Babylon5 #106

#106 The Fall of Centauri Prime

粗筋

無防備のままNarn-Drazi連合艦隊の砲撃を受けたCentauri本星の首都には、 次々と火柱が上がった。 牢の窓から外の様子を呆然と見ていたG'Karが床に伏せた直後に、 宮殿も爆撃を受け、牢の天井が崩れる。 牢に飛び込んできたLondoは負傷して床に倒れたままのG'Karを救い出し、 自分の部屋に運んだ後で、再び摂政を探しに行く。

亜空間をCentauri本星に急ぐSheridanの元に、 Babylon5のGaribaldiから、 NarnとDraziの艦隊が爆撃を始めてしまった事が知らされた。 さらに彼は、DelennのWhiteStarが12時間以上連絡を断ったままで、 Centauriに攻撃された可能性が高いという凶報も受け取る。

やっと見つかった摂政は、攻撃は首都から郊外に移ったので暫くは安全だと 「彼ら」が告げたとLondoに話す。 一体「彼ら」とは誰だと問い質すLondoの前に、 柱の影から異星人が現われた。 彼らはDrakhだと摂政は答え、さらに説明を続けた。
Drakhは長い間Shadowに仕え、Z'ha'dumに住んでいたが、 Shadowが銀河系を去りZ'ha'dumが爆発する直前に惑星を脱出した。 故郷を失った彼らは、Shadowが復活のためにCentauri本星へ艦隊を送った事と、 それに対してLondoが行った事を思い出してここにやってきた。 それを聞きながら、 LondoはSelini島を爆破してShadow艦隊を壊滅させた直後に Mordenが彼に叫んだ呪いの言葉を まざまざと思い出していた。 それではこの戦争は摂政本人ではなくお前たちが起こしたのか、 Centauriの影に隠れて戦艦を使い、罪をなすりつけて同盟からの攻撃を招いたのだな、 というLondoに、Drakhは黙って頷く。 復讐なら命令を下した自分に行え、罪の無い一般人を巻き添えにするな、と言うLondoに、 彼らは未だお前の命は欲しくないそうだと摂政が代わって答えた。 ならば何が欲しいのだと叫ぶLondoに、 住みかだとDrakhは答え、さらに窓の外の炎上する街の光景を眺めながら、 この国は戦争で大きな痛手を負い、国民は怒りに燃えている、 自分たちにとって最適の場所だ、 もはやお前たちCentauriはDrakhに頼り従うしかない、 自分たちは影に潜みこの国を操る事ができる、と続けた。 そんな事はさせないと詰め寄るLondoに、 いやそうさせるのだと答えた摂政は、 DrakhたちがLondoから学んでCentauri本星に核融合爆弾を仕掛け、 彼が従わなければ数百万人の命が奪われると言う。 そしてDrakhもそのスイッチを見せびらかし、 お前に望むのはお前自身だと謎のような言葉を続けた。

WhiteStar艦隊を率いるSheridanは、やっとCentauri本星の軌道上に到着した。 彼はNarn-Drazi連合艦隊に直ちに攻撃を止めるように呼びかけるが、 Narn艦隊司令のNa'Tokは自分たちは戦争を終わらせるためにやるべき事をやっている だけだと言い返し、Sheridanが同盟のいかなる決定も支持すると言った事を思い出させる。 Sheridanは攻撃命令など出していないと怒るが、 Na'Tokはさらに、もう直ぐ出払っていたCentauri艦隊が戻ってくるから、 彼には自分たちと共に戦うかCentauri艦隊に攻撃されて死ぬかの選択肢しかないと指摘した。

王宮では、摂政がもう直ぐ艦隊が戻ってきてSheridanの艦隊を一掃するだろうが、 その過程でさらに多くの市民の犠牲者が出るとLondoに言った。 Londoは直ぐに艦隊に降伏命令を出すように言うが、 摂政はそれは出来ない、 もう直ぐ自分は死ぬので皇帝となるLondoが命令しろ、 気の狂った自分が勝手に攻撃命令を出したと言って罪をなすりつければ良いと言って、 自分を良く見るように求めた。 すると彼の肩に取り付いたKeeper(飼い主)の姿が現われ、その目がかっと見開く。 摂政は、Drakhの許しが出たときだけこの姿が見える、 取り憑いた相手がDrakhの利益に反する言動をしないように監視しているのだ、、 自分はこれが取り憑いている間だけ生きられると話した。 彼は自分がこれまでの人生において、声をあげるべき時に何も言わず あまりに多くの時間を無駄に過ごしてしまったがそれも終わりだ、 自分はもう逝くと言う。 そして彼の肩から「飼い主」が床に落ち、蜘蛛の様に走り出すと同時に、 摂政はLondoの腕の中に崩れた。

