Babylon5 #79

#79 Rumors, Bargains and Lies

粗筋

Ivanovaら指令スタッフが朝食の盆を持って食堂に入ってくると、 そこにはSheridanが壁に寄り掛ってぼんやりしながら独り言を呟いていた。 彼は皆の挨拶にも反応をせず、 ZackがCentauriとNarnにWhiteStar艦隊による境界の警備を 承認させた事を持ち出しても、時々思い出し笑いをしていた。 Franklinが非同盟惑星にも艦隊のパトロールを受け入れさせるのは難題だと言い出したとき、 Sheridanは急に立ち上がり彼らのテーブルにやって来て、 彼らを納得させるうまい方法を思いついたと叫んだが、 その内容を尋ねられると、「納得させないんだ」と答え、 ただMarcusにSector83にWhiteStar三隻で向かうように命じた。
彼が出て行った後、Ivanovaは彼が酔っているのではと心配して 念のためにマグカップの中身を確認した。 FranklinはDelennが三日居ないだけでこの調子ではと、呆れ顔をする。

その頃DelennはWhiteStar艦隊を率いて亜空間の中をMinbari本星へ向かっていた。 本星との通信は困難を極めたが、Lennierは首都で戦闘が起こっており、 内戦が始まってしまったと告げる。
Delennは戦争が始まる以前のMinbariの首都の映像を大型モニターに映し出し、 子供時代の思い出に耽って涙に暮れていた。 カーストのバランスを保っていたGrey評議会を解散した事が こうなった原因だと自分を責める彼女に、 Lennierは評議会の解散はValenによって予言されていた事だと慰めるが、 彼女はその予言は単にValenすなわちSinclairがそれを知っていたからに過ぎず、 彼が去った今、未来を示す道しるべを失ったと言う。 Lennierは彼女に、 Grey評議会はカースト間の反目を抑圧して隠してきたに過ぎず、 分裂後にそれが表面化したのだと答えた。 そして聖職者カーストの戦艦が彼らに合流するために待っており、 またDelennに命じられた通りNeroonに連絡した事を告げた。

SheridanはLondoの部屋を訪ね、 WhiteStar艦隊によるCentauri宙域境の警戒飛行を Londoが認めた事を非同盟惑星連合には否定してくれと要請していた。 彼はG'Karにも同様の事を要請したと言う。 惑星連合諸国にWhiteStar艦隊の配備を受け入れさせるために、 まず対立するCentauriとNarnが率先して認めたという経緯が有るので、 Londoはなぜそれを知らないかのように振舞う必要があるのかの説明を求めたが、 Sheridanは自分を信じてくれとしか答えない。 Londoは苛立ち、地球人の考える事は理解できないと不満をぶちまける。

Delennらが聖職者カーストの戦艦に到着してみると、 そこでは聖職者カーストたちとNeroon率いる戦士カーストの一団とがにらみ合っていた。 Delennの招待に興味に引かれて来てはみたが聖職者カーストの対応には失望したと 不満を述べるNeroonに、Delennは二人きりで話す事を求めた。 二人が立ち去った後でなぜNeroonをこの船に呼んだのかと抗議する 聖職者カーストたちに、LennierはDelennが必要と判断すれば説明するだろうと答えた。
話し合いの場でNeroonは、 嘗て彼女からRangerの指揮権を奪おうとした自分を信用するのかと尋ねたが、 彼女は意見が対立していても、 彼は常に種族の名誉のために行動してきたと誉め、 両カーストともこの戦いに勝つことは許されないと言って 彼に内戦を止めるために自分への協力を求めた。 彼はこの戦いはもはや止める事は出来ず、 独りでに終息するのを待つしかないと言うが、 彼女はそれまでに多くの命が失われるだろうと答える。 そして自分たちはこれまで反目し合ってきたが、 義務感から付き従う者より自分の信念の正しさを心から信じて逆らう者を 仲間に持ちたいと言い、 彼の決断に疑問は持っても、忠誠心は疑わなかったと述べる。 彼は自分は戦士カーストの仲間の非難の矢面に立つ事になるだろうと言いながらも 彼女への協力を約束した。

