Babylon5 #30

#30 A Race through Dark Places

粗筋

IvanovaはSheridanにBabylon5の財政問題についての地球からの指示を報告していた。 地球同盟軍の輸送船の出入りが増加し、そのあおりで商業船からの収入が減った結果、 基地の収益はこの2ヶ月で15%減少していた。 赤字を補うために、他のスタッフより少し部屋が広いSheridanとIvanovaは より狭い部屋に移るか、週に30クレジットを支払えという命令が 地球当局から届いていた。 Sheridanはそれを聞いて激怒してその命令に従わず断固戦うと宣言し、 Ivanovaにも同調を命じた。

火星のコロニーでは、Besterが未登録テレパスたちを助ける地下組織に情報を流していた 一人のテレパスを尋問していた。 彼は、おまえは敵に利用されていただけで、Psi Corpsの恩を忘れてはいけないと 男を諭したが男が何もしゃべろうとせず、 テレパシースキャンに対抗して「Maryは子羊を飼っていた」という文句を繰り返す。 Besterはなおもディープスキャンを続け、 ついに男は苦しみながら死んでしまうが、Besterは彼の最後の意識から、 地下組織のルートがBabylon5にある事を探り出した。

士官ラウンジEarhart'sでSheridanはFranklinに、 地球当局の彼への「不当要求」について話し、 意気盛んに断固戦う覚悟を示す。 Franklinはやや呆れ気味に彼の話を聴いていたが、 Sheridanは決して余分な金を払わないと強気だった。 通路でDelennが彼に会って彼女が地球人をもっと理解するために 彼を二人でのディナーを誘い、彼は了承した。

BesterはBabylon5に到着し、指令スタッフ全員との会議を求めた。 彼はSheridan, Ivanova, Garibaldiを前に、 Babylon5で未登録のテレパスたちを逃がす地下組織を摘発するための 全面的な協力を要請する。 しかしSheridanは即答を避け、BesterがTaliaと出て行った後で Garibaldiに彼の要請に従わなくてはならないかを尋ねた。 Garibaldiは 法的には彼らはPsi Corpsに全面協力しなくてはいけないと答え、 それを聴いたIvanovaは反発する。 彼はSheridanに、Psi Corpsはもともとテレパスを恐れた普通人が 彼らを閉じ込める組織として作ったものだったのに、 今では何を企んでいるのか判らない組織になった皮肉を指摘した。 Sheridanも同意し、彼にBesterへの協力と共に 監視をも怠らないように命じた。 Garibaldiが部屋を出て行った後、 IvanovaはSheridanがここに赴任前に起こったIronheartの一件について Besterのファイルに目を通すように忠告した。

BesterはTaliaと話しながらZocaloの商店の間を歩いているとき、 「殺人者」というテレパシーのささやきを聞いた。 Taliaにはそのささやきを聞き取る事は出来なかったが、 彼はここに実際に問題の地下組織がある事を確信した。
地下組織の非登録テレパスたちは会合を開き、 リーダーのRickは皆に警告を発するように伝えた。 テレパスたちは、 Besterに彼らの邪魔をさせないには彼を殺すよりないと主張する。

Sheridanとの約束のレストランにDelennは 魅力的な黒いイブニングドレス姿で現れ、 彼だけでなく周囲の人たちも彼女の姿にびっくりする。 彼は彼女に何を注文するか尋ね、二人はメニューを検討した。
Earhart'sではGaribaldiがIvanovaに会って、 彼女が地下組織の関係者ではと尋ねていた。 彼はこのような大掛かりな組織を運営するには上級士官の関与が必要で、 それが彼女ではと考えていたが、 彼女は確かにPsi Corpsに恨みを持っているが自分ではない、 彼の話はもっと別のものと期待していたと言うと、 彼は地球本部からの通達について彼女に伝え、 彼女は慌ててラウンジを立ち去った。
Delennとのディナーとユーモアについてのおしゃべりを楽しんだSheridanは、 Minbari人は決して笑わないと思っていたと彼女に言った。 彼女は笑い無しではどんな種族も真に知的とは言えないし、 ユーモアはMinbariの宗教的発展の重要な一部だと答えた。 Sheridanが地球でも似たような事を言うと言ったのに対し、 Delennは両種族はこれまで考えられていたよりずっと共通点が多いと答えた。

