Babylon5 #40

#40 Confessions and Lamentations

粗筋

Markabの定期船が10時間以上も交信を絶っているため、 IvanovaはZeta中隊を調査に出す事にした。 Zeta中隊長のKefferが、 以前に亜空間で遭遇した未知の船の調査に 個人的に出かけているとIvanovaから聞いたSheridanは、 勝手な調査飛行を中止させるようにIvanovaに命じた。

Franklinと彼の友人のMarkab人医師のLazarennは、 ここ三日間で4人目となるMarkab人の死者の検死をしていた。 Lazarennは全てを自然死と処理していたが、 Franklinは死因に疑問を感じ、独自に調査を始める。

SheridanはMinbariの文化を知るための一環として、 DelennとLennierが準備した食事の儀式に招かれていた。 料理はLennierが二日もかけて準備したもので、 Sheridanは彼が厳密な儀式に従って食べないと、 Lennierが始めから作り直さなくてはならないと知らされる。 儀式はとても複雑で、彼はついには眠気を催して来た。

Zeta中隊が調査に向かう前に、 IvanovaはKefferに、私的な未確認船捜索の中止を求める。 彼は始めはそれに抵抗したが、 それなら隊から外すと言われて、しぶしぶ命令に従った。
やがて出発したKeffer率いるStarFury中隊は、 漂流しているMarkab船を発見するが、船からは何の応答もなかった。 近づいて中をスキャンした所、200名のMarkab人は全て死んでいると判る。 Markab船を曳航してZeta中隊はBabylon5に戻り、 Franklinは調査のための医療チームを組織した。
食事の儀式の途中で居眠りをしていたSheridanは Ivanovaからの連絡で起こされる。 彼はDelennに、眠っていたのではなく瞑想していただけだと 釈明するが、彼女は彼が「瞑想」している間に儀式は終わったと答えた。

ドッキングベイでSheridanを待っていたLazarennは、 Markab人以外が船に立ち入る事に抗議する。 しかしFranklinはBabylon5での四人の死者は 伝染病によるものである事を説明し、 Lazarennにこの病気についての情報を求めた。 Lazarennはこの病気が感染率、致死率ともに100%だと明かす。
伝染病の感染が広がる中、 LazarennはFranklinに、この病気Drafaについて これまでなぜ伏せていたのかを説明した。
数百年前にDrafaが発生したのは、Markab本星の隔離された島で、 そこでは非道徳的な生活が営まれていて、 Drafaによって彼らは全滅した。 そのためDrafaはそのような人々に対する神罰と考えられ、 もはや消滅したものと考えられてきた。 最近になって新たな患者が見つかってからも、 人々は自分が非道徳的であると思われるのを恐れて、 病気の事をひた隠しにして、その結果病気の感染が広まっていった。 そして病気を逃れて他の星に逃れた人が新たな感染源となって、 ついにここにも感染が広まりだしたのだった。
Markab政府もパニックを恐れてこれまでLazarennに口止めしてきたと聞き、 FranklinはDrafaが異星人にも感染するかを尋ねるが、 Lazarennはそれについては何も情報を持っていなかった。

ステーションの通廊で一人のMarkabの少女が迷子になっていた。 彼女はまもなく座っている父親を見つけたが、 彼女が触れると彼はそのまま倒れ、 叫び声を上げて、ちょうど通りかかったDelennの腕の中に崩れた。

Franklinの説明では、Drafaは潜伏期間が数週間で、 ひとたび発症すれば一日で死に至るという。 Babylon5のMarkab人全員に既に感染が広まっている可能性も否定できず、 空気感染の疑いがあるため、ステーション全体に感染の危険がある。 Franklinは全てのMarkab人の検査を提案する。 SheridanはBabylon5の外宇宙からの隔離をIvonovaに命じた。 医療スタッフの一人は、Markab人全員を他から隔離する事を提案したが、 それはかえってMarkab人全員に感染を広げてしまうとFranklinは反対する。

感染の広がったステーションから誰も離れられないために混乱が広がり、 Markab人たちへの暴行も始まっていた。 Markabの大使はSheridanに抗議し、彼らの国民は道徳的であり、 かえって他の非道徳的な種族からDrafaに感染させられていると主張した。 そして彼は非道徳な感染者と暴行から守るため、 自らMarkab人全員が隔離区域に篭る事を宣言した。
FranklinはSheridanに、Drafaが空気感染し、 さらに感染が疑われるPak'ma'raの遺体が発見された事を報告する。 他のスタッフが感染を恐れて、 死んだMarkab人の検死解剖をしようとしなかったため、 Franklin自らがそれを行おうとしたときLazarennが現れた。 彼は自らが解剖を行い、 そのまま隔離ラボに留まると提案し、Franklinはそれを受け入れる。

