Babylon5 #84

#84 Intersections in Real Time

粗筋

暗い監禁室の床に転がったSheridanは、彼がGaribaldiに裏切られて地球当局に 捕らえられるまでの経緯の夢を観ていた。 ドアが開いて光が差し込み、男が一人入って来る。 また机と椅子が二つ運び込まれ、男は机にブリーフケースを置いた。 そして男は目を覚ましたSheridanに、 「私が知っておくべきアレルギーや持病はあるかね? 最近薬を服用したことは? 心臓に何か異常はあるかね?」と尋ねた。 黙って睨み付けるSheridanに男はさらに、 「私が質問したら速やかに答える事だ。 躊躇したり考え込んだり嘘を言ってはいけない。 協力すれば報いがあるが、反抗すれば罰を受ける。 解ったかね?」と言う。
立ち上がったSheridanは男に掴みかかろうとしたが、 首に掛けられたPainGiverから電撃が与えられ、彼は苦痛のあまりその場に倒れた。 男は穏やかに、自分は敵ではなく彼に何の興味もない、 ただ任務で来たのであり彼を協力させる事が目的だ、 そのために必要ならどんな手段でも取ると述べる。 彼が机のボタンを押すと看守たちが入ってきて、 暴れるSheridanを椅子に座らせ、彼の両手足は自動的に金具で固定された。 男は始めと同じ質問を繰り返し、 諦めたSheridanが「ない」と返事をして、尋問が始まった。

尋問者が再び部屋に入ってきたとき、ドアの外は暗かった。 彼は椅子に固定されたままのSheridanに「おはよう」と言うが Sheridanは部屋の外が暗いから今は朝ではない、と言い返した。 すると尋問者はスイッチ一つでドアの外の光をつけたり消したりして見せる。 暫くやり取りした後で彼は、突然SheridanにPainGiverで電撃を与え、 自分に歯向かわないように注意を与えた。 それから書類をめくり始めたが、 時計を見て「もうこんな時間か」と呟き、 サンドイッチを取り出して美味そうに食べ始める。 そしてファイルを見て、 Sheridanが地球軍時代には政治に興味を示さなかった事を指摘し、 その彼が突然地球政府に反旗を翻したのは、 異星人からの影響を受けたのではと示唆する。 自分は誰からも影響を受けていないと言ってそれを否定するSheridanに対し尋問者は、 これまで一度も誰からも受けていないなど有り得ないと指摘し、 彼の発言を最初の嘘として記録した。
次に尋問者は昼時だと言い、 ここ二日間満足な食事を与えられていないSheridanに 自分のサンドイッチを食べるように勧めた。 Sheridanは彼がさっきは朝だと言ったと答えるが、 尋問者は今が朝ならサンドイッチはやれない、朝ではなく昼だと認めろと迫る。 「どこかの国では今は昼だ」と言ってSheridanはサンドイッチを手に取るが、 食べる前に躊躇った。 それを見た尋問者は、 自分が半分食べているし彼らは当面君を殺すつもりはないと言い、 彼はサンドイッチをむさぼり食った。 それを見ながら尋問者は、 真実は流動的で主観的なものだ、考え方次第で真実は変化する、 ここに来てそれが解ったはずだと諭し、 さらに自分の目的は彼の考え方をすこし変えて政府に協力させる事だと言った。 不可能だと反駁するSheridanに、 戦争中敵だったMinbari人を彼が仲間だと受け入れ、その一人を愛し始めた、 それも彼が考え方を少し変えた結果だと指摘する。 食べ終わって強がりを言うSheridanに尋問者は、 サンドイッチには自分が免疫のある毒が入っていた事を明かし、 死にはしないが相当に苦しむだろう事を示唆して部屋を出て行った。

