Babylon5 #96

#96 Day of the Dead

粗筋

Babylon5に大きなバッグ一つを持って入港した大男は、 税関の係官の質問に、才能以外には特に申告するものは無いと答えた。 その時バッグの中から、手に小さな装置を持った小男が這い出てきて、 「その才能とは僕の事だ」と続けた。 二人は有名なコメディアンのReboとZootyだった。
二人を迎えに行く途中のSheridanに、LochleyがBrakiriの宗教行事について尋ね、 彼らが基地の一部を一晩買いたいといっていると話すが、 彼は気もそぞろの様子で気の乗らない相槌をうつ。
Londoの部屋の外では、 Brakiriの商人が彼らの祭りの小道具である髑髏のキャンディーをLondoに渡し、 会いたいと思う死者が居ないか尋ねた。 LondoはCentauriの初代皇帝に色々と文句を言いたいと答え、 それにしても一体何の祭りなのか尋ねる。 Brakiriの商人は、今夜は「死者の日」だと答える。

Delennが部屋で今夜着る服を選んでいると、 入ってきたのはRangerの制服を着たLennierだった。 彼が帰ってくると聞いていなかったDelennは驚きを示しながらも大歓迎する。 彼は200年に一度というBrakiriの「死者の日」の行事を観るために、 訓練の合間にここに寄ったと説明し、 Sheridanについて「あなたのパートナー」という言い方で尋ねた。 それを聞いたDelennは「私の夫」と言い直し、 彼はReboとZootyの歓迎カクテルパーティーを開いていると答えた。 Lennierは二人が基地にきている事に驚きを示す。

そのパーティーの席で、Babylon5の親善大使としてSheridanに紹介されたReboとZootyは 早速G'KarやGaribaldiなど出席者を大笑いさせるが、 Lochleyだけは面白くもないという顔をしていた。 彼女はBrakiriの大使との約束があるとSheridanにことわってパーティーを退席する。 それを横で聞いていたG'Karも、驚いた様子で会場を後にした。
彼女はオフィスでのBrakiriの大使との会見で、 彼らの求めに応じて宗教行事に使うために基地の一部を一晩売却する事に同意した。 そこに彼女を追ってきたG'Karが入ってきて、 その決定は危険極まりないとして断固反対する。 Lochleyは彼の起草した原則の宣言には信仰の自由がうたわれていると指摘し、 あなたは何も解っていないと言うG'Karの反対を押し切った。

通路に引かれた線を越えて自分の部屋に入ろうとするGaribaldiに、 Brakiriの大使は線のそちら側は今晩はBrakiri領になっていると説明した。 しかしGaribaldiは、自分の部屋がBrakiriの領域に入っている事を気にせず、 そのまま部屋に入っていった。

Delennがディナーの支度を整えている所に、 SheridanがReboとZoopyを連れて部屋に入ってきた。 Zoopyが手にもった装置がMinbari語で何か言い、 Delennは一瞬びっくりした表情をしてから笑いの発作に襲われた。 何の事か解らないSheridanがReboに尋ねると、 彼はMinbari人の笑いのつぼは地球人とは違うと説明する。 さらに一度でいいからZoopyとあの装置なしで話してみたいというSheridanに、 彼が口にしたのはこの十年でたった一言「なぜ?」だけだとReboは答えた。

太陽がEpsilon3の陰に隠れ、ステーションは夜になった。 ステーションのBrakiri領域を分ける通路の線上に、突然シールドが現われ、 向こう側は奇妙に揺らめき始める。 その頃Lochleyは自室でTVを点けたが、 どのチャンネルもReboとZoopyのショーばかりで彼女はうんざりし、 諦めてレポートに目を通す。
同じ頃Lennierは自室の床に敷いた三角形のカーペットの上で瞑想を始めた。
またLondoは自分の記事が出ているUniverse Todayをテーブルに投げ出し、 Brevareを飲み始めた。