ZocaloでSheridanを掴まえたDraziの大使は、 Centauri宙域境でWhiteStarが警戒飛行をしている理由を尋ねた。 SheridanはCentauri政府の要請であるとも違うとも認めず、 ノーコメントで押し通して立ち去った。
司令室に戻ったSheridanに、Marcusから命じられた座標に到着したという連絡が入った。 彼はMarcusに、付近の小惑星を破壊して帰還するように命じた。 彼の行動の理由が判らないIvanovaは怪訝な顔をするが、 彼は説明せず、次にFranklinに会いに行った。

Draziの大使は今度はLondoの元を訪れ、 彼がSheridanにWhiteStar艦隊の警備を要請したかどうかを尋ねた。 Londoはそれを否定し、それを聞いたDraziの大使が外に出て、 他の大使たちと通路で議論している所にFranklinが現われる。 彼は大使たちに、各種族の輸血用の血液の提供を求めた。 理由を尋ねられた彼は、不測の事態に備えてとだけ答えて言葉を濁す。 彼が立ち去った後、大使たちはSheridanたちが何らかの敵の襲来に備えており、 自分たちに危険が差し迫っているという結論に達した。

Minbariの戦艦では聖職者カーストたちが集まって、 Delennの意図について議論していた。 一人が彼女は戦士カーストに降伏するつもりだと言い、 その証拠として彼女が聖職者カーストはこの戦いに勝つ事は許されないと言った事を上げる。 そして彼は、地球との戦争で降伏して以来、 聖職者カーストは戦士カーストに馬鹿にされっぱなしだと不満をぶちまけた。 別の一人はDelennの事を昔から知っており、彼女はそのような人物ではないと言うが、 始めのMinbari人はそれから全ては変わってしまったと反論する。 二人目のMinbari人が、Delennだけが降伏を決断できるし、 彼女には全ての種族が服従する、 Grey評議員としてカーストを代表していた彼女を倒そうとすれば 聖職者カーストは分裂すると主張するが、、 始めのMinbari人は、この船を絶対にMinbari本星に着かせてはならず、 そのためには自分たち全てが犠牲になり 忘れ去られる必要があると言って、その方法を囁いた。
やがて少人数のグループが戦艦の燃料バルブから毒ガスを抜き出し、 ボンベに詰めて持ち出した。 彼らはこれを空気循環装置に入れ、 全員を殺す事でこの艦のMinbari到着を阻止するつもりだった。 しかし彼らの行動をLennierが見張っていた。

Voice of the Resistanceの放送直前のIvanovaの所にSheridanが現われ、 自分が話す内容をニュースに加えるように彼女に求めた。 始め彼女は、プロパガンダを流すわけにはいかないと言って拒否するが、 彼は「Sector83-9-12には本日も異常なし」という真実の内容を伝えるだけだと言った。 そうするうちに本番が始まってしまい、 彼女は「問い合わせに答える」という形で、Sheridanからの要請にあった情報を流す。
それを聞いたBrakiriの大使は他の大使たちに伝えるが、 彼らはそこでWhiteStar艦隊が小惑星を攻撃したという連絡を受けていた。 大使たちは一連の出来事を結びつけ、目に見えない敵が襲撃を計画しており、 SheridanらとCentauriが手を結んで情報を独占して自分たちだけは襲撃を免れようと しているという結論に達した。 彼らは自分たちもWhiteStar艦隊の保護を受ける権利があると主張し、 さっそくSheridanを会議に呼び出す事になった。

