Babylon5 #92

#92 A View from the Gallery

粗筋

亜空間の探査機が謎の艦隊と遭遇し、攻撃を受けて破壊された。 寝室で眠っていたLochleyはCorwinからその知らせを受け、直ぐに司令室に向かう。 謎の艦隊がこの付近で攻撃目標を探しているという情報をGaimから受けていた彼女は、 敵の偵察部隊が現われたら一機残らず破壊するように命じ、Red警報を発令した。 Sheridan大統領夫妻に会ってライフポッドへの避難を求めるという彼女に、 二人は聞き入れないでしょうとCorwinは答える。 コブラベイからStarfury部隊が次々と発進し、 基地の中をあわただしく警備班は走り回る中、 仕事中の保守班の凸凹コンビのBoとMackは「今週三度目のRed警報だ」と平然としており、 この騒ぎに片がつけば後始末するのは自分たちだとぼやきながら次の修理個所に向かった。

Mackが壁のコンソールを修理し、Boが通路の床に掃除機のような機械を当てている横を、 LochleyとSheridanが議論しながら歩いて行った。 避難要請を却下するSheridanに、 この非常時に基地と大統領の両方の面倒は見切れないとLochleyは反論し、 立場が逆ならあなたも同じ事を求めるのではと尋ねた。 二人が尚も言い争いながら移動チューブに乗るのを見送ったMackは、 普通のお偉いさんと違ってSheridanはみなと一緒に戦いたがっているようだとBoに話す。 BoはDelennを刺した犯人をSheridanが自分で追いかけて 殺しかけた時の話をして、 大統領はいい人物だという点で二人は意見が一致した。

二人は座り込んで持参の昼飯を食べ始めた。 Boがサラミのサンドイッチを食べているのを見て、 どうやって入手したのかとMackは興味を示す。 一方Mackの方はCentauriの好物のSpooだが、 交換して一口食べてみたBoは顔をしかめる。 そのとき敵の偵察部隊がジャンプゲートに接近中という緊急連絡が入り、 二人は別々に呼ばれた故障個所に向かう。

医療室ではFranklinが部下の医師たちに、 負傷者の大量搬送への対応と輸血用の血液の確保を命じていた。 ラボへの大気供給装置の修理を頼まれたBoは、 敵の種族の大気にも対応できる事を願うとつぶやくFranklinに、 なぜ敵の兵士までを救おうとするのかと尋ねた。 それに対し、Franklinは彼が医師になる決心をしたきっかけを話す。

Dilgar戦争の少し前、Midrangeのコロニー同士の内戦に巻き込まれた 地球同盟の戦艦Aresは撃沈され、生存者の存在は絶望視されていた。 しかし数ヵ月後、奪還された敵の基地から捕虜となっていたAresの生存者三名が救出され、 その一人がAresの副長だったFranklinの父親だった。 彼らは基地司令官の反対を押し切った医師によって生かされていたのだった。
修理が終わり、立ち去り際にその医師がその後どうなったのか尋ねるBoに、 彼は味方に裏切り者として殺されたとFranklinは答えた。

Mackの方は緊迫した様子の司令室で、 第二ターゲットシステムが急に動かなくなったとCorwinに告げられていた。 そのときゲートから敵の偵察部隊が出現し、基地への攻撃が始まった。 飛行中隊と基地の防御砲によって二機は破壊したが、 残る一機が基地の防御システムにアクセスしてきたので、 LochleyはCorwinにアクセスコードの変更を命じる。 最後の偵察機が攻撃をかわして逃げのびかけたとき、 Mackの修理で第二ターゲットシステムが復旧し、 機能を回復した防御砲によって偵察機は破壊された。 MackはCorwinに、基板に入り込んだ虫を示す。

Boが通路の床下をいじっている所にMackが戻ってきた。 彼はBoの質問に対し、新司令官のLochleyは頼もしい人物に見えると言うが、 Boは彼女が内戦ではClark側に付いていたらしいという噂を話した。 噂が信頼できるかという議論の中で、 Ivanovaの離任の原因がMarcusへの失恋なのか、 基地での給料に不満があったからかという噂についても言及される。 彼らは移動チューブに乗りBrown区に向かうが、 途中でLochleyとGaribaldiが乗ってくる。 LochleyはGaribaldiに、敵がシステムにアクセスできるという報告がなかった事をなじり、 彼が役に立たないならもっと有能な人物を雇うよう大統領に求めると言い捨てて、 Gaimの大使からもう一度情報を得るように命じた。 彼らが出て行ったあと、BoとMackは顔を見合わせる。

