Babylon5 #68

#68 Whatever Happened to Mr. Garibaldi?

粗筋

2261年1月8日: SheridanがZ'ha'dumで行方不明になり死んだと見なされ、 またGaribaldiが失踪してから9日経った。 非同盟惑星諸国は分裂し、艦隊は解散してそれぞれ本国に戻ってしまった。 Franklinが個人日誌を口述している所にLennierが現れ、 Delennが絶食を続けている事について彼に助けを求めた。

Sheridanは夢の中で、暗闇の中に浮かびながら 「君は誰だ、何が望みだ」と光り輝く存在に執拗に尋ねられる。 目を醒ますと、例の老異星人が彼を見守っており、 どんな夢を見ていたかと尋ねた。 そして、ここから脱出しようと考えているようだが無駄だ、 自分の名前を知りたがっているだろうと言う。 彼はLorienと名乗り、さらにSheridanに幾つもの質問を浴びせる。 その最後は、彼が夢の中で受けた質問「君は誰だ」で、 Sheridanは彼がそれを知っていた事に驚く。 Lorienは「その質問には適切な答えがないが、 君が何者という質問なら答えは簡単だ。君は死人だ」と言った。 Sheridanはもちろん否定するが、彼に即されて自分の脈が無い事に気がつく。
彼はそれでも、自分が死んでいる事を認めようとしないが、 Lorienは彼が意識を失う前に最後に覚えている事を尋ねた。 深淵に飛び込んで、底まで落ちたなら彼は死んでいるし、 そうでなければまだ落ちている最中で夢を見ている事になる。 そしてLorienは彼が生と死の間に入り込んだのだと告げた。
Sheridanの問に対し、Lorienは時計の刻みを例にして 一刻みの間に無限の可能性があり、彼の短い生の時間は終わろうとしている、と答えた。 Sheridanは怒って彼の胸倉を掴み、「おまえは誰なんだ」と問う。 そのとき彼の目の前に再び夢のシーンが現れた。 ショックを受けて考え込む彼に、 Lorienは「君は近づいたが、生と死のどちらに近づいたのかな? 時間だけが答えを知っているが、ここには宇宙の全ての時間がある。」と言った。

G'KarはGaribaldiの行方を探すためある惑星を訪れ、 Garibaldiの乗っていたStarFuryの部品を売った男Isaacと酒場で接触した。 G'Karはその入手先を聞き出そうとするが、 Isaacは宇宙を漂っていたのを拾っただけだと主張し、さらにG'Karが追求すると話を拒む。 さらに男の仲間の店主もG'Karを追い払おうとする。 そこにG'Karの後をつけていたMarcusも加わって乱闘が始まり、 二人がその場を脱出した後で、店主はCentauriの兵士と会って話をしていた。

Delennが絶食を続けて瞑想している所に、Franklinが訪れ 彼女に無理をしないように諌める。 彼女は自分の過ちのせいでSheridanと自分との信頼の絆を断ってしまった事を責めており、 彼を愛し彼を守ろうとしたが、真実を全て話さなかったために彼を失ってしまったと、 Franklinに告白する。 そしてこのまま断食を続け、もし彼が死んでしまったのなら 魂となって「影の落ちない場所」で彼と再会する覚悟だと言った。

辺りを偵察したMarcusはG'Karの隠れ家に戻り、Centauriの兵士が執拗に彼を探していると伝える。 彼はG'Karの身を心配してBabylon5からずっとG'Karの後をつけてきたのだった。 彼がなぜGaribaldiの消息をこんなに気にするのかを尋ねると、 G'Karは彼が非Narn人の始めての友だからだと答える。
そのころCentauriの兵士は酒場の店主にNarn人の手配写真を見せていた。 そして探しているのがG'Karだと知る。 彼には最後のKhariの一員として賞金がかけられていた。
眠っているIsaacをMarcusが捕まえ、無理やり彼からStarFuryの部品を入手した 方法について聞き出した。

DelennはFranklinに呼ばれてSheridanの私室にやってきた。 FranklinはIvanovaの指示でSheridanの「遺品」を整理しているうちに Delennに関する彼の私的記録を見つけたので、 彼女にそのデータクリスタルを渡した。 その記録はBabylon5の独立直後のごたごたが続いていた頃のもので、 その中で彼は、いつの間にかDelennに恋をするようになり、 父の言葉「崖から飛びおりるなら、空を飛ぶつもりになれ。何も失うものはないのだから。」 に従って、思い切って彼女に告白した、 そのとき彼女の目を見て本当に空を飛べると感じた、と述べていた。
Delennはそっとスクリーンの彼の顔に触れた。