WhiteStar機上のSheridanは、 あと20分で戻ってきたCentauri艦隊が最適射程に入るという報告を受けたが、 交戦準備を取らないように命じた。 彼は替わりにCentauri王宮を呼び続けて、 また付近の全艦をDelennの捜索に向かわせるように命じる。
そのDelennのWaiteStarは最後の力を振り絞って亜空間での位置を保持していた。 修理を試みるLennierは、 エネルギーが間もなく尽きて、生命維持機能と位置の保持が出来なくなると彼女に伝える。

戻ってきたLondoに、G'Karは自分を救ってくれた礼を言う。 何時も一緒に居ると約束していたとLondoは答えるが、 摂政が死んで自分が皇帝に即位するため、もうG'Karを護衛として伴えなくなったと言い、 彼に別れを告げる。 そして続けて、皇帝となった自分について色々と芳しくない噂を耳にするだろう、 地位が人を変えたと言われるだろうと言うLondoに、 G'Karは「解っている」と声を掛けた。 しかしLondoは、 事態はお前が思っている以上に複雑なのだ、 それを知らないで居られる事を祈れ、と言い、部屋を出て行こうとする。 その彼を呼び止めたG'Karは、 CentauriがNarnにした事を許せないが、自分はお前を許すとLondoに言い、 二人は黙ってお互いの肩に手を置き、暫く見詰め合った。 そしてLondoは部屋を後にした。
Drakhの前に戻ってきたLondoは上着を脱ぎ、「用意はいいぞ」と声を掛ける。 Drakhが胸から剥がした「飼い主」を床に落とすと、 それは蜘蛛の様に走ってLondoの足から胸に這い上がり、 触手を絡みつける。 その瞬間にLondoは手の中に隠していたスイッチを握った。
SheridanのWhiteStarを含む上空の連合艦隊と、 戻ってきたCentauri艦隊が接触する直前に、 Centauri艦隊に暗号通信が入る。 彼らは怒りの声を上げ、議論している様子だったが、前進を止めた。 そのとき王宮のLondoからSheridanに通信が入った。 彼は、同盟輸送船への襲撃は摂政が議会に諮らずに独断で行っていたもので、 その摂政は既に死に自分が君主になったと告げる。 しかしCentauri艦隊への降伏命令を求めるSheridanに対して、 艦隊は決まった時刻に送られる指令にしか従わないように命じてあると彼は答えた。 そしてSheridanが相談があるので会いたいと言うと、 始めは国民は歓迎しないと言って反対したが、 Delennが行方不明だと聞いて彼は会談を受け入れた。
Londoは直ぐにDrakhを掴まえて、Delennに何があったのだと追求する。 そして状況が判るとDrakhに彼女を殺さないように懇願するが、 相手ははつれない様子だった。
王宮に入ったSheridanがDelennの捜索への協力を求めると、 Londoは見返りを要求した。 むっとしたSheridanが、彼女はあなたの友人のはずだと言うと、 逆にLondoはむごい攻撃をしておいて何が友人だ、 Centauriは同盟とは無関係に独力で国家を再建すると 廷臣たちが聞いている中で言い返した。 それを聞いたSheridanは怒りを露にして、 Centauriには同盟輸送船攻撃に対する賠償金を払ってもらう、 ただしCentauriの戦艦はShadowの有機装置で操られていた事が判明したので、 その点については考慮する、と宣言した。 しかしLondoは、 その装置は摂政が反乱に備えて闇マーケットで購入したもので 別に如何と言う事は無い、 探すならさっさとDelennを見つけないと、 船ごと破壊されてしまうぞと、やり返した。

DelennのWhiteStarは、遂にナビゲーションスラスターも尽きて亜空間を漂流し始めた。 DelennはLennierを、まだ絶望という訳ではない、 FirstOneが100万年前に残したジャンプゲートが見つかるかもしれないなどと言って 元気付けると、彼は最後の手段として、 未だ生きている攻撃システムを発砲して信号を送る事を提案した。 しかしその結果現われたのは救助船ではなくCentauriの艦隊だった。 死を覚悟したLennierが「愛しています」とDelennに告白すると、 彼女は静かに「知っていました」と答えた。 Centauri艦隊は本国に暗号通信を送るが、 その返事を受けて彼らは攻撃せずにWhiteStarを曳航し始めた。 命拾いしたDelennはLennierに、 さっき何か言ったようだがよく聞こえなかった、 二人には何も無かった、取るに足らない事よ、と言い、 さらに今回の彼の行動を誇りに思うと告げた。 それを聞きながらLennierは複雑な表情を浮かべる。

ごった返す王宮の中で、Babylon5から到着したばかりのVirは、 Londoの居場所を人々に尋ねていた。 やがて部屋に飛び込んできたVirを ノックもせずに部屋に入るなとLondoは彼の胸倉を掴んで激しく叱責した。 あなたを心配していた、今頃はロイヤルスイートに落ち着いているかと 思っていたと言うVirに、同盟の攻撃で多くの死傷者が出たのに そんな事が出来るわけが無いとLondoは不機嫌に答える。 そして同盟が求めている賠償金を支払えば国家は財政破綻して復興資金が無くなる、 国民はこの戦争の経緯に不満を募らせているとVirが報告し、 国民を宥めるように求めると、間もなく国民に演説を行うとLondoは答えた。