司令室でCorwinがReboとZoopyの帽子のトリックの物まねをしている所に、 寝巻き姿のG'Karが入ってきた。 彼は自分の部屋がBrakiri領域にあるため、今夜はここで寝かしてくれと言い、 Corwinは了承する。

Lochleyの部屋の明かりが消え、非常灯が点灯した。 彼女は何が起こったのかと司令室を呼び出すが、通信が通じなくなっていた。
Londoは初代皇帝の肖像画に色々と語りかけるが、 何も返事が無いので立ち上がり、部屋の外を覗いてみた。 その時誰かがテーブルの上のBrevareのボトルに手を伸ばした。 それは死んだはずのAdira Tyreeで、 振り返ったLondoは驚きに撃たれる。 彼は彼女に、自分は間もなく皇帝となるが、 彼女を取り戻すためなら全てを擲つだろうと言い、 二人はキスを交す。

Garibaldiはベッドで寝ていたが、シャワーが使われている音で目が醒めた。 彼は枕の下からPPGを取り出し、構えながら出てくるように声をかける。 女性の声が返事をし、シャワー室から現われたのは、 AkadorのMatok要塞での戦いで死んだはずの Dodgerだった。 Garibaldiは彼女が本物であると信じず、ロボットかクローン、はては Besterによるマインドコントロールではと疑うが、 彼女は平然として自分が死んだ事を認め、 「死者の日だからあんたが恋しくて戻ってきた」という。

LochleyはSheridanを呼び出そうとするが、通信圏外だという答えが返ってきた。 そのとき誰かが咳き込み、「Lizzie?あなたなの?」という声がした。 彼女が目をやるとそれは20年前に死んだ友人のZoeだった。 彼女は唖然としてZoeを見つめる。
しばらくして、ベッドに座り込んだLochleyとZoeはややぎこちない会話をしていた。 若かったLochleyは上級軍人の父に反発して家出し、廃墟のホテルの一室で Zoeと同居して薬漬けの生活を送っていた。 ある日Lochleyが部屋に戻ると、薬をやりすぎたZoeが酷い状態で死んでいた。 その死にショックを受けた彼女は母親に連絡し、 その後父親の部下の海兵隊が彼女を連れ戻して彼女は地球軍に入隊した。 LochleyはZoeに、彼女の死は事故だったのか、それともわざとやったのか尋ねたが、 彼女は自分の死を覚えていないと答えた。

Brakiri領域の外側にあるSheridanとDelennの部屋では、 ReboとZoopyを迎えてのディナーが続いていた。 CorwinからSheridanに、基地の一部が消滅したという連絡が入った。 Lochleyの私室も消えた区画の中だと聞いたSheridanは自らその区画に調査に向かい、 通路が途中でシールドで途切れているのを発見する。 そのシールドに向かって投げられた消火器は勢いよく跳ね返ってきた。
PPGを枕の下に戻したGaribaldiは、結局Dedgerの言う事を素直に受け入れ、 彼女と積もる話を始めた。

瞑想を続けているLennierに、誰かが「今晩は、Ranger Lennier」と声をかけた。 Lennierは護身棒を掴んで床の上で一回転し、 椅子に座ってUniverse Todayを読んでいる男に棒の先を突きつける。 それはMordenで、Lennierが自分を呼び出したので戻ってきたと言い、 逆にLennierがなぜBabylon5に戻ってきたのかと尋ねた。 知恵を得るためだと答えるLennierに、 自分の頭は切り落とされ 今もCentauri王宮の庭に晒されているが、 お前はその自分に知恵を求めるのかとMordenは反問し、 Delennが彼の愛に答えなかった事を指摘する。 そんな事は解っているとLennierは答え、Mordenに立ち去るように言ったが、 Mordenが出て行かないのを見て部屋のドアを開け、 揺らめくシールドの中に踏み出した。 しかし彼は途中で床に崩れ落ちた。

司令室に向かったSheridanは、そこの床の上でG'Karが寝ているのを発見した。 消滅したのがLochleyがBrakiriに一晩売った区画である事を知ったSheridanは、 CorwinにBrakiri本国に説明を求めるように命じた。

