Babylon5 #95

#95 Secrets of the Soul

粗筋

FranklinはDelennらに依頼されて、 同盟加入種族の全医療データの収集という大仕事を進めている。 その一環として彼は医療ラボでPak'ma'raを検査しており、 屍肉を食べる彼らはあらゆるバクテリアに晒されているのに ほとんど異種族感染症に罹らない秘密を探ろうとしていた。 検査のためにバリウム塩をPak'ma'raに飲ませたが、 その直後にPak'ma'raが吐き出した胃の中身が窓に飛び散り、 助手の医師はラボを逃げ出した。

新たに三人のテレパスが証明書や金を一切持たずにBabylon5に入港し、 Zackら警備班の検査を受けていた。 そのうちの一人PeterはByronのグループに加わるために来たと説明し、 Zackは顔をしかめる。 そこにByronがLytaと現われ、 テレパスの移住はSheridan大統領によって許可されたはずだと言ってPeterらを引き取った。 ZackはLytaに、話があると声をかける。
移動チューブの中で再会を喜ぶByronたちに、Peterはテレキネシスで 金属球を持ち上げて見せた。

ZackはバーにLytaを連れて行って何時からByronらと付き合っているのかを尋ね、 彼らはトラブルメーカーだと言って彼女に手を切るように求める。 彼女は逆に、Byronはより良い世界を作ろうとしているすばらしい人間であり、 Zackは彼に嫉妬しているのだと言い返した。 そしてさらに、自分はShadow戦争でSheridanらに命を賭けて協力したのに その結果収入が無いからと部屋を追われてPsi Corpsに戻るはめになったし、 その後懲りずに内戦でも協力したのに何の報酬も得られなかった、 自分に生きがいを与えてくれたのはByronで、 彼のためなら地獄にでも行くつもりだと続け、 Zackに何も言わせずに出て行った。

Byronが仲間を率いてDownbelowの通路を歩いていると、 ならず者の一団が彼らに絡んできた。 Byronはならず者のリーダーCarlに、自分の顔を殴るように求め、 無抵抗に三回殴られる。 そしてCarlに、「三回目は一回目と同じだったか、3と1の区別がつかないなら、 4や6から何を学べる」と尋ね、黙り込む相手に 「君の怒りは我々と無関係だ、他を当たった方がいい」と言い捨てて 仲間を率いて立ち去った。 暫く唖然としていたCarlは、彼らが立ち去った後で仲間に怒りを剥き出しにする。

FranklinはHyachの大使Talを訪ね、Hyachの全医療データへのアクセス許可を求めた。 長老の決定に従うが、医療データはこれまで外部に出した事はないと言うTalに、 自分は守秘義務を負っておりデータは決して他には漏れないとFranklinは答えるが、 遅れて入ってきたTal大使の副官Kirinは彼に、 秘密を守るために命を捨てる覚悟があるのか尋ねた。 その覚悟はあると答えたFranklinにTalは協力を約束するが、 彼が帰った後でKirinは「この決定は間違っている」とTalに抗議し、 彼女が長老の決定に口を挟む資格はないと嗜めると さらに「もし彼が感づいたら」と懸念を示す。 そして「もし彼が裏切ったら死んでもらう」と呟いた。

Byronの部屋を訪ねたLytaは、彼が顔を腫らせて椅子に座り込んでいるのを見て息を呑む。 彼の傷を治療しながらなぜ戦わなかったのか尋ねる彼女に、 暴力は好まない、Psi Corpsも自分たちの力の恐ろしさを解っているのに 結局暴力に頼ってしまったとByronは答え、 話題を変えて、煌きながら素早く動く彗星のようだと彼女の美しさを褒め称える。 彼女は彼に笑うのを止めるように言うが、 彼女が傍に居る限りそれは無理だと彼は答え、 二人はキスを交した。 やがて帰ろうとするLytaにByronは泊まっていくように勧めたが、 彼女はまだ完全には彼らの仲間ではないように感じていると言って断わった。 するとByronは仲間を集め、皆が既にLytaを仲間として受け入れている事を示した。 彼らは微笑んで彼女を抱きしめた。

