Babylon5 #71

#71 The Long Night

粗筋

Babylon5の周りには続々と艦隊が集結しており、 VorlonとShadowの両者から自分たちを守るための戦いに備えていた。 Ivonovaは司令室で思案中のSheridanに、VorlonのPlanet Killerによる攻撃に 対抗して、Shadowの同等の新兵器が出現した事を伝えた。 その映像は惑星全体を覆う雲のように見え、 それが去った後Vorlonの影響下にあった植民星の住民は全滅していた。

Narn本星にある秘密の会議室で、Londoは数名のCentauri人指導者と密談をしていた。 彼がCartagiaを皇帝の座から引きずり下ろして国を救わなくてはならないと訴えるのに対し、 一人がMalakai前首相を暗殺してCartagiaを皇帝に据えたのは Londoの仲間のRefaだった事を指摘した。 対してLondoは、Refaは既にその報いを受け、自分もいずれその代償を払うだろうと答えた。 別の一人が暗殺以外に選択肢は無いのか疑問を呈したが、 Virが数日のうちにVorlon艦隊がCentauri本星にやってくる事を指摘した。 結局、今日のうちにCartagiaを殺すしか Shadow艦隊をCentauriから追い出す方法がない事が確認された。

Sheridanが私室に居る所に、Ivanovaが現れた。 彼は彼女に攻撃艦隊に加らずに、Lorienを伴ってFirst Oneたちの捜索を続けるように命じた。 彼女は反発し、自分の母の話をする。 彼女の母は彼女の子供時代にはもうテレパシー能力を抑える薬の副作用で精神を病んでおり、 ある日彼女が遊んでくれるように頼んだとき少し待っていてと答え、 その直後に自殺してしまった。 それ以来彼女は、不確かな約束は決して信じないと言い、 Sheridanに自分を艦隊に加える事の確約を求めた。 彼は約束し、数日のうちに捜索から戻ってくるように言った。 そして最後に、彼女を誇りに思っていると付け加えた。

Narn本星に設けられた謁見の間では、Cartagiaと廷臣たちが道化の演技を見て寛いでいた。 皇帝はこの部屋がCentauri王宮の本物にそっくりだとLondoを誉め、 自分が神となったあかつきには彼を司祭長にしてやろうと言った。 そしてCentauriがVorlonによってまもなく滅ぼされる事を公言してから道化の方を振り向き、 彼の物まねを見て爆笑した。 その場の人々は一瞬黙り込んだ後、彼の笑いに続いた。 Londoは準備をする、と言ってその場を離れた。
G'Karの様子を見に地下牢に入った彼は、 G'Karが片目を布で覆っているのを見て息を呑んだ。 Cartagiaにやられたのか、と尋ねるLondoに、 G'Karはその通りだが、空っぽの眼は空っぽの心を見抜くと答え、 おまえの心の中は空っぽだ、と喝破した。 Londoは彼に、今晩彼は引き回しの上皇帝の面前で処刑される予定だが 鎖を緩めて衛兵も買収しておく事、 また彼が注意を逸らしている隙にLondoらが暗殺を実行するので、 彼自身は皇帝に手を出さない事を求めた。
地下牢から戻ったLondoは、先ほどの道化が殺されて運ばれて行くのに出くわした。 立ちすくむ彼に皇帝は「ユーモアはとても主観的なものだ、違うか?」と言い捨てた。

秘密の部屋で、LondoはVirが運んできた暗殺用の毒針を受け取った。 Virの説明では、二つの心臓の間に突き刺せば神経毒が注入されほぼ即死し、 傷口も塞がれて誰にも判らないという。 Londoはそれでも、皇帝が死ぬ前に彼が殺した事を叫ばないかと気にしていた。
太鼓が打たれ、Narn人たちが見守る前をG'Karの引き回しが始まった。 彼がよろめいて倒れかけたとき思わず助け起こそうとしたNarn人たちに彼は、 弱気になるな、威厳を保て、とささやいた。 やがてLondoら廷臣が並んだ皇帝の玉座の前に彼は引き出され、 皇帝は彼に八つ裂きの刑を宣告した。 皇帝が「申し開きはあるか」と尋ねたとき、 G'Karは鎖を引きちぎり、着けられていた枷で衛兵をなぎ倒し、 同時に見守っていたNarn人たちも暴れだして謁見の間はパニック状態になった。
Londoは皇帝に逃げるように言い、彼をせきたてて奥に逃げ込むが、 彼はLondoの行為を不遜だとして殴りつけ、 不意を打たれたLondoは、取り出した毒針を取り落としてしまう。 それに気づかない皇帝はLondoの首の腕を回して締め上げ、 「おまえもCentauriといっしょに灰になってしまえ」と罵った。 そのとき、彼らを追ってきたVirが毒針を拾い上げ、 振り向いた皇帝に体当たりして針を突き刺した。 皇帝はVirの胸倉を掴んだが直ぐに力が抜け、 「余は神になる運命だ」とつぶやいてLondoの腕の中で絶命した。 駆けつけてきた衛兵にLondoは、皇帝が心臓発作で倒れたので医者を呼べと命じた。
やがて謁見の間に集まったCentauriの廷臣たちにLondoは皇帝の死を報告した。 彼がNarnに関わった二代の皇帝が相次いで死んだのは、 Narnから立ち去れという神の意志だと言うと、 計画の同志も彼に同調し、皇帝の後継者が居ないため、Londoを首相に据えると発表した。 Londoは「首相だと?」とやや意外そうに言ったがそれを受け入れ、 直ちにCentauri本星に戻ってShadow艦隊を追い出す事になった。

