Babylon5 #108

#108 Objects in Motion

粗筋

入港ゲートでの審査で止められた女が、やって来たZackに、 このパスポートは火星暫定政府が発行したもので有効だと食って掛かっている。 様子を見ていたFranklinがZackに声をかけ、 彼女の身元を保証したため、彼女は無事にBabylon5に入る事ができた。 彼女は元火星レジスタンスのリーダーだったNumberOneで、 本名はTessa Holloranだった。 Franklinに礼を言った彼女は、 Garibaldiが未だここに居るかを尋ねた。

Garibaldiは自室でアルコールの禁断症状に悩まされていた。 Liseは彼を励ますが、我慢できなくなった彼がバスルームで吐いている時に、 ドアベルが鳴り、FranklinがTessaを連れて現われた。 Tessaを見たGaribaldiはやや警戒した様子だったが、 彼女は彼とLiseに、二人とも命を狙われていると警告する。
彼女の説明によると、 火星では独立直後に、それまで地球当局の手先となって市民を搾取してきた 大企業が地下に潜ったため、経済混乱が起こった。 そのため暫定政府に協力すれば免責する約束をして、 Edgras Industryを含む多くの大企業内部に協力者を得た。 現在LiseがオーナーとなっているEdgarsの研究所では、 対テレパスウイルス以外にも地球政府に協力して極秘プロジェクトが行われており、 その追求をさせないためにLiseとGaribaldiの暗殺が企てられている。 暗殺計画の詳細は一切不明だが、彼ら二人が火星に発つ前に 実行されるだろうとTessaは言った。 Garibaldiが基地を去る事をこれまで聞いていなかったFranklinは意外そうな表情を浮かべ、 Garibaldiは罰の悪い顔をする。

警備班に先導されたG'Karが通りかかると、 Narn人の群集は一斉に彼の名を叫び、 プラカードと彼の像をかざしたが、彼は一顧だにしなかった。 G'KarはLytaの独房に入り、自分の提案について考えたかを尋ねる。 彼女は彼と一緒にここを去るという提案に同意するが、 彼と自分の旅立つ理由が対照的で皮肉だと言う彼女に、 実際には同じようなものだと彼は答える。 目的地を尋ねる彼女に、未だ決まっていない、 だからわくわくするのだと彼は答え、 彼が彼女を連れて行くのはテレパスの遺伝子を得るという目的のためでもあるという 彼女の指摘に、彼女への個人的な興味が理由だと思うのかと彼は問い返してから、 それなら自分の決断は思っていた以上に正しかったのだと言った。

FranklinとZackからの報告を聴いていたSheridanは、 二人が部屋を出て行くとGaribaldiに向き直り、 彼とLiseを暗殺から守るために秘密の部屋に入るように求めた。 そしてG'Karと二人の送別会を盛大に行い、 そこに暗殺者をおびき寄せるというZackの計画を説明する。 彼はZackが自分が同じような計画を立案した事に驚くが、 Zackは君の弟子だろうとSheridanは答えた。 その後Sheridanは彼が基地を去る件を持ち出した。 彼はLiseと結婚する決意を話し、あんな事があった以上 同盟調査部門の責任者への復職は出来ないと言う。 Sheridanは残念がりながらも、彼の結婚を祝福した。

警備部員が一人だけ乗っている移動チューブに駆け込んできた男は、 部員に暫く話し掛けた後、隙を見ていきなり刃物で彼を刺し殺し、 手の甲についているコムリンクを奪った。 そして替わりのリンクを死体の手に貼り付ける。
やがて警備部員の遺体が発見されるがコムリンクのすり替えは発覚せず、 Zackには彼が殺された理由がつかめなかった。
殺人者は部屋で奪ったコムリンクを分解して内部をいじり、 セキュリティーチャネルにアクセスを試みていた。 始めのうちは何度も失敗したが、 ついにアクセスに成功する。

SheridanはTessaから火星の状況を聞いていた。 独立後も地球側のさまざまな嫌がらせにより社会の不安が増大しており、 このままでは騒乱が起こりかねない、 地球はそのときに秩序を回復する目的で再び戻ってくる事を狙っているという彼女に、 Sheridanは同盟の支援を約束し、 地球の影響の及ばないMinbari本星にオフィスを作って口座を開く事を提案する。 その提案に感謝する彼女に、彼は見返りとしてしばらく基地に留まるように求め、 別の提案がある事を示唆した。

