Babylon5 #17

#17 Legacies

粗筋

SinclairとGaribaldiは、MinbariのBranmer将軍の遺体を乗せた巡洋戦艦が Babylon5に到着するのを待っていた。 Branmerは地球-Minbari戦争の最終決戦でのMinbari軍の指揮官で、 外交ミッションの旅の間に急死したため故郷に戻る途中だった。 偉大な戦士に対する尊敬を表す戦士カーストの伝統に従って、 彼の遺体は各寄港地で公開される事になっていた。 Sinclairはジャンプゲートから現われたMinbari艦のデータを見ながら、 「もう一度見る事になるとは・・・」と 最終防衛線の光景を思い浮かべて感慨に耽っていた。

同じ頃IvanovaはZocaloで一息入れていた。 Taliaが彼女の傍の席に座った時、ちょうど司令室からMinbari艦到着の知らせが入り、 Ivanovaは席を立つ。 そのとき一人の貧しい身なりの少女が露店から宝石を万引きしたが、 見咎められ逃げる途中に急に悲鳴を上げ、意識を失って床に倒れた。 少女の傍に駆け寄ったTaliaは、同じく駆け寄ったIvanovaに 直ぐに医療室に連絡するように求めた。 理由を尋ねられた彼女は、「マインドバーストだわ、彼女はテレパスよ。」と答える。

Minbariの巡洋戦艦Ingataが基地に近づいた時、砲門を開いている事が判った。 艦の指揮官は説明を拒んだが、 Sinclairが防御砲を作動させようとした所にDelennが現れ、 これは偉大な戦士カーストの指導者に対する尊敬の念を示すMinbari戦士カーストの習慣であり、 武器システムは起動していないと説明した。 そしてSinclairらに、Branmerの遺体を迎える儀式に出席してくれるように求める。

医療室で運ばれてきた少女を診察したFranklinは、特に体の異常は無い事を確認した。 Taliaの説明では少女は遅発テレパスで、突然能力に目覚めたために 他人の思考が押し寄せた事でショックを起こしたのだという。 彼女は少女をPsi Corpsに引き渡す事を求めたが、Ivanovaは反対した。

Branmerの棺を公開する行列がステーションに入ってきて、 次席指揮官のNeroonはSinclairとDelennに挨拶した。 IvanovaとGaribaldiは行列を用意されたホールに案内する。 DelennはSinclairに、このような儀式は極めて異例だが Branmerの氏族であるStar Raiderが強硬に実施を主張したのだと不快そうに説明した。

医療室では先ほどの少女が意識を取り戻した。 彼女は押し寄せる他人の思考に圧倒されかけたが、 Taliaは彼女にそれをブロックする方法を教えた。 Taliaによれば少女はAlisa Beldenという孤児だった。 IvanovaとTaliaは誰が彼女を保護するかで議論したが、 Ivanovaは自分が助けなくては彼女はここに留まれないと力説した。

Neroonは遺体公開の儀式の間Garibaldiの部下が棺を警護する事に反対し、 Minbari人が警備すると主張した。 さらに彼は地球-Minbari戦争での最終決戦の話を持ち出してSinclairを挑発したが、 Delennがそれを遮った。 Sinclairを睨みつけながら、Neroonは部屋を出て行く。

次の日、儀式は棺が開けられるまでは順調に進んだが、 棺の中にはBranmerの遺体は影も形もなかった。
SinclairはGaribaldiに事件の調査を命じるがNeroonは激高し、 このままではDukhatの死が地球-Minbari戦争の原因になったのと同様に 戦争になると脅迫する。 しかしDelennは、たった一つの氏族がMinbariの政策を決めることは出来ないと 彼を遮った。
二人が立ち去った後で、IvanovaはSinclairにAlisaの件を話したが、 彼は彼女にその件の決定を任せた。

