Babylon5 #43

#43 Comes the Inquisitor

粗筋

G'KarはZocaloの一角で、Centauriの横暴を非難する演説をし、 Narnの次は他の種族が彼らの犠牲になると訴えていた。 しかし聴衆の反応は冷ややかで、NarnとCentauriの問題は 自分たち他の種族には関係ないと言われる。 G'Karは、自分たちNarn人の存在を忘れさせないために こうして演説しているのだと言い張るが、 結局他のNarn人に演説を止められてしまう。 しかし、その様子をVirが陰から複雑な表情で見守っていた。

DelennはKoshに呼ばれ、彼女を確かめるために尋問者をここに呼んだので 彼の指示に従え、と告げられた。 しばらくして彼女とLennierは、 尋問者の基地への入港許可を求めてSheridanの元を訪れる。 彼の疑問に対して二人は、 彼女が正しい理由で光の軍隊に参加しているのかKoshは疑っており、 それを試すために尋問者が来る、と説明した。 Sheridanは彼女を助けようとするが、 彼女は一人で尋問者に対峙しなくてはいけないと断った。

G'Karは地球人の密輸業者Chaseに会って、 Narnでのレジスタンスのための武器を購入する商談をしていた。 Chaseは嘗てMinbari戦争中にNarnが地球に売っていた倍の値段を吹っかけるが、 結局その一割引で商談は成立し、G'Karは代金を支払った。 G'Karは部屋を出てゆこうとするChaseに、 この金は全て亡命Narn人たちが苦労して貯めた財産であり、 もし彼が自分たちを欺けば命はないと言い渡す。

ジャンプゲートからVorlon輸送船が現れ、 Sheridanは自らドッキングベイで船を迎えた。 やがて暗闇から姿を現した尋問者は、 ビクトリア朝時代の服を着てシルクハットを被り、 ステッキをついた地球人だった。 二人はZocaloの上の通路を歩くが、 男はほとんど何も自分からしゃべろうとしない。 Sheridanは彼に、いつ地球を離れたのか、なぜVorlon船に乗っていたのか、 Vorlon本星の事などを尋ねる。 彼の答えは、「自分はSebastianという名で1888年のLondonから来た。 Vorlonによって地球から連れ去られて尋問者として使われている。」 というものだった。 Vorlonがそんな昔に地球を訪れていた事に驚くSheridanに彼は、 彼らはあらゆる星を訪れている、と答える。

GaribaldiはG'Karに、 彼がNarn本星に送る武器を買い集めている事を問い質した。 G'Karがそれを暗に認めると、 GaribaldiはBabylon5を武器輸送の中継地にする事は認めないと申し渡すが、 代わりにSector90の中継基地に居る知り合いの運び屋を紹介した。 自分を助ける理由を尋ねたG'Karに彼は、 自分に嘘をつかなかったからだと答えた。

Sebastianに呼び出されたDelennがGrey19区の暗い一角に来ると、 そこにある手枷をつけるようにという声が暗闇からあった。 Sebastianは、その手枷は彼女はいつでも外せるが、 そうすれば彼女は待ち受ける使命を全うする資格がないと 自ら認めたことになり、 そのようにVorlonに報告すると言って尋問を開始した。 彼の「お前は誰だ」という質問に対して、 名前も肩書きも出身も答えとは認められず 間違った答えとして手枷から電撃が流された。 Sebasitianは彼女とその信念を嘲り、 「神に選ばれた」と考える者たちをこれまで何度も尋問したが、 合格した者はいないと言う。

VirがLondoへの取次ぎを求めるCentauri貴族を振り切って 移動チューブに乗ると、そこにはG'Karが居た。 気まずい沈黙の後、彼は耐えられずに 「すみません、何も出来なくて。 彼を止めようとしましたが、聞く耳を持たなかった。」 とG'Karに謝罪した。 ドアが開き、一旦黙って出て行こうとしたG'Karは立ち止まって振り返り、 Virの目の前で自分の手のひらを切る。 そして、「人殺し」と連呼し、「彼らに謝罪できるのか」と詰め寄った。 「できません」と答えたVirに対し、彼は「では私も許せん」と歩き去った。

SebastianはDelennへの尋問を続け、彼女の使命に対する信念が正しいなら、 なぜ宇宙は彼女を救おうとしないのか、と嘲って電撃を流す。 彼女は苦痛のあまり悲鳴をあげるが、何の助けも得られなかった。 彼の「これまで自分が間違っていると思ったことはないのか?」 という質問に「ある」と答えたDelennに、 彼は「それならばまだ望みはある」と10分間の休憩を与えた。

G'Karは基地のNarn人たちを集め、地下通信網を構築中であることや 武器がNarn本星に届けられることを報告するが、 彼らは、武器が本当に届くことを保証できるのかと言って、 彼の指導者としての資格を問う。 本星に居る家族と連絡を取る事が出来れば彼を信頼すると言う彼らに、 彼は24時間以内に家族のメッセージを伝えると約束した。 もしそれが出来なければ、彼は指導者の資格を失うことになる。

Sebastianは、Delennが光の軍隊の一部品でなく、 自分が指導者でなけれはならないと考えていると非難した。 彼女は彼の「私は誰だ」という質問に、 「嘗て自分が受けた痛みを人に与えて苦しむ姿を見て楽しんでいる化け物だ、 他の人も自分と同じように価値がないと思いこませたいのだ」と喝破した。 それに答えてSebastianは彼女にさらに痛みを与え、 いつでも好きなときに彼女を殺せると嘲った。

