Babylon5 #81

#81 No Surrender, No Retreat

粗筋

Proxima3から逃れようとした難民船が封鎖する地球軍の戦艦によって撃墜され、 一万人の死者が出た。 この事件によってSheridanはClark政権との全面対決を決意し、 Babylon5ではProxima3を力ずくで開放するための準備が進行していた。
SheridanとIvanovaは、自分たちへの異星人政府の支持を取り付け 地球同盟を孤立させるために、早朝に拡大顧問会議を開催する。 会議場に入ってきたLondoとVirは、 G'Karが黙って座っている前を通り反対側の席についた。
その頃司令室ではCorwinがStarfury中隊の飛行訓練を指揮していた。
Ivanovaが、WhiteStar艦隊の各国境界への派遣によって Babylon5が安定に寄与している事を確認した後で、 Sheridanはその代償として これまで各国が地球同盟と結んできた相互防衛条約を破棄するように求めた。 それを聞いたG'Karは大声で賛同し、 Narnが侵略されたときに何もしてくれなかった地球同盟に義理立てする必要はないと叫んだ。 彼の演説に礼を言ったSheridanは、 地球との直接対決は自分たちの艦隊が行うので深入りは避け、 各国は一隻以上の艦をBabylon5の防衛に出動するように求めた。

偵察から戻ってきたMarcusが作戦室に走り込んで来て、 待ち構えていたSheridanらにProxima3の封鎖艦隊の配置を報告した。 封鎖艦隊はOmega級戦艦6隻(Heracles, Pollux, Nemesis, Furies, Vesta, Juno)だが、 HeraclesとPolluxは市民への攻撃を行っているのに対し、 それを避けようと努力している艦もあるようだった。
嘗てShadowから救い出したテレパスたちがいずれ必要になると言って 彼らの出来るだけ多くを覚醒させられるよう準備をFranklinに命じた後で、 SheridanはIvanovaに、 好戦的な戦艦を他の艦からおびき出して 自分たちに同調するか敵対するのか旗色を鮮明にするように 迫るという作戦を話した。

Virは部屋で書き物をしていたが、 椅子に座ったままうたた寝をして悪夢にうなされていた。 そこにGaribaldiが尋ねて来て、Centauri関係の仕事が入ったと言って Londoの居場所を尋ねる。 彼はG'Karに会いに行って留守だと話すついでに、 VirはGaribaldiに司令官が地球との対決を決意した事を持ち出し、 Garibaldiがそれを知らなかった事に驚いた。 Virが祖国のために司令官と共に戦わないのかと尋ねると、 Garibaldiは司令官の行動は正しくないので自分は同調しないと答え、 自分独自の方法で祖国のために戦うと言った。

IvanovaはCorwinに対し、 もう暫くStarfury中隊の飛行訓練を続けさせるように命じた。 彼女は彼の問に対して中隊の一部は出撃させ、残りはBabylon5を接近飛行させると説明し、 さらに正しい認識コードを使っていない命令には、 司令官や自分の声によるものであっても従わないように各パイロットに求めた。

HeraclesのStarfuryが亜空間の偵察に入った頃、 Marcusの率いるWhiteStar艦隊はその近くに隠れていた。 彼はProxima3のレジスタンスに連絡を取り、 市民への攻撃を避けている戦艦についての情報を求めたが、 その最中にレジスタンスの基地は攻撃を受け、 通信相手は救援を急ぐように求めた。
Babylon5の作戦室では、情報を受け取ったSheridanがIvanovaに 地球軍の注意をProximaから逸らせるために、 小規模な艦隊を火星の近くにジャンプさせるように命じていた。

