを止めた言葉である。 TaliaはHornがBen Zaynと同様の条件付けを受けていると考えたらしいが、 そもそも一介の商業テレパスである彼女が、 なぜその条件付けの事を知っていたのだろうか?

最後の場面で"13"と話している相手は、 「"Control"は(組織は)安全だと見ています」と報告している。 この"Control"というのは、実はスパイのコードネームであり、 その正体を知ると今回のストーリーはさらに複雑怪奇である事が判明する。 (#41 "Divided Loyalties")

T'Karとのファーストコンタクトについては、 小説"Clark's Law"で扱われているようだ。


前話へ 次話へ 戻る
inserted by FC2 system