#72 Into the Fire
粗筋
IvanovaはLorienを連れてWhiteStarでFirst One探しに出かけ、 ある星雲の近くで呼びかけを続けていた。 彼女はLorienに、もう5種族のFirst Oneたちを見つけたし これ以上待っていてはSheridanの艦隊の決戦に遅れると主張するが、 Lorienはまだ時間はあり、全てのFirst Oneを連れて行く事が肝心だと言った。 Ivanovaがあと10分だけ待つと言った直後に外に光がきらめき、巨大な船が現れた。 Lorienは彼女を彼らに紹介しようと言って席を立った。
Sheridanが率いるWhiteStar艦隊は、小惑星上にあるVorlonの監視基地を攻撃していた。 基地の反撃で損害を出しながらもなんとか破壊し、彼らは亜空間の連合艦隊に合流した。 SheridanはDelennに窓の外の光景を示し、20以上の種族が始めて共同して一つの目的に 向かう事が出来たと言う。 そしてLennierに艦隊をCoriana6へ向かわせるように命じた。
同じ船の中でLytaはMarcusにVorlonの艦隊がCentauri本星にも向かっている事を指摘し、 なぜそちらではなくCoriana6へ向かうのかを尋ねた。 Marcusは両方の惑星を救うには艦隊の勢力が足りず、 どちらの惑星が人口が多いかという問題だと説明し、 Vorlon艦隊が到着する前にCentauri本星からShadowの影響を排除できなければ その破滅は避けられないだろうと彼女に言った。その頃Centauri王宮では、Londoがあと数時間の内にVorlon艦隊が やってくる事を宮廷大臣に警告し、急いでShadow艦隊を惑星から追い払うために 各部門の大臣を招集するように指示を出していた。 さらに彼はCartagiaに仕えていた人間を全て追い出すように求めた。 彼が当然のように玉座に座ったのを見た大臣はさすがにそれを咎め、 彼は「つい体が動いた」と言い訳をした。 大臣が去った後、LondoはVirにMordenを見つけ出して「凶報」を知らしてやると言った。
DelennはSheridanに、Ivonovaから最後のFirst Oneを見つけ出したと連絡があった事を伝えた。 彼女はIvanovaを会戦に巻き込ませたくなかったので指示を待つようにと告げていたが、 Sheridanは彼女との約束をDelennに話し、直ぐに決戦の場に向かうように指示を伝えさせた。
Babylon5へ戻ったIvanovaが部屋で出発の準備をしていると、Lorienが入ってきた。 不死にしてはせっかちだとからかう彼女に、彼は自分達は不死ではなく 怪我や病気で死ぬこともあり、自分が種族の最後の一人だと明かした。 彼女は彼が宇宙で始めに生まれた者だとしても、 不死性を手に入れるには一生は短すぎると言って 彼の主張に不信感を示した。 彼の説明では、彼の種族の始めに生まれた者たちは不死だったが、 後に生まれた者は死ぬようになったという。 そして彼は、不死である事は愛や友情といったつかの間の関係を失う事であり、 愛を永遠のものとして信じられるのは短い寿命の者たちの特権だから、 今を大切に生きなさいとIvanovaに諭した。
閣議に出る準備をしているLondoの元に、情報相Duranoが話があると言って訪れた。 彼はAdiraとRefaの死について前皇帝の命令で調査していた事を明かし、 Adiraの暗殺を命じたのはRefaではなくMordenで、 彼の目的はLondoにRefaの仕業だと信じさせて利用する事だったと説明した。 衝撃を受けたLondoはDuranoを追い払った後、 「余をもて遊びおった!こけにされた!」と叫び、部屋中の家具を壊して荒れ狂った後、 椅子に崩れてすすり泣いた。
IvanovaはLorienと共に艦隊の集結地点に向かっていた。 彼女があせってイラついているのを見たLorienは、 忍耐と論理こそが勝利への鍵だと彼女を諭し、 Sheridanはそれを知っているが判らないのは 彼がそれを知っている事を知っているかだと言った。
その頃艦隊の集結地ではSheridanが全艦隊の配置を眺めながら、 悪くはないが勝つには十分ではない、とつぶやいていた。 彼はMarcusに核兵器の小惑星帯への配備が完了した事を確認し、 Lytaに彼女の能力によってVorlonとShadowの出現が判ったら知らせるように頼んだ。 そして二人に、彼女の存在だけが頼りだと言った。玉座の間で待っていたLondoの前に、Mordenが二人の衛兵に引っ立てられて来た。 Londoは彼にVorlon艦隊がCentauriに向かっていると言い、 Cartagiaが死んだ以上約束は白紙に戻った、 即座にShadow艦隊をCentauri本星から退去させろと迫った。 Vorlonは30億もの人口を持つ惑星を攻撃しないと言ってMordenが要求を拒否すると、 LondoはShadowが恐れをなしているとあざ笑い、 衛兵に命じていきなりMordenの左右を射撃させて 目に見えずに彼の傍らにいたShadowを射殺した。 