Babylon5 #107

#107 Wheel of Fire

粗筋

Centauri本星から戻ってきたG'Karは、Lochleyがドッキングベイで待っていたのに感激する。 Narn人たちが数名、彼を出迎えに待っていると告げる彼女に、 数名なら良かった、留守にしている間にやっとこのカルト熱も冷めたかと彼は答えるが、 実際に彼が税関に来た時に待っていたのは、 プラカードと彼の像を持った大群衆だった。 彼らは一斉にG'Karの名を連呼し、困惑した彼が思わず両手をかざすと かしこまってその場にひざまずき、彼の言葉を待った。

Garibaldiが自室で酒を呷っていると、 Franklinからもう会議が始まるぞという連絡が入った。 慌てて会議室に駆けつけて遅れた言い訳をする彼に、 Sheridanは直ぐに状況の報告を求めるが、 何も準備していなかった彼はしどろもどろになる。 その様子を見たSheridanは彼が酔っている事を指摘し、会議を中止して皆を退出させた。 そして居たたまれない様子のGaribaldiを一人残して、 彼自身も廊下に出てDelennと何か話し合っていた。
やがて戻って来たSheridanは、Garibaldiに何時から飲み始めたのかと尋ねる。 数ヶ月前からと答えたGaribaldiは彼が怒るのは当然だと言うが、 SheridanはDelennに宥められて怒りは消え、 彼がそこまで追い詰められていた事にこれまで気がつかず、 助けを求めてくれるほど彼に信頼されなかった自分に失望したと答え、 以前Franklinが同様の問題を抱えていたときにやはり手遅れになるまで気がつかず、 あわや彼が命を落としかけた、 その二の舞になってしまったと言う。 そしてこの問題はGaribaldi本人しか解決できず、それには長い年月が掛かるだろうと言い、 それが出来るまで免職ではなく職務停止にすると告げた。

G'Karの部屋の前には、手に手に彼の像を持ったNarn人の群集が集まっていた。 Franklinが群集を掻き分けてドアに近づくと、そのうちの一人が彼にその像を渡す。 ベルを鳴らすと部屋の中のG'Karは、帰ってくれと怒鳴ったが、 Franklinだと判るとドアを開けた。 彼が中に入る時、群集はG'Karの姿を一目見ようとして室内を覗き込む。 G'Karは苛立った様子で、全く訳が解らないとFranklinにぼやく。 G'Karが通信に出ようとしないために、 Franklinは代わりにNarnのKha'ri議会からの帰国して欲しいというメッセージを預かっており、 議会の半分は彼を指導者に迎えたいと望み、 残りの半分は彼の祝福を受けて彼の名で民衆を統治したいと望んでいると話す。 G'Karは彼に、民衆は自分がCentauri本星に居たせいでNarn艦隊は反撃を受けずに 攻撃できたと考えており、さらにその攻撃から彼が生きて戻ったのを奇跡だと考えていると話す。 このまま彼が基地に留まれば、Narnの巡礼団によっていずれこの基地はパンクしてしまうし、 もしNarn本星に戻れば自分は偶像として扱われてしまうと、 彼は自分の陥ったジレンマをFranklinに話す。

Lochleyのオフィスで、彼女とZackは地球の保安本部からの連絡を受けていた。 地球では最近Psi Corps施設へのテロ攻撃が多発しており、 犯行現場には「Byronを忘れるな」というメッセージが書き残されていた。 地球本部によると犯行グループの資金の出所は、 Babylon5に居るLyta Alexanderだと言う。 彼らはLytaを尋問して逮捕し、地球に送還するように命じられた。

自室で落ち込んでいるGaribaldiをLochleyが訪ねて来た。 様子を見に来たという彼女に彼は露骨にいやな顔をし、 自分がこうなってさぞ満足だろうと皮肉をぶつける。 彼女がそれに構わずに同情を表し、立ち直れるかは彼次第だと言うと、 彼はたちまち切れかかって、あんたに何が解ると突っかかった。 それに対して彼女が、自分の父親も彼同様にアルコール依存症で 自分自身に対して怒りを爆発させていた、 それは彼が本当は絵描きになりたかったのに、 一族の伝統に従って職業軍人への道を進み、 仕事のプレッシャーに耐えられなかったからだと話し始めると、 Garibaldiはさらに腹を立てて彼女を部屋から追い出そうとした。 彼女がそれを拒否したので代わりに彼は部屋を飛び出したが、 彼女は尚も彼を追って移動チューブに乗り、尚も話し続けた。 彼女もまた父と同様の薬物依存症の過去があり、 すさんだ暮らしを続けてきたが、 友人の死をきっかけに薬物を断ったという話を聞いて Garibaldiは彼女への態度を和らげる。

