Babylon5 #36

#36 There All the Honor Lies

粗筋

地球のBabylon5監督委員会の新たな計画により、 基地を経済的に独立させるためZocaloにギフトモールを開いて Babylon5グッズ販売による収益増加を図る事になった。 IvanovaはSheridanからその決定を聞かされて、 基地の品位を落とすものだとかんかんに怒るが、 Sheridanはそれならば品位を落とさないようにギフトモールを監視するように 彼女に命じた。
彼はKoshから「相互理解のためのレッスン」に呼び出されていて、 それに行く前にIvanovaに、 彼の妹の為にBabylon5の野球帽をギフトモールで見つけてくれるように頼む。

SheridanはZocaloへ向かう途中で地球人の男にぶつかられ、 その男にコムリンクを掏られた事に気づいた。 彼は男を追跡する最中に、今度はMinbariの男に襲われて床に投げ倒され、 さらに相手が「死んでしまえ」と言いながら銃を彼に向けたのを見て、 とっさにそこに落ちていたPPGを撃って、その男を殺してしまった。 近くで一部始終を見ていた別のMinbariの男は、 急いでその場を立ち去った。

SheridanはDelennとGaribaldiに事件を説明し、正当防衛を主張するが、 死んだMinbari人Levellの遺体からは武器は見つからなかった。 Delennは、Levellは尊敬されている家族の出身で、 Minbari政府は説明を要求しているため、 彼女自身がこの事件を調査すると主張する。 Garibaldiはそれに反対するが、 現在の難しい状況の中で両種族間に新たな誤解を起こしてはいけない、 自分たちが調査しなくてはSheridanを救えないと彼女は言う。 彼女が立ち去った後で、 SheridanはGaribaldiに、目撃者のMinbari人を探すように命じた。
その頃、Londoの部屋にCentauri本国からメッセージが入った。 彼が部屋を外していたために、代わりにVirがそれを受け取る。

Garibaldiは一人のMinbari人に事件を目撃したか尋ねていたが、 彼はその場に居なかったと答えた。 Garibaidiはさらに彼に犯人の心当たりを尋ねると、彼は怒りを露にした。 そのときLennierが現れ、男と個人的に話がしたいと言い、 Garibaldiはしぶしぶ承諾した。

GaribaldiはSheridanに、Lennierが彼の後を付け回している事を訴える。 Sheridanは盗まれた彼のコムリンクの事を尋ねるが、 Garibaldiはそれが使われた様子は無く、壊されたのだろうと言った。 そしてSheridanにわざと追いかけさせるために男はそれを盗んだのでは、 と推理した。

FranklinはLevellを検屍するが、 Sheridanの正当防衛を立証する手がかりは得られなかった。 彼が使ったPPGがその場に落ちていた理由も判らず、 状況は彼に不利なものになっていった。

新しく開設されたモールの中で、TaliaはVirにぶつかった。 彼は何かショックを受けて混乱している様子で、 心配した彼女が大丈夫か尋ねると、大丈夫ではない、 自分はもうここには居られなくなったと答える。 そして彼女がそれ以上何か言う前に、彼は群衆の中に消えた。

DelennとLennierは、彼が見つけ出した事件の目撃者Ashanと話していた。 彼はLennierと同じ一族の出身だったが非協力的で、 Delennの質問に答えようとしなかった。 そして彼女が重ねて尋ねると、 「化け物とは話せない」と言い放ち、 それを聞いたDelennは表情をこわばらせて部屋から出て行った。 Lennierは彼が彼女を傷つけた事を責めるが、 「あの女はMinbariの恥だ。」とAshanは言い、 Delennではなく同族のLennierになら真実を話そうと続けた。

ショッピングモールの監視にやってきたIvanovaは、 さまざまなお土産グッズの山に目を見張る。 ある店に居たDraziは実はマスクを被った地球人で、 逆に客の地球人がマスクを試着したDraziの観光客だった。
一方Zackは、到着したばかりのブリーフケースを抱えた女性に、 司令官の居場所を尋ねられていた。

