Babylon5 #57

#57 A Late Delivery from Avalon

粗筋

ジャンプゲートから現れたAsimov級輸送船は、 Babylon5が地球同盟から独立してから始めての、 地球からの定期便だった。 司令室のIvanovaは船の到着を歓迎しながらも、 独立以前に比べ宇宙船の寄航が大幅に落ち込み、 ドッキング料収入が減って基地の財政が厳しくなっている事を懸念する。 さらにSheridanは、基地の防衛をMinbariだけに頼る訳にいかないと 指摘するが、そちらに関しては何かの案があるようだった。
Asimov級輸送船の客室では、到着のアナウンスが流れる中、 一人の男が夢にうなされていた。

夢の中で、彼は両側にドアが並んだ細い廊下に立っており、 一つのドアを開けると外では閃光と大きな爆発音が連続していた。 おびえた彼が廊下を走ってゆくと、 その先の空中に剣が一振り立っていた。 彼は微笑んでそれを掴む。

基地の郵便局では、 地球からの荷物の受け取りに、 以前より遥かに高い100クレジットの手数料を請求された Garibaldiが激昂していた。 しかし郵便局長は、独立後も荷物が届くために 自分は苦労して色々な手段を講じていると主張し、 手数料を払おうとしないGaribaldiに、荷物を渡そうとしなかった。

FranklinはDownbelowで住人の男の診断を行い、 Marcusが知らせたように男がBanta風邪に感染している事を確認して、 早速隔離ラボに連れて行った。 MarcusがDownbelowの住人に同情して世話をしている事に感心したFranklinは、 隔離ラボの脇での彼との立ち話で、 彼が胸に付けているRangerのブローチについて尋ねた。 ブローチの意味とRangerの教えについてMarcusから説明を受けたFranklinは 感銘を受けた様子で、さらに詳しい話を聞きたがるが、 彼はそれ以上の説明を拒んだ。

輸送船のシャトルから入港してきた乗客たちがゲートを通過していたが、 船室で夢を見てうなされていた男が武器検査に引っかかる。 係員に止められた男はArthur王と名乗って剣を抜き、 PPGを構えて取り囲む警備員に向かって、 自分がAvalonから帰ってきたのが判らないのかと叫ぶ。 ちょうどその場にやって来たMarcusは警備員を制し、 男に礼を尽くして剣を収めさせた。 そしてMarcusと一緒に居たFranklinが、 自分の責任で男の入港が認めさせ、 そのまま彼を医療ラボに収容する。
ラボでの検査の結果は正常だったが、 自分がArthur王である事を疑っているのか、と男はFranklinに尋ねた。 それに対し、 Arthur王は1700年前に死んだ事になっているのに、 なぜ今になってここに現れたのかとFranklinが尋ねると、 Camlanの野の戦いで倒れた後、手遅れになる直前になって救われ、 必要な時代が来るまで保護されていたと男は主張した。 戦に関する彼の話の内容は、伝説と一致していた。
男は身分を示すようなものを何も身に着けていなかったが、 Franklinは指紋とDNAを基にして男の正体を割り出そうとする。

惑星連合との交渉について話し合うための会議を始める前に、 男の話を聞いたSheridanは鼻であしらうが、 Vorlonは昔から地球を何度も訪れて何人もの人間を拉致し、 Sebastianのように必要な時まで生かしていた事をMarcusは指摘し、 彼は本物のArthur王ではと言い出す。 しかしFranklinは男の言葉が現代のものである点を指摘し、 本当のArthur王であるはずはないが、 なぜ彼がそう主張しているのかが興味があると言う。 そのとき医療室から、 ラボから男が消えたと連絡が入った。

剣を持って医療ラボを抜け出した男はDownbelowに現れ、 高価な写真立てに入った亡夫の写真を盗まれたと嘆く老婦人に出会った。 彼は老婦人を慰め、盗んだ相手を探しに行く。
ちょうどG'KarがNarn本星からの情報クリスタルをヤミ商人から 受け取っている近くで、 一人の男がごろつきの一団に締め上げられていた。 そこにArthur王を名乗る男が現れ、 ごろつきのボスに向かって老婦人から盗んだ品を返すように言う。 ボスが相手にしないとみると男は剣を抜き、 ごろつきたちを片付けて、ボスの喉元に剣を突きつける。 その後ろから、ごろつきの仲間のDraziの一団がやってきたのを見たG'Karは、 男の助太刀に入った。 やがて二人は、疲れて眠っている老婦人の手元に、 取り戻した写真立てをそっと置く。
Garibaldiが部下を率いて「Arthur王」捜索に向かったのを見たMarcusは、 彼らとは別に一人で彼を探しに行く。 その頃Arthur王を名乗る男とG'Karは、 Downbelowの酒場で意気投合していた。 「Arthur王」はG'Karの男気を褒め、彼を騎士に任ずる。 そしてCamlanの野の戦いの話をG'Karにするが、 その途中で以前に船室で見た夢を再び見た。 通路のドアを開けた先は宇宙空間で、 Minbariの戦闘機が激しい攻撃を加えていた。 やがて白昼夢から醒めた男は、 誤解によって始まったCamlanの野の戦いで多くの騎士が死んだのは 全て自分の責任だと懺悔する。 そこに彼を探し当てたMarcusが現れ、 医療室に帰るように求めた。 彼に付いてゆこうとしたG'Karは、 飲みすぎで床に倒れそのまま寝込んでしまった。