二人はBrown区のスラムで水漏れを修理した。 Boが直したモニター画面に、 敵の攻撃部隊が飛来したので住民は自室から出ないように求めるLochleyの放送が流れた。 そんな中、二人は今度は展望室での宗教儀式の準備に向かう。

展望室での仕事が終わった二人は、基地の周囲で行われている戦闘を眺めながら休憩していた。 こうして眺めていると光しか見えず綺麗だというMackに、 赤い光は空気が燃える色で味方の機の炎、緑は敵の機の炎だと、 Boはパイロットから聞いた説明を話し、 丁度現われた赤い光に向かって十字を切った。 そのときジャンプゲートからWhiteStarが一機現われ、敵艦への攻撃に加わる。 Mackは歓声を上げながらも、美しい船だというBoに 「羽をむしった鶏みたいだ」とWhiteStarを評した。 防御を掻い潜って敵の突撃艇が外壁に接近してくるのが見え、 間もなく敵が外壁を破って侵入したのでシェルターに避難するようにという放送が流れた。 二人は直ぐに展望室を後にする。

二人が乗った移動チューブは途中で緊急停止し、Boがドアをこじ開けると そこでは侵略者とZackが率いる保安部隊との銃撃戦の最中だった。 始め箱の陰に隠れていた二人だが、 白兵戦になって向かってきた侵略者の一人をBoが殴り倒し、 Mackも落ちていた銃を拾って応戦する。 二人に気づいたZackが早く退避するように怒鳴りつけ、 保安部隊が援護する間に二人は匍匐してその場を離れた。
二人が逃げ込んだのはByronたちが住む区画だった。 Byronは彼らにここは安全だから攻撃が終わるまで留まるように勧め、、 侵略者のヘルメットを手に抱えて 「人が死ぬときその意識が爆発しあたりの物に染み込む」と話す。 そのとき侵略者の一人が武器を構えて通路に踏み込んできたが、 Byronがじっと見つめると武器を下ろし、そのまま立ち去った。 立ち去り際に、自分も戦闘機に乗って敵と戦いたいと言ったBoに、 「その願いは君にとって重要化か?」とByronは尋ねる。 Boが頷くとByronはじっと彼を見つめ、 突然Boの意識は外で戦闘中のStarFuryのパイロットに転送される。 数秒の後彼の意識は元に戻り、 BoはByronに別れを告げてMackとその場を離れた。

シェルターのなかでこんな時にWhiteStar艦隊を他所に派遣したのは誰だと愚痴るLondoに、 Enphili防衛に艦隊を派遣したのだとG'Karは指摘した。 そして自分は何も悪い事をしていないのに 宇宙は自分を酷い目にばかり遭わすとぼやくLondoを皮肉そうに眺める。 G'Karは子供の頃Centauriによる都市爆撃を逃れてシェルター暮らしをしていたときの事を 思い出すと言い、 Londoに彼の子供時代の思い出を尋ねた。 自分には子供時代などなかった、儀礼と規則に縛られ通しだったと答えるLondoに、 それで理解できた、お前は子供時代から重荷を背負い続けて 大人になったのではなく単に年を取ったのだとG'Karは言い、 外の様子を見に行こうとするLondoについて出て行った。 その様子を面白そうにBoとMackは眺めていた。

攻撃艦隊の一隻が基地の外壁に衝突し、Red1区の外壁が炎上した。 保守班全員が呼び出されMackとBoもRed1区に向かうが、 途中でJohn Sheridan大統領が、 このままでは基地は持ちこたえれれないと言って避難ポッドに入るように Delennを説得している現場に遭遇した。 「もしWhiteStar艦隊の救援が間に合わず基地が破壊されたらあなたはどうなるの」と言う Delennに、「そのときはいつか君が言ったように『影の降りない場所』で会おう」と Johnは答えた。 大統領は二人を呼び止め、Delennを避難ポッドに案内するように命じる。 長いキスを交してJohnと別れたDelennはポッドに向かう途中で二人に名前を尋ね、 戸惑う二人にさらにもし脱出直後に基地が破壊されたらポッドはどうなるのかと尋ねた。 恐らく破壊されると答える二人に彼女は、 「自分は預言者ではないけれど、もし自分の愛する人たちが死んで行くのを 見ていなければならないとしたら、脱出ポッドはそのような悲惨な事故に遭うだろう、 だからポッドには乗らないと告げた。 あなた方二人は本当に愛し合っているんですねと言うBoに、 彼女はにっこりと笑って立ち去った。
残されたMackが彼女の笑顔は雲間から覗く太陽のようだと言うと、 大統領が理解できた気がする、 あの笑顔をもう一度見るためなら自分も地獄からでも生還しようとするだろうとBoは答えた。 そのとき基地は揺れ、Mackが小窓から外を覗くと WhiteStar艦隊が次々とジャンプポイントから出現する光景が見えた。 WhiateStar艦隊の援軍によって侵略艦隊は一掃され、戦闘は終結した。