MarcusはG'Karの隠れ家に戻り、 あのStarFuryの場所をIsaacに教えたのはIPXの社員だったと知らせた。 G'KarはStarFuryの見つかった場所に行ってみるので、 MarcusにはBabylon5へ戻ってIPXの男を捜すように求めた。 Marcusが去った後、G'Karは眠りに落ちた。
暫くして彼は外の足音で眼を覚まし、銃を構えた。 そして入ってきたCentauri兵を何人か倒したが、彼も撃たれてその場に倒れた。

Babylon5にWhiteStar艦隊が次々と集結していた。 DelennとLennierは集まってきたRangerたちを前に、 彼らについに日の当たるときが来たと宣言する。 Delennの計画は、WhiteStar艦隊と残った非同盟惑星諸国の艦隊で Z'ha'dumを直接攻撃する、というものだった。 彼女はRangerたちにチャンスは少ないがやるなら今しかない、と言い、 Sheridanが私的記録の中で言っていた言葉を引用した。

Londoは夜中にドアを叩く音で目を醒まし、ナイフを後ろ手に隠してドアを開けた。 それは宮廷大臣で、皇帝の命令で彼を呼びに来たのだった。 Londoが謁見室に現れたとき、彼の遅刻に皇帝は不機嫌だったが、 すぐに機嫌を直して、Londoに贈り物をやろうと言った。 ベルの音で謁見室に連れてこられたのは、くびきを付けられ縛られたG'Karだった。 皇帝がG'Karに何か言う事はあるかと尋ねると、 彼の答えは「誰か、Mr.Garibaldiの居場所に心当たりはないか?」だった。

その頃Garibaldiは、窓のない狭い円形の部屋に閉じ込められていた。 彼は何とかドアをこじ開けようとするが努力は無駄に終わった。 隠されたスピーカーからは、 無駄な努力はしないようにという声があり、 その声は執拗に彼がBabylon5を離れた直後に何があったかを問いただす。 彼は何も憶えていない、と言うが声は納得せず、真実を話すように執拗に迫る。 ついに彼は苛立ちのあまり、部屋のライトを壊し始めた。 すると部屋の中にガスが噴き出し、彼は床に倒れる。 ドアが開いて、Psi Corpsの制服を着てガスマスクをつけた人物が入ってきた。

LondoはG'Karの独房に入ってきた。 彼はG'KarにBabylon5を離れるとは愚かな事をした、 おまえは長くてつらい拷問を受けた後に殺されるだろう、と言うのに対し、 G'Karはおまえはそれが嬉しいかと尋ねた。 Londoは嬉しくないと答え、本題に入る。 彼はCartagia皇帝は人の道を踏み外した怪物であり、 彼を排除する手段としてG'Karが使えるかもしれないと言い、 いずれその時期が来るまで、彼がどんな苦しみにも耐えるように求めた。 G'Karは彼に手を貸す代償としてNarnの開放を求め、Londoは了承した。 Londoが独房を出て行くときG'Karは一瞬外の光に包まれた。

Sheridanはなおも脱出路を探して通路を歩き回ったが、 一周して元の焚き火の場所に戻ってしまった。 Lorienは彼に、ここを出るには死に身をゆだねるしかない、と言った。 彼は外で戦争が起こっていて放って置けば何十億人もが死ぬのが解らないのか、と反駁するが、 Lorienは「子供たちが争うのを見るのはつらいが、彼らは私の言う事に耳を貸さなかった」 と言い出した。 Sheridanが問い返すのに対し、Lorienは自分は長い事ここに居て、 VorlonもShadowも自分より後に生まれた者たちであり、 自分こそ最古のFirst Oneだ、と答えた。 そしてSheridanがなぜここに留まっているのかを尋ねると、 話の出来る者を待っているのだと答えた。 そしてShadowが追われる度にここに戻ってくるのも彼がここに居るからで、 どうやら彼に敬意を示しているつもりらしいが、まるで彼の事を理解していない、 ここまでやってきたのはSheridanが初めてだ、と説明する。 そして彼の中にKoshの一部が居る事を指摘し、彼もKoshも生に執着し死を恐れている、 と言った。
Lorienの言葉を聞いているうちにSheridanは心が落ち着いてきて、 同時に辺りが段々暗くなってきた。 Lorienは彼に、自分は命を作り出す事は出来ないが、 消えかけた残り火に息を吹きかける事はできる、 上手く行くかは判らないがと言い、 「でも希望はある」とSheridanが言うと、 「我々にあるのは希望だけ」と続けた。 最後に彼は、「生き続けたい理由はあるか」とSheridanに尋ねる。 遠のく意識の中でSheridanの心にはDelennが微笑みながら 「眠りなさい、もし落ちそうなら私が受け止めてあげる」と 彼に言ったときの記憶が浮かんだ。 そして彼は「Delenn!」と一言叫んだ。
横たわるSheridanをLorienが見つめていた。