G'Karが部屋で書き物をしている所にLondoが入ってきた。 彼の挨拶に対しG'Karは皮肉で答えるが、 Londoは言い争いではなく話し合いのために来たのだと言い、 自分もG'Karと同様に愛国者だが、 これまで間違った選択によって両国を危機に陥れてしまったと反省の言葉を口にする。 そして囚われたG'Karを見ているうちに 哀れみの念からそれが尊敬の念に変わったと言った。 しかしG'Karはそれには心を動かされず、 Londoからの尊敬の念など無用だと答える。 Londoはそれにかまわず、 CentauriとNarnとがSheridanを支持する共同声明を出すという私案を持ち出した。 彼はこれは両国の新たな関係を示す第一歩となり、 SheridanのためにG'Karと乾杯したいと酒の入ったグラスを差し出すが、 G'Karは酒をボトルに戻してつき返した。
さすがにがっかりしながらLondoは部屋を後にした。

SheridanとIvanovaはStarfuryのパイロットたちに出撃前の訓示を与えていた。 その中で彼は、 今回はこちらから元の友軍を攻めに行くもっとも厳しい戦いだが、 全力を尽くして敵を倒し生還して欲しいと訴えた。 その後SheridanはBabylon5のロゴを翼につけたWhiteStar2に乗り、 艦隊は出撃した。

亜空間で待機していた先行艦隊と合流したSheridanは、 まず三機のWhiteStarに封鎖艦隊と惑星の裏側への出撃を命じた。 対して封鎖艦隊旗艦HeraclesのHall艦長は、PolluxとNemesisに迎撃を命じる。 二隻の戦艦がそちらへ向かう途中、 今度はHeraclesの正面に第二波のWhiteStar艦隊が現われた。 さらにSheridanからのメッセージが入り、 彼のWhiteStar2を含む第三波の艦隊が封鎖艦隊の後ろ側に出現する。 Vestaの艦長MacDouganがSheridanの呼びかけに応じ、 彼に説得され始めたのに苛立ったHallは 正面の敵艦隊への攻撃を始め、数機のStarfuryが撃墜される。 対してSheridanもHeraclesとPolluxへの反撃を艦隊に指示し、 両艦隊の戦いが始まった。 しかしVestaはSheridanの艦隊との交戦命令を拒否し、 Hallの指令で艦長の指揮権を奪おうとした副長も他の乗員によって拘束される。 さらにFuriesも正面を横切ったWhiteStar2に攻撃せず、 Junoは戦わずにジャンプゲートから戦線を離脱した。 Polluxは被弾して制御を失ったWhiteStarに衝突されて爆発し、 Nemesisも降伏を申し出る。 最後に残ったHeraclesのHall艦長は Sheridanの最後通告を無視して降伏を拒むが、 副長のLevittが彼を拘束してSheridanへの降伏を伝えた。

バーに座って酒を飲んでいるLondoの隣にG'Karが座っており、 グラスの酒を飲み干した後で、 彼が提案した共同声明にNarnも署名する事を告げて立ち去った。 G'Karが飲み干したグラスを取り上げて暫く眺めてから、 Londoは微笑を浮かべた。

残った4隻の戦艦の艦長をWhiteStar2に招いたSheridanは、 地球に帰るか、ここに残ってProxima3の防衛艦隊に加わるか、 それとも自分と共にClark政権と戦うかの選択を迫った。 その結果、HeraclesはHall艦長を拘束したまま中立地帯に去り、 FuriesはProxima3の防御を手伝う事になり、 残るVestaとNemesisはSheridanの艦隊に加わる決意をした。

"Voice of Resisitance"はProxima3が開放され、 さらにCentauriとNarnの両国がその正当性を認める共同声明を出した ニュースを伝えていた。
その放送が基地に流れる中、Garibaldiは出発ベイの係官に、 火星へ向かう事を告げていた。 そして係官の問に対し、ここへはもう戻らないと答えた。