LochleyとZackはSheridanを待ちながら、 Zocaloで武器商人と商談をしているLytaの様子を伺っていた。 彼女はあたりを全く気にしていない様子で、 こちらを舐め切っているのだろうとLechleyは言う。 Sheridanを待てなくなった二人が警備班を引き連れて彼女の席に近づくと、 彼女は悠然と武器商人を下がらせて、二人に何の用かを尋ねた。 事情聴取のために同行を求め、必要なら逮捕も辞さないと言うLochleyに、 もう他人のために働くのは止めた、 これまで基地につくしてきたのだからむしろ感謝されてしかるべきで、 逮捕なんてとんでもないとLytaは言い返し、テーブルを指で叩き始める。 すると周囲のテーブルの人々が、彼女のリズムに合わせて一斉にテーブルを叩き始めた。 それに構わずLochleyはZackに彼女の逮捕を命じるが、 Zackも彼の部下も空ろな表情で凍りついていた。 LytaはLochleyに、Vorlonの影響を受けた者は誰にも止められないと言い放つ。 そのとき彼女の頭にPPGが突きつけられた。 それはSheridanで、 自分もまたVorlonの影響を受けていると彼は言い、 直ぐに全てを元に戻さなければ頭を撃つと彼女を脅した。 「大統領がこんな所をうろついていては駄目」と皮肉を言って彼女はZackらを元に戻し、 警備班が手錠を掛けた。 Lochleyは「彼女の言う通りです」とSheridanに言いながらLytaを殴り倒し、 直ぐに監禁するように命じる。 そしてSheridanに、PPGの引き金を引くべきだった、 もう二度とチャンスは無いでしょうと諫言した。

税関の近くでLochleyに追いついたGaribaldiは先ほどの振舞いを詫び、 Lytaの逮捕の件について尋ねた。 LochleyがLytaのパワーも振舞いも日に日に破壊的になっていくと言うと、 怒りが彼女の力を増幅しているのか、 あるいは我慢の限界に達してぶちきれたのかもと彼は推測する。 そのときLiseが税関を通って現われ、Garibaldiに駆け寄って二人は抱きあった。 実はLochleyがGaribaldiの名前で彼女をここに呼び寄せたのだった。

Sheridanがオフィスで、 Lytaの様子を監視カメラで見ている所にFranklinが入ってきた。 他人を操って脱出するのを防ぐため、 彼女は他と離れ、システムが自動制御の拘束室に監禁されていた。 彼女は一体どうなっているのだと言うSheridanに、 彼女はVorlonに改造されて捨てられ、 恋人も失ってその意思を継いで活動してきた、 それを考えれば彼女が怒るのも当然ではとFranklinは答える。 Londo, Garibaldiに続いてLytaもおかしくなって来た、 これ以上誰かがおかしな振る舞いをする自殺したいくらいだとぼやいていると、 激怒して「ろくでなし!!」と叫びながらDelennが飛び込んで来た。 自分たちがG'KarをBabylon5に引き止めていると邪推したNarn政府が、 G'Karを帰すまで同盟船をボイコットすると宣言したと彼女は言い、 再びNarn政府を罵り何とか手を打たなくてはと続けている途中で、 彼女は突然倒れる。 二人は慌てて救護班を呼んだ。

Garibaldiは自分の部屋で、停職になった顛末をLiseに話していた。 彼女はいずれにせよ年末には辞めるはずだったのだから構わない、 一緒に火星に戻って正式に結婚しようというが、 自分自身にけりをつけるまではそういう訳にいかないと彼は答える。 そのやり取りの中で彼女が言い出したEdgars Industryの共同経営権の話を 聞いているうちに、 彼は突然あることを思いつき、 「テレパスを二人片付けて来る」と言って部屋を出た。

Franklinは医療室でSheridanに、 地球人とMinbari人のハイブリッドのため、 彼女は新たな負担に耐えられなかったのだろうと、 Delennの容態を説明していた。 さっぱり話の筋が見えないSheridanが一体どうなっているんだと言うと、 彼女は妊娠しているとFranklinは答えた。 君は彼女の妊娠はありえないと言っていたと言うSheridanに、 可能性が低いがありえないとは言っていない、 これからは未知の領域で無事に生まれる可能性は1/100だと彼は説明する。 どちらか一方を選べといえば彼女の無事を選ぶが、 出来れば両方とも欲しいと言うSheridanに、 Franklinは全力をつくすと答える。 そのときラボのDelennが意識を取り戻し、夫を見て微笑んだ。

拘束室のLytaを訪ねたGaribaldiは、 自分はアクセスコードも知らないし武器も持っていないからここから脱出する助けには ならないと前置きしてから、彼女に本題を切り出した。 自分たち二人はPsi Corpsに対して敵意を持っている点で共通していて、 お互いが助け合える、 もし望むなら監視カメラの無い部屋で話し合おうと彼が言うと、 それまで目をつぶって黙っていた彼女はテレキネンスでカメラを壊し、 「カメラって?」と初めて口を開く。 彼の申し出は、彼女がBesterによる彼の神経ブロックを解除する見返りに、 Edgars Industryを通じて地球政府に圧力を掛け、 彼女への起訴を取り下げさせるというものだった。 それを聞いた彼女は、 それだけでは不十分だと答え、逆に提案をした。

