Babylon5 #100

#100 The Ragged Edge

粗筋

同盟の会議が始まる直前まで自室で書類の山へのサインに追われているSheridanは、 呼びに来たDelennに雑用の多さをぼやいていた。 やっと処理の済んだ書類の束を抱えて議場に入った彼は、 そこににDelennしか居ない事に気がつき唖然とする。 輸送船への襲撃は領域境で起きているために 条約によって各国は自国の軍隊を派遣できないにも関わらず、 同盟が襲撃を止められないのなら参加している意味が無いと言って、 各国の大使は総会をボイコットしているとDelennから説明を受けた彼は、 何とか早急に手を打たなくてはならないと焦りを深める。
その頃、また一隻の地球の貨物船が何者かの襲撃を受けていた。 護衛しているDraziの戦闘機は次々と破壊され、貨物船も被弾するが、 破壊される直前にパイロットを乗せたライフポッドが脱出した。

Centauri本星から戻ったLondoとG'Karが、Babylon5に入港した。 G'Karを見かけたNarn人たちは皆、彼に向かって異常なまでの尊敬の念を示し、 彼は戸惑った表情を浮かべる。 それを見ていたLondoは、早速からかいの対象にした。

Garibaldiはベッドで寝ている所をZackからの通信で起こされた。 Zackは、彼が今朝の会議をすっぽかした事を注意し、 30分後に大統領執務室で別の会議がある事を告げた。 Garibaldiはめざましを掛け忘れたとごまかして通信を切るが、 ベッドの下には昨晩空けた酒瓶が転がっていた。

会議の席でDelennは、襲撃を受けたDrazi行きの貨物船から パイロットがライフポッドが脱出したらしい事を報告する。 しかしこの貨物船はDrazi政府が禁輸品を密かに運ぶのに使っていたものらしく、 パイロットを見つけて襲撃について証言させるのに Drasi政府の助けは期待できなかった。 Garibaldiは、Europa時代の同僚がDraziの首都で警備の仕事をしているため、 自分が調査に行って彼の協力を取り付け、パイロットを探してくると申し出る。 SheridanはFranklinも一緒に連れて行くように言うが、 Garibaldiは彼は自分以外信用しないと言ってそれを断わった。 SheridanとDelenn, Franklinは顔を見合わせるが、 結局Garibaldiを一人で行かせる事にした。

通路にたむろしていたNarn人たちが一斉に礼をする中を やや戸惑いながら部屋に向かったG'Karは、 部屋の入り口にTa'Lonが剣を背負って護衛に立っているのを発見した。 Ta'Lonは、これまで基地を離れて自分の剣を必要としている所へ行き、 Narn本星とも行き来してありとあらゆるものを運んだと話しながら G'Karと共に室内に入る。 自分が執筆中の本が無い事に気づいてうろたえるG'Karに彼は、 万一G'KarがCentauri本星で殺されれば彼の本は世に出ない事になるため、 無断で本をNarn本星に送って写しを取り、 それが印刷に回ってG'Guanの書を凌ぐ売れ行きになっている事を説明する。 その結果今やG'KarはNarn人に聖人として崇められていたのだった。

Garibaldiは出航ゲートに向かう途中もZackに細細とした注意を与え、煩がられていた。 そこにFranklinが追いついてきて、今回自分を任務から外した真の理由を追求する。 しかしGaribaldiは、彼を信頼していないからではなく、むしろ真の友人だから 今回は一人で行く事にしたと答える。 最後にFranklinはもし何か心配事があるなら自分に連絡するように言い、 GaribaldiはDrazi行きの船に乗り込んだ。
Drazi本星の首都のホテルの部屋に収まったGaribaldiは、 早速広いベランダに出て外の景色を眺めていた。 そこにEuropaでの同僚だったTafiq Azirが不意に現われる。 Tafiqはライフポッドで脱出した貨物船のパイロットは隠れ家にいるが、 Drazi政府に追われており、 今夜ホテルの横の公園で会う手はずを整えたと伝えた。 その後ルームサービスに持って来させた酒をGaribaldiにも勧める。 Garibaldiは少し躊躇ったが、結局飲み始めた。
夕暮れになり、パイロットと落ち合う準備をすると、酔って寝ているGaribaldiに 声を掛けて部屋を出たTafiqは、いきなり銃で撃たれその場に崩れたが、 Garibaldiは何も気付かなかった。 さらに夕闇が迫り、やっと目を覚ましたGaribaldiはTafiqの名を呼ぶ。 そのとき彼は、公園からの赤いレーザー信号に気付き、 部屋を出るとそこには倒れたTafiqの身体をDraziが調べていた。 襲い掛かってきたDraziをもみ合いの末にベランダから突き落としたGaribaldiは、 Drazi警察のヘリが近づいて来る中で廊下に倒れているTafiqを介抱するが、 彼はパイロットが危ないと言い残して息絶えた。 ホテルを出たGaribaldiはマントを被った一団に誰かが襲われているのを見て助けに向かうが、 逆に袋叩きになった。 警察がやってくるのを見た襲撃者たちは逃げ去り、 Garibaldiは襲われたパイロットに走り寄ったが彼は既に息絶えていた。
Babylon5のDelennの元に、Garibaldiから緊急の連絡が入った。 血だらけの顔の彼は任務の失敗を告げ、救出を求める。 彼女は直ちに近くをパトロール中のWhiteStarを派遣した。

