Babylon5 #74

#74 The Illusion of Truth

粗筋

IvanovaはSheridanががらんとした戦略ルームの椅子に座って考え事をしているのを見つけた。 彼はShadow戦争は終わったが地球の現状を考えるとこのままでは収まらないだろうと言うと、 彼女は地球からの商業船が入港しなくなったため、 基地の経営が厳しくなっている現状を説明した。 彼女がさらに彼が心配事を抱えているようだと指摘すると、 彼は大統領によるBabylon5への渡航禁止命令以降、 自分の父親と連絡が取れなくなっている事を彼女に打ち明けた。 彼女は、外交官だった彼の父親にはClark政権もおいそれとは手を出さないだろうと 元気付けるが、彼はなおも心配をしていた。 一方で基地の業務について尋ねられた彼女は、 ZackをGaribaldiの後任に当てて正解だったと言った。
その頃ドッキングベイでは地球人の入港者の一団と保安部員の間で衝突が起こっていた。 そこに入ってきたZackに対し部下は、 その男がトランクの中を調べる事を拒否していると報告した。 Zackの再三の命令にも男が従わなかったため彼がトランクにPPGを発砲すると 鍵が開き、中から現われたのは浮遊式の小型カメラだった。 男は、自分たちはテレビレポーターだと説明した。

FranklinはSheridanに、 冷凍冬眠中のテレパスたちを別の医療室に移動させる計画を説明していた。 Sheridanは同意したが、 同時に彼らをいつまでも冬眠状態に放置しておく事に懸念を示した。 Franklinは司令官の気持ちは解るが、Shadowのデバイスが脳に埋め込まれた状態の 彼らを蘇生させるのは危険過ぎると反論した。 そのときSheridanはレポーターの件でコムリンクで呼び出された。

男はISNのDan Randallと名乗り、Ivanovaが自分をエアロックから放り出す と脅したとSheridanに訴えた。 SheridanがISNはClarkのプロパガンダ放送局に堕したと非難すると、 Randallはそれを認めた上で、それでも自分たちは 政府の検閲の範囲内で真実の一部でも伝えようと努力していると主張した。 さらに彼は、世の中には真に客観的な報道など存在しないと言い、 自分たちを追い出せば、地球にSheridanたちの立場を伝える手段を失うと指摘した。

保安主任を辞任したGaribaldiはDownbelowで、 今回の戦争での疎開の際に失ったDraziの神の像を探して欲しいという 地球人の男の話を聴いていた。 男はその像は妻の思い出の品で金銭的には無価値だというが、 Garibaldiは男がその中に貴重品を隠していた事を言い当て、 像の回収手数料として総額の15%を要求した。 商談が成立した直後に今度はLennierが彼の前に座り、 彼が保安主任を辞めたのに驚いていると話し掛けた。 LennierはMinbariでは人の為に尽くす事は名誉だと考えられていると言うと、 Garibaldiは自分は当面の名誉は既に手に入れたと答えた。 そうするうちに、今度はSheridanがRandallを連れて現われ、 Lennierに彼に基地内を案内するように命じた。 彼とGareibaldiとは一瞬視線を合わせたが何も話さず、 緊張感が走った。 彼らが立ち去り、Draziの像の写真を再び眺めているGaribaldiの脳裏に、 独房に閉じ込められて「我々の為だけに働け」 とスピーカーからの執拗な声をかけられていたシーンが一瞬蘇る。

LennierはRandallと彼のクルーを案内して移動チューブに乗っていた。 Randallの質問に対し、彼は基地の周囲の艦船は先の戦争で損傷したもので、 部品代以外は無料で修理を提供している事を説明した。 彼らの周りには幾つものテレビカメラが浮遊しており、 Lennierは移動チューブを出るときにそのうちの一つに頭突きを食わせた。 Downdelowの一角でLennierは、 新天地を夢見て基地にやってきたが金が尽きた人たちが、 この地区にホームレス状態で暮らしている事を説明する。 そこにFranklinが緊急の患者を輸送して通りかかり、 Randallのインタビュー申し込みに、今は忙しいが後ならOKだと答えた。 そのときFrankilnに、冷凍装置の再稼動準備ができたという連絡が入った。 その会話をカメラは全て記録していた。