次の「朝」、尋問者は部屋に入ってきて、 床に転がって苦しんでいるいるSheridanにおはようと声を掛けた。 そして彼を痛めつけるのは自分の流儀ではないが、 上からの命令だと言い訳をした上で彼に今度は水を飲むように勧める。 Sheridanは警戒して飲もうとしないが、 毒は入っていないと重ねて言われ、結局水を飲んで一息ついた。 そこで尋問者は彼を再び椅子に座らせ、 今度はIvanovaが彼の副官かどうか尋ねるが、 Sheridanは尋問者が知りたがっているという理由で答えるのを拒んだ。
次に尋問者は同じく拘束されている彼の父Davidに会った話を持ち出し、 彼が協力を拒む限りDavidは拘束され続けると言って彼を揺さぶった。 それから彼にこれまでに尋問を受けた経験を尋ねた。 彼がある、相手の名を聴いたら驚くぞと言うのを無視して、 それならここの規則を知っているはずだと言い、 尋問者は既に作られた彼の「自白書」を読み上げた。 でっち上げだと激怒するSheridanを無視して尋問者は、 大勢の国民の前でこれに署名して罪を認め、 共犯者の名を上げて彼の「犠牲者」に謝罪して許しを乞い、 異星人の影響を受けて政府転覆を図ったと述べるように要求した。 彼が弁護士との面会と正式な裁判を求めると、 尋問者は突然声を荒げ、 「君には何の権利もない、ここには法廷も裁判も弁護士も正義も慈悲も公正さも希望も、 土壇場の脱出劇もない!」と怒鳴りつけ、 ここから出られるのは罪を認めたときだけだ、と言って部屋を出て行った。

再び尋問者が入ってきてSheridanにおはようと声をかけた。 直ぐに看守が一人のDraziを引き立てて現われ、椅子に座らせ拘束した。 尋問者はDraziの前にレコーダーを置き、自白の内容を繰り返すように求めた。 痛めつけられた様子でがっくりと首をたれたDraziは、 「自分はSheridan司令官をそそのかして自国の政府に反乱を起こさせた、 共犯者はIvanova中佐、Minbari大使DellenとRoss Fowler議員・・・」と供述を始める。 Sheridanは止めるように頼むが、尋問者はこれが終われば彼は自由の身だと言って 供述を続けさせる。 「司令官には責任はない、なぜなら彼は精神を病んでいるから」 というDraziの供述に耐え切れなくなったSheridanは Draziは強い種族であり敵に降伏してはいけない、 降伏すれば使い捨てにされると説得し、 戦いつづければ最後にはきっと勝つと怯える相手を諭した。 Draziは彼の眼を暫く見つめ、 尋問者に「これ以上協力できない」ときっぱりと宣言する。 それを聞いた尋問者は「これが最後のチャンスと解っているのか」と言い、 Draziが頷くと机のボタンを押し、 現われた看守たちはDraziを台の上に寝かせて拘束した。 尋問者は「17号室へ」と命じ、Draziは連れ去られる。
Sheridanが声を荒げてDraziの運命を問い質すと尋問者は、 彼はここに来た時から使い捨てだった、それは自分も同様で 今のところそうではないSheridanは運がよいと皮肉る。 そのとき部屋の照明が暗くなり、Draziの悲鳴が外から聞こえた。 目を伏せるSheridanに対し尋問者がボタンを押すと、 「国家の存続と君自身の生存のために我々に協力するんだ。 そうすれば生産的な市民として社会に復帰できる・・・」というレコーダーの音声が 流れ始め、拘束され耳を抑える彼が一人残された。

