Babylon5 #45

#45 Matters of Honor

粗筋

Centauri戦艦との交戦で破損したステーションの修理作業が続けられる中、 Sheridanは石庭でKoshに会い、命を救ってもらった事に対して礼を言った。 Koshは「一度に多くの相手に姿を見られるのはストレスになるので、 これまで船で休んでいた。」と答え、「何か質問かね。」と続けた。 Sheridanは「見た者はそれぞれ別のものを見て、 あれがKoshとは誰も気がつかなかった、 しかしなぜリスクを冒して自分を救ったのか。」と尋ねた。 Koshは「必要だった。」とだけ言い、Sheridanを苛立たせる。 Sheridanが「あなたは何回も本星との間を往復しているが、 誰もスーツの中を見たことが無い。 あなたは始めと同じKoshなのか?」と言ったのに対し、 彼は「私はずっとここに居た。」と言って立ち去った。

とある惑星の軌道上では、Draziの操縦する大型船が、 Centauriの軌道攻撃衛星からの砲火を浴びていた。 大型船が破壊される寸前に小型船が発射され、 封鎖を突破してジャンプゲートに消えた。 小型船のパイロットはBabylon5へのコースをセットし、 スピードを上げる為に生命維持装置のパワーもエンジンに回した。

Babylon5ではSheridanとIvanovaが、 ドッキングベイで地球からのVIPを待っていた。 到着した男は特務捜査局のDavid Endawiと名乗り、 二人とDelenn大使との秘密の面会を求めた。

Garibaldiは基地についた小型船から、 パイロットの男を医療室に運んだ。 船の生命維持装置は切られており、 男は脱水状態で意識不明だった。 Franklinが彼の服を調べると、 青緑色の石をはめ込んだブローチが付いていた。 Frankinは男に背を向けて、同僚の医師に連絡するが、 振り返ると男の姿はベッドから消えていた。

LondoはMordenをバーに呼び出し、 彼とその仲間のこれまでの協力に礼を述べたが、 Narnとの戦争も終わった今、もはや彼らの助けは必要ないので、 関係を見直したいと告げた。 Mordenはこれから先何が待っているか判らず、 自分たちとの関係は役に立つと主張するが、 Londoは彼らと手を切りたいと、重ねて言う。 Mordenは同意したが、少し歩いた所で奇妙で微かな音がすると振り向き、 仲間の意見を聞いた上でもう一度Londoの部屋で話し合いたい、と答えた。

SheridanのオフィスでEndawiは三人に、 Kefferが死ぬ前に撮った黒い宇宙船の映像を見せた。 彼はこの船に関してSheridanらがKefferから何か聞いているかと尋ねたが、 彼らは何も聞いていない、と答えた。 さらに彼は、この船は非常に高度な技術によるもので、 地球に対する脅威となり得るため、自分がこの件を調査していると言う。 彼はさらにDelennに対して、 地球より古い種族のMinbariは この船の種族について何か知っているかと尋ねる。 彼女は残念ながらこの形の船は今始めて見た、と答えた。
彼が他の大使に同様の質問をするためにIvanovaと共に出て行った後、 SheridanはDelennに、あの船の種族が彼女が言っていたShadowではと 尋ねると、彼女はそうだと答えた。 彼女は、彼らに気づかれないために彼らを知っていることを 秘密にしなくてはならないが、 彼女はEndawiに嘘は言っていない、 Shadowの船を実際に見るのは初めてだとも言う。 彼女はSheridanに、Shadow艦は事実上無敵だと言うが、 彼はそんな事はありえないと反論した。 彼女は、「実際に見れば考えも変わるわ」といい、さらにこう言った。 「よく見ておいて。これが私たちの敵よ。」

廊下を急ぐDelennにLennierが追いついて、 彼女に会いたいという人物がいると言う。 彼女は今はそれどころではない、と答えたが、 彼が医療室から消えた男のつけていたRangerのブローチを示すと、 彼女は気を変えた。

EndawiはLondoに会って、Shadow艦の映像を見せて質問をした。 彼は、夢の中でこの船を見た、Centauri本星の上空を何隻もの船が飛んでいき、 彼は強い恐怖を感じた、と答えた。 しかし彼が知っていることはそれが全部だと言い、 Endawiは礼を言って出て行った。

DelennはLennierに連れられて、Downbelowの酒場で男を待っていた。 Delennがこのような場所に居る事に不安をもらした頃、 彼らの待っていた男Marcusが現れる。 彼はRangerの一人で、三人は酒場から出て行く。 途中、後を付けて来たチンピラたちに囲まれたが、 MarcusとLennierは彼らをあっさり片付けた。

IvanovaはSheridanのオフィスでMarcusを紹介される。 そこにはDelennとLennier, Garibaldiも集まっていた。 Sheridanは彼女にRangerについて説明しようとするが、 彼女はとうに彼らの事を知っていた。 Marcusは、二週間前からCentauriによって封鎖されている Drazi宙域のZagros7を脱出して来たが、 ここにはRangerの訓練キャンプがあった。 彼はSheridanに、Rangerたちの救援を要請する。 Garibaldiは、そのような作戦に使える強力な艦船が ここには無いと指摘したが、 Marcusは、彼らがその意思があるなら方法はあると答えた。 SheridanはDelennらと一緒に救援に赴く事を決断し、 Garbaldiに残ってEndawiの相手をするように命じた。