Taliaが部屋で眠ろうとしていたとき、Besterから通信が入った。 彼は昨年のIronheartの一件での彼女への振る舞いを謝罪して、 彼女の事をもっと知るためにと明日の朝食に誘った。 通信の後、彼女は鏡を見ながらIronheartの事を思い出し、物思いに耽った。 テーブルの上にあったコインが動き出し、中を飛んで壁にめり込んだ。 彼女はBesetrの二度のスキャンにも関わらず、彼女がIronheartから授かった能力を 気がつかなかった事に驚き、それもまた彼の贈り物の一つなのかと独白した。

Delennとのディナーを楽しんで上機嫌のSheridanは部屋の前まで戻ったが、 ドアのロックが開かなくなっていた。 彼がドアと格闘しているとIvanovaが現れ、 地球本部の指示で彼が小さな部屋に移るか使用料を払うまで 封印されたという情報を伝える。 彼女は別の部屋を借りるつもりだったがSheridanはそれを許さず、 彼女を連れてオフィスに戻りソファーをベッド代わりにして そこに立てこもる事にした。 彼は弱みを敵に見せるなと主張し、 意気盛んな様子でつまらない冗句を連発するが、 Ivaonovaはすっかりうんざりして、 何とかソファーで眠ろうとする。

その頃非登録テレパスたちは襲撃のための武器を準備していた。 一人のテレパスは単にBesterから隠れるだけで十分ではと言うが、 RickはBesterの恐ろしさを良く知っていた。 皆は彼の意見に賛成し、テレパススキャンをブロックするための 「Maryは子羊を飼っていた」という文句を何度も繰り返した。

Taliaとの朝食の席で、Besterは前大統領の死について触れ、 その件に関してBabylon5のスタッフが何を言っているかを 監視するように彼女に求めた。 突然彼の心に彼への襲撃計画が聞こえ、 とっさに身をかわして攻撃を逃れて相手を撃ち殺した。 しかしTaliaは襲撃グループに捕まり、そのまま拉致された。
Besterは襲撃の様子について説明するが、 Taliaは無事だがどこにいるか判らない、万一彼女の身に何かあっても 自分やPsi Corpsに関する情報を彼女は持っていないから大丈夫だと言って、 Garibaldiを激怒させた。
Taliaが気がつくと、非登録テレパスたちに取り囲まれていた。 リーダーのRickが彼女を傷つけたくないが必要ならそうすると言うのに対し、 彼女は彼らはPsi Corpsを誤解していると言う。 Rickは彼女自身も本当はそう思っていないと反論し、 自分たちは彼女に理解してもらいたいだけだ、と言った。

FranklinがSheridanに会いに来て、 Taliaを拉致したグループが司令官と話し合いたいと言っていると伝えた。 彼はその情報源を明かさなかったが、 Sheridanは一人で行かなくてはいけないと告げ、了承された。
BesterはGaribaldiが彼の事をひどく嫌っているのに対し、 自分もTaliaの事を心配しており、 また普通の人間と同じように妻子も居るというが、 Garibaldiの嫌悪は変わらなかった。 それでもGaribaldiは、彼を襲撃した男がDownbelowの住人だった事を告げた。

Taliaは未登録のテレパスたちから、Psi Corpsから受けた非道な扱いをつぎつぎと聞かされた。 彼女はそれを信じられなかったが、Rickは彼女が真実から目をそむけており、 Psi Corpsはテレパスの団結を阻止し自由を奪っていると訴えた。 そして自分はIronheartに起こった事を知っていると言った。
Rickの説明によると、IronheartはRickと共にPsi Corpsの実験台にされ テレパシー能力を強化された。 Rick自身もP12を超える能力を持つようになったが、 Ironheartはそれをはるかに凌駕していた。 やがて二人は実験施設を脱走したがIronheartはTaliaに何かを与えており、 自分たちにはその能力が必要だと言って彼は彼女の協力を求めた。