次の「朝」、レコーダーの音声が流れ続けている部屋に尋問者が入ってきた。 彼はレコーダーを止めた後、 上からの命令だと言って点滴での栄養補給を止めた。 そして彼の前に自白書を置き、これに署名して宣言すれば自由になれると誘った。 さらに政府は彼を殺すつもりは無く、 反抗は不可能な事を示すシンボルとして生かしつづけたいのだと続ける尋問者に、 Sheridanはそれは嘘で、どうせ殺されると答えた。 尋問者はしぶしぶそれを認めるが、 殺されるのはずっと先、彼が忘れ去られた頃でそれまでは自由に生きて行けると言い、 もう一度書類への署名と宣言を求めた。
そのときSheridanは尋問者の傍にDelennの姿を見て、彼女に微笑みかけた。 しかし彼女は答えず、黙って彼を見つめてから消えた。 その姿に励まされた彼は書類につばを吐いて、「断わる」と答えた。 尋問者は動揺し、「残念だ、今後何が起こっても知らない」と言って書類をまとめて 部屋を出て行った。

次の「朝」、尋問者は拘束されたまま眠っていたSheridanを起こし、 戦争の英雄である彼を人々が政府より信じるようになるのが問題で、 それを防ぐために人々の目の前で彼が過ちを認める事が必要だ、 彼を殺した後で彼が罪を認めて許しを乞う映像をでっち上げる事もできると宣告した。 それを聞いたSheridanは、 それなら政府に歯向かう事が可能という事で、前に言った事と矛盾すると言い返し、 一人で戦い続けても最後には勝てると言って協力を拒んだ。
すると尋問者は看守を呼び、Sheridanを台の上に拘束し「17号室へ」と言う。 運ばれて行く彼に牧師が従い、最後の祈りを唱えていた。 彼が向かう通路の先の光の中にDelennの姿が立ち、彼を見守っていた。

Sheridanは別の部屋に運び込まれ、看守は立ち去った。 拘束が外れ、彼はゆっくりと半身を起こした。 部屋の陰になった部分に黒いマスクとローブと手袋をつけた人物が立っており、 部屋から出て行った。 暫くして再び看守が現われ、 部屋の隅にあった椅子から黒い布を外し、彼を座らせて拘束した。 さらにその前に机を置いて看守は出て行き、 再び入って来た黒い人影と共に彼は残された。
別の男が「おはよう」と言って部屋に入って来た。 それは新たな尋問者で、 始めの尋問者が言ったのと同様の注意事項を話し始めた。 その後ろに立っている黒い人影がマスクを外すと、 それは前に見たDraziだった。 呆然として眺めているSheridanに対し、 尋問者は全く同様な注意事項を何度も繰り返し話し続けていた。


印象に残ったシーン、台詞

事実上Sheridanと尋問者の二人だけしか登場しない、重苦しいシーンが続く。 始めのうちSheridanは尋問者のペースにはまって段々と追い詰められて行く。 引き出されたDraziの説得に成功する場面は一見彼が勝ったように見えるが、 実際には彼の行為によって無関係の相手が殺される(?)結果となって むしろ追い詰められた。 恐らくあの時点で彼は自白書に署名寸前まで行っていたが、 Delennの幻影(?)によって自分を取り戻した。


Memo

PainGiverは#5 "The Parliament of Dreams" でも使われたNarnの拷問具である。

Sheridanが以前に尋問されたのは、 #43 "Comes the Inquisitor"での事で、 その相手Sebastianは「切り裂きJack」である。

Sheridanの目に映ったDelennの姿は単に彼の心が作った幻だろうか。 前回Babylon5の彼女は彼の異変を察知した。 それからすると二人には何らかの精神感応がある事が推察され、 実際に彼女の祈りが通じた可能性もある。

この尋問全体は、何日間のシーンなのだろうか。 現実の尋問ではなく、 #8 "And The Sky Full of Stars" でSheridanが受けたのと同様の仮想空間での尋問の可能性もある。 そうすれば最後に殺されたと思っていたDraziが現われたシーンも容易に説明がつく。

Psi CorpsがGaribaldiにやったようにすれば、 Sheridanに罪を認め謝罪させる事が出来そうに思われる。 Psi Corpsを使わないのは、管轄が違うからだろうか? 以前のBesterと上司との会話で、 Clark大統領はPsi Corpsさえも完全には信用していない事が示唆されていた。


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