Zocaloでの送迎会の飾り付けの様子を通路から眺めていたG'Karに声をかけたNarn人の男は、 彼にBabylon5を去らずに自分たちを導く事を求めた。 ここを去る事は、彼を崇拝するために財産をなげうってこの基地にやって来た自分への 裏切りだ、それに自分たちが崇拝しなければ彼はただの凡人だと主張する男に、 お前の個人的な事情に責任はない、凡人で構わないtpG'Karは答える。 すると男は手にもったG'Karの像を示して、 これを作ったのは自分で、彼への崇拝の証だと言い出した。 それを聞いたG'Karはその像を手に取って二つにへし折り、 「帰れ」と言って彼に背を向ける。 残された男は、彼の後姿に向かって「私にそんな事を言うな、私に背を向けるな!」 と叫ぶ。

ZackはFranklinから医療室で殺された部員の遺品を受け取ったが、 コムリンクが箱の底に張り付いているのに首をひねる。 コムリンクは持ち主のDNAパターンを記憶していて、 その個人の皮膚にのみ分子結合するように出来ているはずだった。 彼はこのコムリンクが接着剤を使った偽物で、 犯人がセキュリティーコードに侵入するために コムリンクをすりかえた事に気がついた。

G'KarとGaribaldi, Liseが送迎会の会場に迎えられたとき、 大勢のNarn人やその他の群集に混じった暗殺者は様子を伺っていた。 SheridanがG'KarとGaribaldiを紹介し、 G'Karがスピーチを始めようとしたときに、 Zackは部下に命じて盗まれたコムリンクのイヤホンに耳を劈くような音を送り、 暗殺者は思わず耳を押さえた。 そこに警備班が殺到して混乱が起こり、うろたえたG'Karが壇上で立ち尽くしているときに、 やはり会場に来ていたG'Karに像を壊されたNarn人の男が、 「お前は我々にふさわしくない!」と叫んでG'Kar目掛けてPPGを撃とうとする。 しかし混乱の中で狙いが反れてLiseに命中し、彼女はその場に崩れ落ちた。

Garibaldiは医療ラボの窓越しに治療中のLiseの容態を見守っていた。 やって来たG'Karは、彼女を狙撃したNarn人を極刑にする事を約束するが、 それで彼女が良くなるわけではないとGaribaldiは答える。 やがて出てきたFranklinはGaribardiに、後は患者次第だと答える。 医療室を飛び出したGaribaldiはZackに、 自分たちを狙っていた拘束中の暗殺者に5分だけでも会わせるように迫った。 Zackが難色を示すとGaribaldiは自分のPPGを彼に渡し、 いっそ自分をこれで撃ってくれとまで言い出す。 結局Zackの了解を取りつけたGaribaldiは、暗殺者を引きずってLytaの拘束室に入り、 誰が暗殺の黒幕なのかをスキャンするように彼女に求めた。 彼女は証拠としては役に立たないと言って始めは断わるが、 彼がそれなら彼女との約束を白紙に戻すと言い出したので、 頭の中で歌を歌ったり計算したりして抵抗する暗殺者の脳をスキャンし、 Edgars Industryの取締役会全員が依頼主だとGaribaldiに告げた。 そして彼に、対Psi Corpsの軍隊を組織する約束を念押しし、 二年後に自分がここに戻ってきたらそれが開始の合図だと思うように言った。

Narn人の群集を掻き分けて出発のために荷物をまとめている G'Karの部屋に入ってきたSheridanは、 これまで彼とは意見が対立する事もあったが一緒に仕事が出来てよかったと もう一度感謝の言葉を告げる。 Minbari本星に同盟本部の完成状況を確認に行っているDelennが戻ってくるまで 出発しないと思っていたというSheridanに、 彼女にもう一度会いたいのは同じだがここに留まればまた事件が起こる、 自分がここを去っても自分の言葉はここに留まるとG'Karは答え、 「さようなら、John」と別れの言葉を言った。 Johnと呼んだのは初めてかでしばらくやりあった二人は笑い合い、 Sheridanが部屋を出て行った後で、 G'Karは誰かに宛てて時差メッセージを記録する。

