Babylon5 #37

#37 And Now for a Word

粗筋

一話全体が、ISNによる特別番組「Babylon5 36時間」の体裁となっている。

2259年9月16日、 ISNのニュースセンターのキャスターCynthia Torquemanと 取材班が実際にBabylon5に36時間滞在した時の映像を編集した番組が放送された。 番組の提供はInterplanetary Expeditions社 (IPX)だった。

取材班のシャトルHeyerdahlがIvanovaの管制によってBabylon5に入港しようとしていた。 彼らの目の前で、Narn船N'tonがCentauriの輸送船Maliosに攻撃を仕掛け、破壊した。
入港した取材班は、死者や負傷者が並べられた中央ドッキングエリアで部下に指示を送る Franklinにインタビューを試みるが、すげなくあしらわれた。 その場に駆けつけたSheridanはNarn船の乗員を逮捕するため戦闘機を派遣したとだけ述べた。

ISNのインタビューに対しCentauri共和国のLondo Mollari大使は、 今回のような出来事は平和の追求というBabylon5の目的を危うくするもので、 Narnによる中立地帯でのCentauri人民に対する復讐行為は無謀で無責任な行動だと非難した。 そして今回のNarn船の攻撃は全く不当なものだと断言した。
それに対してNarn政府のG'Kar大使は、 Londoは嘘をついていると主張し、本国政府と連絡を取ってから 今回の攻撃理由について説明すると述べた。 そしてTorquemanが、今回の攻撃はステーションの人々を不要に危険に晒すものでは、 と尋ねたのに対し、自分たちNarn人は既にそれ以上の危険に晒されていると反論した。

次に実際にこの基地に住み、働いている人たちへのインタビューが行われた。
港湾監督のEduardo Delvientosは、 ここでは日に50--60隻の船が入港し、気が狂いそうになるほど忙しい、 特に昨年は予算削減等の問題が山積みだったと述べた。
一方で司令室勤務のDavid Corwin少尉は、 ここでの仕事で得がたい体験を出来、大体において満足していると述べた。

Sheridan司令官へのインタビューの中でTorquemanは、 この基地が稼動したとき6ヶ月以内に破壊されるだろうと言われていたが、 実際に稼動後にも多くの変化があり、困難な状況にあるのではと、指摘した。 それに対しSheridanは、自分は以前はOmega級戦艦Agamemnonの指揮を取っていて、 非同盟惑星諸国の多くを色々な任務で訪れた経験がある、 変化は軍人の生活には付き物だ、と答えた。

Franklin医療部長はインタヴューの中で、ここは結局は 宇宙空間の真空に囲まれた巨大なブリキ缶のようなものだと言い、 青年時代に初めて地球を離れたときに、 仲間の一人が事故で宇宙空間に放り出されて死ぬのを見た経験を話した。 そして"spacing"(宇宙服なしで宇宙空間に放り出す死刑)について 冗句を言う人たちを批判した。
Torquemanはステーションのエアロックは安全だとはいえ、 稼動して一年目で半ダースの殺人と爆弾事件を含む3件のサボタージュ、そして Vorlon大使の暗殺未遂事件が発生しており、 50人が暴力の犠牲になっていると伝えた。 そしてそれでもBabylon5を維持し続ける意味があるのか、と疑問を呈した。

ここで、Narn政府の声明を読み上げるG'Karの会見があった。 彼は破壊されたCentauriの輸送船は商業目的の物ではなく、 Narnとの戦争で使用するための大量破壊兵器を積んでいたと述べた。 そしてBabylon5がそれらの兵器の輸送ルートとして利用される事を たとえ基地を閉鎖に追い込んでも絶対に阻止する、と宣言した。

最近地球同盟政府内部からも、これ以上異星人政府とごたごたに時間と予算をつぎ込む 事への疑問の声があがっていた。 その点についてTorquemanは、 地球のBabylon5監督委員会議長であるRonald Quantrell議員に質した。
彼はBabylon Projectは地球-Minbari戦争を教訓として Santiago前大統領によって提唱されたものだが、 戦争後14年経ち、地球の軍事力は増強されており、 たとえ再び戦争があっても以前とは違う結果となるだろう、と言った。
それに対しSheridanは、現在でもMinbariやCentauriましてやVorlonと比べて 地球の技術力は劣っていると指摘し、議員の意見は楽観的で自己欺瞞だと言った。 Torquemanが戦争は地球ではなくMinbariの降伏で終わったと指摘すると、 彼は複雑な笑いを浮かべながら頷いた。