Hyachの医療記録を読んでいたFranklinは、 本来7000年もの歴史がある種族なのに記録がせいぜい800年前からしかない事に不審を抱く。 しかしKirinはその説明を拒んだため、 彼はHyachの全歴史記録を調べるが、それも800年前より古い記録が残っていない事が判った。

新入りテレパスのPeterは仲間と別れて一人でDownbelowを歩いている所を Carlとその手下に囲まれた。 Carlに突き飛ばされて荷物を奪われたPeterはテレキネシスで反撃するが、 激高したCarlに何度も殴られる。
重態となったPeterが医療ラボに運ばれ手当てを受けている所に、 ByronとLytaが駆けつけた。 半覚醒状態のPeterがテレキネシスでラボの器具を壁に投げつけ騒ぎとなる中、 Byronは仲間のテレパスたちが復讐するつもりな事に気がついて直ぐにそちらに向かった。 テレパスたちに囲まれたCarlの手下の男は、 身体が炎に包まれている幻想を見て悲鳴を上げていた。 そこに現われたByronがテレパスたちを宥め、 男の上にかがみこんだとき、騒ぎを聞きつけたZackが警備班を率いてやってきて、 ByronにPPGを突きつける。 LytaはZackに抗議するが、Byronは大人しく警備に連行された。

Franklinは医療室でPeterを見守りながら、 Hyachに関する情報を他の種族のデータベースから検索していた。 やがて見つかったのはDraziの艦長の報告書で、 その中で艦長は居住地で"Hyach-doh"に船に乗せてくれるように頼まれたが、 契約に従って当局に引き渡したと述べていた。 しかしHyach-dohに関する情報はHyachのデータベースには存在しなかったため、 Franklinは改めて他の種族のデータベースを検索した。

拘束室のByronは仲間と話をさせるように看守に頼んでいた。 そうしないと恐ろしい事が起ると彼は警告するが、看守は朝まで待てと言って無視する。 その頃Downbelowでは、Carlが何者かに襲われ、何度も殴られてその場に崩れ落ちていた。 Byronはそれがテレパスたちの仕業である事を感じ、頭を抱えていた。

真相に気がついたFranklinはHyach-dohに関するファイルを持って医療室をでた。 その後をKirinが付けていて、移動チューブのドアの前で彼の後頭部に銃を突きつけ、 貨物室の一角に連れてゆく。 ファイルを渡すように求めるKirinに、Franklinは既に知っていると告げ、 隠されていたHyackの過去の歴史を暴く。 Kirinもそれを認め、彼女の口からもその秘密が明かされた。

数百万年前にHyachとHyach-dohとの二種族が進化の過程で分れたが、 数千年前までは二つの種族は共存し、種族の壁を超えて婚姻もしていた。 しかしある時点で異種族間の婚姻は不道徳だとして禁じられ、 やがてHyach-dohは移動を禁じられて居留地に閉じ込められ、 逃れようとする者は捕えられた。 そして遂に種族ごと全滅が図られ、 数千万人が殺されて彼らは姿を消した。
そこで現われたTal大使は、大昔の事で自分たちには罪は無いと主張するKirinを制し、 自分たちもまたHyach-douを全滅させた報いを受けているのだと話し出す。 過去何百年にも渡りHyachの出生率は低下し、人口減少が続いていた。 おそらく遺伝子に何らかの欠陥があり、Hyach-douの遺伝子がそれを補ってきたのだが、 それが失われたためにHyachもまた滅亡への道を辿っているのだった。
Tal大使はFranklinに対策の研究協力を求めるが、 彼らが歴史を改竄して過去の罪を隠し続けるなら共犯者と同じだと言って、 彼は協力を拒む。 反発するKarinを諭したTalは、 長老の決断によって秘密の歴史は公開される事に決まったと答え、 Franklinに何時か自分たちを許してくれるかと尋ねた。 彼は、それは出来ない、それが出来るのはHyach-douだけだ、と答える。