病室のLiseが意識を取り戻したとき、Garibaldiはベッドの横で 彼女の手を取りながらうとうとしていた。 彼は彼女が大丈夫と思うなら起きても構わないというFranklinの意見を告げた後で、 また何かが起こる前に結婚しようと彼女に言った。 彼は既に牧師に連絡しており、、 彼女が同意すると直ぐに牧師を呼びに行い、 ちょうど入ってきた医師に「結婚するんだ」と嬉しそうに叫んだ。

出発の準備が出来た長距離探査船を前に立つG'Karの所に、 手錠をかけられたLytaが二人の警備班に護送されてきた。 彼が彼女の手錠を外すように求めると、 彼女はあっさりと自分で外してしまう。 二人きりになったG'Karが彼女に、いつでも外せたのに何故と尋ねると、 手錠をしていれば皆が安心するし、実は自分でも気に入っていたと彼女は答えた。 船に向かう二人の後姿を、影から現われたZackが黙って見送っていた。

火星のEdgars Industryの取締役会にGaribaldiから通信が入った。 代表格のParettiは彼に、 二人の暗殺計画は警備部門が勝手にやったもので、 首謀者は自殺したので何の証拠もないと告げるが、 Garibaldiは取締役たちのプライバシーを次々と暴き始める。 そして彼に替わってスクリーンに現われたTessaが、 自分が新たに同盟調査部門の責任者になった事を告げ、 もし取締役達が火星独立戦争の際に地球側で果たしていた役割がばれたら、 彼らは生きていられないだろうと脅しをかける。 最後にGaribaldiは、 自分たちになにかあれば彼らは全員殺し屋に狙われる事を告げ、 自分が火星に戻る前に彼ら全員が辞表を出すように求めた。

FranklinとTessaはレストランでディナーをしていた。 自分がここを去るときになって彼女がやってくるなんて皮肉だというFranklinに Tessaは同意するが、それでよかったのかも、 火星で二人が共に過ごした思い出は大切だが、 二人ともこれから仕事が山ほどあると答える。 しかしFranklinが次のシフトまで未だ一時間あり、 その間二人で過ごせると言うと、 彼女は彼に先に部屋に行くように言って、自分はディナーの勘定を求めた。

MinbariのFlyerが入港し、Johnが待つゲートにDelennが現われた。 二人は抱き合った後、彼女は同盟本部の建設は順調であと一週間もすれば 完成すると報告する。 そして彼女がGaribaldiの事を尋ねたその時に、 彼とLiseが出発するためにやって来た。 Liseが先に行って残ったGaribaldiは二人に不器用な別れの言葉を告げる。
彼が船に向かった後で、次は自分たちの番だとDelennは言い、 これまで基地を端から端まで歩いた事があるかとJohnに尋ねた。 8kmもあるんだよと呆れ顔の彼に、 今しか出来ないわと彼女は答え、二人は歩き出す。


印象に残ったシーン、台詞

Lytaの後姿を見送っていたZackが印象的だ。 彼は未だ、彼女の事を思いつづけていたのだろうか。

FranklinとTessaは今回はすれ違いになったが、 いずれ二人は再会するのだろうか。


Memo

コムチャネルは、持ち主のDNAを照合して適合する相手にだけ接着する仕組みになっている。
ところで今回の偽物のコムチャネルは、すりかえられた本物と 音声用の穴の配置が異なっていて、簡単に偽物とばれそうな気がする。 それとも本物にも、幾つかの穴のパターンがあるのだろうか?

やはりLytaが二年後(2264年)に戻ってきた時が、 テレパス戦争の幕開けになるようだ。 どうやらテレパス戦争の経緯は、始めに予想していた普通人とPsi Corpsの戦いではなく、 テレパス同士の内戦に同盟が介入する形らしい。 なお、The Legend of the Rangersのパイロットである "To Live and Die in Starlight"は2265年に設定されており、 それまでには戦争は終結している可能性が高い。

G'Karが残した時差メッセージは、誰に宛てたものだろうか? 可能性としては、Delenn, Londo, Garibaldiあたりが考えられる。


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