Babylon5の作戦室では、LennierがSheridanらに VorlonとShadowが互いに相手の影響下にある惑星を破壊し合っている事を報告した。 続いて彼は何か言いかけるが、次々と邪魔が入る。 そしてDelennの元に、彼女が偵察に送っていたWhite Starの一隻から連絡が入った。 艦長のEricssonは、Shadowの新兵器Death Cloudが植民星を覆い尽くす様子を伝える。 それは地表にミサイルの雨を降らせ、ミサイルは惑星の核近くまで達して爆発し、 惑星を内部から崩壊させ始めた。 Garibaldiは、こんな兵器にとても太刀打ちできないというが、 Lennierはさっきから言おうとしていたが、次のVorlonの目標が判ったと言った。 それは60億人の人口を抱えるCoriana6だった。 SheridanはEricssonに回線を空けて置くように言い、 さらにDelennには、Ericssonが送ってきたDeath Cloudの映像を 各国の大使たちに見せて置くように頼んだ。

Narn本星では、Londoが出発の準備のためにVirを呼びに来たが、 彼はCartagiaのために飲んでいたと言い、ぐでんぐでんに酔っていた。 そしてLondoに、どのくらい飲めば、鏡の中の自分の顔が見えなくなるかと尋ねた。 窘めるLondoにVirは、自分は平凡な人生を送るのが望みで、 このような事に巻き込まれて皇帝の暗殺に手を染めたくなかった、と言い返した。 Londoは嘗てBabylon5で彼に初めて会ったときに冷たくあしらったのは 彼の純真さがうらやましかったからだと教え、 彼だけはこのような事に巻き込みたくなかった、 彼の苦しみが消えるかは判らないが、彼のした事は必要だったと慰めた。 そのとき外ではCentauriの撤退を知ったNarn人達が喜びの花火を上げており、 それを見ながらLondoは、Centauriに戻れば非難されるだろうが、 G'Karとの約束に従いNarnを開放する、 自分の残された名誉にかけて約束は守ると言った。 Londoが立ち去った後Virは花火を見ながら、 自分がやった事は何のためだったのかと自問した。

作戦室でDeath Cloudの映像を見てざわめく大使たちの前に、 SheridanとDelennが現れた。 彼はCoriana6をVorlonから救うためVorlon艦隊を攻撃する事を宣言した。 これはVorlon艦隊を足止めさせるための牽制作戦で、 Delennは次の作戦としてFirst Oneを探し出して味方に加えると説明した。 さらにSheridanがCoriana6でVorlonとShadowを直接交戦させると言うのに、 彼らはこれまで直接交戦を避けているのにどうやってそれをさせるのか とDraziの大使が反論した。
ここでSheridanは彼の作戦を提示した。 彼はEricssonを呼び出し、Coriana6に秘密基地があるという偽情報を Shadowに掴ませるため、彼らが犠牲となることを求めた。 Ericssonは了解し、最後にDelennに別れの挨拶をして通信を切った。 沈痛な面持ちでSheridanらは会議に戻った。

Narn本星ではCentauri人が去った後の謁見室で、 Narn人たちが装飾や家具を破壊していた。 G'Karが騒ぎを聞きつけて現れ、彼らをしかりつけると、 破壊の指揮を取っていた若いNarn人のG'Lornは、 彼が指導者になってCentauriへの報復を行うように求めた。 G'Karは独裁者を倒したのは、新たな独裁者を生むためではない、 今は復讐ではなく傷ついたNarnを再生させる事が重要だと訴えるが、 G'Lornは聞き入れずかえって彼を弱虫だと罵り、 自分たちが苦しんでいたときにどこで何をしていたのかと言い出した。 それを聞いたG'Karは一瞬怒りの表情を見せるが、 自嘲の大笑いを残してその場を立ち去った。

数時間後、Ericssonからの最後の通信を聞くSheridanの元にDelennが現れた。 Ericssonからの通信が途絶え、Shadowが食いついた事を確認し、 またDelennからVorlon艦隊への攻撃が始まった事を知らされた彼は 彼女と共にWhiteStar旗艦に乗り込む。 そして連合艦隊はBabylon5を後にした。


印象に残ったシーン、台詞

We are not now that strength which in old days
Moved earth and heaven, that which we are, we are,--
One equal temper of heroic hearts,
Made weak by time and fate, but strong in will
To strive, to seek, to find, and not to yield.
Tennysonの詩 "Ulysses"より。 Delennと共にBabylon5を離れ、WhiteStar旗艦へと向かうSheridanが、 自分が司令官に赴任した際に誰かがデスクに残していたと言って引用した。 恐らく残したのはSinclairだろう。 彼はこの詩が好きで、幾つかの場面で色々な部分を引用している。


Memo

Londoは片目をくりぬかれたG'Karを見て息を呑んだが、 これは残酷さにショックを受けたからだけではない。 おそらく彼の脳裏には嘗て観た 片目のG'Karと首を絞め合う自分の死の場面のが あったはずだ。

Londoは自分が直ぐに新しい皇帝に指名される事を期待していたのだろうか?

CartagiaはG'Karの鎖を新しいものに付け替えさせたとLondoに言ったが、 G'Karはその鎖をちぎった。 新しい鎖を引きちぎるほどG'Karに怪力があった事を意味するのか、 それとも皇帝の命令は実行されずにLondoが細工をした鎖のままだったのか。

毒針の使い方の説明の中で、「二つの心臓の間」という台詞があるが、 Centauri人には心臓が二つある。


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