次にインタビューされたのは、副司令官のSusan Ivanova中佐だった。 彼女は司令室で、 破壊されたCentauri船の破片を調査する指揮を取っている所だった。 これはG'Karからの要請で、この船が実際に禁止兵器を積んでいたかどうかを 調べるためのものである。 彼女は自分がロシア出身で、 地球同盟軍に入ったのはMinbari戦争で戦死した兄の意思を継ぐためだったが、 実際に彼女が参加する前に戦争は終わったと述べた。
次にインタビューされたGaribaldi警備主任が、 自分の願いは一日が何事も無く終わってくれる事だといっている最中に、 Ivanovaから問題が起こったと呼び出しが入った。

TorquemanはBabylon5の人口の42%が異星人で、彼らは「異星人地区」に住んでいると述べた。 彼らのうちで、最もミステリアスなのが 2年前にここに赴任したVorlon大使のKosh Naranekだった。 地球はこれまで3回Vorlon宙域に探査機を送ったがいずれも行方不明となり、 Vorlon政府は事故に遭ったのだろうというだけだった。 従って、Koshがほとんど姿を見せず、 人前に現れるときも常に環境スーツに身を包み、 真の姿を誰も知らない事と相まって、 VorlonがBabylon5に大使を送った理由自体が大きな謎だった。 ISNの取材班は彼の姿をカメラに収める事に成功したが、 インタビューの試みは失敗に終わった。

Vorlonの次に謎めいているMinbari連邦のDelenn大使に ISN取材班は再三の申し込みを行い、彼女はついにインタビューに応じた。
彼女は求められるままに、 Minbari本星について簡単な説明を行い、 Minbariの聖職者カーストの言葉で挨拶して見せた。 Torquemanが彼女の外見が赴任当時のそれと 別人の様に変わっている事を指摘したのに対し、 彼女はお互いの国民のより良い理解のために、自ら姿を変えたと説明した。 しかしTorquemanは、Minbariとの戦争で25万人の地球人が死んだ事を指摘し、 彼女の変身は残された彼らの家族に対する侮辱ではないかと追求した。 彼女がうろたえて動揺し、涙ぐんで会見を終わらせようとしているとき、 Ivanovaから顧問会議への出席要請が入った。

惑星連合を加えた顧問会議で、 G'Karは破壊されたCentauri船が実際に核融合爆弾、イオン兵器、 マスドライバー、高エネルギー兵器の補助機器を積んでいた事が Ivanovaの調査によって証明されたため、 他の7隻のCentauri輸送船も臨検する事を主張した。 それに対しLondoは、武器の受け渡しは基地の中ではなく外で行われるはずで、 攻撃したNarnにこそ非があると反論し、 二人は真っ向から対立してDelennやSheridanの仲裁に耳を貸そうとしない。 そのうちに、外ではNarnとCentauriの戦闘が再開された。
戦闘によりステーションの外壁にも被害が及び、住民が避難を開始する。 SheridanはStarFury Delta中隊を出動させるが、両者ともかなりの船が破壊された。

その間にTorquemanはG'Kar大使へインタビューをしていた。 彼は150年前にCentauriがNarnにやって来て、 Narn人たちに歓待されたにも関わらず、 その後Narnを100年もの間くびきに繋いだ事や、 長期に渡る抵抗運動の末に独立を勝ち取った事を説明した。 そして彼の父親はCentauriの家庭で奴隷として使われ、 些細な失敗によって木に吊るされ殺された事、 父が死ぬ前に彼に戦いに行くように言い残した事などを話した。 Torquemanが彼に、今回の戦争でNarn軍はCentauriに 一方的に敗北し続けているのをどう思うかと尋ねると、 彼はそれはCentauriによる宣伝で、 自分たちは決して降伏しないと言い返した。
次にインタビューを受けたLondo Mollari大使は、全く逆の事を主張した。 彼によると、CentauriはNarn人に進んだ技術を与え、教育してやったのに、 彼らは暴力と死によってお返しをした。 そしてCentauriが手を引いた後も、彼らはCentauriを目の敵にして侵略を続けた。 この戦争は全くの防衛戦争で、自分たちは平和を望んでいる、 とLondoは主張した。

StarFury中隊の出撃によってやっと戦闘が収まりかけたときに、 ジャンプポイントからCentauriのPrimus級戦艦が現れる。 LondoはCentauri輸送船への臨検を強行するなら Babylon5を攻撃するといい、 輸送船が安全に脱出するまでBabylon5を封鎖すると宣言した。

ここでPsi CorpsからのCMが入った。 CMではテレパシー能力を持つ為にいじめられている子供の家庭に Psi Corpsが助けに訪れる様子が描かれ、 もしテレパシー能力があると思われる人が近くにいたら、 Psi Corpsの事務所に連絡するように呼びかけていた。

