Babylon5 #88

#88 The Deconstruction of Falling Stars

粗筋

停泊しているWhiteStarから"Just Married"と書かれたシャトルがBabylon5に入港した。 JohnとDelennは、風船やリボンで飾り付けられた入港ベイで クルーからの大歓迎を受ける。 Sheridanが照れ笑いを浮かべながら、 クルーたちの先頭に居たFranklinとGaribaldiにこれは彼らのアイディアかと声をかけると、 Garibaldiは色々と祝う事が多いが今回のメインは二人の結婚だと答え、 二人はさらに冷やかしの声や紙ふぶきを浴びた。
二人の後から、今度はLondoとG'Karがやってくる。 LondoはFranklinに、「誰か死んだのか?」と尋ね、 Centauriではこのように馬鹿騒ぎするのは葬式だけで、 結婚式では意見を対立させ罵り合うのが伝統だと説明した。 そしてこのような祝福された門出は不吉な未来を暗示していると言う。 その場がしらけ気味になったのを見たLondoがG'Karに 自分が何か拙い事を言ったかと尋ねると、 G'Karはお前の言う事は全てが拙い事だとやり返した。

部屋に向かったJohnとDelennは、 廊下の角に自分たちを迎える儀仗隊が待っているのを見つけて慌てて引き返した。 Delennは先にMinbariに行けばよかった、人々は自分たちを持ち上げすぎだとぼやく。 Johnは彼女に、「100年後には自分たちの事など忘れられているだろう」と答えた。
二人が歓迎する人々の列の中をホールに向かう様子を ISNが「惑星間同盟のファーストカップル」として中継していた。 その中継が途切れ途切れになり、 「高エネルギーにより再生が中断されました」という音声と共に ディスプレー画面に切り替わった。 画面には2262, 2362, 2762, 3262のメニューが並び、 操作者は"AutoPlay"が選択した。

画面は2262年1月2日の記録に変わった。 ISNの検証番組"Night Side"が始まり、 アンカーのDerek MitchellによってSheridanの経歴が紹介され さらにBabylon5からの中継を挟んだ後で、 3人のゲストによる惑星間同盟の未来についての討論が始まる。
Earth DomeのElizabeth Materie議員と火星のジャーナリストLeif Tannerは Sheridanに好意的だったが、 Clarkの前スピーチライターだったHenry EllisはSheridanを激しく非難して、 彼には同盟を率いる資格も能力もないとこき下ろす。 そして彼は、新たな同盟は経済同盟ではなく軍事同盟であり、 SheridanとDelennはいずれ紛争の解決に軍事力を用いる事になり 同盟は崩壊すると予言した。
三人の激しい言い争いを抑えてMitchellが番組の中断と次のテーマを告げている所で 映像が乱れ、 コンピュータが記録再生の終了を告げた。

次に再生されたのはそれから100年後の2362年1月2日の記録だった。 惑星間同盟設立100周年を記念する三人の学者の討論番組が始まり、 司会役に回ったJim Latimere博士が 学生からの質問として100年の平和に対するBabylon5の果たした役割を尋ねたのに対して Barbara Tasaki博士とWilliam Exeter博士は、Babylon5は何もしておらず、 SheridanとDelennの功績とされるものは 惑星間同盟によって作り出された神話に過ぎないと説明した。
Tasakiは初年度に多くの犠牲を出しながら同盟が持ちこたえたのは 彼らの力によるものではなく歴史の必然に過ぎないと主張し、 二人の息子が起こした事件にまで言及しようとして Latimereに制止される。 二人はSheridanとDelennの過ちとして Babylon5にテレパスのコロニーを作らせ、 彼らをコントロールしようとした結果、 逆に反乱を招いて多数の犠牲者を出した事件を挙げる。 Tasakiはこれがまた後のテレパス戦争の遠因になったと指摘し、 Latimereに反発された。
事件の記録映像が示され、 人質となったGaribaldiが犯人グループに自分への協力を求めている所に、 Sheridanが無条件投降を呼びかける場面が流れた。 Exeterがこの映像はSheridanの冷酷さと権力欲の強さを如実に表していると批評し、 Minbariでの80年前の彼の謎めいた死の状況や Delennが今も生きているという噂は同盟の結束を保つための作り話だと Tasakiが決め付けていると、 突然警報が鳴り響いてスタジオに侵入者が現われた。 それは年老いたDelennと二人のMinbari人の従者だった。
ショックを受けて黙り込むスタジオの三人に彼女は、 「John Sheridanは善人で優しく人格者でした」と訴えた。 そして「教えてください、知りたい事が沢山あるんです。」と言うTasakiに、 「あなたは何も知ろうとしていない、あなたはただ話したがっているだけ。」 と答えた。 さらにExeterに向かって、 「あなたは知っている事を全部無視する、それが自分に不都合だから。 そして知らない事は捏造する。」と言い、 「でもそんな事はどうでもいい、大事なのは・・・ 彼は善人だった、思いやりがあった。 世界を思いやっていた、世界が彼を顧みない時も。」と続けた。 驚きからやっと立ち直ったExeterが、彼女がそう言うだろうと思っていたと反応すると、 彼女はもう一度三人の顔をじっと見つめ、三人は恥じ入って目を逸らした。 そして彼女は「さようなら」とだけ言って、そのままスタジオを出て行った。