MordenはLondoの部屋で、銀河の地図を示した。 彼は地図に線を引き、一方の側はCentauriの取り分で彼らが自由にしてよいが、 もう一方の側は自分たちの仲間の領域だ、 お互いに相手の領域には手を出さないように、という。 Londoは彼に、彼らの仲間がCentauriを攻撃しない保証はあるのかと尋ねると、 彼はそれは無いが、自分たちを信用してくれと言った。 LondoはMordenの条件に同意するが、Mordenはさらにもう一つの条件を出した。 それは境界近くのある惑星Zagros7を彼らの保護下に置く事で、 既に彼はRefa公爵に話をつけてあった。 Londoが彼らの艦船を一度見たい、と言ったのに対し、 いずれ時が来ればとだけMordenは答え、 彼の仲間の艦船が来たときZagros7の近くにはだれも居ないように、 と念を押した。

DelennのFlyerに従って、SheridanのシャトルはBabylon5を出発した。 彼らが亜空間から出た所には、見たことの無い美しい宇宙船が待っていた。
「船の名はWhiteStar, あなたの船です。」 MarcusはSheridanに告げる。

EndawiはGaribaldiに、司令官にも副司令官にも急用で会えないとは どういう事だと抗議するが、 Garibaldiは彼自身も二人の居場所を知る事を許されていないと答える。 そしてEndawiに、代わりにG'Karに会う事を提案した。 Endawiは、Centauriの許可なくNarn人に会う事は禁じられていると言うが、 Garibaldiは自分がしゃべらなければ誰にも知られない、と保証した。

DelennはSheridanらをWhiteStarの内部に案内した。 この艦はMinbariの最新鋭艦で、 Grey評議会の一部はこの艦の事を知らされていない。 VorlonとMinbariの技術の結集であり、最も重要なのはこの大きさなのに ジャンプポイントを形成できる事である。 最後に彼女はブリッジを案内した。 乗員はMinbariの聖職者カーストの出身だった。 Lennierが通訳を務めて、SheridanはZagros7への進路を取る。

EndawiがG'KarにShadow艦の映像を示し、これについての情報を求めると、 G'Karは彼にG'Quanの書のあるページを示した。 そこにはShadow艦と同じ形の絵が描かれていた。 「1000年前、我々が宇宙に出て行くはるか以前に、 彼らはNarnにやってきて南の大陸に基地を作った。 彼らは我々に無関心だったが、G'Quanは知っていた、 かれらが外の世界で戦争をしている事を。」 Endawiに対して彼は、G'QuanはNarnの偉大な精神的指導者で、 この書は一字一句正確に絵も含めて手で書き写されてきた、と説明した。 「私は以前から、古代の敵が戻ってくると警告してきたが、誰も聞かなかった。 おそらく今、彼らは戻ってきたのだ。」 「もしそうなら、なぜ今まで彼らは1000年も現れなかったのでしょう。」 Endawiが尋ねるのに、G'Karは答えた。 「何事にでも時というものがある。今が彼らの時なのだろう。」

亜空間をZagros7へと向かう途中、MarcusはIvanovaに尋ねられて、 彼がRangerに入ったのはShadowに殺された兄の意思を継いでの事だったと語る。 WhiteStarは亜空間を抜けてZagros7へ向かい、 Rangerたちに脱出の準備をするよう呼びかける。 Centauriの攻撃衛星網は簡単に破壊されて行くが、 SheridanはCentauriが戦艦を待機させて居なかった事を意外に思い、 Lennierに付近のスキャンを命じた。 そのときIvanovaは空間の変動をキャッチし、スクリーンに映し出されたのは Kefferが写したのと同じ形の船、Shadowの戦艦だった。
DelennはWhiteStarではShadow艦に太刀打ちできないと言ったが、 SheridanはRangerを救うため攻撃衛星の破壊作業を続けた。 Shadow艦はWhiteStarを攻撃するが、狙いを外した。 Delennは「ありえない!」と叫ぶが、彼らはこの船を追って 正体を突き止めるつもりだろう、とSheridanは推測する。 彼は惑星の封鎖を解除してRangerに脱出の指示を出し、 Lennierにジャンプゲートへ向かうよう命じた。 これはShadowにWhiteStarがジャンプポイントを形成出来る事を 知らせないための作戦だった。 WhiteStarはジャンプゲートを通って亜空間に入ったが、Shadow艦も追って来た。
Delennは単独では勝ち目が無いため、Vorlonの助けを呼ぶように主張するが、 Sheridanはそれをいなして、Ivanovaにジャンプゲートの中でさらにジャンプポイントを 開いたらどうなるか、と尋ねる。 それは自殺行為で、嘗て地球軍がそれをやったが大爆発が起こって逃げ切れなかった、 と答えるのに、今度はLennierにWhiteStarなら逃げ切れるかと尋ねた。 彼は判らないというが、Sheridanはこの艦なら逃げ切れるはずだと言い、 そろそろSecter45のジャンプゲートに着く頃だと話題を変えた。 そこはMarkab宙域で、彼らが疫病で死に絶えた後は海賊が惑星を荒らしており、 ジャンプゲートを破壊すればそれを止めさせる事もでき、一石二鳥だと彼は指摘する。
WhiteStarはジャンプゲートから出て、その瞬間にジャンプポイントを開いた。 大爆発が起こり、彼らはかろうじて逃げ切ったが追手のShadow艦は破壊された。

