Babylon5 #58

#58 Ship of Tears

粗筋

Clark大統領の治安部隊に制圧されて以来 途絶えていたISNの放送が再開されると聞いて、 IvanovaらはZocaloの公衆TVの前に向かう。 ずいぶん時間が掛かったが、これは地球の状況が改善している証拠だと Franklinは言うが、Ivanovaはその意見には懐疑的だった。 TVの前には再開を待ちかねていた多くの人たちが集まっており、 新たなキャスターが放送再開を宣言すると、拍手が沸き起こる。 しかしそのキャスターは、放送中断直前の事件について、 異星人に支援された反政府テロリストが演出したでっち上げだと述べ、 Ivanovaは憤慨する。 さらにキャスターが、戒厳令施行後にいかに治安が改善されたかを 示すレポートについて話し始めたとき、 GaribaldiはTVを切るように命じた。 がっかりしてその場を離れながら、 Ivanovaは自分が楽観的すぎたと言う。
その頃Sheridanは、 戦闘で破壊されたChurchillから受け入れた 新型StarFuryのテスト飛行をしていた。 地球同盟艦からの救難信号が入ったと基地から連絡を受けた彼は、 自分で調査に向かう。 彼が発見したのは、PsiCop精鋭部隊BlackOmega所属のStarFuryで、 操縦していたのはBesterだった。 用心して相手の視界の外から呼びかけるSheridanに、 直接Babylon5に向かえば撃墜 されていただろうから このような手段を使ったとBesterは答え、 重要な情報をもたらす引き換えとして、自分への協力を求める。 Sheridanは彼を疑いながらも、 BesterのStarFuryを部下の機と前後に挟んで基地に護送した。

Sheridanから連絡を受けて通路を急ぐIvanovaを遮ったG'Karは、 自分たちの「光の同盟」への参加要求をSheridanに伝えるように求める。 この件は、SheridanがNarn人のステーション警備への協力を 取り付けた際に G'Karに検討を約束していた。
やがてオフィスに集まったSheridanらは、 基地に到着して警備班に護送されるBesterをモニターで見ながら、 彼への対応を検討する。 前回のようにテレパシー抑制剤を使うなら 情報を明かさないとBesterは主張していた。 そのためSheridanはGaribaldiとFranklinをオフィスから下がらせ、 残ったIvanovaに、P1テレパスである彼女を先に送って Besterの出方を探るという策を話す。 彼女は初め、自分の能力ではPsiCopのスキャンをブロックできないと 拒否するが、 スキャンされたかどうかは判るはずで、 もしそうしたらBesterを一生監禁するとSheridanが約束したため、 彼女はしぶしぶ承知する。 下がる前に、彼女はG'Karの要求を彼に伝えた。

Besterが軟禁されている部屋に入ってきたIvanovaは、 司令官の代理で自分が来たと言い、情報を明かすよう求める。 Besterはあえて彼女の心を探らないが、 彼女の母親の話題を持ち出して彼女を挑発し、 平手打ちを食わされる。 しかし彼は全く動ぜず、本題を切り出した。 Besterの説明によると、 Clark大統領は傀儡に過ぎず、彼の背後には謎の異星人種族がいて、 テレパスをも自分たちの目的に利用しようとしていると言う。 彼は、自分たちテレパスはいずれ劣等種の普通人に取って代わり、 PsiCorpsが世界を支配するという野望を公言し、 そのためにはその異星人種族Shadowを排除しなくてはならず、 彼らについてよく知っているらしいBabylon5側と協力できると言う。 そして、まもなく護衛を伴ったShadowの輸送船が、 ある兵器を積んで亜空間を通過するという情報をもたらし、 それを捕らえる協力を求めた。 Sheridanらは初めは自分たちだけで輸送船を捕えるつもりだったが、 自分が一緒に行かなくては亜空間で船を見つけるのは不可能だと Besterは指摘する。 そして亜空間ではテレパシー能力が増幅するのだが、 それが軍に知れるとテレパスが前線に送られるため、 隠していたのだと明かす。

亜空間の中を飛ぶWhiteStarのブリッジを Besterは物珍しげに見回していた。 席を外した隙に勝手にCaptain's Chairに座ってくつろいていたBesterに、 Sheridanは苦い顔をして退くように言い、 敵の船団の位置を示すように求める。 彼の指示に従ってSheridanがLennierに命じ、 敵艦隊を見つけたWhiteStarは攻撃を開始する。 護衛についていたShadowの戦闘機を破壊し、輸送船をビームで捕えたとき、 すぐ傍にShadowの戦艦が現れたが、なぜか攻撃せずに去っていった。

Babylon5では、Sheridanに代わってDelennがG'Karを彼女の部屋に迎え入れ、 Narnを攻撃するCentauriの裏にShadowが居る事に Grey評議会が気が付いていたのに黙っていた事を彼に詫びた。 もしG'KarがZha'ha'dum近くから戻り、 古代の敵の復活を告げたときに公にして彼の主張を支持していれば、 数百万人のNarn人の犠牲では済まずに自分たちは全滅していた、 Centauri相手なら生き延びる事が出来ても、 Shadowが相手では絶望的だ、とDelennが説明するのを聞いてG'Karは、 自分たちNarnが犠牲にならねばならないという彼が受けた 啓示は、 未来の事だと思っていたが、過去の事だったと悟る。 彼はDelennに、Narn本星爆撃の直後にこの話を聞いていたら、 彼女を殺していただろう、いずれは許せるだろうが、 今は未だ無理だと答える。 それを聞いたDelennは涙を流しながら、 G'Karを軍事委員会に加える事を約束した。