Lennierを部屋の中に引っ張り込んだMordenは、通路の先はここから2億光年も先で、 歩いて行けるはずが無いと教えた。 そしてさらに話を続け、お前はRangerを裏切る運命だとLennierに告げる。 MordenがSheridanがZ'ha'dumで死んだと思っているのを知ったLennierは、 過去を知らないものがどうして未来を知る事が出来るのか、 お前の言っているのは嘘だと反発するが、 MordenはさらにLennierももう直ぐ自分と同様に死ぬ事を示唆する。 彼を相手にせずに瞑想を再開したLennierに、 「お前の負けだ」とMordenは言い、黙って新聞を読み始める。

Lochleyは再び外部への通信を試みていたが、何処も通信圏外だった。 ここがBrakiri本星の一部になっているならそれも当然だとZoeが言うのを聞いて、 Lochleyは別の方法を思いつき、 通信システムの設定を変えようとする。 コンピューターにパスワードの入力を求められた彼女は、 「Zoeは死んだ」と唱え、それを聞いたZoeは顔をゆがめる。 しかしシステムの変更は成功した。
Garibaldiがすっかり寛いでDodgerと話している部屋のスクリーンに、 突然Lochleyが現われた。 彼女の映像を見たDodgerは反射的に飛び起きて敬礼する。 Lochleyは彼に、Stellar Comをハックして司令室への回線を確保するように命じる。

Adiraとベッドの中にいるLondoの部屋のスクリーンにLochleyの姿が映り、 現在起きている異常現象は朝になれば解消するといって住民に平静を呼びかけた。 馬鹿な女だと言うLondoに、 彼女は正しい、夜が終われば自分は姿を消し、 その後あなたは皇帝になるとAdiraは答える。 彼は皇帝になどなりたくない、君とこうして居たいと尚も言うが、 「私は夢よ、朝になれば私は消え、あなたは400億の国民を治める、 けれどその国民のだれも、私が知っているあなたを知らない。」とAdiraは答えた。

Lochleyの命令に従って回線をいじり続けているGaribaldiに、 相手にされないDodgerは機嫌が悪くなった。 遂に彼はハッキングに成功し、それをLochleyに伝えてから 残り少なくなった夜を楽しもうとDodgerの方に向き直った。

Sheridanらが基地の異常にも平然と対応しているのを驚嘆したReboは、 自分たちも人を笑わせる今の仕事ではなく、 大統領夫妻のようにもっと人の役に立つ仕事をしたいと考えている事をDelennに話した。 Delennはちょうど部屋に戻ってきたSheridanにReboの言った事を伝えるが、 彼は二人はとても人の役に立っているので、今の仕事を続けるように励ます。 そのときLochleyから連絡が入った。 彼女が一体どこにいるのかと尋ねるSheridanに、 自分にもよく解らないが、 現在の異常状態は夜明けには解消されるだろうと彼女は説明する。 それはBrakiri本国からの説明とも一致していた。

Epsilon3の影から太陽が顔を出し、Babylon5では夜が明けた。 Lennierの部屋ではMordenが読んでいた新聞が床に落ち、 Lennierが目をやると彼の姿は消えていた。
DodgerはGaribaldiと笑っていたが突然黙りこみ、 時間がきた事を告げて彼にキスをしてバスルームの方に姿を消した。
ZoeはLochleyに、Sheridanへのメッセージを託していた。 彼女は立ち去る前に、自分が死んだのは事故ではなく 人生に耐えられなくなったためだと告げ、姿を消した。

朝になって正常に戻った基地で、 SheridanはLochleyから事件の説明を受けていた。 彼女はBrakiriに一晩売った区画に居た全ての人が死者の訪問を受けた事を話すが、 基地には何の被害も無かったと強調し、 自分が具体的に誰に会ったのかは個人的な事だと言って説明を避けた。 そして最後に、「Koshという人からあなた宛のメッセージを預かっている」と彼に告げた。 表情をこわばらせた彼が聞いたメッセージは、 「長い夜が訪れるとき、始まりの終わりへと戻る。」というものだった。 彼は暫く考え込み、Lochleyに礼を言って下がらせた。

