Babylon5 #82

#82 The Exercise of Vital Powers

粗筋

Voice of the Resistanceの放送が始まり、IvanovaがProxima3に続き Beta Duraniの植民星とmid-rangeの軍事基地が開放艦隊によって Clark政権からの自由を勝ち取った事を伝えていた。 WhiteStarと合流した地球の戦艦とからなるSheridanらの艦隊は、 新たな目標に向かって進撃中だった。
その頃Garibaldiは火星に到着し、シャトルチューブでドーム都市に向かっていた。 彼は恐れていたSheridanによる地球への軍事行動が始まった事を嘆き、 司令官はZ'ha'dumから戻ってきてからは以前と人が変わってしまい、 自分が救世主である事を信じているようだと独白する。 そして彼の行動を止めるために、 二度と来るまいと思っていた火星に戻ってきたと呟く。
シャトルチューブの中でWadeはGaribaldiに、 Edgarsに会うのなら彼の要求に従って目隠しをするように求めた。 始めは拒んでいたGaribaldiだが、 彼がここにやって来れたのはEdgarsの力によるものだとWadeに説得され、 最終的には要求に従った。

Babylon5の医療室ではFranklinがShadowの装置を取り付けられたテレパスを 安全に覚醒させる実験をしていた。 尋ねてきたZackに彼は、装置を取り外す方法が全く見出せないのに 司令官からは具体的な作戦を示されないまま 早くするように急かされている苦境を話す。 そのときLytaが現われ、彼女を探していたZackは 記憶を失った犯罪の被害者をスキャンしてくれるように頼んだ。 二人の交渉が終わりZackが立ち去った後でLytaはラボで昏睡しているテレパスに気づいた。 Franklinが眼を離している間に突然そのテレパスは眼を開き、 立ち上がってガラス越しに彼女と手のひらを合わせてじっと見詰め合う。 Franklinが異変に気づくと、テレパスは倒れてまた昏睡状態に戻り、 Lytaは急いで医療室を出て行った。

Edgarsに会いに来たGaribaldiが座って待っていると、 ドアから入ってきたのは嘗ての彼の恋人でEdgarsの妻であるLiseだった。 彼女は彼を見て驚き、彼が来るタイミングが悪かったと言う。 しかし部屋の反対側からEdgars本人が現われてLiseを制し、 彼女が部屋を出て行ってから二人は話し始めた。
Garibaldiは、Sheridanの軍事行動を止めるために 政界にも影響力のあるEdgarsの力を借りたいが、 Clark大統領は信用できないと言う。 Edgarsも同意するが、Garibaldiが本当に信頼できるかを確かめるまでは 自分の計画を話せないと答えた。
話し合いの後、GaribaldiはWadeに寝室に案内してもらったが、 そこはとても狭かった。

FranklinはLytaに追いつき、 彼の実験を台無しにしたと謝る彼女に テレパスから暴力以外の反応を引き出したと礼を言う。 彼女はテレパスを見たときに、頭の中でShadow艦が発するのと同じ音が聞こえたので とっさにそれを遮断したら患者が意識を取り戻したと説明する。 Franklinは彼女に実験への協力を求め、 始めはためらっていた彼女も同意した。

Garibaldiが狭い部屋で眠っていると、突然ドアが開いて乱暴に引きずり出された。 彼はデスクの前に女性が一人いるだけの別の部屋に連れて来られる。 Edgarsの声が、彼女はテレパスでこれからの彼の質問へのGaribaldiの答えが 真実かをスキャンすると説明した。
Edgarsはまずテレパスを如何思うかという質問をし、 Garibaldiは信用できない、彼らは社会に対する最大の脅威だと答える。 次にEdgarsがなぜ自分が始めに説明した彼を雇った理由を信じないのか尋ねたのに対し、 GaribaldiはEdgarsのような金持ちなら単に秘密を守るだけなら 別の組織を雇うだろうと答えた。 さらに今年の初めに彼がBabylon5を離れていた時にあった事を覚えていないと Garibaldiが答えたとき、テレパスの女性はかすかに頷いた。 一連の質問が終わり、帰って良いと言ったEdgarsは 最後にLiseをまだ愛しているかと尋ねた。 Garibaldiは否定するが、彼が出て行った後でテレパスはかすかに首を振った。 Edgarsの声はテレパスに礼を言い、Wadeから報酬を受け取るように言った。
部屋に戻ったEdgarsは起きていたLiseに Garibaldiは自分が思ったとおりの人物で彼女が何も心配する必要はないという。 その頃先ほどの部屋にWadeが現われ、テレパスに向かってPPGを発射した。

