Babylon5 #76

#76 Racing Mars

粗筋

Sheridanはオフィスにやって来たIvanovaに、 地球政府による禁輸措置によってステーションの維持が困難になってきている事を話した。 このままでは数ヶ月で重要な部品などが底をつくという彼に、 Ivanovaは自分がブラックマーケットを通じて入手すると宣言した。 そして彼がこの九ヶ月休暇なしで仕事を続けていることを指摘し、 数日間休暇を取るように言った。 彼は始め拒否したが、彼女は彼のデスクに座り込んで一歩も引かず、 結局彼は彼女の指示に従うしかなかった。

FranklinとMarcusは火星へ向かう客船の貨物室に潜んでいた。 二人は貨物の箱しかない情景にすっかり退屈しており、 ゲームをしてみたがうまく行かなかった。 そうするうちにMarcusは山積みの箱の裏側に回って、 そこに男が潜んでいるのを見つけた。
男はCaptain Jackと名乗り、この船の船長の弟だと主張したがMarcusは信じなかった。 二人は自分たちの事を彼に話さずに彼を追い払おうとしたが、 彼は一緒に夕飯を食べないかと言ってうまそうな携帯食料を持ち出した。 Franklinはつられそうになるが、Marcusは押し留め、 接触相手以外とは誰も話してはいけないと釘を刺した。

Sheridanは突然の休暇を自分の部屋でTVを観て過ごそうとしていたが、 ISN以外の全てのチャンネルは妨害されていた。 ISNでは先日のRandallの特別レポート"Babylon5の真実"の再放送をやっており、 その中のGaribaldiのインタヴューでの 発言を観て彼は部屋を飛び出した。
Downbelowの一角でGaribaldiを掴まえたSheridanは、 彼がインタヴューで話した事の真意を尋ねた。 Garibaldiは自分は自由に自分の意見を述べただけで、 その権利の為に司令官は戦ったはずだと答える。 そしてなぜ自分に対して悪意を持つのか、友人だったのでは、と言うSheridanに、 お互いにそう思っていたのは勘違いだったと言い返した。 さらにSheridanはClarkのプロパガンダの手助けをするのは止めろ、 彼は自分の発言で基地の人々を傷つけていると警告したが、 Garibaldiは顧客に会うので司令官は神を演じていれば良いと言って立ち去ろうとした。 Sheridanは彼を追いかけ、 彼が前警備主任という信用を自分を貶めるために誤用し続けるなら、 彼の基地での立場を困難にしてやると脅した。 そして正当な不満なら申し立てればよいが、個人攻撃は止めろと続けたのに対し、 Garibaldiは、Sheridanは個人崇拝の対象になっており、 Z'ha'dumで一度死んだが生き返ったという救世主の虚像に自ら酔いしれている、 誰かがそれを気づかせなくてはいけないと答えた。
彼らの言い争いの周りに人垣が出来ており、 怒ったSheridanが立ち去った後で、三人の男がGaribaldiに近づいた。

FranklinとMarcusが自分たちの不味い携帯食料を食べている間、 Captain Jackは自分の食べ物を美味そうに食べていた。 不満そうなFranklinにMarcusが、合言葉を聞くまでは誰とも話さない約束だと 言い聞かせていると、Jackがその合言葉を言った。 なぜ始めから言わないのだと怒るMarcusにJackは 彼らを自分で確かめたかったと説明し、 火星に潜入するための偽IDカードを渡した。 しかしそれはJim FennermenとDaniel Laneという 火星にハネムーンに訪れたカップルのもので、 好むと好まざるとに関わらず、二人は新婚夫婦を演じる羽目になった。