MackとBoは仕事に戻り、破壊された区画を片付けていた。 勝利の栄光の後片付けをするのは自分たちだとMackがぼやきながら通りかかった一角で、 沢山の戦死者の遺体が床に並べられFranklinが検死して遺体の瞼を閉じて顔に毛布を かけている光景が目に入った。 二人は自分たち以外にも戦闘の後片付けをしている人間がいるのを知って、 その場をそっと立ち去る。

二人が後片付けに行った司令室では、 LochleyがCorwinから敵は一機たりともBabylon5の弱点についての情報を持ち帰れなかった と報告を受けていた。 敵はもう二度と襲って来ないだろうというLochleyに Mackは「あなたは我々から見てなかなか良い感じですよ」と声をかける。 彼女は笑顔で礼を言った。

通路を歩く二人は、Sheridan大統領夫妻とすれ違った。 Delennは彼らを見て名前で呼びかける。 すれ違った後、二人は彼女が自分たちを覚えていた事に感激していた。


印象に残ったシーン、台詞

Mackの言う通り、Delennはすばらしい女性だ。 彼らのような「下々」の人間にまで気をかけているというのは、 貴人が尊敬だけではなく愛されるための条件だろう。 彼女の笑顔は「雲間から顔を出した太陽のようだ」という彼の評は、率直だが的を得ている。

G'KarからLondo, DelennからMackとBoに対しての質問の後に、 それぞれ同じ「難しい質問ではないはず」という言葉が付け加えられており、 効果的に使われている。

それでも危険なので基地を離れるように勧めたBoにDelennが言った、 「ここは私たちの家」という言葉は、 嘗て独立直後の戦いでBabylon5を救援に現われた彼女が迎えに出たSheridanに 言った「ここは私たちの家同然ですもの」 という言葉の再現である。


Memo

どうやらCorwin中尉がLochley司令官の副官役を務めているらしい。 Sheridan司令官時代はIvanova中佐が副官だったから、ずいぶん格落ちの気がするが・・・。

司令室のコンソールに入り込んでいた虫(B1-5)は、 恐らくLondoが難儀していたと同じ種類だろう。

今回も引き続きLochleyとGaribaldiとは 感情的に対立している。 この対立は指揮系統に深刻な問題を引き起こす可能性がある。

今回の攻撃者は何者だろうか? 宇宙船や姿からみるとDrakhではないが、仮にも惑星間連合の本拠地を 正面から襲撃するとは、単なる海賊レベルの勢力ではないようだ。 Drakhの差し金でこのあたりの宇宙域を荒らし回っている勢力だろうか?
Byronが手にしていたヘルメットは彼らのものだったが、 そうすると「冗談が好きな・・・」というのは侵略者の一人の事だろうか?

Byronに対するMackのぎこちない反応は、 一般人のテレパスに対する複雑な感情をよく示している。

ByronがBoに言った「その望みは君にとって重要か?」という問は、 Lytaにした問と同じである。

JohnがDelennに言った「いつか影の降りない場所で」という言葉は、 嘗て彼女がMarkab人の疫病隔離地区に入る前に 彼に言った言葉である。 またこれは、Johnの死を半ば受け入れた彼女が Franklinに言った言葉でもある。

Boの、「Delennの笑顔をもう一度見るためなら、喩え地獄からでも生還しようと決意する だろう」というSheridanへの評はかなり的を射ている。 実際にZ'ha'dumの淵の底でLorienから「生き続けたい理由はあるか?」 と尋ねられた彼の脳裏に最後に浮かんだのは、 彼女の笑顔だった。

各区の番号の付き方が今ひとつ解らない。 外壁からの火災がRed1区に及んだという事からすると、 Red1区は一番外壁側の最下層にあると思われる。 しかし"Grey17 Is Missing"では、Gery17区は16区の下に有るようで、 上から順番になっているように思われる。


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