印象に残ったシーン、台詞

Bストーリーとでも言うべき、LondoとG'Karとの関係の修復が印象的。 以下はG'Karの部屋に入ってきたLondoとG'Karとのやり取り。

G'Kar: 入れ!
Londo: やあ、G'Kar・・・ お前の部屋に入ったのはこれが始めてだ。
G'Kar: Centauri宮殿の独房を除けばな。 鎖につながれていなくてすまない。 清掃員が片付けてしまったようだ。
Londo: ここは君たちの祖国に似ているな。 乾いて赤く、気がめいる。 こんなに早く元の仲に戻ってしまうとは驚きだな、 それぞれの道を歩き出した途端に。 まるで太陽に近づくと火を噴く彗星だ。
お前と言い争いにここに来たのではない。 麿は・・・対話に来た。
眼はどうだ?
G'Kar: 見えるぞ。
Londo: そうか、良かった。 この数年間は我々にとってとても辛いものだった。
G'Kar: ああ。
Londo: 特にお前にとっては。 だが実の所、麿にとっても決して気楽な日々とは言えなかった。 麿はお前が我々のために恥辱や苦痛に耐えたと思っている訳ではない。 お前はNarnの開放のためにプライドとその眼を犠牲にしたのだ。 だがその過程でお前は我が国を救ってくれた。 まだその礼を言っていなかったな。
G'Kar: お前の感謝の言葉など如何でも良い。
Londo: 受け入れてくれんだろうが、お前には感謝している。 本当に辛い一年だった。
G'Kar: ああ、そうだな。
ここでLondoは別の椅子に座りなおし、G'Karの顔をにらみ付けた。
Londo: さっきの皮肉はなんだ?! 鎖がない? 何と意地の悪い奴だ。 独房で鎖につながれて痛めつけられていたお前は哀れだった。 確かに我々は友人ではなかった、これから先もなれないだろう。 我々の間には大勢の血が流れた。 だが意外にもあの時お前にある感情が湧いた。 始めにうちは同情心に過ぎなかった、捕えられた獣を哀れむようにな。 だがそのうちにお前を尊敬するようになった。
G'Kar: お前からの尊敬の念など、感謝の言葉より不要だ。
Londo: 麿に一歩でも歩み寄ろうと言う気持ちはないのか? Narnの開放を約束した時、反故にする事もできたのに約束を守ったのだ。 もっと感謝したら如何なんだ!
G'Kar: わざわざそんな事を言うために来たのか?
Londo: お前には信じられんだろうが、麿は祖国のために良かれと思って行動してきただけだ。 麿は愛国者だ、お前と同じ。 確かに麿は非常にまずい選択をいくつかしてしまった。 まさかそれが滅亡の危機をもたらすとは思わなかったのだ、麿とお前の祖国に。 認めるのは屈辱的だが、麿は間違った言葉一つで誰かの敵に成り得る。 そして結局なぜ敵にしたのか解らないでいるのだ。
彼は用意してきた酒を取り出し、グラスに注ぎながら話を続けた。
Londo: 本国政府と話をした。 これまで取ってきた中立的な立場を捨てて、地球と戦うSheridanを支援するよう説得した。 Narnも共同声明を出してくれないか、我々と共に。 つい最近まで敵同士だった二種族が手を取り合えば、きっと他の種族も説得できる。
G'Kar: なぜだ?
Londo: 麿はもう誰が敵なのかすっかり判らなくなってしまった。 だが誰が友なのか解ったのだ。 麿はこれまで彼らに酷い仕打ちをして来た。 それを変えたいのだ、もっと良い方向へ。
我々の間に戦争が勃発する前、お前は酒を奢ってくれた。 そのお返しをさせてくれ。 この百年の歴史の中で初めて我々の間に憎しみ以外が生まれた。 こんな驚くべき事はない。 だから乾杯しよう、地球人に。 そして彼らの橋渡しで生まれた我々両国のより良い関係に。
G'Karはグラスに手を伸ばし、顔の前まで持っていった。 しかしそこで暫く手を止めてからボトルにグラスの酒を戻し、 Londoを無視して書き物を再開した。
Londo: 解った・・・。
失望で肩を落として、Londoは部屋を出て行った。
この場面ではあくまでLondoを許そうとしなかったG'Karだが、 最後のバーの場面では彼の償いを形式的にでも受け入れた。 これが長く争いすっかりこじれてしまった Centauri, Narn両国の関係修復につながるだろうか?
ただCentauriに関しては、Drakhによる復讐が始まっており 本国政府の中枢がKeeperに乗っ取られている可能性があるので、 関係修復はならないかも。