通路で三人組の男がGaribaldiを呼び止め、 先ほどのSheridanとの諍いについて話し掛けてきた。 一人はGaribaldiに、地球から独立して以来 ろくな事が無いし、自分たちを含め多くの人間が彼と同意見だと言い、 彼のSheridanに対する反抗は単に私怨によるものかどうかを尋ねた。 Garibaldiが何の話か解らない振りをして立ち去ろうとすると、 もう一人の男が彼の前に立ちふさがった。 最初の男はさらに、 人は信じる大義を自分では気づかないエゴや野望によって裏切る事がある、 今の司令官がそうならGaribaldiには彼を助ける義務があると迫った。 Garibaldiは司令官を売るつもりはないと言ったが、 男は今まで築き上げてきた物が破滅するのを ただ手をこまねいて見ているつもりかと言い返した。 考え込みながら、Garibaldiはその場を立ち去った。

火星のコロニーに向かうシャトルチューブの中で、 Jackは火星でのBabylon5に関するさまざまな噂について説明していた。 その中にはBabylon5のクルーたちが異星人と結託して火星に攻めてきて 皆殺しにするつもりだというものもあった。 Marcusは司令官はこれまでShadow戦争に忙殺されていたが、 火星の事をずっと気にかけていたと反論するが、 Jackは外の世界で戦争が有った事も、誰と誰が戦ってどちらが勝ったのかも知らなかった。 Marcusは自分たちは初めて英雄になれたのに誰も知らないなんて、と冗談交じりに嘆く。 そしてFranklinと結婚したのが間違いだったと言い出し、 Jackを大笑いさせた。

Ivanovaは司令官のオフィスに四人の密輸業者を呼んで、 禁制品の替わりにBabylon5に食料や医薬品や交換部品などの 必要な物資を運ぶように協力を求めていた。 彼らは始め、地球軍に見つかったら命が無いし自分たちに利益が無いと言って 非協力的だったが、 Ivanovaは彼らの船の整備や警護をBabylon5が手伝うと持ちかけた。 さらに彼女は、これまでの密輸業者たちの罪状を全て帳消しにすると言い、 その中にはGaribaldiの髪が抜け落ちた事件も含まれていた。 最後に彼女が「何か質問は?」と言ったのに対し、一人の密輸業者は 「彼氏を探しているのか?」と皮肉交じりに尋ねた。

JackはFranklinとMarcusをレジスタンスの隠れ家のある地下の坑道に案内した。 しかし彼らの前に現われたのは三人の武装した男たちで、 問答無用に二人を身体検査し、Marcusの護身棒を取り上げた。 アジトに着いてからFranklinは指導者に会わせるようにと抗議したが、 男の一人は自分がここのNo.2だと言う。 彼は外宇宙からNumber Oneへの暗殺者が送られてくるという情報を掴んでいて、 彼らがそうだと疑っていた。 そして二人に本物のIDカードを出させ、 それをJackから受け取った。 二人の血液サンプルとカードのDNA記録を照合し、 さらにIDでBabylon5からの通信を解読して彼らの主張の真偽を確かめ、 もし本物なら話をするが、そうでなければこの場で死ぬことになるという。 その作業の間、Jackと二人の男はFranklinらを見張るように命じられた。

Delennは庭園で気を紛らわしているSheridanを見つけた。 彼は彼女にGaribaldiと衝突した事を話し、 以前は彼を信頼していたが、今は別人の様に変わってしまったという。 彼女はGaribaldiにも彼にもそれぞれ自分の行く道があり、 二人の道が分かれただけだと慰めた。 そして彼に、Ivanovaから彼が休暇を取った事を聞いたと言って、 二人の仲を進めるための儀式を行う事を提案した。 彼はMinbariの男女関係は儀式ばかりでうんざりしたと言い、 あと幾つ儀式があるのか尋ねると、Delennは少し考えて50だと答えた。 呆れたJohnはMinbariには駆け落ちは無いのか尋ねると、 彼女はあることはあるが、家と氏族にとって大変な不名誉になると答えた。 そして今回行う儀式shan'fallは、 愛し合う男女相互の理解のために、一晩いっしょに過ごして お互いの「快楽の中心」を発見するもので、 それは敬意を持って祈りと瞑想をしながら行われ、 二人の関係を続けるためにはお互いの全てを理解しなくてはならないからだ、 と説明した。 そして今晩彼女の部屋を訪ねるように求めて立ち去った。 残された彼は驚きながらもすっかりその気になっていた。

