Babylon5 #98

#98 A Tragedy of Telepaths

粗筋

2262年6月16日の朝、Lochleyはベッドで目を覚まし、着替えてオフィスに向かう。 彼女の個人日誌の独白が重なる。 Brown区でのByronに率いられたテレパスたちの篭城は続き、 警備班による排除作業は遅々として進まない。 彼女はSheridanに頼まれてBabylon5の司令官就任を引き受けた事を後悔しているようだ。 そのSheridanは、同盟諸国の輸送船への襲撃事件によって 相互不信を深めている各国大使の相手に追われていて、 彼女の助けにはならない。 仲介役を頼めそうなLondoとG'Karは、 Londoの即位式の準備のためにCentauri本星に行って留守にしている。 さらに、Brown区が封鎖される前に脱出した一部のテレパスたちがどこに潜んで 何を企んでいるか判らず、どう転んでもかなりの犠牲者が出る事態になる事を知った彼女は、 遂に地球のPsi Corps本部に連絡を取り、Besterの助けを求める事にした。

Brown区のZackが指揮する現場に現われたLochleyは、 バリケードの鉄板を焼き切る作業の進展状況を尋ねるが、 中のテレパスたちの妨害によって作業がはかどっていないとZackは答える。 内部ではテレパスたちが壁に手を当てて外にイメージを送っており、 Lochleyが見守るうちにも、作業員が突然、壁の向こうに爆弾があると恐慌を起こし、 作業を中断して連れて行くしかなくなった。 Zackは彼女に、既に十人以上の作業員が同様の症状に見舞われ、 交代して作業しながらやっと鉄板を焼き切った頃には、 新たな鉄板が溶接されていると説明する。 自ら壁に手を当てたLochleyは何かを感じた様子で、 別のルートは無いかとZackに尋ねた。 メインテナンス用ダクがあるが、 狭くて脆く危険極まりないと答える彼の反対を押し切って、 自分が行くと彼女は言う。
内部ではByronがLytaに、 司令官にメッセージを送ったが届いたかは判らないと話していた。

Centauri本星の王宮では、 Londoがレポートを読んで首を傾げていた。 何処とも戦争をしていないのに軍事物資の生産が15%も増加していると言う彼に、 相手が居ないので自国を侵略する事にしたのではとG'Karはからかうが、 自分が食べていた新鮮なSpooはNarn人以外は食べないと聞かされ、 急に真顔になって、Spooが運ばれていた宮殿の南端の地下牢に自分を案内するように求めた。
衛兵に案内させてLondoとG'Karがドアを開けた地下牢の中に 鎖で繋がれていたのは、Babylon5でG'Karの副官を務めていたNa'Tothだった。 彼女はCentauri軍によるNarn本星への惑星爆撃の際に地上に居り、 占領軍に捕われて奴隷としてCentauri本星に運ばれた挙句に、 Cartagia皇帝の命令で地下牢に繋がれたまま 二年もの間半ば忘れ去られた状態で閉じ込められていたのだった。 G'Karは彼女に戦争は終わりNarnは再び自由になった事を話し、 Londoに彼女の開放を求めるが、 首相が皇帝の命令を覆せば反逆罪に当たるので、 自分が皇帝になるまで待てとLondoは答えた。 しかしG'Karは、そんなに待てない、今すぐに彼女を解放しろ、 出来なければG'Quanの名にかけて宮殿をLondoもろとも火の海とすると彼に迫った。

Lochleyが狭いダクトの中を這い進んでいる頃、 GaribaldiはSheridanに、彼女の決断を皮肉混じりに賞賛していた。 問題はByronのグループではなく、封鎖前に脱出してどこかに潜んでいるグループの方で、 破壊工作を行う可能性もあると彼は報告する。 彼はまた、Draziが自分たちの輸送船が破壊された現場でBrakiriの船の破片を回収し、 明日の会議の席に持ち出すらしいと報告する。 Sheridanがこの頃は全てが上手く行かない、 皆がばらばらな方向に動いているとぼやくと、 歴史が平和ではなく戦争によって動くのは何故か、 それは人々の血が騒ぐからだ、今もまたそういう時期だとGaribaldiは答える。

ダクトを通り抜けてBrown12区のバリケードの中に入ったLochleyは、 そこにいたテレパスにByronに会わせるように求めた。 やって来たByronは彼女に丁寧に挨拶するが、 同盟各国の大使たちは襲撃事件で気が立っていて テレパスたちの行為は格好の非難標的になっており、 彼らが祖国をもらえる可能性など全く無いという彼女の説得には耳を貸さない。 そして篭城を止める事も、外に出たテレパスたちの情報を知らせる事も拒んだ。 彼女はこのままではいずれ警備班が突入して大勢の犠牲者が出る、 自分と一緒に外に出たいものは着いて来るようにと呼びかけるが、 誰もそれに答えなかった。 一体なぜ自分を呼んだのかと尋ねる彼女に、 彼女が友好的とはいえないが自分たちを公平に扱ってくれた事に感謝して お別れを言いたかったとByronは答える。
外に出たLochleyは基地に到着したBesterを迎える。 彼は、自分の警告を無視するからこういう事になったと言いながら、 事態の解決に自信を覗かせた。

次のBabylon5行きの巡洋艦の予定を知らせに来た女官を呼び止めたLondoは、 彼女の姿を確認してから服を脱ぐように求めた。 G'Karはこんな時にと腹を立てるが、Londoはこの服が必要だと言い、 女官は誤解して「Cartagia皇帝にも同じ趣味があったが、 サイズが合わないのでは」と言った。