会議場のMinbari代表の席が空席のままなのが、さりげなく示されていた。 DelennもLennierもMinbari本星から戻っていないようだ。 前回でMinbari内戦は終結し、新Grey評議会を組織して一応の新体制が発足しているが、 実際に政府を機能させるのはまだ多くの手続きが必要で、 Delennは暫くMinbariに留まる必要があるのだろう。
ただそれ以外に、彼女がBabylon5を離れる前に言った 「自分がここにいない方が良い」のも 彼女がこの時期に戻って来ない理由だろう。 それはZ'ha'dumで変わってしまったSheridanの非情な面が 解放戦争の遂行には必要で、 自分が彼の元に居る事により彼の心が和んでしまってはいけない、 という考えともう一つ、 これはあくまでも地球人の戦いであり、 彼女が彼の傍に居る事によって彼がMinbariの侵略の手先のように扱われるのを防ぐ、 という意味があるのだろう。


Memo

MarcusがProxima3の包囲艦隊の配置を説明する場面で、 日本語音声では「Omega級駆逐艦」6隻と言っている。 英語ではOmega Class Destroyerだから直訳すれば確かに駆逐艦だが、 いかにも語感が合わない。 従ってここでは戦艦と訳しておいた。
なお、MinbariのSharlin級戦艦も、 英語ではWar Cruiserすなわち巡洋戦艦となっているが、 こちらもMinbariの最強艦という事で戦艦としている。

封鎖艦隊の戦艦と艦長の名前を聞いたSheridanは、 MacDouganの名を聴いて微笑んだ。 その後でFranklinの問に対しては全員知らない名前だと答えているが、 実際にはMacDouganとは旧知の仲だった。 意図的に隠していたのは、 この時点ではMacDouganを説得できるかが判らなかったからだろうか?

SheridanがFranklinに言った、テレパスが必要になる事態とはなんだろうか。 Psi Corpsとの対決を想定しているのだろうか?

うたた寝をしていたVirの悪夢は、彼のうわ言からすると Cartagia皇帝暗殺に関係するもののようだ。

Garibaldiが火星に向かったのはEdgarsからの呼び出しを受けたのだろうが、 彼の言っていたCentauriがらみの仕事とはなんだろうか?

今回の戦いではOmega級戦艦6隻(しかも実際に戦いに参加したのは3隻)に対して 数十機からなるWhiteStar艦隊は決して楽勝してはいない。 これはMinbariのSharlin級と互角というWhiteStarの基本性能からすると不思議だ。 恐らくSheridanらには元は味方である敵戦艦を なるべく破壊せずに降伏させたいという考えがあったため、 このような結果になったのだろう。
またもう一つの可能性としては、 WhiteStar各艦のRangerたちとMinbariの聖職者カーストの能力の問題がある。 地球との戦争で地球同盟の戦艦を一方的に破ったMinbari戦艦は、 戦士カーストのものだった。 戦士カーストと聖職者カーストの戦艦はやはり戦術等でかなりの差があるのでは? そう考えると、Babylon5が独立を宣言した直後の戦闘で Delennが艦隊を率いて現われた際に、 もし地球側が引かずに戦っていたら 結果はどうなっていたか判らない。

残った地球軍の艦長たちを集めたシーンで、戦艦Alexanderが確認できた。 Babylon5の独立直後の戦いに参加した後姿を消していたが、 どこかで独自の戦いを続けていたらしい。


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