次の再生記録は2762年1月2日のものだった。 テーブルと椅子だけがある部屋に現われた男Danielは、 2262年当時のBabylon5をホログラムとして再現し、 中央政治局への口述メモとして、 「このシミュレーションの目的は、 惑星間同盟からの脱退という政府の政策変更を合理化し、 労働者階級に崇拝されている過去の英雄のイメージを破壊するためである」と説明した。 彼は次に、 2262年当時のSheridan, Delenn, Garibaldi, Franklinをホログラムとして再生する。 そして彼らには2262年から2762年現在までのデータがダウンロードされ、 過去の彼らの思考パターンに基づいて行動をするとDanielは説明した。
四人のホログラムは直ぐに自分たちが 惑星間同盟からの脱退を正当化するためのプロパガンダに使われようと している事に気がつき、脱退の理由を尋ねる。 始めDanielは、同盟に加入していた500年の間に地球の地位が低下し、 異星によって文化汚染されてしまったと説明するが、 ホロSheridanの追求に対しあっさりと、 惑星間同盟は領土拡大政策の妨げになるからだと認めた。 さらに四人のホログラムは、 この時代の地球が分裂して再び内戦が起っており Danielたちの政権側が惑星間同盟に協力的な他方の勢力についたコロニーを 奪還するために自分たちを利用としている事に気がつき、激しく反発する。
しかしDanielはお構いなしに次の段階に入り、 四人のホログラムの周囲はBabylon5の中央通路に変わった。 DanielはホロSheridanのパラメータを変更し、 その結果彼はBabylon5への降伏者を全員射殺させる無慈悲な独裁者を演じた。 ホロDelennは残りの二人に何とかしてこれを止めさせようと訴えるが、 DanielはホロFranklinのパラメータを変更すると共に ホロDelennをスタンバイモードで停止させ、 ホロFranklinは連合のために生体実験を繰り返す死の医師を演じた。
しかしホロGaribaldiは、Sheridanではなく自分が戦争の作戦計画を 作っていたのだとDanielに話し掛け、 彼らの計画に協力すると思わせて 敵への攻撃計画を聞き出した上でそれを敵に送信してしまった。 始めはそれを信じずにホロGaribaldiを消去しようとしたDanielは、 攻撃警報を聞いて慌てふためきホロデッキから逃げ出したが、 その直後にホログラム施設のあった軍事基地は、 攻撃によって完全に破壊された。

次の記録は3262年のものだった。 修道僧の男Alwynが書斎のような部屋で隠しカメラに向き合っていた。 500年まえの大戦争Great Burnによって地球の科学文明は崩壊し、 わずかに残った人々は中世ヨーロッパさながらの状態に戻っていた。 部屋に駆け込んできた若い僧Michaelは、 過去の遺産を保存し、やがて科学文明を再建すると教えられてきた 自分の信仰が揺らいでいる事をAlwynに話した。 彼は抱えてきた大きな本を開いて最初に生まれた者の最後であるという 聖Lorienの絵を示し、 彼が存在した証拠は無いと多くの人々が言っているとAlwynに訴える。 Alwynが証拠なら地球の外の世界にあると答えると、 そこには行きようがないとMichaelは反論した。 そして彼は、 一度死んで生き返り天に召されたという聖Sheridanや 賢者Delenn, 勇者Ivanovaも同様に存在せず、 自分の信仰は無意味ではと訴える。 さらに最も必要な時に現われるとDelenn三世によって予言されたRangerが Greaty Burnから500年経ち、自分たちが待ち望んでいるのに現われないのはなぜかと Alwynに尋ねた。 それに対しAlwynは、Rangerは今日来なくても明日は来るかも知れず、 あるいは既に地上に現われて密かに活動しているかも知れないとMichaelを諭し、 抱えてきた本の彩色を続けるように命じた。
Michaelが出て行った後でAlwynは隠しカメラに向かい、 過去の記録に基づいてガソリンエンジンの復元に成功したが ガソリンが手に入らないので、 偶然見つかったように見せかけて補給物資と共に送って欲しいと要請した。 そしてMichaelはいずれよいRangerになるだろうと付け加え、 「その人のために生き、その人のために死ぬ」というRangerの誓いの言葉で報告を終了する。 そして戸棚から取り出したRangerの制服を眺めながら、 たとえ2000年かかろうとも必ず文明を再生すると呟いた。

