Babylon5 #1

#1 Midnight on the Firing Line

粗筋

Centauri共和国の農業植民星Ragesh3の軌道ステーションが、 突然ジャンプポイントから現われた多数の戦闘機を従えた戦艦に襲われる。 ステーションの責任者はCentauri本国に急を知らせるように命じるが、 その命令が実行されるか否かという内にステーションは破壊された。
Babylon5では、Ragesh3襲撃の報を受けた新任の航法管制官Susan Ivanova少佐が、 Michel Garibaldi警備主任にSinclair司令官の居場所を尋ねる。 彼は彼女に、朝のこの時間は司令官は通常の通信を切って監視ドームで 静寂を楽しんでいる事を教え、Ivanovaは司令官に 直接会いに行って事件が起こった事を知らせる。
その直後、バーでGaribaldiを掴まえて雑談をしていた Centauri大使Londo Mollariは副官のVir CottoからRagesh3襲撃の知らせを受けるが、 攻撃者が何者かに付いては不明だった。 Londoから話を聞いたSinclair司令官は、 地球はこの件について何らの情報も得ていないと答える。 Minbari大使Delenn, Narn大使G'KarもLondoに弔意を示しながらも、 Sinclairと同様の解答をした。 SinclairはLondoに、この問題を討議する緊急の顧問会議の開催を提案する。

司令室ではIvanovaがGaribaldiに、 地球同盟の民間輸送船が海賊に襲撃された事を伝える。 彼がStarFuryで救援に向かうために司令室を出ていった直後に、 今度は新任の商業テレパスTalia Wintersが現われた。 Psi Corpsの規則で基地の副司令官であるIvanovaに報告しなければならないのに 彼女がこれまで掴まらなかったというTaliaを、 今は忙しくて時間が取れないとIvanovaは無愛想に遮った。

Sinclairがオフィスで地球からのニュースを観ている所にIvanovaが入って来た。 彼は地球からはRagesh3の襲撃者に関する情報は未だに入っていない事を話し、 ちょうどニュースで大接戦を伝えていた地球同盟大統領選挙戦の話題を持ち出すと、 彼女は現職ではなく対立候補に入れると答えた。

LondoはVirが持ってきた本国からのRagesh3襲撃時の映像を観て、 直ちに襲撃したのがNarn政府である事を知った。 怒った彼は直ぐにG'Karを探しに行く。
その頃Garibaldiは、部下と二人で輸送船が海賊に襲われた現場に到着した。 彼は輸送船の状態を一目見て、 これまで海賊が使っていたのよりはるかに強力な武器で襲われた事に気がつく。

Londoに掴まって先ほどの発言をなじられたG'Karは、 自分も先ほど本国からの情報で初めて知ったが、 いずれNarnがRagesh3を攻撃した正当な理由が示されるだろうと開き直った。 非武装の市民を虐殺するどんな正当な理由があるんだと言い返すLondoに、 Centauriの侵略を受けたNarn人もそう思ったとG'Karは慇懃に返し、 激しいやり取りの後で二人の大使はつかみ合いを始めて警備班に止められる。 G'KarはいずれLondoの枕元に喉を掻き切ろうとする Narn人が立つだろうと捨て台詞を吐いた。
その後再びSinclairに会ったLondoは騒ぎを起こした事を詫びるが、 G'Karを殺してやると息巻いた。
彼の説明では、Centauri人は自分が何時どのようにして死ぬかを予知する事が出来、 彼は夢の中で20年後にNarn人と首を締め合って息絶える光景を見ていた。 そしてG'Karを始めて見たとき、夢の中のNarn人が彼である事を知ったと言う。 さらに彼は愛する甥がRagesh3に居る事を話し、 もし甥に万一の事があったらNarnとの戦争を始めるとまで言った。

Ivanovaは戻ってきたGaribaldiががつがつと昼食を食べている所にやって来た。 彼は輸送船はめちゃめちゃに破壊され15人が全滅していた事を話し、 秘密にされているはずの輸送船のルートが何処からか漏れているのではと推測していた。 二人が話しているのを遠くから見つけたTaliaが近づいてきたが、 それに気付いたのかどうかIvanovaはレストランを出て行く。

SinclairはVorlon帝国のKosh大使と面会していた。 彼がRagesh3の襲撃事件に対抗してNarnへの制裁を行う議案を支持するかを尋ねると、 Koshは「孤立する、彼らは滅びる、そのまま滅びさせるのだ。」と答える。 そして「NarnとCentauriのどちらの事ですか」という問には、 ただ、「そうだ」とだけ答えた。