男は再び悪夢にうなされているが、その内容は段々と 地球-Minbari戦争の回想シーンへと変わって行く。
Franklinが突き止めた彼の身元は、戦争のきっかけとなった 戦艦Prometeusの砲撃を、 艦長の命令に従って行った砲術士官David McIntyreだった。 彼の行った砲撃によって起こった地球-Minbari戦争では数百万人が戦死し、 彼はその責任の重荷から精神に異常をきたしていた。 そして最終決戦の決死隊に参加した後、 地球軍を名誉除隊していたのだった。 MarcusはFranklinに、真実をMcIntyreに告げないように求めるが、 Franklinはそれを拒み、彼を治療するために事実に向き合わせようとする。
初めは自分がMcIntyreである事を否定していた男は、 段々と当時の出来事を語り始める。 彼は地球-Minbari戦争を、同様に誤解によって始まった Arthur王伝説のCamlanの野の戦いになぞらえ、 名剣Excaliburを湖の乙女に返さなくてはならない、と主張する。 そしてその剣を抜いたとき、彼は突然ショックに襲われ、 硬直状態になってFranklinの呼びかけにも反応しなくなった。

McIntyreを回復させようと知恵を絞るMarcusとFranklinは、 なぜ彼がBabylon5にやってきたのかを考える。 そしてExcaliburは武器の象徴であり、 それをMinbariの代表に返却するために無意識にここにやってきたと気がついた。やがてMcIntyreの病室に、Marcusらに頼まれたDelennが現れた。 彼女は湖の乙女の役を演じて、McIntyreから剣を受け取る。

Garibaldiは自分宛の荷物を奪おうと、 部下を伴って夜中に郵便局に忍び込んだが、 待ち受けていた局長に見つかって、 結局彼の言い値の受け取り手数料を払わされた。 しかし、これまで地球政府が払っていた局長の部屋代と郵便局の場所代を 局長に請求して逆ねじを食わせる。

SheridanとIvanovaは非同盟惑星諸国の大使たちとの交渉で、 Babylon5をこれからも中立地帯として維持し、 和平交渉の場として提供する代わりに、 彼らの艦船に交代でBabylon5の警護に当たってもらうという提案を行った。 その結果、数カ国の反対はあったものの、 Draziを代表とする多くの国がこの条約を締結した。

回復したMcIntyreは、G'Karに誘われて Narnのレジスタンス組織のリーダーとして活動するためBabylon5を後にした。 彼を見送るMarcusは、Arthur王伝説は彼が未来から過去に戻って ここでの体験を伝えたものだと真顔で主張し、 ArthurはSheridan, またMerlinはKoshがモデルだと言い出して Franklinを呆れさせる。


印象に残ったシーン、台詞

DelennがMcIntyreの病室に現われ剣を受け取るシーンはかなり長く 印象的だが、両者は一言も発しない。
Delennが開戦に果たした役割を知ると(#75 "Atonement")、 彼女がなぜここまで真剣にこの芝居の相手をしたのかが納得できる。


Memo

Marcusの説明によるとRangerのブローチは、 Minbari人と地球人とが、両者の魂が合わさって共通の敵と戦う事を 示す中央の宝石Isil'Zhaを囲んでいる形になっている。 Isil'Zhaは白い炎で焼かれ、聖なる水とMinbari人、 地球人の血で冷やされて作られる。 そしてRangerが死んだとき、両側の像は三滴の涙を流す、という。
この"Isil'Zha"という名前を聞いたFranklinは、「いい響きだ」と言うが、 実は彼はずっと以前にこの言葉を聞いている。 ("In the Beginning")

Garibaldiとやりあう郵便局長の声の吹き替えが、 StarTrek-DS9のQuarkのそれと同じ声優(稲葉 実)さんである。 性格もQuarkにそっくりなので、笑ってしまった。

今回のArthur王の話は、初めは#15 "Grail"の解決編のように 思われるがそうではなかった。 むしろ、最後のMarcusの主張が、直ぐ後の話のヒントになっている。 その場面で、さりげなくKoshが姿を見せたのも、何か意味ありげだ。


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