Sheridanのオフィスにやって来たDelennとLennierは、 彼が無抵抗のLevellを撃ったとAshanが証言したと話した。 憤慨したSheridanは、Levellが「死んでしまえ」と叫んで襲い掛かってきた と主張するが、それはMinbari語で「降参する」と言ったのを 聞き間違えたのだとLennierは言う。 さらに興奮したSheridanがAshanを嘘つきと呼ぶと、 Delennは「今の言葉は聞かなかった事にします。」と彼を遮る。 その言葉の意味が解らない彼に、 Minbari人は決して嘘をつかず、 嘘つき呼ばわりは最大の侮辱で、言った相手を殺さねばならないと 彼女は説明した。
やがてSheridanの求めに応じてつれて来られたAshanは、 彼の事を"Starkiller"と呼び、 「歴史から学ばない者はそれを繰り返すというのは地球人の諺だが、 Minbariは歴史から学んだ、とても注意深く。」と言う。 DelennはAshanに、見間違えという事はないかと尋ねるが、 彼はそれを否定する。
そのとき、ZackがGuinevere Coreyという女性を連れてきた。 彼女は地球から送られたSheridanの弁護士だと告げ、 これ以上彼が事件について話す事を止めた。 Delennらが出て行った後、Sheridanは彼女に弁護士など必要ないと言うが、 彼女は地球本部が真実を明らかにするために 彼の告訴を決定したことを知らせ、 たとえ裁判の結果が無罪でも彼は司令官を辞めさせられると告げた。

Sheridanは自分の部屋でIvanovaに現状についての不満を並べ立てていた。 彼女が彼をなだめて部屋を出て行ったあと、 すぐにドアベルが鳴り、入ってきたのはKoshだった。 レッスンだと言うKoshに、今日は忙しくて忘れていた、 それに今はそんな気分ではないとSheidanは答えるが、 Koshは今こそレッスンに最も適した時だと言い、結局Sheridanは彼に従った。
Koshは彼をDownbelowの奥深くに連れて行き、 ぼろ布が下がった狭い空間に入るように言う。 彼に究極の美の世界があると言われたその場所に入ったSheridanは、 その奥でマントをかぶった乞食に出会った。 乞食は黙って鉢を差し出し、 金を持っていないSheridanは少し考えて自分の制服についた記章を鉢に入れる。 乞食がそれを受け取ると、突然歌声が流れ出し、 彼の周囲に同様のマント姿の何人もの人影が現れ、不思議な光のパターンが 歌声と共に動いた。

LondoはVirがZocaloのバーで自棄酒を飲んでいるのを見つけた。 彼がこの基地にLondoの副官として来たのは他になり手が居なかったからで、 家族の持て余し者だった彼は元々はここに送り込まれたのだった。 ここで彼はこれまでLondoの秘密を守り、彼に尽くしてきた。 しかしLondoの立場が上がり重要性が増したため、 Centauri政府は彼に替わる後任を送る事を決めた。 彼は自分がどこでも必要とされていない事を知り、 落ち込んでいたのだった。
彼はLondoに失礼を詫びて、どこかに立ち去った。 彼を追おうとしたLondoは、近くのテーブルで彼の人形を手にして笑っている 女性を含むCentauri人の一団に注意を引き付けられた。 始め彼もその人形を手にとって上機嫌だったが、 突然皆が笑っている理由に気がついて人形をわしづかみにして 急いで立ち去った。

レッスンから戻ってきたSheridanは、移動チューブの中で Koshに礼を言った。 ドアが開いてKoshと入れ替わりに入ってきたIvanovaに尋ねられたSheridanは、 「暗闇の中の美」を学んだと語る。 その言葉を聞いた彼女は、 彼がVorlonの様な話し方をするようになったと言う。
二人がオフィスに戻る途中、 人形を手にしたLondoが現れて話があると言った。

Ashanがどこかに向かうのをGaribaldiの命令で尾行していたZackは、 背後からLennierによって気絶させられた。 LennierはAshanがSheridanのコムバッチを掏った男と話している所に近づき、 気づいたAshanとLennierは戦いの構えをする。 Ashanに対してLennierは、彼が真実と一族の誓いのどちらを重んじるかと尋ね、 Ashanはその場から逃走した。

Londoは二人に、このような自分を侮辱する人形を Centauri政府は許さないと主張し、 どこが問題なのか解らない二人は困惑する。 Londoはこの人形はある重要なものが欠けているといい、 理解したSheridanはIvanovaに、 この人形をモールから一掃するように命じた。
その後の雑談で、彼がMinbari人は決して嘘をつかない、と言ったのに対し、 Londoは「嘗てCentauri大使の名誉を守るためにあるMinbari人が嘘をついた、 彼らは名誉を守るためには嘘をつく。」と指摘した。