Marcusと共に捕えられてNumber Twoが戻ってくるのを待っているFranklinにJackは謝罪した後 自分の娘の写真を見せた。 彼は娘をとても大切に思っていると言うが、 Franklinが手にとった写真の裏には彼女の連絡先が書いてあり、 Jackは忘れないためだと説明する。 さらにレジスタンスリーダーのNumber Oneの話になり、 自分は彼女に何度も会っており何か土産を買って来ようとしたが 良いものが見つからなかったと話している所にNumber Twoが戻って来た。 彼はFranklinとMarcusのIDもDNAも照合できなかったと言い、 30秒以内に彼らの目的を話さなければ射殺すると脅す。 あっけに取られた二人が釈明しようとしているとき、 陰から「後2分やれ」という女の声がした。 現われたのはリーダーのNumber Oneで、彼女はNumber Twoに自分の目で確かめたいと言う。 そのときJackが震える手でPPGを構えた。
とっさにFranklinはNumber Oneを突き飛ばし、PPGは彼女を逸れた。 MarcusはJackの肩の辺りを撃ち返し、そこに憑いていた何かが地面に落ちる。 彼らが気を取られている間に、Jackはよろめきながら走り去った。
FranklinがJackの肩に憑いていた生体を調べている所に、 Number Twoが戻ってきて、二人の本物のIDカードが見つかり、 どうやらJackが偽物とすり替えていたらしいとNumber Oneに報告した。 Franklinはこれは寄生体でJackの神経系に結合して彼を操っていたのだと説明した。 それでも彼はそれを何とかして教えようとしていたので、 娘の連絡先を教えたのは、自分に万一の事があったときに知らせてもらうためだったらしい。 レジスタンスの一人が戻ってきて、 Jackを見失ったが武器庫が破られ手榴弾がなくなっていたと報告した。
Number OneはJackをコミュニケーターで呼び出し、 誰も死ななかったし彼は操られていたのだから悪くない、戻ってくるようにと言ったが、 シャトルチューブの車両の中のJackは、 あの寄生体は完全に取り除く事は不可能で直ぐに再生すると言い、 チューブの中で手榴弾を使って自爆した。

Garibaldiが顧客との会談を終えた所にSheridanが再び現われ、 先ほどの言い過ぎを詫びて関係の修復を試みた。 しかしそのときBrakiliの女性が現われ、 彼がZ'ha'dumで一度死んでから復活し、善と悪について全てを知っていると言って、 彼の祝福を求めた。 Sheridanは彼女に説明しようとするがGaribaldiは彼女を乱暴に押しのけ、 司令官は法王でもなんでもないただの人間だと言った。 彼の彼女への態度に腹を立てたSheridanは再びGaribaldiと言い合いになり、 顎を殴りつけられた彼は床に倒れた。 保安部員が集まってくるがSheridanは彼らを制止し、 今回は見逃すが今度同じ事をしたら頭を吹き飛ばすとGaribaldiに警告して立ち去った。

顎をなでながらJohnはDelennの部屋のベルを鳴らし、 再びGaribaldiと衝突した事をぼやきながら彼女の部屋に入った。 そこで彼は彼女が一人ではなく、 Lennierを始めとする何人ものMinbari人たちが部屋の中で待っているのを発見した。 彼女はshan'fallの儀式の間、彼らは二人の傍で祈って 儀式に行きすぎが無いように見張るのだと澄ました顔で説明する。 慌てた彼は彼女に、人前でそんな事は出来ない、絶対いやだと囁いたが、 彼女はこれは地球人の婚約指輪の習慣と同じくらい Minbari人にとっては重要な習慣だと言って、 自分たちの習慣を尊重するように求めた。 そしてDelennはなおも及び腰のJohnの手を取って寝室に引きずり込んで、 Lennierたちに微笑んでから寝室のドアを閉めた。
儀式が終わって妙に疲れた表情で黙ってエレベーターに乗ったSheridanを 隣のLennierはしげしげと眺めてから一言、"Whoo-hoo?"と言った。