Franklinは戻って来たSheridanに呼ばれ、 Shadowの輸送船のパイロットの遺体を見せられる。 逃げられないと知って自殺したらしく、 遺体は損傷が激しくて検視も出来ない状態だったが、 それは未知の異星人種族だった。 そこにIvanovaが、貨物室を焼き切って取り出した積荷の一つを運んでくる。 それは冷凍カプセルで、中にはPsiCorpsのマークをつけ、 苦悶の表情を浮かべたテレパスが眠っていた。 彼らはこめかみに奇妙な装置を取り付けられており、 医療ラボに運んだカプセルの内部温度を上げ始めた所、 中に居た若い女性は意識を取り戻すが錯乱状態だった。 Franklinはやっと彼女を落ち着け、 彼女の付けていたブレスレットを外して、 SheridanとBesterの所に持ってゆく。
なぜ積荷は武器だと嘘を言ったのかと追求されたBesterは、 初めはそう聞かされたし、 テレパスだと言えば救出してくれなかっただろうと言い返し、 ブレスレットの記号を見て、 この持ち主はPsiCorpsを拒否して抑制剤を打たれていたテレパス(Blip)で、 脱走したが捕えられて火星の再教育施設に送られたと解読するが、 そこに書かれていた名前を見て表情を変え、 直ぐに彼女に会わせるように求める。
彼らが医療室に向かう途中で、 基地の警報が鳴り響き、 医療ラボでの緊急事態を告げた。 ラボに入ってみると、内部は明かりが消えて荒れ果てており、 先ほどの女性は辺りの機械を体に巻きつけて片隅に隠れていた。 そして近づこうとしたBesterに電撃を浴びせる。 彼女が、「バッジが私を苦しめる、機械の声が聞こえない・・・」と うわ言を言うのに気が付いて、GaribaldiがBesterの付けている PsiCorpsのバッチを投げると、 彼女は再びそれに電撃を浴びせて破壊した。 Besterは、彼女は自分の愛人Carolynだと明かし、 もう一度彼女に近づいたとき、一瞬彼女の心と繋がった。 彼が彼女の心の中で見たのは、 異星人が彼女を手術して装置を取り付ける光景と、 Shadow戦艦の映像だった。 その隙にFranklinはCarolynに鎮静剤を打って眠らせる。

Sheridanのオフィスに戻ったBesterは、 自分にはPsiCorpsが選んだ妻が居るが、 Carolynと出会って初めて恋をして、彼女が子供を身ごもっている事を 明かし、彼女を救ってくれるように求める。 そして彼女の心の中で見たものを説明した。 Shadowの戦艦は中枢部に部品として生体が必要だというDelennの話を 思い出したSheridanらは、 彼女らはその部品とされるために、輸送されていたと推測するが、 なぜテレパスを選んだのかは判らなかった。
変わり果てたCarolynを見て、 Besterはこの戦争でSheridanらへ協力する事を約束し、 Babylon5を去った。

Delennに案内され、 新たに開設された対Shadowの作戦室に 晴れて迎え入れられたG'Karは、感慨を口にする。 そこへGarbaldiが、彼から預かっていたG'Quanの書を持ってやってくる。 彼の推察では、Shadowの戦艦はテレパシーによって 操作が混乱させられるため、 1000年前の戦争でShadowの基地として使われたNarnでは テレパスが全滅させられた。 テレパシーは同じテレパスによって遮断できるため、Shadowはテレパスを 戦艦の中枢に使おうとしていたらしい。 これが事実なら、対Shadowの有力な武器を手にした事になる。
そのとき、Ivanovaが緊張した様子で新たな情報をもたらした。 Brakiri宙域にShadow艦隊が出現し、 ついに公然と非同盟惑星諸国への攻撃を始めた。


印象に残ったシーン、台詞


Memo

テレパスは、相手が視界に入っていなければスキャンできないという 設定になっており、Sheridanの用心もそれに沿っている。 ただし、Besterクラスの最強テレパスでも同じかどうかは微妙である。

Shadowの輸送船の自殺したパイロットは、 恐らくDrakhと呼ばれる種族らしい。 彼らはShadowの補助種族のうちでは最も上位なようで、 後に重要な役割を果たす。 一方、Carolynの記憶の中で彼女を手術していたのは別の補助種族で、 「TechnoMage三部作」では、Technicianと呼ばれている。

BesterはPsiCorps全体がShadowと手を結んでいる訳ではないと主張している。 これはどうやらその通りだが、 テレパスたちをShadowの武器として引渡したのは、 PsiCorps(の一部)だろう。

G'KarがIvanovaに「光の同盟」への参加要求をする場面で、 Ivanovaが「あなたの忍耐力は無限だと言ったでしょう」と言うのに対して彼は 「既に時空は歪み始めており、無限の忍耐も限界に来ている」 とやり返している。 なんでもないやり取りのようだが、 後の話の"War without End"との関連を考えると 興味深い台詞だ。

前々回の"Sic Transit Vir"ではDelennに「あなた」 と呼びかけていたSheridanだが、 今回は「君」と読んでいる。 二人の仲が決定的になる場面がこの間にあったのだろうか? もちろん日本語吹き替えの問題であり、 ここ数回は吹き替えがかなり揺れている。


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