G'KarはSheridanとGaribaldiに会って、Narn本星との通信を依頼した。 Sheridanは現在の状況では困難だと言うが、 G'Karは彼なら出来るはずだと言い、連絡を取りたい家族のリストを渡した。 G'Karが立ち去った後、SheridanはGalibardiに Narnとの連絡を取る任務にRangerを使う事を命じた。

LennierはGrey19区に入り、床に倒れているDelennを発見した。 彼は彼女を助け出そうとするが、 彼女はそれを拒否し、彼にすぐにここから立ち去るように命じる。 Lennierは急いでSheridanの元へ行き、彼女が殺されてしまう前に Koshを説得して尋問を止めさせるように訴えた。
Sebastianがもはや倒れたまま口も利かなくなっているDelennを見下ろし、 彼女の運命はとっくの昔に決まっていたと言ってるとき、 Sheridanが入って来て、彼女を解放するように命じた。 彼はSebastinこそ質問に何も答えていないと言い、 PPGを彼に向けて尋問を中止させようとするが、 Sebastianが杖で床を突くと そこから炎がSheridanの足元に走り、 彼は壁に叩き付けられた。
Sebastianは「次はお前の番だ」と彼を拘束し、 来るべき戦いにどれだけ多くの犠牲をはらう覚悟ができているかと言って、 尋問を開始する。
Sheridanへの尋問を止めさせようとして、 Delennは彼でなく彼女自身が尋問されるはずだと叫ぶ。 Sebastianは彼女に、一人の人間に過ぎない彼と自分の命を交換するのか、 もしそうなら、彼女が守ると言っていた使命はどうなると尋ねた。 Delennが「自分が死んでも、他の誰かが使命を受け継ぐだろう。 私の大義は命であり、それが何億人であろうと一人であろうと変わりはない。」 と答え、 さらに「では喜んで犠牲になるのか、 輝かしい未来も、称えてくれる者も居ない、 お前は間もなく一人寂しく死んで行く。」と続けるSebasitianに、 「この身はただの器、私の魂はだれにも汚せない、好きになさい!」 と彼女が叫んだ時、突然彼女の前からSebastianの姿は消えて、 Sheridanの拘束は解けた。
二人は駆け寄って抱き合い、お互いを支え合って出口に向かうと、 そこに立っていたSebastianは、二人とも合格だと告げる。 そして、 「人のために自分の命を投げ出すことほど尊いことはない。 君たちは正しい時代に、正しい場所にいる正しい者たちだ。 私の使命は終わった。」と言った。

Narn人たちは約束通りに家族からの連絡を受け取った。 彼らはG'Karを指導者と認め、 命がある限り彼についていく事を誓った。

Babylon5を去るSebastianに、Sheridanは記録を調べた結果を告げた。 彼が姿を消した1888年11月11日は、 Londonで連続通り魔事件が起こらなくなった境目の日だった。 Sebastianは「街には堕落のきわみにあり、 自分は神の使いだと信じて警告を発した。 そして、Vorlonに見いだされ、 罪の深さや自分の思い上がりを思い知らされた。 それから400年間尋問者として仕えてきたが、 ようやく死なせてもらえる。」と語った。 そして「聖なる大儀が全う出来るよう祈っているよ。 自分は神の使いでも英雄でもSebasitianでもなく、 悪名高き切り裂きジャック。」 と言い残してVorlon輸送船に向かった。


印象に残ったシーン、台詞

正しい行いも、理由が誤っていれば混乱を招き、 破滅的な結果をもたらすでしょう。 Kosh大使は、確かめたいのです。 時と、場所と、そして人物が正しいかを。
-- Sheridanのオフィスでの、Lennierの説明。 彼は時々、Delennすら上回るほどに深みのある言葉を発する。 しかし彼のこの言葉は、ずっと後の彼の運命を知ると、 一層皮肉に感じられる。


Memo

KoshがDelennに疑問を抱いたのは、 前回の最後のシーンと関係ありそうだ。 あのときの彼女の言葉は、 やや悲壮感に自己陶酔しているのでは、という感もあった。

移動チューブのシーンで、G'KarがVirをあれほどまでに非難したのは やや筋違いな気がする。 前回に顧問会議を去る場面で名言を吐いたG'Karだが、 まだ悟りを開くまでには至っていないようだ。
ここでのVirの釈明の 「彼を止めようとしましたが、聞く耳を持たなかった。」 の部分は、英語では「彼」ではなく「彼ら」(they)と言っている。 吹き替えでは、Londoが耳を貸さなかったという意味に取れるが、 元の台詞では、Londoというより他のCentauri人の誰も聞こうとしなかった、 と言っている感じになる。

Sebastianに彼女らの資格を認めさせたDelennの言葉と、 Sebastianの理由の説明は、 元の英語と日本語の吹き替えとで、やや違っているかもしれない。 日本語では、「大義の為に自分の身を捨てる」事が強調されているが、 英語ガイドでは、「100万人や名誉や名声の為でなく、 一人の人間(Sheridan)の為に彼女が自分の命を投げ出す覚悟がある」 と言った事が決め手だというニュアンスがより強いようだ。


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