顔色を変えておまえは狂っていると叫ぶMordenに Londoはもう一度艦隊の退去を命じ、 「上空を飛ぶShadow艦は確かに圧巻だが、今は地上に居る」と指摘した。 Mordenがなおも退去を拒んで「それがどうした、島を爆破でもするか」と言い返すと、 Londoはポケットから小さな送信機を取り出しスイッチを押した。 Selini島は跡形も無く吹き飛び、 その瞬間Mordenは苦痛でも受けたかのように顔をゆがめてよろめいた。 LondoがMordenを地下牢に監禁するように命じると、 両腕をつかまれたMordenはもがきながら 「おまえは過ちを犯した、Shadowが敗れても自分たちの同盟者が 今日ここで起こった事のつけをCentauri本星に払わせるだろう」と絶叫した。 それを見送ったLondoは、 「おまえへの制裁はまだこれからだ」とつぶやいた。
Ivanovaはようやく集結地点に到着し、SheridanにLorienをそちらに送ると伝えたそのとき、 Lytaは両種族の艦隊が現れたのを感知した。 ShadowとVorlonの大艦隊が亜空間から続々と姿を現し、 Sheridanらの艦隊を無視して相手に向かって直進していった。 Sheridanは両者の注意を引くために彼らの艦隊の真中に仕掛けた核兵器を次々と起爆し、 幾つかの艦が破壊された。 MarcusはLorienと入れ替わりにIvanovaの元に行った。 SheridanはVorlon艦隊にCoriana6を攻撃しないよう呼びかけるが応答は無く、 三つの勢力が入り乱れての大乱戦が始まった。 Planet Killerは刻々とCoriana6に迫り、 DelennはLytaになんとかしてVorlonにコンタクトを取れないかと頼んだ。
Virが玉座の間に戻ってくると、上機嫌のLondoが彼に Shadowの最後の影響を排除したので庭に出てみろ、と声をかけた。 外に出た彼が見上げた先には、槍にささったMordenの生首があった。 それを見たVirは、嘗て「望みは何だ」と尋ねたMordenに 「あんたの生首が槍の先に晒されているのが見たい」 と答えた事を思い出し、 生首に向かって手を振った。
Lytaの懸命の努力にもVorlonは応答しないままだった。 LennierはPlanet KillerがCoriana6をほぼ射程内に捉えたと告げ、 First Oneたちを呼ぶ事を進言した。 Delennはまだ早いと言うが、Sheridanの決断で信号を送ると、 First Oneたちの巨大な船が戦場に次々と出現してPlanet Killerに火力を集中し、 巨大なそれをあっさりと破壊した。 さらに彼らはVorlonとShadowの他の艦にも攻撃を始めた。 しかしなおもVorlonは呼びかけを無視しつづけ、 LennierはVorlonが全艦隊を呼び寄せていると報告した。
印象に残ったシーン、台詞
SheridanとDelennの意識がVorlonとShadowによって連れ去られ 彼らと対決する場面の、特にDelennとShadowとのそれは ST-DS9の「預言者」との対話シーンとほとんど同じだ。 この類似は多分作者による意図的なものだろう。
WhiteStarの窓から近づいてくるBabylon5を眺めながらの SheridanとDelennの会話。 このシーンはこのまま最終回のような雰囲気だった。
Sheridan: We are all alone now, just the younger races. We can't blame anyone else from now on. It's a new age, Delenn. A third age! Delenn: Why third? Sheridan: We begun in chaos, too primitive to make our own decisions. Then we were manipulated from outside by forces that thought they knew what was best for us. And now - now we are finally standing on our own. Lorien was right, it's a great responsibility. This is ours now. Delenn: Strange. The galaxy seems somehow smaller now that the First Ones are gone forever. Sheridan: It feels like the magic's gone now. Delenn: No, not gone. Now we make our own magic. Now we create our own legends. Now we build the future. Now we stop.... Sheridan: ... being afraid of shadows.
