Babylon5 #53

#53 Point of No Return

粗筋

LondoはVirが準備したMinbariを絶賛する報告書に目を通し、 不機嫌な顔で書き直しを命じた。 何週間も費やして正確さを期して書いたものだとVirは抗議するが、 必要なのは正確さではなく、宮廷にMinbariが劣っていると思わせる事だと Londoは答え、言い回しを正反対にするように命じる。 怒ったVirが部屋を出て行こうとしたとき、 Centauri本国から、 前皇帝Turhanの第三夫人Lady Morellaが間もなくBabylon5に到着する、 という連絡が入った。 これはLondo自身の要請によるもので、 その知らせを聞いて彼はすっかり上機嫌になり、 出迎えのために到着ゲートに向かおうと部屋を出ると、 通路には大勢の人々が右往左往していた。 通りかかったMinbari人に、何があったのかと尋ねると、 地球同盟が戒厳令を施行したと彼は答える。

Sheridanらは議会に立てこもって居る反大統領派の議員からの秘密通信で、 逃走中のHague将軍からのメッセージを受け取るが、 その最中に、治安部隊が議会ビルに攻撃を開始する。
ニュースを見ていたZackの所にNight Watchの連絡員が来て、 数時間後に緊急ミーティングがあると伝える。

Londoへの暴行罪で拘束されていたG'KarはGaribaldiによって釈放された。 彼は自室の前に戻って来て、 Ta'Lonが留守の間ドアの前で彼を待ちつづけていた事を知った。 部屋の中でG'KarはTa'Lonに、彼が受けた啓示の事を話す。 「自らを救うために、Narnは自らのプライドと復讐を捨てなければならない。 地球人が全ての鍵を握っている。」

Sheridanらの元にはSmits将軍からの指令があり、 Babylon5の警備には、警備班ではなくNight Watchが当たる、という 大統領命令が伝えられた。 抗議する彼らにSmits将軍は、 「どこからの命令か、聴かなかったのか?軍の指揮系統を守れ。」という。 この大統領命令は、Night Watchの連絡員にも伝えられ、彼は隊員に、 「我々が権力を握るときが来た。」と宣言した。

LondoとVirは、Lady Morellaを到着ロビーで待っていた。 なぜ彼女の訪問がそんなに重要なのかとVirが尋ねると、 彼女は預言者であり、 自分の見た夢が現実のものになるかを聞きたいのだと Londoは答える。 やがて到着したMorellaは、 なぜ地球の役人が迎えに出ないのかと尋ね、 Londoは地球でゴタゴタがあったと答える。 そして自分達を呼んだ真の理由を尋ねる彼女に、 Londoは自分には大きな使命が待っているので、 たとえどのようなものであろうと、自分の運命を教えて欲しい、 と言い、彼女は了承する。

Night Watchの連絡員は警備班を集め、Night Watchの腕章を受け入れて 彼らの指示に従うかどうか踏絵を始めた。 止めさせようと乗り込んできたGaribaldiに対し、 連絡員は主任からの解任を宣言し、 Zackを主任代理に任命する。 GaribaldiはZackに、「これがおまえの望んでいた事か。情けない。」 と言い捨てて立ち去る。

Sheridanの元に、Babylon5でも戒厳令を施行する命令書が届いた。 命令発布の場に自分も同席しようかというIvanovaに対し、 これは自分の仕事だと彼は答えるが、 Delennが居てくれたらなあ、と洩らす。
Night WatchがZocaloでの取り締まりを始めた頃、 TVではISNがIo付近での地球同盟戦艦同士の砲撃戦の模様を伝えていた。 包囲され降伏を命じられたHague将軍指揮下の戦艦Alexanderが、 包囲を破って脱出した光景に群集から拍手が起こり、 Night Watchが彼らを追い散らそうとしたのをきっかけに乱闘が起こった。 それに重なって、Sheridanによる戒厳令施行の放送が流れる。 ちょうどZocaloの視察に来ていたMorella一行も混乱に巻き込まれ、 Virが負傷した。

放送を終わり、無力感に怒りをあらわにするSheridanをFranklinが宥める。 彼の「指揮系統を乱すわけにいかない」という言葉にSheridanは気が付いて、 Smits将軍の最後の指令をもう一度再生してみた。 そして将軍の真意を悟って彼はある行動にでた。

Lady MorellaはLondoの抗議を無視して、負傷したVirの治療をしていた。 Londoから血をぬぐうための布を受け取った時、 彼女は年老いたLondoが皇帝になっているVisionを一瞬観る。

司令室のドアが開き、そっと入ってきたG'Karは、 Ivanovaにある提案をする。
Zackが自室に戻って来ると、ドアの外にはSheridanが待ち構えていた。 そして、部屋の中には、IvanovaとGaribaldi, さらにG'Karまでもが彼を待っていた。
暫くして、ZackはNight Watchの連絡員に会いに行き、 司令官らが間もなく第九ベイに着くNarn人を、 Night Watchと替えるつもりだ」と告げた。
連絡員は彼に、「正しい事をしたな」と言い、 彼らはSheridanらを反乱分子として逮捕するために、 武装した部隊を引き連れて第九ベイへと向かった。

Sheridanは部下を率いて、第九ベイへと向かった。 Night Watch部隊がベイに入ったとき、両側の防御壁が閉まり、 直前に脱出したZackを除いて部隊は閉じ込められた。 Zackは「正しい事をしたな」というGaribaldiに、 「こんどこそ本当でしょうね?」と問い返す。
間もなく閉じ込められたNight Watch部隊は、Sheridanの放送を聞いた。 「軍の部隊に命令できるのは、その上部組織だけで、 大統領にも軍の部隊に直接命令する権限はない。 君達の受けた命令は、軍の指揮系統に違反した違法な命令だ。 武器を捨てて投降するか、一生そこに居るかを選べ。」
G'Karとの協力によって、半減した警備班の補充に Narn人が基地の警備に加わる事になった。