印象に残ったシーン、台詞

Delennが「Johnがもし死んでいるなら、肉体は無理でも魂は彼にお供する」と 言い出したときのFranklinのジェスチャーには苦笑する。 「まったくもう、正気じゃないよ」という感じか。
以下はそのシーンの全文:

Delenn: 「正義の為です。 私のせいでJohnは行った。 Shadowに対する同盟も分裂したわ、指導者を失って。」
Franklin: 「大使・・・。」
Delenn: 「私はずっとAnnaが生きている事を恐れていました、 でも彼には一言も言わなかった。 私は彼に行動を選ぶ権利を与えず、信頼関係を壊した。 自分で真相に気づいた時、 彼が行動を選ぶのではなく、行動が彼を選んだ。・・・ そして行ってしまった。
地球人はよくこう言います。 『Minbari人は完全な真実を言わない。』 姿を変えた私はもっと意識も変えるべきだった。 彼を・・・愛していた。 彼を守りたかった。 愛する気持ちを抑えて信頼すれば良かった。
ご心配ありがとう、でも断食は続けます。 もしJohnがZ'ha'dumから戻らず・・・ 死んだのなら、 魂だけでもお供するわ、この身は無理でも。 ずっと前に約束したように、彼と再会します、 いつか影の降りない場所で。」

DelennがRangerたちに、Z'ha'dumへの攻撃を命じたときの彼らの表情も見もの。 顔を見合わせて、「えっ、まじですか?」という感じだ。


Memo

「生き続けたい理由」の最後の答えが、「Delenn!」というのは、ある意味象徴的だ。 大義や正義といった抽象概念よりも、個人一人一人の思いの方が重要だ、 という考えがシリーズ全体を貫いている気がする。 Sebastianの尋問に対するDelennの最後の答えは Sheridanに対する彼女の愛であり、 また、G'KarがGaribaldiの行方を探し続ける理由も、彼への友情だった。
逆にMordenが始めて現れて大使たちに「真の望み」を聞いて回ったとき、 「銀河系におけるCentauriの復権」という、 愛国的にまっとうな答えをしたLondoが、 Shadowの誘惑の対象となったのも思い出させられる。

Lorienは自分たちのいる場所を「時の間」と言い、 さらにKoshは自分がここにいる事を知っていたと言った。 と言う事は、Sheridanの夢の中で言及された 「間の男」とは Lorienの事だろうか?

Ivanovaが画面に現れなかったのは今回が初めてでは?

この所のストーリーの流れからすれば今回のDelennの言動はそれほど違和感がないが、 今回だけ切り離してみると常軌を逸した言動である。

今回あたりの展開を見ていると、 実はJohn SheridanとDelennとのラブロマンスが 最も大きなテーマではという気すらする。

Sheridanの私的記録は、 "Ceremonies of Light and Dark"の 直後と思われる。 日付は5/14となっていた。

Sheridanの記憶に現れたDelennのシーンは、 恐らく"Messages from Earth"で二人がWhiteStarでGanymedeに向かったときの 仮眠室でのものだろう。

Sheridanの夢の中でのLorienの問「君は誰だ?」("Who are you?")と 「何が望みだ?」("What do you want?")とは、 それぞれSebastianMorden、 すなわちVorlonとShadowの代理人の問と同じものだった。

Lorienによると、Vorlon人は心をいくつかに分割して他の生命に宿し、 そうやって宇宙を旅する事が出来ると言う。 前回のLytaと新Koshとのシーンは正にそういう事らしい。

DelennがFranklinに説明したときに言った 「Minbari人は決して全ての真実を明かさない」という地球の言い回しは、 嘗てSheridan自身が口にしていた
一方この場面の最後に彼女が 「ずっと昔に約束したように」というのは、 #40 " Confessions and Lamentations"で、 DelennがMarkab人の隔離区域に入る許可を求めたときの事らしい。


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