無事にCentauri王宮に到着したDelennは、SheridanとG'Karに迎えられた。 三人が話をしていると、外でLondoの演説が始まった声が聞こえ、 窓から外を見ると、宙に投影された巨大なLondoの姿が見えた。 演説の中でLondoは、 Sheridanの同盟による攻撃によって多くの犠牲者が出た上に、 さらに同盟側はCentauriに屈辱を与え二度と歯向かわせないために 多額の戦時賠償を要求してきたと述べ、 国民の不満を宥めるのではなく煽っていた。 そして彼は、Centauriはその賠償を支払って同盟に頼らずに 独力で国家を再建すると続け、 孤立主義の象徴として自分はただ一人で即位式に臨むと宣言した。 その演説の様子をDrakhが頷きながら眺めていた。
彼の演説を聞いてSheridanは困惑し、Delennは顔を曇らせる。 ちょうど現われたVirにG'Karは、なぜLondoは対立を煽るような演説をしたのか と尋ねたが、Virにもその真意は解らなかった。 そこで四人の前に姿を見せたLondoは、 あの演説をしたのは個人的な理由だ、即位式には君たちも出席しない方が良いだろうと言い、 Virを正式にBabylon5大使に任命して彼もここを立ち去るように命じた。 DelennはLondoに、Lennierと自分の命を救ってくれた礼を言った後で、 「あなたの進む道が暗闇に覆われていてもう見えない、 何時かそこから抜け出せる事を祈っている」と言って立ち去った。 G'Karは、黙ってLondoに向って自分の両手を組んで胸に当て、 二人は暫く見詰め合ってから別れた。 即位式の準備が出来たと伝えるように言ってVirも下がらせたLondoは、 死者を悼む寺院の鐘が鳴りつづける窓の外を眺める。 その彼の脳裏には、 Babylon5でのさまざまな出来事が走馬灯のように蘇っていた。 やがて彼は宮殿の外に出て、ゆっくりと寺院に向かってたった一人で歩いていった。

Babylon5に戻ったSheridanは、 Centauri戦艦に搭載されていたShadowの有機装置を前にして Lytaから説明を聞いていた。 この装置はShadow技術の中ではそれほど高度なものではないとLytaは言うが、 Franklinは自分はこれほど恐ろしいものを知らないと言う。 そしてSan Diego荒廃地の話を持ち出し、 そこで使われた核爆弾はソ連崩壊時に周辺諸国に流失したものだった、 それと同様にShadowが去った後に残った技術が幾つも、 それを作れも理解も出来ない者たちの手に渡って仕舞ったと指摘する。 巨人たちが去ったが銃を残していったと喩えるSheridanに、 GaribaldiがVorlon本星の方には何か役に立つものが残っていないのかと尋ねた。 それに対しDelennが、 Vorlonが去った後でさまざまな国が調査船を送り込んだが、 全て自動装置に破壊されたと答えた。 Lytaは、Vorlon本星はその資格が出来るまでは立ち入り禁止だ、 なぜか解らないけれど恐らく100万年後にはその資格が出来るかも、と言う。 そのとき入って来たZackが、 Centauriの降伏のニュースが広まって、基地内の暴力行為がほぼ収まったと報告し、 なぜ皆浮かない顔をしているのか尋ねた。 Delennは、その代償に何かを失った気がする、と答える。
Centauri王宮では、薄闇の中で玉座に座ったLondoがたった一人で 物思いに耽っていた。


印象に残ったシーン、台詞


Memo

主要人物のうち、まずLondoの運命が定まった。 彼はSheridanが観た未来の運命から逃れる事は出来なかった。

DelennがLennierに言った「FirstOneたちが残したジャンプゲート」というのは、 TV-Movie"Thirdspace"に出てくる。 "Thirdspace"の時代設定は第四シーズン後半だから、 Delennはそういったものが現実に存在する事を「知っていた」事になる。

LondoはどのようにしてDrakhの監視を掻い潜って Delenn助命の命令を艦隊に伝えたのだろうか。 それともここで彼女の命を助けたのは、 実はより大きな打撃を同盟に与えるためのDrakhの計画の一環なのだろうか。

SheridanはLondoの様子がおかしいのを見て、 嘗て見た未来の光景を 思い出さなかったのだろうか?

LondoがVirをBabylon5の大使に指名したのには、 彼をCentauri本星から遠ざけてDrakhの魔手から救うという目的もあったのだろう。 もしかすると、自分の死後にVirが皇帝になるという 予言を思い出していたのかもしれない。

Lytaは、自分たちがVorlon本星に立ち入れるのは100万年先だと話していたが、 これは100万年後のシーンでのNew Earthへの 移住と何か関連があるのだろうか。


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