その後SinclairはDelennの部屋を訪ねた。 彼女は水晶の建物のような構造体を作っている最中で、その作業をしながら Branmerは元々聖職者カーストの高位の出身だった事を話す。 地球との「聖戦」が始まったとき、彼は戦いに参加する義務を感じて指揮を取った。 彼はMinbariには戦いの大義が有ると信じていたが、 突然の降伏命令が下った時それに従った。 このときもう一人の戦争指導者だったSinevalは降伏を拒んで自決し、 戦士カーストの多くは地球に降伏した事を今でも憤っていると彼女は説明する。 Sinclairの見るところ、Neroonもその一人だった。

医療室ではAlisaがTaliaが持ってきた新しい服を試していた。 彼女はAlisaに、Psi Corpsは彼女の面倒をすべて見てくれると話すが、 その時Ivanovaが現われ、テレパスだった自分の母がPsi Corpsによって 自殺させられた話をした。

NeroonはGaribaldiを通路で掴まえて捜査の進捗状況を詰問していたが、 それは彼にとって満足出来るものではなかった。 そのとき警備班の一人がBranmerの死装束の断片を持って現われた。 彼の説明ではこれは「死肉喰い」として知られるPak'ma'raの部屋の入り口で 見つかったという。
GaribaldiとNeroonはそのPak'ma'raを尋問するが、 彼はBranmer遺体消失については何も知らないと主張した。 彼が何か隠しているとにらんだGaribaldiは、 そのPak'ma'raの胃の中身を全て調べるように提案した。

Na'Tothが医療室に現われ、Alisaに面会して彼女がNarn本星に来るように求めた。 Narnにはテレパスの遺伝子が存在しないため彼らはテレパスを欲しがっており、 Na'TothはAlisaが定期的に組織サンプルを提供するという条件で快適な生活を一生保証するが、 彼女の心の中を覗いたAlisaは、「冷たくて異質だ」といって提案を拒んだ。 FranklinはAlisaに、他の種族たちの提案も聴いてから判断するように助言した。

FranklinはPak'ma'raの胃の中身の検査結果をGaribaldiに報告したが、 その結果Minbari人の遺体の一部は見つからなかった。 捜査の結果に満足しないNeroonはさらに激怒し、 Sinclairにこの事件を直ぐに解決しなければ、 戦艦でステーションをばらばらにすると脅迫する。

テストの結果、Alisaのテレパシー能力はP10以上である事が判った。 彼女はそれを聴いて、Narnでの自分の価値がさらに上がったと冗談を言うが、 Ivanovaは彼女にNarnは異星人を奴隷として使っている証拠があり、 彼女は彼らの元に行けば同じ目に会うだろうと警告した。 Taliaは再びAlisaにPsi Corpsに加わるように勧めたが、 それはIvanovaとの論争を引き起こした。 Alisaは二人の言い争いを遮って、 自分は全ての可能性を知ってから判断したいと言った。

AlisaはIvanovaと共に、Delennの部屋を訪ねていた。 Delennは、Minbariではテレパシー能力はまれな贈り物だと考えられており、 テレパスは社会のために尽くす代わりに 社会は彼らが必要な全てを供給すると説明した。 Delennが話している間に彼女の心の中を覗いたAlisaは、 白いローブを着たMinbari人がBranmerの棺の前で警備を凍りつかせ、 棺の蓋を開けるシーンを見てショックを受けた。 彼女は早々に部屋を後にし、Delennは彼女が自分をスキャンした事に気がついた。
AlisaはIvanovaに、DelennがBranmerの遺体の行方を知っている事を話す。

Sinclairが自分の部屋のドアを開けると室内が荒らされていて、 彼は後ろからNeroonに襲われた。 Neroonは基地の中で唯一調べられていない場所を捜索したのだと主張するが、 GaribaldiがAlisaを連れて駆けつけ、 司令官の部屋はDelennの立会いの元に自分が捜査したと言ってNeroonを追い払った。 その後Alisaは司令官にDelennの心の中で見た光景を話した。

DelennがMinbariに送る貨物の中に何かを入れようとしているとき、 SinclairがGaribaldiと共に入ってきて説明を求めた。 彼女が送ろうとしていたのはBranmerの遺骨の入った骨壷だった。
彼女は彼に、自分はBranmerの意思を尊重しただけで、 彼は自分の遺体を戦争のシンボルとして公開して回るような事は望んでいなかったと言う。 彼女は彼の遺体が消えたのを奇跡として処理し、 彼の遺体は神隠しに遭ったと発表するつもりだった。
SinclairとGaribaldiはNeroonに事件の真相を全て明らかにする事を約束していたため、 困った立場に追い込まれた。 Delennはそれなら自分が真相をNeroonに話すと答えた。