司令室に戻って来たIvanovaは、Garibaldiが自分のコンソールを 勝手に操作しているのを見つける。 彼は輸送船のルートが運行会社から海賊に漏れている可能性があり、 コンソールの情報から何かつかめるのではと指摘した。

Londoは自分の部屋で落ち込んだ様子で酒を飲み続けていた。 彼は緊急会議の開催を知らせるVirに、 会議など地獄に落ちろと罵る。 そして彼に、本国政府からRagesh3の件について放って置くようにという 訓令を受け取った事を話しCentauriの過去の栄光が消えうせた事を嘆いた。 突然彼は、政府からの訓令を受けた事を隠して 顧問会議に出席するという考えを思いついた。 会議でNarnへの制裁が可決されれば、本国政府も考えを改めるだろうと彼は言い、 Virにもこの事を秘密にしておくように命じた。

Taliaは移動チューブの中でGaribaldiに出会い、 Ivanovaが自分を無視しているのは何故なのかと尋ねた。 彼はIvanovaは自分と違って直ぐには他人となじまないタイプだと言い、 勤務明けにカジノで彼女を掴まえるようにTaliaにアドバイスする。

基地の植物園でSinclairに会ったG'Karは、 Minbari戦争当時にNarnだけが地球に武器援助をした事を持ち出して 今回の紛争でのNarnへの支持を求めた。 しかしSinclairはNarnはただ武器を売れる所に売っただけだと言い、 さらにRagesh3への攻撃は卑劣だと言ってG'Karを怒らせる。

Garibaldiは海賊に襲撃された輸送船のデータを調べ、 それらが特定の船会社からジェンプゲートの通過権を買っており、 その会社から情報が漏れている可能性が高い事をSinclairに報告した。 同じ会社から通過権を買った輸送船がもう一隻あり、 彼らはその船が6時間後に襲われるだろうと判断する。 しかもその船には500人以上の難民が乗っていた。

Sinclairは地球同盟の議員から通信を受け、 Ragesh3を攻撃したNarn政府に対する制裁の決議をしないように指示された。 抗議する彼に議員は、 あと24時間もしないうちに大統領選挙という時に戦争になるような事をするな、 もし会議の延期が無理なら投票を棄権しろと言う。 その通信をちょうど部屋に入ってきたIvanovaが聴いていた。 通信終了後、彼女はSinclairに、 Garibaldiが輸送船の護衛部隊を率いて出発する準備が出来たと報告する。 それを聞いたSinclairは何かを思いついた様子で 輸送船の護衛に自ら出撃する事を決意し、 緊急顧問会議にはIvanovaに出席するように命じた。 そして先ほどの議員からの指示を彼女は聴いていないと念を押した。

五大国と非同盟国の緊急会議でG'Karは Ragesh3は元々はNarnの植民星であり従ってNarnには介入する権利があると主張する。 Delennはその論拠に反論し、 過去の怨恨に拘り続けるなら平和は決して訪れず、戦争が永遠に続くと指摘した。 しかしG'Karは、Narnは戦争を求めている訳ではなく、 Ragesh3の当局から介入を求められたのだと言い、 コムリンクの回線を開けた。 画面にはLondoの甥のCarn Mollariが現われ、 植民星の状況が不安定になったのでNarn政府に保護を求めたと いやいやながらといった様子で証言する。 LondoはCarnの証言は脅迫されたもので無価値だと言うが、 G'KarはさらにCentauri本国が事態を放置する命令を出したにもかかわらず、 Londoがそれを隠して会議の開催に固執したことを暴露した。 そしてNarnに対する制裁動議を取り消すための投票を求める。

Sinclairは輸送船を襲ってきた海賊船と交戦して撃退し、 さらに逃げて行く海賊船の逆方向を探して追跡して海賊の司令船を発見した。
会議の場で面目を潰されたLondoは、 自分の手でG'Karを殺す事を決意して、 バラバラにして隠してあったPPGを持ってG'Karの部屋に向かった。 しかし彼は途中でTaliaと偶然ぶつかり、 その拍子に彼女は彼の心の中のG'Karを殺すシーンを見る。 直ぐに彼女から連絡を受けたGaribaldiによってLondoは行く手を阻まれ、 彼の説得に応じて引き返した。 その際Garibaldiは、もし彼が説得に応じなければ本当に彼を殺すつもりだと言い、 後で部屋の武器検査を行う時に何も出ないようにして欲しいと告げた。