Lytaとの会談を終えたGaribaldiは、 今度はLochleyのオフィスを訪ねて取引の内容を説明していた。 元々Lytaの資金の出所は、彼女がテレパスの遺伝子と引き換えにNarnから得た金で、 彼女の隠し口座で管理されている。 そのため、しかるべき人物に口座を管理させて金の出入りを公開するという 条件で彼女を釈放して欲しいと彼は言う。 自分にはそんな権限はないと答えるLochleyに、 Edgars Industryの息の掛かった議員が動いているから、 今日中に地球からその権限が与えられる彼は説明した。 それでも釈放した彼女を危険すぎて基地に置けないと彼女が渋っている所に、 先ほどから外で聞き耳を立てていたG'Karが入ってきて、 Lytaと自分との問題を同時に解決する方法があると言った。
彼はLochleyにNarnの信徒が持っている自分の像を示し、 自分が悟った「姿は違っていても我々は皆一つだ」というメッセージが勝手に捻じ曲げられ、 自分は偶像に祭り上げられてしまった、 もはや自分はNarnにも戻れないしここに留まっても基地が混乱し続けるだけだ、 自分もLytaも祖国に戻れずここに留まれない共通の境遇だと彼女に話す。 そして自分はここを離れて未知の世界を探求しに行くつもりで、 Lytaを旅の道連れにしたい、 自分なら彼女の怒りを癒す術を知っていると提案する。

部屋に戻ったGaribaldiは、 取引が上手くいったとLiseに話していた。 そして、自分だけでなく多くの仲間がもう直ぐこの基地を去り、 もはや昔の基地とは違ってしまうと感慨に耽る。 Liseは彼に、良い取引が出来て良かったと言うが、 彼はそれを聞きながら、Lytaとの話し合いの続きを思い出していた。

Lytaは自分のミスは資金の動きを隠しとおせなかった点だが、 Garibaldiならそれが出来ると言い、 公表用の口座とは別に隠し口座を開設して、 Psi Corpsを攻撃するための真の資金はそこで管理する事を彼に求めた。 そして彼がPsi Corpsに対抗する組織を作って訓練し、 二年後に自分が戻ってきた時にそれが完成していれば 彼の神経ブロックを解除する、 そうすれば彼はBesterと、自分はPsi Corpsと方をつけられると言う。 取引のパートナーとなるならお互いを良く知ることが必要だ、 君はもはやP5どころかP12でもない最強のテレパスだ、 一体君は何者なのだと訪ねる彼に、 彼女は最近になってやっと自分でも解った、 自分はVorlon人が対Shadowのために用意した最終兵器だと答える。 そして彼の方を見つめるその目が輝いていた。

寝室のベッドに横になっているDelennをJohnはしげしげと見つめていた。 半分地球人で半分Minbari人の妊婦を見るのは初めてなのかと彼女は 彼をからかう。 そして何を考えているのという問に、 Centauri本星から帰ってからLondoからの連絡が無いのが気がかりだ、 彼が心配だと答えた。 皇帝に即位して毎日ドンチャン騒ぎをしているのではとJohnは気軽に言うと、 それならいいのだけれどと彼女は尚も不安そうだった。
そのLondoは、王宮の玉座に黙って孤独に座っていた。


印象に残ったシーン、台詞


Memo

Lochleyの話の中に出てきた死んだ友人とはZoeの事である。

Lytaのテレパシー能力は、もはやVorlon人をも超えているようだ。 Sheridanが新Koshを基地から排除したときも、 彼はここまでの能力を見せなかった。 また、Sheridanらは彼女の能力はテレパシーだけだと勘違いしているようだが、 実際には少なくともテレキネシス能力もあり、 拘束室からも逃げ出そうと思えば出来た可能性が高い。
彼女の力は、ずっと以前にBabylon5に現われ、 精神生命体に進化したIronheartと 互角ではないだろうか。

SheridanはLytaの能力をブロックできるようだが、 一般にテレパススキャンをブロックできるのだろうか? もしそうなら、彼が地球で Clark政権側に囚われたときに、 Psi Corpsが彼の洗脳を試みなかった理由の説明になっている。

JohnはDelennの妊娠に驚いていたが、 彼はBabylon4で見た未来で、 二人の間に息子(David)が居た事を憶えていなかったのだろうか?
ところで彼がFranklinが言うまでDelennの妊娠を知らなかったという事は、 彼の彼女へのプレゼントの内容は、 彼女の妊娠関係の品(例えばマタニティードレス等)ではなかった事になる。

LytaはGaribaldiに、二年後に戻ってきて Psi Corpsと戦う準備が出来ている事を確認すると言っているが、 これはDelennが言及していたテレパス戦争 の始まりを意味するのだろうか?


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