テレビクルーを案内してLennierが通路を通ったとき、 LondoがSheridanを掴まえて部屋の暖房が効いていない苦情を持ち込んでいた。 Sheridanの冗談に興奮してまくし立てるLondoの様子をカメラは記録していた。

DelennとJohnはソファーに座ってインタビューを受けていた。 Randallの質問に対しSheridanは、ClarkがSantiago前大統領を暗殺したと信じており、 彼は自分のじゃまをする者をすべて片付ける人物だと言った。 Delennは司令官と将来結婚するという噂が本当か尋ねられ、 言葉を濁してJohnの方を見やると、 彼はそれについてはノーコメントだと答えた。 RandallがMinbari戦争では敵同士だった二人の交際には 反対する者も居るのではと尋ねると、彼女は心には国境は写らないと答え、 それでも反対する者には理解させるまでだと述べた。 そしてJohnは自分たちを止められるものは銀河系に存在しない、と言った。

Randallは最後にGaribaldiにインタビューしていた。 始めGaribaldiは自らの辞任についてなにも話そうとしなかったが、 Randallは彼がこの基地が稼動を始めたときからここで働いてきた事を指摘し、 なんでも良いから話してくれと迫った。 それに対し、彼は考え込んでから重い口を開いた。

およそ二週間後、Ivanovaは落ち着かない様子で 司令官のオフィスのテレビモニターの前にあるテーブルに夕食を運んできた。 そこにSheridanも同じように夕食を持って現われた。 IvanovaはISNでのRandallの特別レポートが もう直ぐ始まるのを落ち着いて待っていられない、 あの取材にはなにか罠があったに違いないと言うと、 Sheridanも同意したが、あえて正々堂々と取材を受けたのだと答えた。 Marcusに掴まっていたDelennも現われ、 三人はテレビモニターを見つめた。
地球が銀河の中心であるかのようなイメージを与えるオープニングで始まった ISNのニュースレポートは、まず昨年独立を宣言した火星の75%が地球軍によって 制圧され、大統領によって外出制限時間が短縮されたニュースを伝えた。 次のニュースは、新議会の公聴会の席で著名な文化人たちが これまで異星人の策略にのって反地球キャンペーンを行っていたことを 自ら認め、共犯者のリストを並べた事についてだった。
そしてRandallのレポート番組が始まった。 彼は現在のBabylon5では大半の地球人は劣悪な環境の居住区に押し込められており、 快適な区画は身分の高い異星人や基地の運営者に占拠されていると説明した。 そしてそれに反抗する者は掴まって鎮静剤を投与されどこかに連れ去られると言い、 Franklinと彼のスタッフがDownbelowで患者を移送する映像が流された。 また、基地を管理しているのは嘗て地球に侵略戦争を仕掛けたMinbari人だと言って、 LennierがRandallたちを案内する映像が示された。 さらにLondoがSheridanに食って掛かるシーンが、 地球に対する反逆者のリーダーである司令官も 異星人には頭が上がらない証拠映像として流された。
RandallはMinbari戦争の英雄であったはずのSheridanがなぜこのように異星人に対して 卑屈な態度を取っているのかと疑問を呈し、 Harvard Medical Schoolの心理学者Dr. William Indiriに意見を求めた。 Indiriの意見では、これはMinbari戦争の退役軍人に典型的に見られる症候で、 技術的に勝った異星人を地球人より優れた種族だと考えるようになり、 ひどい場合には自分や他人を異星人化しようと考えるようになると指摘した。