NeroonはMinbari艦の司令室に発ち、戦士カーストの部下にDelennを呼ぶように命じた。 彼が後ろを向いた瞬間に、部下のMinbari人は彼に護身棒で殴りかかり、 額に怪我を負わせる。 男が他の戦士カーストに取り押さえられた所にDelennが到着し、 Neroonの怪我を心配して手当てを受けるように勧めた。 彼が立ち去った後、Delennは聖職者カーストの代表に、 仲間を殺そうとするのは戦士カーストぐらいのものだ、 彼らはNeroonが聖職者カーストに降伏するのを恐れているのだ、と言った。 驚いた代表に彼女はさらに、 どちらかが降伏すれば破滅を招く、 それを理解している聖職者カーストが一枚岩で自分を支えてくれている事に感謝すると言う。 彼女が去った後、彼らは顔を見合わせるが、 既に毒ガスはセット済みだった。
その頃ダクトの中では簡易マスクをつけたLennierが 毒ガスを吸い込みながらもボンベを閉めていた。 よろめきながら彼が這い出した所に、 聖職者カーストが駆けつけ、 彼は「ここまで落ちぶれたか、仲間を信じられないとは!」と罵った。
DelennはNeroonからLennierを彼の医師に診せたが命に別状はないと聞かされ安心した。 そして彼の問に、 Lennierは自分の足元を照らす灯火で、彼が居なければ躓いて転んでしまう、と答える。 Nerronは彼女をこれまで誤解していたと謝罪し、 この先何が待っているか判らないが自分たちが同じ席に居る事は正しいと、言った。

Sheridanを会議室に呼びつけた非同盟惑星連合の大使たちは、 海賊やDrakhから自分たちを守るためにWhiteStar艦隊を出すように彼に要求した。 始めは無理だと拒んでいたSheridanに対し、 Brakiriの大使は艦隊に国境を侵す船を捕える権限を与えると言い、 彼に自分たちの要求を飲ませた。 仏頂面をして出て行ったSheridanだが、 一人でエレベーターに乗った途端に喜びの叫びを上げる。

Delennは病室にLennierを見舞うが、 彼はガスを吸ったのは事故だと主張して陰謀を否定した。 彼女が出て行った後、聖職者カーストの代表は、 Delennに対して彼が真相を伏せた事に感謝する。 それに対しLennierは、 彼らのためでなくDelennの聖職者カーストに対する信頼を壊さないためにした事だと言い、 これ以上馬鹿な事をしないように警告した。

Voice of the Resistanceの放送が始まり、 Ivanovaは非同盟惑星連合がWhiteStar艦隊の警戒飛行を受け入れたニュースを 伝えた後、さらにMinbariの首都で戦闘が起こっている事に言及した。 そのニュースを司令室のSheridanは深刻そうに聞き入っていた。

Lennierは病室の外をNeroonが通ったのを見て、 起き上がって彼の後を付けてDelennに彼が船から消えた事を報告した。
その頃NeroonはFlyerの中で戦士カーストの最高指導者Shakiri将軍に連絡をし、 聖職者カーストが首都で反撃する計画を聞き出したが、 彼らには自分たちと長く戦える力は残っておらず 自分たちの勝利は疑いない、と話していた。


印象に残ったシーン、台詞

Delennが居なくなって腑抜け状態のSheridanが笑える。 しかし何を思い出し笑いしていたのだろうか? shan'fallの儀式の一件だろうか?


Memo

DelennがBabylon5を出発して三日経つが、まだWhiteStarはMinbari本星に着いていない。 つまりBabylon5からMinbari本星までは、WhiteStarでも四日は掛かるらしい。
また彼女らが乗り込んだMinbariのSherlin級戦艦も、 亜空間と通常空間とを出たり入ったりしている。 どうやら船は亜空間に長時間留まれないという何らかの理由があるらしい。

NeroonのDelennに対する感情が一変するのがやや唐突過ぎるのでは? もちろん彼は彼女のEntil'Za就任時に 何らかの悟りに達したのだが、 今回の前半では彼女を信用していないように見えるのに、 後半では一転、彼女を絶対的に支持しているように見える。 描かれていない部分で何か決定的な事があったのだろうか?

Lennierが言った、「Grey評議会はカースト間の対立を隠してはいたが、 消し去る事は出来なかった」という言葉は、 Yugoslavia連邦の歴史を思い出させる。 Titoのカリスマによって表面上の平和が保たれていた連邦は、 彼の死後第二次大戦時のSerbiaとCroatiaとの殺し合いによる対立が「解凍」されて 遂には内戦へと突入した。
なお、Delenn役の俳優Mira FurlanはCroatia出身である。 彼女はどのような思いでこの場面を演じただろうか。

Lennierが前回もう少しで死ぬところだったというのは、 #46 "Convictions"で Londoを爆発から庇ったときの事である。


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