Babylon5 #77

#77 Lines of Communication

粗筋

Ivanovaは、Babylon5では異星人たちによって地球人が迫害されている、 という内容のISNのニュースレポートを不快そうに眺めているSheridanに 声をかけた。 彼はこれを我慢して観ているのは情報を得るためだと釈明し、 「迫害されている地球人を救出する」という名目で Babylon5への侵攻が計画されている可能性を指摘した。 そのとき火星に潜入中のFranklinから、 レジスタンスのリーダーたちとの会合が開かれるという極秘メッセージが届いた。

メッセージの送信を終えたFranklinとMarcusに、 レジスタンスリーダーのNumber Oneはこのままでは地球軍は数ヶ月のうちに 自分たちを一掃してしまうと言い、 さらに会合に参加するリーダーたちには 自分よりも過激な者たちも多いと警告する。 そのときRed Planetホテルが過激派によって爆破され、 10人も民間人が死亡したという連絡が入り、憤慨したNumber Oneは その場を飛び出した。

DelennはBabylon5を訪れた聖職者カーストのMinbari人Forellから、 Minbari宙域沿いの弱小種族Norsaiの船が最近何者かに襲撃を受けている事を聞かされた。 Forellは、彼らに保護を保証していたのは聖職者カーストだったため、 Grey評議会が崩壊してからは戦士カーストは何の対策も取ろうとしないと言い、 さらに彼女にMinbari本星でも両カーストの対立が激化している事を話す。
司令室に入ってきたDelennをJohnはディナーに誘うが、 彼女は襲撃の話をして自らWhiteStar艦隊を率いて調査に向かう事を告げた。 それを聞いた彼は始めは反対するが、 彼女は「自分が嘗て誰で、今誰であり、何が出来るか」を彼に思い出させて 自分の出発を了承させた。

Number Oneは地球のレジスタンスリーダーのPhilippeを掴まえ、 自分の了承なしにホテルを爆破した事を厳しく咎めていた。 彼女は彼に、火星では自分がリーダーであり自分の命令に服従するように求め、 それを二度と忘れないように警告した。

深夜にISNのプロパガンダレポートを不快な面持ちで見続けていたSheridanは 突然あるアイディアを思いついた。 朝まで待てずに、彼は眠っていたIvanovaの部屋に押しかける。 不機嫌な彼女をかまわずに作戦室に連れていった彼は、 Shadow戦争終盤に彼女が情報を放送したのと同様に、 ここから地球に向けて宣伝放送"Voice of the Resistance"を 行うアイディアを説明する。 そして彼女は人々に信用される顔をしており、 放送をするのは彼女が望ましいといって、 Ivanovaを置き去りにして出て行った。 作戦室に残された彼女は、「上司じゃなかったら射殺してやる」とつぶやく。

亜空間の中を目的地に向かう七隻のWhiteStar艦隊の中で、 DelennはForellにMinbari本星の状況を尋ねていた。 彼の話によると、三つのカーストをまとめていたGrey評議会の解散後、 戦士カーストは自分たち独自の評議会を作ろうとしており、 南極地方の都市では彼らによって聖職者カーストの住民が追放されたという噂が 広まっているという。 それを聞いたDelennは、 自分がShadow戦争に手一杯でMinbari本星に目を向けていなかった事を悔やむ。

火星のレジスタンスのリーダーたちが集まり、 FranklinはSheridanからのメッセージとして、 自分たちは火星の事を気にかけていると言いBabylon5との同盟を求めた。 地球軍による爆撃後何の援助も無かったと反発する彼らにFranklinは、 この星域全体を揺るがす大戦争のために今まで余裕がなかったと釈明し、 さらにCaptain Jackに取り憑いていた怪生物が 自分たちが戦った相手と関係が有る事を示唆する。 そして司令官からのメッセージを続け、自分たちと同盟してClark大統領と戦い、 Babylon5からの指令に無条件で従ってくれるなら、 勝利のあかつきには火星に独立州としての地位を保証すると宣言した。 かれは又、戦いの妨げになるとして、市民に対するテロ攻撃を中止するように求めた。

WhiteStar艦隊は襲撃の多発地点に到達し、ジャンプポイントから通常空間に戻った。 Pak'ma'raの軍用艦から襲撃を受けているという救難信号が入り、 Delennは艦隊を直ちにそちらへ向かわせるが通信は間もなく途切れた。 モニターに映し出された襲撃船団は彼女らの初めて見るタイプのもので、 彼女の呼びかけに対し始めは理解不能の返事が返ってくる。 しかし彼女がMinbari語のデータベースを送信するように命じているうちに、 相手からのメッセージはMinbari語に替わり、 自分たちの名をDrakhと名乗った。 しかしLennierの未だMinbari語のデータベースを送信していないという指摘で、 この相手とMinbariとが何らかの形で既に接触している事に気がついた彼女に、 Forellが突然銃を突きつけた。 彼は彼女に話を聴いて欲しいだけだと言い、 Drakh船団について行くように求めた。