今回の危機を平和的に終わらせるため何度も会議が開かれていた。 TorquemanがSheridanに、 地球からCentauriの主張を飲むように圧力が有ったのではと尋ねている所に、 G'Karが現れた。 彼はCentauriの脅迫を一掃する手段を取ると宣言した。
Quantrell議員は、Torquemanの質問に、 Babylon5の存在の為に無用に地球人の生命が危険に晒されている、 この戦争には地球は関係ないと答えた。
(この部分は実際には、事件後地球に戻ったTorquemanとの会話である。)

SheridanはCentauri戦艦に脅しには屈しないと通告し、 彼らの意図を見極めるために無人船を送り出した。 そしてかれらが攻撃してこないのを確かめ、 封鎖をはったりと見破って交渉を始めようとした。 ところがそのとき、新たにジャンプポイントが開き、 NarnのG'Quan級戦艦が出現した。 Narn戦艦はBabylon5の呼びかけを無視し、Centauri戦艦に攻撃を仕掛けた。 Centauri戦艦も反撃し、交戦の結果両者は共に大きなダメージを受け、 Centauri戦艦は破壊された。 しかしNarn戦艦自身もジャンプポイントを形成するのに失敗して爆発した。

番組の最後に、Torquemanはこれまでインタビューしてきた人たちに、 この基地はこれからもこのような危険を冒して存続すべきかを尋ねた。 それぞれが各自の立場から見て、それでも存続する理由があると答えた。
最後にSheridanは、Babylon5の使命は平和を強いることではなく造る事だ、 と語った。


印象に残ったシーン、台詞

もちろんです。 他の種族なら、こういう場所を造ろうとはしないでしょう。
地球人には、コミュニティーを造る習性があります。 NarnやCentauriやその他の種族なら、 恐らく基地から他の種族を締め出すわ。 しかし地球人は、時には敵対する種族まで引き入れてコミュニティーを 造ろうとする。 でもそれが、放棄することの出来ない大きな責任も伴うのです。 -- Delenn

ええ。 その理由は他の人が挙げたものとは違います。
Babylon5の使命は、平和を強いる事ではありません。 平和を創る事です。 我々が目指しているのは、憎しみや紛争の無い、より良い未来です。 私にはそれが重要なんです。
我々は、ずっと躓いている。 前大統領の死や、戦争やら、もろもろに。 人は躓くほど、足元を見つめ直す。 今、地球の人々は、再び地平へと目を向けて、 意義ある人生をおくろうという祖先の言葉を思い出しながら、 子孫のために共存できる世界を創ろうとしています。 我々は、ここでただ仕事や食事をしているのではなく、 未来を創っている。 それがBabylon5なのです。 人々にそれを理解してもらわなければ、 全ての人が共存出来る、より良い未来は実現出来ません。 -- Sheridan

「それでもBabylon5を存続させる意味があるのですか?」 というTorquemanの最後の質問に対する、 DelennとSheridanの答え。

Memo

CentauriとNarnの主力戦艦同士の戦闘は相撃ちとなった。 Babylon5の至近距離での戦闘で、全能力を発揮していたか疑問はあるが、 本来両者の力にそれほど差が無い事を示しており、 Centauriが戦争を一方的に優位に進めているのは、 Shadowの力が大きい事を示唆している。

Primus級戦艦は、全長1586m, 総質量22*10^9kgのCentauriの最強艦である。 重力制御装置を備え、地球やNarnの同等の戦艦よりも優れた装備を誇るが、 大部分の艦は200年以上前に建造されたものでシステムが故障がちである。

港湾監督のEduardo Delvientosは、 #12 "By Any Means Necessary" に登場している。 彼が言っていたごたごたも、この時の事である。

前回に引き続き、今度は地球人の側からも自身の変身を非難されたDelennの 試練の日々が続く。

司令室で職場環境について尋ねられたCorwinがやや躊躇いながら、 「ここで怒っている人は見た事がない」とインタヴューに答えている後ろで、 Ivanovaがなにやら怪しげな仕草をしているのがちょっと笑える。

Delennの説明によると、Minbariには三つの主要言語、 Lenn-ah, Fikと聖職者カーストの言葉であるAdrenatoがある。 恐らく残る二つは、戦士カーストと労働者カーストの言葉だろう。

第一シーズンでSinclairの上司として何回か登場したHidoshi議員の名は、 この回には「前議員」として言及されていた。 Clark政権に地位を追われたのだろうか。
一方Clark大統領の支持率は、人気取り政策によって 就任以来うなぎ登りらしい。

このときにCentauriが輸送していた兵器マスドライバーは、 しばらく後に実際にNarnに対して使用される事になる。


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