Zackはオフィスに連れて来られたByronに対し、彼の容疑が晴れたために釈放すると告げた。 しかし同時に、昨夜のうちにByronらと揉めていたCarlが殺されたと告げ、 何か知らないかと尋ねる。 Byronは拘束されていたのに知るはずがないと反発するが、 迎えに来たLytaと一緒に立ち去る前に、 もし自分を拘束しなければ死者が一人減っていたと言い捨てた。

Byronは一緒に部屋に戻ったLytaに、 仲間のテレパスたちがCarlに暴力の制裁を加えた事を話し、 自分の教え方が足りなかったと恥じ入る。 落ち込む彼をLytaは慰めて、「私はあなたの柳の樹だったんでしょう、 木陰で休みなさい」と言い、彼とキスを交す。 そのあと彼女は服を脱ぎ、二人は愛を交すが、 ByronはLytaの目を通してVorlon本星で彼女が見た光景を見る。

彼女は液体の入った大きな透明タンクに浮いており、 その中には何本ものチューブが伸び時々放電が走っている。 タンクの壁面に、二人のVorlon人の影が映っていた。 その隣には他の種族の胎児が同様に入っていた。 辺りには無数の同様のタンクが並び、 その中には成人の姿をした者たちが浮かんでいた。
Lytaの目はいつの間にか黒目だけになり、 他のテレパスたちが目を覚ました。 二人が愛を交している部屋のカーテン越しに、テレパスたちは黙って集まっていた。
しばらく経って、Byronはテレパスたちの輪の中で、 Vorlonが多くの惑星から人々を連れ去り、 進化に干渉して対Shadow戦争の武器としてテレパスを開発した事を Lytaに確認していた。 そして仲間のテレパスたちに、Vorlonは銀河から去ったが 他の種族の利益のために自分たちテレパスが作られたのだから、 他の種族にはテレパスを新たな種族として受けいれ、 テレパスの母国を提供する義務があると語った。 惑星間同盟にこの事を訴えるというByronに、 もし彼らが受け入れなかったら、とLytaは尋ねるが、 かれは、「受け入れざるを得ないと解らせてやる」と答える。


印象に残ったシーン、台詞


Memo

今回遂にSheridanが画面に登場しなかった。 レギュラーメンバーで登場していたのは、 Franklin, Zack, LytaとByronの四人だけである。

Pak'ma'raは死後五日経ったものしか食べず、また海産物は食べない。 食べられるものがリストに一覧されているらしい。

VorlonがShadow戦争のために自然な進化に干渉して大量のテレパスを作り出した、という話は、 Z'ha'dumでMordenがSheridanに説明していた 内容と一致する。 これを見ても、実はShadowの方が正直に話していた事が判る。

平行進化をしていた知的種族を滅ぼしたのは、HyachだけでなくCentauriも同様である。 しかしCentauriはその事実を隠さず、むしろ誇りとして盛大に祝っている。 FranklinがHyachを許せないと言ったのは、歴史を改竄し事実を隠蔽していたからだが、 この理屈では悪事を起こしても開き直った方が良い、という結論にならないだろうか? もちろん、負の歴史をも直視しなければいけない、という主張はもっともだし、 Minbari戦争時に自分の研究成果を利用されるのを避けるために ノートを破棄したという Franklinだから、その主張にかなりの説得力があるのだが。

Lytaの記憶の中のVorlon本星のシーンで、 タンクの壁面に映ったVorlon人たちは環境スーツを着たままだった。 という事は、彼らは母星でもスーツを着たままらしい。

Hyachはこれまで画面上では何回か登場してきた(DelennのZ'ha'dum遠征に対する 反対集会の場面でDraziの大使と共に壇上に居て、Delennを諌めていた)が、 所属の名前が言及されたのは初めてのはずである。


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