火星ではNumber Oneが、 レジスタンスのBabylon5への協力を取り付けた事でFranklinを賞賛したが、 同時にSheridanは火星での爆弾テロの事を知るはずがないと言い、 彼が司令官からのメッセージをでっち上げた事を指摘した。 彼の彼女を助けたかっただけだという釈明を受け入れて彼女が立ち去った後、 Marcusは彼女がFranklinに気があるようだと指摘する。 Franklinは否定したが、直後に彼女が戻ってきて彼をディナーに誘い、 一方でMarcusには見張りに立つように求めた。 それを聞いたMarcusはFranklinにいざと言う時しり込みしないようにからかった。

Forellの指示でDrakh船団についていったWhiteStar艦隊は、 巨大なDrakhの母艦に遭遇した。 そこからシャトルが離れ、Delennの乗る旗艦へと向かう。 Forellは丸腰の使者だといって、旗艦へ乗艦させるよう求めた。 やがて入ってきたDrakhの使者の姿は半ば別次元にいるような暗黒の不気味な姿で、 すれ違ったMinbari人たちも思わず身を引くほどだった。
Delennに対面したDrakhの使者の前でForellは、 聖職者カーストは戦士カーストに対抗するためにDrakhが同盟者として必要だと訴える。 南極地方の都市を追放され徒歩で避難させられた聖職者カーストは 餓えと寒さで大勢が死に、彼の家族もその中に含まれていたと言う。 MinbariはMinbariを殺さないというが 自然力を使って相手を殺すのは殺人ではないのか、と言うForellを見て Delennは言葉を失った。 彼の説明ではDrakhはある事件によって故郷の惑星を失ったため 新たな移住先を探しており、 他の船を攻撃するのは戦艦に威嚇された場合だけだという。 Lennierはそれを聞いてDelennに「Z'ha'dumです!」と囁いた。 Delennは使者に申し出を検討して7日後にここで返事をすると約束したが、 使者は帰る前にForellが漏らした彼女の名を聞き、 一瞬振り返って彼女を確認した。
Delennは危険を察知し、 Lennierに使者のシャトルが母艦に戻る前にここを脱出する準備を命じた。 彼らは敵ではないと言うForellに彼女は、 Drakhは自分たちの主人を銀河から去らせ故郷を破壊した張本人の自分が この船に乗っているのを知った以上必ず復讐をしようとすると説明する。 WhiteStar艦隊は静止状態のため、ジャンプポイントを開いても脱出が間に合わないという Lennierに、彼女は編隊を組んでDrakh母艦に向かい、 その周りすれすれでの旋回を繰り返して攻撃をかわしながら速度を上げる事を命じた。 彼女の指揮で艦隊は危機を脱したが、それでも一隻のWhiteStarはDrakh戦闘機の攻撃で 破壊された。
亜空間に逃げ込んだWhiteStar旗艦のブリッジで、 攻撃によって重傷を負ったForellはDelennに謝罪して息を引き取った。 LennierはBabylon5へ戻るコースを設定しようとしたが、 Delennは破壊された惑星連合艦とWhiteStarの復讐を命じ、 艦隊は再び通常空間に出撃しDrakh母艦に襲い掛かった。 そして最後はジャンプゲートから逃れようとする母艦の前に旗艦が回って 艦首砲の総力攻撃を加え、母艦を破壊した。

Delennはわずか三日のうちに改装が済んだ戦略室に入り、Johnと再会した。 彼は彼女の艦隊のDrakhとの遭遇について既に聞いており、 他の宙域でも彼らは襲撃を始めている事を話す。 さらに彼女は、Minbari本星での深刻な状況を説明し、 内戦を食い止めGrey評議会を再建するために自分がMinbariに戻らねばならず、 暫くは彼と会えないかも知れないと話した。 それを聞いて顔を曇らせる彼に彼女はさらに言葉を続け、 地球人の最大の強みは多様でありながらお互いに協力する事で、 それはまた彼を危険にする点だという。 そしてZ'ha'dumで彼は運命に遭遇し、 余命20年と宣告された、 それによって危険に変わった彼は自分から他の人を守ろうとしているのに、 自分ではそれを隠そうとしている、 他の人々は騙せても自分には判っていると言い、 戦争で破壊するのは簡単だが失われたものを再建するのは はるかに難しい、その仕事には危険な彼が必要で、 そのためには自分が彼の傍に居ないほうがその力を発揮できると指摘する。
明日の朝Minbariに発つという彼女を彼はディナーに誘った。

一人で見張りに立つMarcusの耳に、「ああ、Stephen...」という女の声が聞こえた。


印象に残ったシーン、台詞

改装されたBabylon5の作戦室で、Johnにしばしの別れを告げ、 二人が暫く離れた方が良い理由を説明するDelennの言葉が印象的。 彼女の真の魅力はその言葉にある。
以下はその日本語での全文。