Lady MorellaはLondoに、 「あなたは類稀な幸運の持ち主だ。 旅の終わりに待ち受けている炎を逃れるチャンスを これまでに2回逃しているが、 まだ3回のチャンスがある。 見えない目を救いなさい。 既に死んでいる人を殺してはいけない。 そしてこれらも逃してしまったら、 もっとも恐れているものに自らを投げ出しなさい。」 と予言の結果を告げた。 さらに彼女はLondoに、彼は皇帝になる運命だと告げ、 そしてVirもまた皇帝になると言う。 二人は冗談だと思って笑うが、 予言の最中に冗談など言わないと彼女は答え、 「一方が死んだ後に、もう一方が皇帝になる」と続けた。

Narn人部隊の監視の元で、 第九ベイに閉じ込められていたNight Watch隊員達は武装解除され、 全員が拘束された。 協力に礼を言うSheridanにG'Karは、 彼とDelennの組織に自分達も加えて欲しい、と頼む。 初めはとぼけていたSheridanも、 G'Karの真剣な態度を見て検討を約束した。

Lady Morellaが基地を去った後、LondoとVirは気まずく黙って座っていた。 二人は「二人とも皇帝になる」という予言を一笑するが、 「一方が死んだ後に」という言葉は、重く圧し掛かっていた。 夕食を用意します、というVirの言葉に、 腹は空いていないし自分で作るとLondoは反応する。

SheridanのオフィスにIvanovaがやってきて、 基地を離れていたDelennが戻ってきて、 彼と話したがっていると告げ、 さらに、Hague将軍の随行艦四隻が撃沈されたというニュースを伝える。 逃走中の将軍も、亜空間を出れば直ぐに逮捕するように命令が出ており、 当面の危機は回避したBabylon5のスタッフも、 いずれ大統領から新たな命令があれば、将軍と同じ運命だった。 Ivanovaは「こんな終わりを迎えるなんて・・・」と言い、 二人は黙って窓から庭園を見つめていた。


印象に残ったシーン、台詞

偉大さは若い頃は表に出ず、後に自尊心となり、 老いては失われ、死んでから判るものです。 我々は皆、自分の偉大さに耐えられず、 自らその偉大さを破壊してしまうからよ。 この基地は、主人が果たせなかった仕事の記念碑となったわ。

But greatness is never appreciated in youth, called pride in mid-life, dismissed in old age and reconsidered in death. Because we cannot tolerate greatness in our midst, we do all we can to destroy it. This place has become a memorial to his unfinished work.
-- Lady Morellaの言葉。

あなたは類稀な運に恵まれています。 旅の終わりに待ち受ける炎を逃れるためには、 まだ三つのチャンスがあります。 既に二つはふいにしました。
視力のない目を救わなくてはなりません。 既に死んでいる人を殺してはなりません。 そして最後は、一番恐れているものに屈服するのです、 自分が滅ぼされる覚悟で。 もし他の全てに失敗してしまったなら、 それが最後の救いのチャンスです。

You have a chance few others will ever have, Mollari. You still have three opportunities to avoid the fire that waits for you at the end of your journey. You have already wasted two others. You must save the eye that does not see. You must not kill the one who is already dead. And at the last, you must surrender yourself to your greatest fear, knowing that it will destroy you. Now if you have failed all the others, that is your final chance for redemption.
-- Lady MorellaのLondoへの予言

One of you will become Emperor after the other is dead.
-- LondoとVirに対してのLady Morellaの予言。 吹き替えでは、「あなた方のうち一人が皇帝になります、 他の一人が死んだ後に。」 となっているが、これは単に「一人が死んだ後に、もう一人がなる。」 という意味であって、どちらか一方しかなれない、という意味ではない。 そうでないと、彼女の予言の別の部分と矛盾してしまう。 しかしLondoとVirは、「(生き残った)一方しか皇帝になれない」と 解釈したようだ。


Memo

Londoの部屋は当然警備厳重な外交官区画(Green区)にあるはずだから、 彼の部屋の前を大勢の一般人が右往左往しているのは本当はおかしい。 (それともあれは皆外交スタッフなのだろうか?) この辺は映像の解り易さを優先しているためで、 他にもこの種の疑問点は色々見受けられる。

Centauriの皇帝は亡くなった後でも、 その魂は夫人と共にあると考えられている。 そのため、Lady Morellaは「私たちは」と複数形で話している。

議会ビルに治安部隊が突入する、という展開は、 1993年のRussiaでのYelitin大統領による議会ビル砲撃を思い出させる。 ロシア出身の議員が、議会ビルを包囲するように市民に呼びかけている というニュースがISNで流れるので、製作側も意識しているらしい。

前回に引き続いて登場したNight Watchの連絡員の名はHorstというが、 少なくとも日本語吹き替えでは言及されていない。 恐らく彼は、旧ソ連軍部隊の政治将校のような立場の人間なのだろう。

Lady Morellaの予言の言葉はかなり難解である。 まず、「見えない目」とは何を意味しているのか。 Londoの夢の中に出てきたG'Karが片目がつぶれていた事が思い出されるが、 Centauriの皇帝権力の象徴も"Eye"だった。 また、「死んでいる人」も具体的に誰を指すのか不明だ。
これからの幾つかのストーリーで、Londoがまた一歩誤った道に足を踏み入れていく、 と思われるシーンが出てくるが、具体的にどれがこの予言の言葉に対応しているかは 不明である。


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