G'Karの部屋の外には、彼に会って話を聞こうというNarn人たちがひしめき合っていた。 G'Karは部屋の中に入ってきたTa'Lonに、話す事など何も無い、 自分はNarnの指導者になるつもりは無いと言うが、 Ta'Lonは、Narn人はこれまでずっと敵を憎み戦う事だけを学んできたが、 それを乗り超え生き延びたあなただけが新たな道に導く事が出来る、 彼の本を読んだ者は憎しみと恐怖以外の道がある事を理解し始めていると答える。 G'Karは尚も、これまで自分の過ちの責めを追うのは自分だけだったが、 他者を導けば彼らも自分が犯すかもしれない過ちに巻き込む事になる、 自分の権力という影が真のメッセージを覆い隠してしまうのでは、と危惧するが、 そのときは自分が彼を殺す、それが戦士である自分の勤めだとTa'Lonは答えた。
遂にG'Karは部屋のドアを開け、集まっていたNarn人たちを中へと招き入れる。

戻ってきたGaribaldiが会議の場に提出できたのは、 襲撃現場で拾ったボタンだけだった。 パイロットを殺したのはTafiqを襲ったのと同じDraziではと言うDelennに、 マントを被っていたが殴りあった感触ではDraziではないと彼は答える。 そのとき遅れて入ってきたLondoが、彼の拾ってきたボタンを見て 懐かしい、これはCentauri王宮の衛兵のものだと言い出す。
どこで手に入れたとLondoが尋ねたのをとっさにごまかしたSheridanらは、 彼が去った後で善後策を協議した。 Centauriが輸送船襲撃に関与しているのは確かだが、 Londoが衛兵のボタンの事を話したのはおかしいとDelennが疑問を呈すると、 彼自身は無実だがCentauri本星と毎日連絡を取っているうちに情報を洩らしたのだろう とSheridanは答える。 Londoを今後の会議から外すべきかという議論の中で、 G'KarはもしLondoにこの事を話せば、彼は真実を突き止めようとして殺されるだろうと断言した。 驚く皆に、彼はLondoがCentauri王宮で襲われたが別の勢力に救われた事を話し、 現在Centauri王宮には二つの勢力が居り、その駆け引きの中でLondoは生かされているに過ぎない、 そのどちらが事件の黒幕かを突き止めるまでは彼を外すべきだと言った。 皆はその意見に同意するが、 それにしてもCentauriがなぜ自分たちも必要としている同盟を分裂させようとしているのだろう、 何か見落としている事があるとDelennは言った。
一方夕食中に地球からの連絡を受けたFranklinは会議を欠席して、 その件について地球とのやり取りをしていた。 彼はオフィスで、自分の意思は決まったがここが恋しくなるだろうと日記に記録する。

G'Karは崇拝者のNarn人たちに、 これまで自分たちは他種族と争い続ける事ばかり学んで来たが、 それを捨て去る段階に達した、 これからは他種族との違いを恐れず素直に受け入れお互いを信頼する事が 必要だと訴えていた。 一人のNarn人が、G'Karの書にはCentauriを信用するなと書かれていると指摘すると、 G'Karはそれは最初に書かれた部分で、その後に自分も他者と同様に学んだのだと答える。 G'Karの書は聖なるものであり、過ちは無いはずだと納得しない男に、 書物に顔をつけるようにG'Karは求めた。 訝りながらそれに従った男は、いきなり閉じられた本に顔を挟まれて悲鳴を上げる。 それを見ていたTa'Lonは、「これが最初の教えだ」と言った。

翌朝Sheidanのオフィスに現われたFranklinは、 Babylon5の前医療部長で異星生物学研究所の所長のDr.Kyleが年末で引退する事になり、 自分がその後任になる事を告げた。 Sheridanは彼が今年いっぱいでここを去る事にショックを受けるが、 彼の決断を尊重すると答え、昇進を祝った。 一番ショックを受けるのは付き合いの長いGaribaldiだろうとFranklinは答え、 彼には既にメッセージを送ったと話した。
その頃Garibaldiはメーセージに気付かずに眠っていた。 ベッドの横にはまたしても空の酒瓶が転がっていた。


印象に残ったシーン、台詞


Memo

Garibaldiの寝室に転がっていた酒瓶の様子から見ると、 この話は前話の直後(もしかすると次の日)と思われる。

LondoとG'KarがCentauri本星に出かけていたのはほぼ一ヶ月間である。 従って#94 "Strange Relations"からこの話までの間隔がほぼ一月ということになる。

Ta'Lonは第三シーズンの"And the Rock Cried Out, No Hidding Place"以来の登場。 このときはG'Karの部屋を警護していて台詞は無く、 台詞があったのは"Point of No Return"以来となる。

Garibaldiの乗った輸送船の大きさから想像すると、 Babylon5とDrazi本星との距離はかなり近いように思われる。
Drazi本星の首都の街は、敵の侵入を妨げるために道幅が細い。 また彼らは戸外生活の伝統があったため、 建物の作りはベランダを広く取っている。

Centauri王宮の衛兵のボタンには、初めて衛兵について定めた 初代皇帝Tuscanoの紋章が入っている。

Dr. Kyleは、Pilot Movie "The Gathering"でのBabylon5の医療部長を していたFranklinの前任者である。 彼はKoshの環境スーツを開けて治療した後、 地球に召喚されていた。 恐らくVorlon人の真の姿を知るものとして、当局から尋問されたと思われるが、 その後消されたりする事もなく、昇進していたようだ。


前話へ 次話へ 戻る

inserted by FC2 system