Delennから真相を聞かされたNeroonは激怒し、 戦士カーストの伝統に聖職者カーストの彼女が口を挟む権限は無いと激しく抗議した。 しかしDelennはBranmerの母は聖職者カースト出身で、 そちらの方が優先されると言って彼の抗議を冷たく遮り、 これはGrey評議会の決定であり、もしそれに従わないなら Star Riderは不名誉のうちに滅ぼされる事になると宣告した。 評議会の名を出されて態度を一変し大人しく従ったNeroonに、 彼女はさらにSinclair司令官に迷惑をかけた事について謝罪するように命じた。

Neroonは命じられた通りにSinclairに謝罪するが、 彼がBranmerの勇気に対して敬意を表して Minbariの人々に個人的なメッセージを託した事に驚く。 そしてSinclairに、あなたはMinbariの様に考える、 地球人の中にはある種の知恵があると評した。

石庭でSinclairとDelennが話している所にAlisaがやって来て、 彼女がMinbariに向かう事に決めたと伝えた。 Delennは彼女はMinbariと地球とが相互理解を進めるための架け橋になるだろうと言い、 Sinclairも同意した。

彼女はまたIvanovaとTaliaにもお別れの挨拶をした。 Taliaは彼女の決断には反対だったが、 それでも司令官の言う通り、彼女が地球とMinbari双方の利益になる事は認めた。
Minbari行きの船に向かうAlisaにSinclairは、 Delennの心の中で別の物を見なかったか尋ねた。 彼女は自分が感じたのはただ一つ「さなぎ」という言葉で、 それに触れた時Delennが急いで心を閉ざすのが判ったと答えた。
彼女を見送った後、Sinclairはその言葉を何度も心の中で反芻していた。


印象に残ったシーン、台詞


Memo

Sinevalの指揮していた戦艦Trigatiは、彼の自決後に姿を消した。 この事件は#23 "Point of Departure"で重要な意味を持ってくる。

実はこの話は元々#20 "Babylon Squared"の後に撮影された。 そのため、DelennがBranmerの遺体の護衛を気絶させるシーンに Triluminaryが登場している。 現在の時間線から見ると、これは矛盾である。

Delennが部屋で取り組んでいた水晶の構造物は非常に重要な意味を持っており、 #22 "Chrysalis"でその意味が判る。 上に書いたように、このシーンは本来は DelennがTriluminaryを受け取った後に来るはずだった。

AlisaがDelennの心の中に見た「さなぎ」"Chrysalis"という言葉は、 もちろん第一シーズン最終話のタイトルそのままである。 この言葉の意味は、その話で明らかになる。

GaribaldiはPak'ma'raの胃の中身を調べる提案をNeroonにしたのは 絶対に面白がってわざと言ったんだと思う。

DelennはGrey評議会の権威でNeroonを屈服させたが、 どうやらこの件で彼の恨みを買ったようだ。 その事が後のエピソードでいろいろと効いて来る。 (c.f. #33 "All Alone in the Night", #63 "Gray 17 is Missing")

敬意を表すために砲門を開いて接近するのはMinbariの戦士カーストの慣習だが、 地球艦隊とのファーストコンタクト時に Minbari側の意図を誤解した地球の戦艦が無防備なMinbari旗艦を攻撃したため、 地球-Minbari戦争のきっかけとなるDukhatの死を招いた。 戦士カーストはそこから教訓を学んでいないのか、それともわざとやったのか? また地球側にもこの慣習は未だに伝わっていないのか?

Branmerは母が聖職者カースト、父が戦士カーストの出身だった。 Delennは母の出自の方が優先されるとNeroonに告げたが、 これはMinbariが母系社会である事を意味するのだろうか。

Branmerの葬列の先導役が持つ旗のマークは、 彼の氏族Star Riderの紋章である。


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