彼らは元のMinbari FlyerとシャトルでBabylon5に帰還した。 ドッキングベイでEndawiが待ち構えていたが、Sheridanは彼に Delennの要請でMinbariの外交官のシャトルを救助に行っていた、とごまかした。 Endawiは彼らに別れを告げ、必要な情報は手に入れたので、 後で報告書のコピーを送ると告げた。

Genevaのアースドームで、Endawiは女性議員に彼の調査結果を報告した。 彼が出て行った後、別の二人が議員の部屋に現れた。 一人はPsi Copで、もう一人はMordenだった。 彼女は彼らに、あの船の正体に関してはNarnの伝説以外はBabylon5では 誰も知らない、と言うとMordenはそれならかまわない、 では地球政府はこの件は偶発的な事件として処理するのですねと念を押す。 対してPsi Copは、この船の件はむしろ異星人に対する不安をあおるのに 利用できると答え、Mordenは彼にさらに説明を求めた。

Babylon5では、上級士官とDelenn, Lennier, Marcusを前に、Sheridanが 軍事委員会の構想を説明していた。 原則として二週間おきに集まって、対Shadowの戦いを中心議題とするが、 出席者は何を話してもよい。
Franklinが手を上げ、彼はラボに篭りっぱなしで、話についていっていない、 そもそもShadowとは何者か、と尋ねた。 SheridanはDelennにうなずいて見せ、彼女は話し始めた。 「宇宙には我々より10億年も古い種族が存在します。 彼らは星の間を巨人の様に歩き回り、 巨大な帝国を作って新しい種族を導きました。 古代種族のうち、最も古い者がShadowです。 我々は他に彼らの呼び名を知りません・・・。」


印象に残ったシーン、台詞

ジャンプゲートの破壊の爆発から逃れた直後にLennierに駆け寄るDelennは、 まるで彼の母親のよう。 彼女にしたら、Lennierを正にそのように見なしているのかも。


Memo

最後のシーンでのDelennの説明は、英語(のガイド)と日本語の吹き替えで 内容がやや違うようだ。 吹き替えでは"In the Shadow of Z'ha'dum"で 彼女がSheridanに語ったのと 同じ内容だった。

上のDelennの説明はかなり誇張と間違いがあるように思う。 実際にはShadowは最も古いFirst Oneではないし、恐らく10億年は大げさだろう。 Minbariの古代種族に関する情報はVorlonが自分たちに都合よいように ゆがめている可能性がある。

バーでのLondoとの話し合いで、Mordenが少し歩き出した所で 奇妙な音が聞こえる。 これは、彼の周りに隠れて付いているShadowが、 彼に何かを告げた音と思われる。

MordenがLondoに示した銀河の地図で、彼が引いた線は銀河を3:1程度に分けていた。 小さいほうをCentauriの取り分としたのは、 Londoが嘗て「銀河系におけるCentauri共和国の復権こそが真の願いだ」とMordenに告げた事と、 Centauriがその最盛期には「銀河系の1/4を支配していた」事に符合している。 しかし実際には、Babylon5の宇宙での既知の星の距離関係はかなり近く、 (Centauri本星と地球との距離は60光年、NarnとBabylon5とは12光年など) Centauriがとてもそれだけの領域を支配していたとは信じられない。

新型艦WhiteStarは、Sheridanが戦争中に破壊したMinbari戦艦BlackStarと その名が対になっている。 恐らくBlackStar(の破壊)がMinbariと地球人との対立の象徴なのに対して、 WhiteStarは両種族の和解と協力の象徴として名づけられたのだろう。
なお、WhiteStarは全長475.6m, 総質量6.8*10^9kgである。
また、StarTrek DS9でもBabylon5と同様に、最新鋭艦Defiantが配備されたのは 第三シーズンの最初だったが、これは偶然だろうか?

DelennはEndawiに対してShadow艦を始めて見たと言い、 後でSheridanにその事を追求されたのに、「嘘は言っていない、話には 聞いていても実際に見るのは初めてだ」と答えている。 要するに、文字通りの意味では嘘は言っていない、という事だが、 こういった所も、変身後の彼女がMinbariよりも地球人的に 振る舞い出している表れかもしれない。

この点は後から見ると間違っている気がしてきた。 「Minbari人は決して全ての真実を言わない」という言葉が流布しているように、 彼らが嘘はつかないが言葉をわざと狭く解釈して事実を伏せる傾向がある、 というのは知られた事実だった。


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