記録の再生を終了し、最初から100万年間の記録を保存したというコンピュータ音声に対し、 男の声が「我々の仕事は終わった。記録をNew Earthに送れ」と答えた。 まもなく太陽が新星化するとコンピュータは警告するが、 心配するな、何があっても後悔しないと男は答える。 そして世界の終わりは炎の中に飲み込まれるのであって闇ではない、 自分たちは祖先の望んだような世界を作り上げた、 今こそ新たな世界へ旅発つときだと独白した後 彼の姿は光の球体に変わり、 Vorlonに似た環境スーツの中に吸い込まれた。 スーツの上部に人間の頭部に似たパーツが持ち上がり、その目の部分が輝いた。
やがてRangerマークを胴体につけた大きな宇宙船がジャンプポイントに消えた直後に、 太陽は爆発した。

爆発する太陽の光は蝋燭の光に変わり、 場面は2261年末のBabylon5でのJohnとDelennの寝室に戻っていた。 Delennは微笑んで、 「もう眠りましょう、明日の朝会議があるから」と 傍らのJohnに声をかける。 彼が「自分たちがこれまでして来た事を思い返していた。 100年後や1000年後に自分たちの事を憶えている者が居るだろうか、 そんなはずが無いな」と以前の問を繰り返すと、 彼女は「私たちは正しい事を成し遂げただけよ、歴史はそれ自身で動いて行くもの」と 答え、二人はまたキスを交わした。

字幕:

Babylonプロジェクトが失敗に終わると予言していた全ての人々に捧ぐ。
信念が道を開く。
Dedicated to all the people who predicted that the Babylon Project would fail in its mission.
Faith manages.


印象に残ったシーン、台詞

年老いたDelennが現われたシーンは衝撃的だ。 そして彼女が最も重要だと言ったのは、 Johnが誠実で他人が省みない時もいつも相手の事を考えていた、という事だった。 これは彼女の視点から見たとき、 幾つもの種族をまとめ銀河に平和をもたらした事ではなく Johnとの愛の思い出こそが最も重要だった事を示唆している。


Memo

今回の英語タイトルは、前回のそれと対になっている。 前回は惑星間同盟の発足とJohn, Delennの結婚という明るい将来を「昇る星」として描き、 今回はその理想の崩壊と存続、そして再生を描いている。

オープニングタイトルが、第四シーズンのこれまでの物と微妙に変わっている。 Agamemnonが炎の塊を抜けて現われるシーン(#86 "Endgame")が 挿入され、Ivanovaの紹介が消えている。

この件は、シリーズが第四シーズンで打ち切りの危機に直面した事と関係あるらしい。 打ち切りに備えて第五シーズン最終話"Sleeping in Light"が先に作られ、 そちらでIvanovaが出演していた関係で、この回は彼女がクレジットされていないとか。

100万年後のシーンでの、「世界の終わりは炎の中」という言葉は、 #31 "The Coming of Shadows"で KoshがTurhan皇帝に言った言葉を思い出させる。
また太陽が爆発して地球が失われる直前に別の星に移住するという展開は、 ずっと以前にSinclairがISNのレポーターに問われて答えた 「人類が宇宙に向かう意味」を連想させる。
さらに「100万年後」の人類が精神生命体に進化しているのは、 #6 "Mind War"で IronheartがSinclairに言った、「100万年後に会おう」という言葉を思い出させる。

Babylon5世界では2362年時点で「日本大学」が存在しているらしい。 ただし"University of Japan"と"Nihon University"とが同一の大学かは不明である。

Tasakiが言及してLatimereに遮られた、 SheridanとDelennの息子(David)が引き起こした事件とは何だろうか? Latimereの反応からすると、その話題は何らかの形でタブー視されている気がする。

Danielの話を信じると、Babylon5は2282年に何らかの事件によって失われている。 これはMinbariでのSheridanの「死」の同時期であり、 何らかの関係があるのかもしれない。 あるいはDavidの事件と同じ物か? そしてそれはDelennがJohnの死後、公の場から姿を消していた事とも関連があるのか?
いすれにしても、今回描かれた未来が確定的なものである保証はない。
Lady Ladiraが言ったように、 「未来は常に変化するもの」だから。


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