Number OneはFranklinとMarcusに、他のレジスタンスリーダーたちが集まってくるのは 後二三日かかると説明した。 Marcusは不満そうだったが、彼女は二人の為に偽名でホテルを取っておいたと話し、 いっしょにディナーに行こうと誘う。 MarcusはFranklinに彼女と一緒に行くように勧めた後、 ホテルの名前を尋ねた。 彼女はRed Planet Hotelだがなぜか部屋はハネムーンスイートだと答えた。 二人が出て行くのを見送りながらMarcusは、 「浮気は親権争いの時に不利になるぞ」と声をかけた。

一人で座っているGaribaldiに、先ほどの男Wadeが再び近づいて来て、 彼がまた司令官と衝突したのを聞いたと言った。 Garibaldiは司令官は実際に人々の個人崇拝を受け入れ始めており、 彼の言った通り一人の男の為に自分たちが築いてきたものが 失われようとしていると言った。
Wadeはその通りだと言い、彼は自分たちの仲間か、と尋ねた。 司令官を傷つけたくないと渋るGaribaldiにWadeは、 ただ自分たちに彼を引き渡すだけでよいと答え、もう一度彼は仲間かと迫った。 少し考え込んだGaribaldiはやがて、協力しようと答えた。


印象に残ったシーン、台詞

本筋の深刻さにも関わらず、脇筋のストーリーで爆笑物の部分が幾つもある。 特にDelennとのshan'fallの儀式の後のエレベーターでのJohnの妙に疲れた表情と、 Lennierの反応はすごく可笑しい。 またDelennは、当然のようにLennierたちが儀式に立ち会うと言っていたから、 Johnがためらっていた理由をまるで理解していなかったのではとも思われる。


Memo

恐らく多くの視聴者が気になっていた Garibaldiの髪が急激に薄くなった理由が説明されていたが、 Star TrekでのKlingonの額の変化の説明並の、 製作者の開き直りだった。

火星レジスタンスのリーダーたちは、自分たちの間でも名前ではなく "Number One", "Number Two"と呼び合っている。

Captain Jackの肩についていたのは"Keeper"だろうか? はっきり同じと判断できる材料が無いが、 LondoCentauri摂政にそれが憑いていた位置が ほぼ同じである事からすると、その可能性は高い。

SheridanはIvanovaにオフィスを追い出されてせっかく時間が出来たのだから、 素直にDelennと親密な時を過ごせば良かった。 一人で部屋でTVなどを見ようとつまらない考えを起こすから、 Garibaldiと衝突する事になり、 結果的に彼を裏切りの道に進ませる事になったのでは。

Franklin一行の合言葉、「LytaはVorlonを飼っている。 肌は雪の様に白く、Lytaの行く所に何処でもついて行く。」は、 "Epiphanies"でZackが説明したように Lyta AlexanderとVorlonとの関係を露骨にからかっている。 これをレジスタンスとの合言葉にする事自体が、 彼女が決して皆に愛されていない事を示している。
またもちろんこの文句は、「Maryは子羊を飼っていた...」のもじりだが、 それは"A Race through the darkness"での 非登録テレパスたちのブロックを集中させる文句になっていた。

それにしても、よく新婚カップルのIDでFranklinとMarcusは火星の入国審査を パスしたものだ。 あるいはこの時代には、「同性間の結婚」も普通になっているのだろうか

WadeがGaribaldiに接触してきたのは、もちろん偶然ではない。 彼の「自分たちの仲間か?」"Are you with us?"という問いは、 「我々の為だけに働け」 と催眠暗示をかけられているGaribaldiに 協力させるためのキーワードのような気がする。


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