Delenn: 「他の種族の問題だけじゃないの。 John, Minbariで問題が起きているの。 カースト制度が崩壊して、元に戻さなければ内戦が起きるわ。 だから暫く国へ戻ります、事態が収まるまで。 長くなるかも、でも離れていた方がいいのかも、 あなたのためにも。」
John: 「どうしてだい?」
Delenn: 「戦争になる前、Dukhatに頼まれた私は地球人の歴史を学んだ。 そして我々が遭遇した種族の中で地球人が最も危険だと結論付けた。 地球人はコミュニティを作る。 その多様性に太刀打ちできる単民族は居ないからなの。 それが強みだわ、 またそれがあなたを危険にする。
Z'ha'dumから戻ってから、何も無かったように振舞おうとしている。 以前のままのようにしようと。 私はあなたと話したかった・・・、余命が二十年だという事よ。 でもあなたは避けてた。 地球の事に関心を向けて気を紛らわせて来た。 だからGaribaldiに腹を立てたのよ。 でも、彼が戻らない限り、決して元通りではないんだわ。
あなたはZ'ha'dumで運命と遭遇したの。 それに背を向けるわけにはいかないわ。」
John: 「ああ、解ってる、私はただ疲れているんだ。 この基地を背負って割れたガラスの上を三年間も這いまわっていたような感覚に陥る。」
Delenn: 「お互いに義務を負っているわ。 今の私は帰国する事、Grey評議会の再建よ。 あなたは先にある仕事を終わらせる。
戦争は簡単だわ、破壊は簡単なの。 古い物の遺産から新世界を築くのは難しいわ。 でも、あなたがやるの。 多くが失われてしまったけれど、あなたが再生に尽力しなくては。」
John: 「なぜ君が居ない方が、私のためになるんだ?」
Delenn: 「あなたは自分を抑えて、Z'ha'dumで変わった自分から我々を守ろうとしている。 何も無かったかのように振舞おうとしている。 でも私には判る。 皆を騙せても私は騙せないわ。 残りの任務には、危険なあなたが必要なのよ。 それを全うするには、私は居ない方が・・・。」


Memo

今回のIvanovaとの一件も含め、Sheridanは相手の反応が見えないタイプらしい。 これは指導者としてはかなりの問題ではないか。 前回のGaribaldiの反発も解る気がする。

Pak'ma'raは自分たちの独自デザインの軍艦を持たず、 Draziの艦を輸入して使っているようだ。

DelennはLennierが襲撃船団を直ぐに攻撃するかを尋ねたのに対して、 地球艦隊との遭遇と同じ過ちは繰り返さないといってまず呼びかけた。 また、Drakhの攻撃を見事な指揮でかわして脱出後、 戻ってきて逆に母船を破壊した。 このように対応できると言う事が、 出発前に彼女がJohnに言った、 "Who I was , what I am, and what I can do."の内容だろう。

"Ship of Tears"でCarolynの記憶の中で彼女を 手術していた種族がDrakhだろうと書いたが、 どうやら違う種族のようだ。ただ、「Drakhの使者」とDrakhとが 異なる種族である可能性もある。
今回のDrakhの使者の姿は半分別次元に居るようにちらついていた。 これはShadowが普段目に見えなかった事と関係があるのだろうか?

Delennの問いかけに対してDrakhは自分の名前ではなく種族の名前を名乗り、 またForellが始めDelennの名を紹介しようとしたとき、 「名前など重要ではない」と遮っている。 これらから判断すると、Drakhは集合知性体であるかもしれない。

Drakhの母艦は巨大で、VorlonのPlanet Killerに匹敵する大きさがありそうだ。 ("Tech Manual"によると全長14kmである。) しかしわずか六隻のWhiteStar艦隊によって破壊されるとは、意外と弱い。
一方戦闘機の方は全長215m, 総質量75.5*10^6kg, 二隻の戦闘機でWhiteStar一隻と対等に戦うという。

破壊されたWhiteStarをDelennは"WhiteStar16"と呼んでいた。 どうやらWhiteStarには固有の名前は無く、 通し番号が付いているだけらしい。

Drakhの使者の姿といいDrakh母艦をめぐるWhiteStar艦隊の戦いといい、 Star Warsのパロディーのような気がする。

Babylon5でDelennと話しているシーンで、 ForellはDrakhの事を隠していただけでなく、 「(攻撃している相手は)今のところ不明です。」と言って嘘をついていた。 Minbari人は誰かの名誉を守る時以外は嘘をつかないという事になっているのだが、 この場面はどうなのだろうか?

今回の映像で、火星にOmega級戦艦Junoが向かっているシーンがあった。 またそのほかにも前回、今回と大型の軍用艦が火星に向かっており、 Clark政権のレジスタンスに対する最終攻撃が近い事を示唆している。


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