石庭で待っていたDelennにSheridanは、 Minbari政府がAshanを本国に送還するよう要求してきた事を伝えた。 彼は証人が居なくなって裁判が行えずに真相が解明されない事によって 自分の信用を失わせることが目的ではないかとDelennを詰問し、 それまで黙っていた彼女は急に立ち上がって彼に背中を向ける。 Sheridanがその彼女にさらに、 戦争中に戦闘機が故障して8時間宇宙で彷徨ったときの体験を 話して「宇宙の闇に一人取り残されるほど辛い事はない。」と言うと、 初めて口を開いた彼女は、 自分が孤独で自国の政府からも完全に孤立している事を話した。 そして彼がMinabri人が名誉のためには嘘をいう事があると なぜ教えなかったのか、 名誉こそMinbariで最も重んじられるもので、 一族の名誉のためにはどんなものも犠牲にするのではと問うと、 意を決した彼女は自分について来るように言う。

送還の指示を受け取りに来たAshanにLennierは、Sheridanたちに真相を話すと言う。 Ashanはそうすれば彼や彼の一族Chudomoのみならず、 同族のLennierも名誉を失うと反発するが、 Lennierは逆にそれこそが名誉を救う事になると言う。 Ashanはこの一件がChudomoの長老により Grey評議会や政府に相談せずに仕組んだことだと明かした。 Chudomoは地球-Minbari戦争で卑怯な作戦でBlack Starを破壊した SheridanがBabylon5の司令官になったことに反感を抱いていた。 Ashanはコムバッチを掏った男から、LevellがSheridanをおびき出して やはり彼から手に入れたPPGで撃とうとしていたことを聞き出していた。 そして、自分はSheridanを殺そうとした同族のLevellの名誉のために 嘘をついたことを明かした。
このとき奥の部屋のドアを開けて、 隠れていたSheridanやDelenn, Coreyらが入ってきた。 LennierはAshanに、告白の一部始終を録音したと告げる。 DelennはLevellもAshanと同じChudomo一族であることを知り、 真相に気が付いていた。 Coreyに対して彼女が、 Minbari政府はこれ以上事件の真偽について争うつもりは無いと告げると、 Sheridanは事件の経緯を発表して自分の正当防衛であることが証明されれば、 真相は公にしないことを約束した。

VirはLondoの部屋でまだ酒を飲み続けていたが、 Londoはもうすぐ彼の後任が来るので荷物をまとめるように言った。 しかしまずLondoの荷造りをするように言い、 戸惑うVirに彼がVirが自分によく尽くしてくれており、 もしVirを交代させるなら自分もBabylon5を去ると政府に伝えたと知らせた。

SheridanはIvanovaからモールにあったテディベアを受け取った。 それは野球帽を被り、後ろには"Ba-bear-lon 5"と書かれていた。 しかし人形のモデルが自分であることに気づいたSheridanは急に不快になって 彼女にすぐにテディベアをモールから撤去するように命じた。

StarFuryでパトロール飛行をしていたKefferの目の前の窓に、 捨てられたテディベアが飛んできて張り付いた。 ちょうどそのとき、「不審な物体はないか」という 確認の通信が基地から入っていた。


印象に残ったシーン、台詞

大勢の中で孤立する事。 仲間や政府にも見放され、自分さえも信じられない。 私はその辛さを身をもって知ったわ。
-- 石庭でのSheridanへのDelennの言葉。


Memo

"All Alone in the Night"でGrey評議会を追われたDelennは、 今回同じMinbari人に「化け物」と呼ばれた事で さすがに孤独感に耐えられなくなったようだ。

LondoがあるMinbari人が大使の名誉を守るために嘘をついた、と言ったのは "The Quality of Mercy"での 乱闘騒ぎの後の一件である。

KoshのレッスンでSheridanが出会った乞食だが、 自動人形かもしれない。

ギフトモールのLondoの人形に欠けていたものとは? この問にはどうやら"The Quality of Mercy"での LondoとLennierとのやり取りが 答えになっているようだ。
あの場面で、Londoの怒りの理由をSheridanは気がついたようだったが、 Ivanovaの方は理解できないまま、 相手に合わせていただけのような気もする。
一方Sheridanがテディーベアを見て怒った理由が、今ひとつピンと来ない。

LevellとAshan, Lennierが同じChudomo一族なら、 Levellもまた聖職者カースト出身という事になるが、 彼の服装は戦士カーストのものだった。 この辺りの設定はやや謎である。

Sheridanが司令官解任の瀬戸際に追い込まれたのは、 おそらく前話での地球特務捜査局への非協力によって 大統領に睨まれたからだと思われる。 とすると、Guinevere Coreyは逆にHague将軍側から送り込まれたのだろうか?
Delennだけでなく、彼もまた自国政府から疎外され、 「大勢の中の孤独」を感じる立場になった。

Guinevere Coreyの俳優Julie Caitlin Brownは、 第一シーズンではNa'Tothを演じている。


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