G'Karに会ったLochleyは、昨日彼の警告を聞かなかった事を詫びるが、 彼は逆に自分の部屋で死者の日を過ごさなかった事を悔やんでいる様子だった。 その向こうで、LondoはZootyのジョークを聞いてご機嫌な様子で、 二人を自分の即位式に招こうとまで言っていた。
基地を立ち去る前に、Zootyは手にした帽子を示しながらSheridanの耳元で何かを囁いた。 それを見ていたG'Karは、Sheridanに内容を尋ねる。 「機械が僕に命令するから」というのがその答えだった。


印象に残ったシーン、台詞

"When the long night comes, return to the end of the beginning."
--LochleyがZoeから託された、SheridanあてのKoshの伝言。


Memo

この回の話は、LondoとG'KarがCentauri本星に発つ (#94 Strange Relations)前のような気がする。 米国での初回の放送もSuper Channelでの日本での放送と同じ順だが、 最作番号はもっと後の"A Tragedy of Telepath"と"Phoenix Rising"の間になっている。 ということは、本来の設定では二人がCentauri本星から戻ってきた後の話らしい。 そう考えると、LochleyがSheridanに事件の報告をした際の、 「Garibaldiは最近何でもテレパスの仕業を疑っている」という発言が自然になる。

ReboとZootyについては、#79 "Rumors, Bargains and Lies"で Londoが地球人の訳のわからないユーモアの代表例として挙げていた。 しかし今回の最後では、彼は考え方を変えたようだ。 それに対し、Sheridanは彼らのジョークがお気に入りのようだ。
なお、Lochleyも今回の表情を見ている限りでは彼らのジョークが理解できないらしく、 もしかするとこの性格の差がSheridanとの結婚が直ぐに破綻した一因かもしれない。

MordenがLennierの元に現われたのは、意味深長である。 Londoの元に現われたAdira, Lochelyに対するZoeはかなり自然だし、 GaribaldiとDodgerもこれまで描かれた内容からすると特に違和感はない。 しかしVirやLondoならともかく、 LennierはMordenとはこれまでほとんど接点が無いはずだ。
またLennierがDelennに対し、 Sheridanの事を「あなたのパートナー」と妙な呼び方をしたのも気になる。 恐らくLennierのSheridanに対する嫉妬が Mordenを招く原因となり、 やがてMordenの予言した「Rangerへの裏切」の遠因となって行く事を暗示しているのでは。

Koshの伝言は、死者の日の出来事が幻ではない事を強く示唆している。 LondoやLochley, Garibaldi, Lennierの見たものは、 それぞれの潜在意識の現実化として捉えられるが、 ZoeがKoshからの伝言を預かってきたのは、その範疇では説明できない。 Koshの伝言以外の部分は、"Solaris"の出来事をイメージさせるが。
Lochleyのパスワードが「Zoeは死んだ」だった事は、 彼女の潜在意識にはZoeの死が深く刻まれていた事を暗示している。

Zoopyが機械なしで言った「なぜ?」("Why?")という言葉は、 VorlonとShadowの質問「君は誰だ」("Who are you?")と 「望みは何だ」("What do you want?")を連想させる意味深長な言葉だ。
Zoopyが最後にSheridanに囁いたのはこの問に対する答えの様だが、 Shadow艦に同化されるためのインプラントを埋め込まれたテレパスたちが 言っていた
言葉を思い出させる。

Koshからの伝言を伝えたときのLochleyの言い方からすると、 彼女はKoshの名前を知らず、彼がVorlon人だった事も知らないようだ。

Londoが初代皇帝の肖像画に話し掛けていた内容から、 彼はVirもまた皇帝になるというLady Morellaの 予言を信じている事が判る。 やはり、自分が皇帝になるという予言が当たった事が大きな理由だろう。


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