CMの後、Randallは基地の外で改修されている戦艦の映像を示し、 これらはDelennとSheridanによって組織された艦隊の船で、 地球の納税者の税金で異星人の船が修理されているのは皮肉だと述べた。 そして彼はDelennとSheridanとの編集されたインタビュー映像を流した。 その中で二人は、自分たちの仲を地球が理解しないなら、 力ずくで認めさせるまでだと述べ、 自分たちを止められる力は銀河には存在しないと豪語していた。
さらに今度はGaribaldiの証言が流され、 その中で彼はSheridanがZ'ha'dumから帰ってからは言う事が神がかり的になり、 DelennやLorienなど数人の異星人を除いては 他人の意見を聞こうとしなくなったと述べていた。 そして自分は彼に意見したために辞職するはめになった事を示唆した。

再びCMの後Randallは、 Downbelowでの取材中にFranklinに入った「冷凍装置の再稼動準備が出来た」 という連絡を取り上げ、その隠された意味を暴こうとした。 彼らは協力者の手引きで医療室の奥の冷凍保存室に入り、 数十の装置が満杯になっている事を示した。 そしてそこに書かれた患者の名は基地の住民リストに存在しない事を指摘し、 反抗的分子が捕らえられてここに冷凍保存され、 記録から名前が抹消されている事を示唆した。 Randallはこの件に関してFranklinがインタビューの中で、 現在冷凍装置は使われていないと証言している事を取り上げ、 彼が嘘をついている理由として、彼らが推測したSheridanの恐るべき計画を示した。

Sheridanは地球人をMinbari人に替える計画を進めており、 それを彼に吹き込んだのはDelennである。 彼女はMinbari人と地球人との遺伝子を混ぜて両者の中間形に変われる事を身をもって 彼に示し、彼はその実験を冷凍装置に入っている被害者たちに行っている。 そしていずれは地球にも手を伸ばして同様に地球人のMinbari化を行おうとしている。 嘗てMinbariが謎の降伏をしたのも、このような手段でより効率的な 地球征服を行うためであった。
Randallは再びIndiriに意見を求め、 SheridanがMinbariに対する劣等感が嵩じて気が狂い、 狂気の計画を推し進めているという結論を引き出した。
最後に彼は、Sheridanは病気なだけで極悪人ではなく、むしろ哀れむべきだと述べ、 地球にある彼の家が焼け、父親が行方不明になっていると指摘して番組は終わった。

憤懣やるかたない表情でIvanovaが部屋を出て行った後、 Sheridanは黙って窓の外を眺めていた。 Delennは彼に近づいて慰めようとしたが、 彼は何も言わず彼女の方を振り向きもしなかった為、 彼女も部屋を出て行った。 最後に彼はゆっくりとモニターの前に戻り、スイッチを切った。


印象に残ったシーン、台詞

Lennierがレポーターを先に移動チューブから出して、 カメラに頭突きを食わすシーンは可笑しかった。


Memo

オープニングクレジットでの紹介で、 Garibaldiから"Security Chief"の肩書きが外れ、 Zackの方に肩書きが移っている。

Gagarinの宇宙飛行の話から、ISNの放送の日付が4/12だと判る。

DelennとJohnとの結婚の噂がISNで取り上げられた事が、 次回のMinbariでの動きの直接のきっかけになっているかもしれない。

前回はClarkとの宣伝戦に勝ったSheridanだが、今回は完敗した感じだ。

Garibaldiが恐らくPsi Copに洗脳され、 何らかの暗示を与えられている事が明らかになった。 前回Besterが言っていた「切り札」とは彼の事だろうか。

今回のISNによる歪曲報道は現実社会でもしばしば見られる手法だ。 インタビューの発言内容を編集し直す事で、全く違った意味の発言に掏り変えられる。 今回の番組でも、それぞれの発言は確かに発言者のものだが、 順番が変えられたり、質問の内容が掏り返られたりして あのような形にゆがめられてしまった。
ただ、正直な所JohnとDelennの認識が甘かった事は否定できない。 JohnのClarkに対する発言やDelennの「理解できないなら解らせるまで」という発言は、 歪曲報道の格好の餌食になるのが見えているのに。


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