Memo
Mordenが「望みは何か」と尋ねて回った相手のうち、 それを叶えられたのは皮肉にもVirだった。
First Oneたちが銀河から立ち去り1000年の戦争周期が途切れた事で、 Sheridanが迷い込んだ17年後の未来のシーンでの Delennが言っていた運命は 逃れられたと思われる。
一方でLondoはMordenの処刑によって、Loady Morellaの予言にあった 破滅を避けるチャンスの一つを逃した。 彼女の言った「死んだ人間」とはMordenである可能性が高い。 かつてSheridanはMordenが記録上はZ'ha'dumで 死んでいると言及していた。 Shadow基地の破壊と彼の処刑が、結果的には CentauriとLondo個人へのDrakhの復讐を呼び込んだことになるのだろう。 そう考えると、Londoの運命の分岐点はもっと以前だった訳だ。暗闇の中に立つSheridanの前に現れたヴェールを被った女性の像のシーンは、 Sheridanの夢に現れた Ivanovaを思い出させる。 その夢の中で彼女は「あなたは手よ」と言った。 これはVorlonにとってSheridanは道具に過ぎない事を暗示しているのでは。
Marcusが決戦が始めると言うのにわざわざIvanovaの元に行ったのは、 愛する女性を守りたいという騎士道精神の表れだろうか。 しかし残念ながら彼女はまるで気がついていないようだ。
最後のSheridanの台詞の中の「第三紀元」という言葉は、 第一シーズンのオープニングに使われている。
LorienがVorlonとShadowに言った「私は始めからここに居た。」という言葉は、 夢の中で KoshがSheridanに言った言葉、 「君はずっとここに居た」を思い出させる。
SheridanとDelennが選んだのは、秩序と混沌の間を行く道だった。 Sheridanが言った言葉は、Grey評議会の誓いの言葉、 「我々はGrey、蝋燭と星の間に立つ。我々はGrey、光と闇の間に立つ。」 と呼応しているようだ。 Grey評議会の創設者ValenすなわちSinclairは、 この結末を何らかの形で予見していたのだろうか? 1000年前の戦争では、単純に光(Vorlon)の側に立っていたわけだが。
VorlonがSheridan, ShadowがDelennをそれぞれ選んだのは意味がありそうだ。 SheridanはZ'ha'dumでShadowの言い分を聴いている。 一方DelennはこれまではVorlonに従って行動してきた。 従って二人とも、両者の主張を平等に聴く立場となれた。
Z'ha'dumにSheridanを探しに行ったときに Lytaの眼が今回同様に真っ黒になったのは、 彼女のテレパシー能力によるものではなく、Shadowの影響だった。
SheridanがVorlonとShadowの争いを子供の前での夫婦喧嘩にたとえたのは、 卑近なようで実は深いかもしれない。 Z'ha'dumの「眼」は、 DelennとIvanovaに「父親の声で」話し掛けた。 一方Vorlonは今回女性の像として現われた。 また彼らが若い種族達を自分の保護下にいつまでも留めようとするのは、 母親的な行動だ。
両者のバランスが取れている間は若い種族たちを正しく導く事が出来たが、 両親が争いを始めて悲劇が起こった。SheridanがVorlonとShadowに言った、「自分たちに自分たちの運命を選ばせろ」というのは、 "Z'ha'dum"で彼がAnnaが生きている可能性を伏せていた事に対して Delennを責めていた場面の発言と同じである。
一方Delennが彼らは若い種族を導く役目を果たしていないと言ったのは、 "Severed Dreams"で彼女がGrey評議員を責めた 言葉と同じである。