多くのMarkab人が隔離区域に入ったが、一部はまだ残っており、 彼らに対する暴行事件が多発していた。 SheridanとIvanovaが対策を話し合っている所にDelennが現れ、 彼女とLennierがMarkab人の隔離区域に入って彼らの苦悩を慰める許可を求めた。 Sheridanは彼女を諌めるが、彼女は全ての危険は承知しており、 求められれば人々を救うのが自分たちの勤めだと彼に言う。 そしてもしDrafaが異種族にも感染するとしても、 「影の降りない場所」で彼に再会できると続けた。 ついに彼は承知し、 次に自分に会ったときは"John"と呼んでくれと彼女に頼んだ。

Franklinは、隔離ラボに入ったままのLazarennと共に Pak'ma'raの遺体を調べるが、なんの手がかりも見つからなかった。 暴動のニュースを聞いて、Franklinはなぜ人々は 過去のさまざまな伝染病の流行から 何も学べないのだろうと自問する。 やがてLazarennもDrafaを発症したが、 彼はFranklinに自分を検査台にするように求める。 検査を進める間に、 LazarennはFranklinがヒッチハイクでMarkabを訪れて 彼と初めて会ったときの思い出話などを交わす。 Lazarennの病状は急速に悪化し、 「黄血球が」という言葉を最後に彼は息を引き取る。

DelennとLennierは隔離区域に入り、 Markab人たちの苦しみを和らげる為の活動を始めた。 迷子の少女を見つけてその母親をLennierが探す間、 Delennは自分が少女の頃に寺院で迷子になった話を少女に聞かせる。 やがてLennierが連れて来た母親の元へ走りよった少女を見て微笑んだDelennは、その少女もまた発症しているのに気づき、表情を強張らせる。

FranklinはMarkabの黄血球とPak'ma'raの緑血球の共通点に気づき、 それが手ががりとなって、ついにDrafaの病態を突き止め、 他種族への病気蔓延を防ぐ方法を思いついた。 しかし、治療薬を準備してSheridanらが隔離区域を開けたとき、 そこには動いているものはなく、沈黙が支配していた。 やがてLennierとDelennが現れ、彼は全てのMarkab人が死に絶えた事を伝えた。 DelennはSheridanの胸で、"John!"と呼んで泣き崩れた。
その後しばらくして、 SheridanはオフィスでDelennと話していた。 礼を言う彼女に、Franklinこそが賞賛されるべきだと答えた彼が、 次はどうなるのか、と彼女に尋ねると、 死んでいった者たちに敬意を払い、起こった事を忘れなければ、 他の種族たちは成長し、未来にまたこのような惨事が起こる事を止められる、 と彼女は答えた。

INSニュースは、Markab本星に着いた医療船が 20億人のMarkab人が全滅していた事を発見した、と伝えた。 他の植民星でも彼らは全滅し、 知られている限りではMarkab人は滅びてしまったようだ。
酒場ではこの伝染病がVorlonによるものだという噂が囁かれていた。 Franklinはそれを聞きながら、「何も変わらない」と呟く。


印象に残ったシーン、台詞

DelennがSheridanの腕の中で泣き崩れるシーンは、 第三シーズンのオープニング映像の一つとして使われる。 これを一つのきっかけとして、 二人はお互いをはっきりと意識し合うようになる。

これからは、死んで行ったたちの思い出を尊ぶのです。 他人を助ける方法を忘れずに、信じる事と、忍耐と、慈愛と、 恐れている人に手を差し伸べて。 それが出来れば、皆の死は無駄にならず、 我々も成長します。
-- 「次はどうなるか」というSheridanに対するDelennの答え。


Memo

「食事の儀式」でのややユーモラスな場面から一転して、 最悪の事態が進行してゆく。 この回から物語は、急速に暗黒に包まれてゆく。

ここでは真相は明らかにならないが、 "Babylon5"の後のシリーズ"Crusade"の設定から想像すると、 DrafaはShadowによる生物兵器であった可能性がある。

Delennが隔離区画に入る前にSheridanに言った 「影の降りない場所」という言い回しは、 後にもまた現れる。
また、隔離区画の中で迷子になった少女の母親を探すように Lennierに命じたとき、 彼女が言った「信ずれば叶います」という言葉は、 ある意味でシリーズ全体のテーマになっている。

最後の酒場でのやり取りは、 その前のDelennの言葉と鋭い対比を成している。 「死んで行った者たちの思い出を尊ぶ」という彼女の願いに反して、 滅びたMarkabが冒涜され、 さらにあて推量の犯人さがしが行われる。 Franklinはそれに対して、「(黒死病の時代と)何も変らない」 と呟いたのだろう。


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