基地に戻ったSinclairは直ちにG'Karを呼び出した。 彼は海賊の司令船でNarn人を見つけ、 Narn政府が海賊に武器を流していた事を突き止めていた。 さらに彼は海賊とRagesh3を襲撃したNarn艦との交信記録も入手しており、 G'Karにそれらの証拠を突きつけ、 Ragesh3から軍を引くか、これらの証拠を会議に提出するかを選ばせた。

カジノでIvanovaを見つけたTaliaは、 何か自分が彼女に失礼な事をしたのかと尋ねた。 IvanovaはTaliaに自分の振る舞いを詫び、理由を説明した。
彼女の母はテレパスだったが、Psi Corpsにそれを隠していた。 しかし35才の時にそれが発覚し、 母はPsi Corpsに入るか投獄されるか、あるいは投薬によってテレパシーを失うかの いずれかを選ぶように迫られた。 投薬を選んだ彼女は、強力な薬の副作用で精神を病んで10年後に自殺した。
個人的にはTaliaに何の恨みも無いが、彼女は母を殺したPsi Corpsの一員であり また母と同じ犠牲者でもあると言うIvanovaに、 Taliaは自分はPsi Corpsの犠牲者とは思っていないと反論し、 いずれ自分たちは解り合えるようになると言うが、 Ivanovaは疑わしげだった。

Garibaldiは自分の部屋に座って、 彼が「宇宙で二番目に好きなもの」だという地球の古いアニメ Daffy DuckをDelennと共にポップコーンを食べながら観ている。 彼女は話の内容について彼に尋ねるが、 彼は聞こえない様子で大笑いしていた。
Sinclairも自分の部屋に居て、 現職のSantiagoが地球同盟の大統領に再選されたというニュースを観ていた。 そのときIvanovaから、「問題が起こった」という連絡を受ける。


印象に残ったシーン、台詞

Londo: Centauri人には何故か判るんだよ。 我々は自分が如何死ぬか、時には何時死ぬかが判るんだ。 夢で見るんだ。 夢の場面は今から20年後で、私は老人だ。 私は死にかけている。 両手で誰かの首を締め付けている。 相手も同じだ。 そしてお互いに相手の事を殺そうとしている。 最初にG'Karに会った時、、こいつが夢に出てくる奴だって判った。 現実になる。 今から20年後、我々はお互いの首を締め合って死ぬんだよ。
Sinclair: 20年は長いですよ。 その間にお互いにきっと理解し合えます。
Londo: そう思ってれば良い。 今から20年後、どちらかがより利口に年を取って、 そしてどちらかが死ぬはずだ。
G'Karとのつかみ合いの後、 部屋を訪ねて来たSinclairに対するLondoの話。
Londo: もしCarnが死んだら、戦争が始まる。 今日か、明日か、明後日か、それは判らん。 最後に何か出来るとしたら、死ぬ前に何か出来るなら、戦争を起す。 あんたの前で誓っておく、憶えていて欲しい。
上のやり取りの後、Sinclairに対するLondoの最後の言葉。 これらの予言はいずれも現実のものとなる。

Memo

Pilot Movie "The Gathering"でのメンバーから、 航法管制官兼副司令官だったLaurel Takashima, 医療部長だったBenjamin Kyle, 商業テレパスのLyta Alexander の三名がレギュラーシーズンに入って入れ替わっている。 この内KyleとLytaについては彼らが地球に召喚された理由が後に説明される (Vorlon大使Koshの正体がらみ)が、TakashimaがIvanovaに交代した理由は明らかではない。

"The Gathering"に引き続いて、この話ではG'Karは典型的な小悪党として描かれている。 そしてCentauriとNarnとの争いも、落ちぶれた老大国Centauriに 難癖をつけて領土を掠め取るNarnが一方的に悪役のように見える。 この傾向は第一シーズン前半で一貫して続くが、段々と変化して行き、 第二シーズン以降では立場が逆転する。

Ivanovaは現大統領のLuis Santiagoを強い意志に欠けた人物と評し、 さらに副大統領は強情で最悪のコンビだと酷評している。 ここでは副大統領の名前は言及されていないが、Clarkという。 Ivanovaが彼に不信感を示したのには、もっと深い理由があるかもしれない。
なお、彼女が投票した対立候補はMarie Craneである。

GaribaldiはTaliaに一目ぼれしたらしい。 この後暫く、彼は彼女に付きまとう。

DelennがGaribaldiの部屋で彼とTVアニメを観ているシーンは、 彼女が謎めいている一方で気さくな一面もある事を示している。


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