同盟総会でDrazi大使は彼らが回収した金属片を示し、 Brakiriがテレパスを使って情報を入手し輸送船への攻撃を行っていると非難した。 そして反論するBrakiri大使をさらに侮辱し、 軍を送って次にDrazi船への攻撃があれば同数のBrakiri船を破壊すると言い放った。 しかし次にDelennに促されたGaim大使は、 自分たちの船への攻撃現場から回収したというDrazi船の破片を示す。 議場内が騒然とした所で、Sheridanはこれは同盟の分裂をもくろむ誰かの策略だと明言し、 Delennは真相究明のための今しばらくの猶予を求めた。

再びNa'Tothの牢獄に現われたLondoは、 ここを離れてNa'Tothへの食事を運ぶのも中止し、 三日後にこの区画を封鎖するように衛兵に命じた。 衛兵が去ったあと、彼はG'Karを呼び入れ、Na'Tothの鎖を外す。
やがて女官の服で変装したNa'TothがG'Karに連れられてLondoの前に現われた。 どうやって見つからないようにシャトルベイまで行くのか尋ねるNa'Tothに、 「目立つようにだ、我々は目立つものを見ないように訓練されている」とLondoは答える。 彼はbrevareのボトルを開け、大酔を装ってNa'Tothの変装した女官の肩を抱き、 彼女と思いを遂げられると叫んで大騒ぎをしながら、 廷臣や衛兵たちが目をそらす中をG'Karと共にシャトルベイへ歩いていった。

脱出したテレパスのリーダーのThomasが通路の壁にプロパガンダを書いていると、 仲間がBesterが基地に現われた事を知らせに来た。 もう直ぐBloodhound部隊も到着し、掃討作戦が始まる事を知ったSimonは、 仲間を率いて警備班の武器庫に向かい、 捕えた警備員の心を読んでロックを解除した。
Brown区の現場に到着したBesterは、爆弾があると怯える作業員の心に別のイメージを送り、 さらに彼を通して壁の向こう側のテレパスたちの妨害を止めさせた。 その頃Thomasのグループは周囲の警備班を襲撃して排除し、 BesterへとPPGの狙いを定める。 しかし間一髪でBesterは難を逃れ、警備班とThomasのグループとの銃撃戦が始まって 警備班に二人の死者が出る。 犠牲者にまるで無関心な様子のBesterに対しZackは怒りを露にするが、 「自分の仲間はテレパスだけで、そちらとは無関係だ」と彼は答えた。
バリケードの中では、Thomasたちの暴走を知ったByronが、自分の責任だと頭を抱えていた。 そして「あなたでも止めるのは無理だ」と言うLytaに、 彼らを何としても止めると答える。

Drazi, BrakiriとGaimの大使を呼んだSheridanとDelennは、 Drazi大使にBrakiriを監視する彼らの艦隊をさらに監視している WhiteStar艦隊の映像を示した。 そして他の二国の艦隊にも、同様の監視をつけた事を知らせる。 主権の侵害だ、こんな事のために同盟に調印したのではないと憤然とする大使たちに、 加盟国間の紛争解決は同盟に委ねる事になっていると二人は指摘した。 その上で改めて暫くの猶予を求め、 真犯人が明らかになれば自分たちも彼らの決定を支持すると約束したDelennに、 Drazi大使は「今回は待つが、自分たちを武力で脅した過ちを憶えておけ」と言い捨てた。 彼らが去った後、SheridanとDelennは顔を見合わせる。

Londoらを乗せてBabylon5へ向かうCentauri艦からNa'Tothを乗せたシャトルが離れ、 Narn艦に向かった。 その光景を見ながら、二年間もの間独房に繋がれていた彼女が立ち直るのは 並大抵ではないだろうとG'Karは言う。 一方Londoは、あの脱出劇は危険ではあったが自分にとってはよい気晴らしだったと答えた。 Londoが立ち去り、窓際に一人残ったG'Karは、 亜空間に消えるNarn艦を見送りNa'Tothに別れを告げる。

6月18日の夜、Babylon5にBloodhound部隊のシャトルが到着し、隊員たちをBesterが迎えた。 Lochleyはベッドに潜り込む前に、明日はいよいよ殺戮が始まると呟く。


印象に残ったシーン、台詞

「しかしこれだけは覚えていて欲しい。 自衛を望んだだけの我々に対し、あなた方は武力を盾に脅したのだ。 大きな衰退はいつも一つの過ちから始まる。 それを覚えておけ。」
"But we will not forget this. You threatened to use force against us when all we wanted was to protect ourselves. Every great fall begins with a single mistake. This was yours."
Drazi大使が、SheridanとDelennに。


Memo

Spooという食べ物は#92 "A View from the Gallery" にも出てくるCentauri人の好物だが、 新鮮なものを食べるのではなく「寝かせて」(醗酵させて?)食べるものらしい。

Londoが語った、皇女の命令で200年間早春一番の花を守りつづけた衛兵の話には元ネタがある。 (多分「ロシア皇后のすみれ」という話。)

Na'Tothが実際に登場したのは実に#34 "Acts of Sacrifice"以来だが、 彼女の名前は #64 "And the Rock Cried Out, No Hidding Place"で 言及されている。 このときLondoは彼女がNarn本星の地下に囚われているという偽情報で G'Karを(実際にはRefaを)おびき出した。 考えてみると、彼女はCentauri本星でほぼ同様の目に遭っていた訳だが、 Londoは全くそれを把握していなかったらしい。

前回の映像で判るように、同盟諸国の輸送船への襲撃を行っているのは Drakhに乗っ取られたCentauriである。 恐らく真相を知った同盟諸国はCentauriへの報復を要求し、 Delennの今回の約束が仇となって二人はその要求を認めざるを得なくなるのだろう。


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