Sheridanが約束の場所に行くと、物影から現れたのはFranklin自身だった。 彼は自分が組織のリーダーの一人だと言う。 続いてTaliaらも現れ、Sheridanに彼の話を聴くように言った。
Franklinは自分が地球に戻っていたときに、 Psi Corpsによる非人道的実験の話を知り、 少数の医師仲間と非登録テレパスを地球から逃がす組織を立ち上げた経緯を語った。 Sheridanは彼の主張には賛成するが、軍人の責務として 法に従わなくてはいけないと言うが、 Franklinは人道という法の方が上だと反論する。

Besterが現れ、未登録テレパスのグループの先頭にいるRickを見て、 彼らがおとなしく地球に帰れば手荒な真似はしないと言った。 しかしグループの中にいたTaliaは彼が嘘をついていると叫んだ。 そしてPsi Corpsの真の目的はテレパスを普通人から隔離するだけでなく、 テレパス自身も互いに孤立させて管理する事だと喝破し、 手袋の着用を強要しているのもその為だと言って素手を示し、 グループは手を繋いだ。 これによってBesterのテレパシーに対抗して戦えるはずだったが、 なぜかうまく行かず、RickはTaliaのせいだと叫ぶ。 そのとき彼女はBesterと共にPPGを抜き、 未登録テレパス達全員を射殺した。
Besterは本当は彼らを生きたまま捕らえたかったが仕方ない、 彼女のPsi Corpsへの忠誠に満足したと言う。 そして彼女になにも知らないふりをして 彼と別に戻るように命じ、その場を立ち去った。

Sheridanは物陰からTaliaを含む非登録テレパスたちが手を繋いでいる前に現れた。 彼が見たのは、Besterが現れて何もせずに暫く佇み、 ほくそえんで立ち去っていった光景だった。
彼に対しTaliaは、テレパシー投影でBesterに 未登録テレパス達が全滅したという幻を見せたと説明した。 彼は自分の望みのものを見たため、何も疑わずに信じるはずだった。 Franklinは組織の存在そのものはBesterにばれてしまったため、 Babylon5外に組織を移動させると表明した。 また、Besterにスキャンさせないため、 Sheridanは適当な理由を作ってBesterがBabylon5を離れるまで 彼に会わないように求められた。 帰り道、SheridanはFranklinに今後同じような行為を繰り返さないように求めるが、 Franklinは確約を拒んだ。
RickはTaliaに触れ、彼女は自分が知っている以上のものを Ironheartから受け取っていると告げた。
そして「あんたは自身が思っている以上の存在だ、 あんたは未来だ」と言って立ち去った。

IvanovaはSheridanに地球当局へのばかげた抵抗は止めるよう頼み、 彼のいびきで全く眠れなかったと言った。 彼は戦闘準備用の予備費から毎週60クレジットを払う事に決め、 これで彼らの部屋の封印は解かれることになった。

ドッキングベイでBesterはTaliaに、SheridanらがPsi Corpsに非協力的な事に 失望したと言い、彼らの監視を続けるように求めた。 別れる前に彼は一瞬立ち止まり彼女の方をいぶかしげに見たが、 そのままBabylon5を後にした。

Ivanovaがようやく部屋に落ち着いた所へ、Taliaがワインを持ってやってきた。 そして、Psi CorpsについてIvanovaの主張の方が正しかったと謝罪し、 自分は話し相手が必要だと言った。 Ivanovaは「あなたはいいわ、でもそれは」とPsi Corpsのバッジを見つめた。 バッチをはずしたTaliaに彼女は微笑み、二人はワインを酌み交わした。


印象に残ったシーン、台詞

Delennのイブニングドレス姿は確かに魅力的。 彼女が前回Ivanovaに助けを求めていた事を思い出すと、 このドレスの出所もIvanovaかもしれない。


Memo

Ironheartの一件とは、 "#6 Mind War"での出来事である。

非登録テレパスのリーダーRickは、"Chrysalis"で Garibaldiに情報を渡した人物である。

今回のディナーの場面では、DelennとSheridanの心はまだ必ずしも 通い合っていない。 二人の関係がはっきりと進展を始めるのは、 もっと後の"#40 Confessions and Lamentations"からである。


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