Babylon5の医療室ではFranklinが先ほどのテレパスの脳波を記録する準備をしてから、 先ほどやったのよりゆっくりと彼を覚醒させるようにLytaに求めた。 実験が始まり、FranklinはShadowのインプラントが艦と同化できるように 脳の機能を高めている事を知る。 テレパスは眼を開き、突然立ち上がってFranklinに掴みかかる。 「機械はないのか」と言うテレパスにFranklinは、 Shadow艦は居らず彼は安全だと言って彼を落ち着けようとしたが、 それを聞いたテレパスは却って動揺し、Franklinを床に投げ出す。 そしてLytaに向かって機械がなくては生きてはいられないと言い、 医療器具を手に取り自殺しようとした。 彼女は直ぐに彼を止め、彼は再び昏睡状態に戻った。

翌朝GaribaldiはEdgarsのオフィスで彼と会って、 昨夜の質問と答えの結果自分は信頼を得たのかと尋ねた。 Edgarsは彼に自分の考えを話し始めた。 彼はテレパスたちがこの世界の支配を企んでいると言い、 そうなれば一般人の自由はなくなり、 自分やGaribaldiが生きていたいと思わないような社会になると警告した。 Garibaldiは確かに一部のテレパスはそう考えているが、 実行するにはテレパスの人数が少なすぎると言うが、 Edgarsはそれは違うと答える。
彼はナチスやソ連共産党を例にあげて、民衆が彼らに権力を与えたのだと指摘し、 今また同じ事が起こっている事を示唆した。 そしてClarkは副大統領時代に人々の忠誠心を調べるためにPsi Corpsを重用しだし、 それに反対したSantiagoを異星人(Shadow)の力を借りて暗殺したと言う。 Shadowへの牽制勢力としてClarkはPsi Corpsをさらに重用し、 Night Watchを設立して主要なポストに彼らを登用する際にも Psi Corpsに見張らせた。 今やPsi Corpsは大きな力を持ってしまい、 Clarkが死んだ後もその権力を手放さないだろう。
Garibaldiの問に対しEdgarsは、 Sheridanが予定外に早くClarkの地位を脅かし始めたため、 恐れをなした彼はPsi Corpsに全ての力を与えかねないと説明する。 そしてこれまで真に地球を支配してきたのはClark大統領ではなく 自分たち巨大企業であり、 Psi Corpsは自分たちの支配を脅かすもので排除しなくてはならないと言った。 彼の計画には準備の時間が必要だが、 Sheridanの軍事行動はその計画を脅かしている。
ここまで話した時LiseがEdgarsを朝食に呼びに来た。 EdgarsはGaribaldiに自分に協力する事を決断すれば続きを話すと言って 部屋を出て行った。

解放艦隊を率いるSheridanはBabylon5のIvanovaと連絡を取っていた。 彼女はClarkがまた二隻の戦艦を送り込んできたが、 たちまち自分たちに寝返ったので次のジャンプゲートで合流させると言うと、 彼は冗談めかしてこのままでは一方的な戦いになると答えた。 そしてDelennがMinbariでの仕事を終え、Babylon5に向かっていると知らされ、 顔をほころばせる。 彼はさらにテレパスの準備について尋ね、 回線は医療室のFranklinに繋がった。 FranklinはLytaの助けでインプラントの無効化が出来そうだと報告するが、 司令官がテレパスを使って何をするつもりなのか計画を教えるよう求める。 人払いの後で彼から計画を聴いたFranklinは、 暫くしてから表情を硬くして医療室の外に出て来て、 居合わせたLytaに、 やはり皆が言うように司令官はZ'ha'dumから戻って以来人が変わってしまった、 以前の彼だったらこんな事は考えなかっただろうと呟いた。 そして彼女に長期の任務を引き受けてくれるか尋ね、 頷いた彼女に自分と共に火星に向かう準備をするように言った。

Garibaldiがベッドに座っている所にLiseが夕食を持ってきた。 彼は彼女がなぜ自分ではなくEdgarsを選んだのか、結局は金の問題かと尋ねると、 彼女はそうではなく彼を愛しているからだと反論する。 そしてそれならなぜ一人になったとき自分に連絡してくれなかったと責める彼に、 火星に居た時の彼は彼女ではなく仕事の方ばかり見ていた、 それが耐えられなかったのだと言った。 一度は部屋を出て行こうとした彼女は躊躇って振り向き、 前の夫のFranzに捨てられた後、 そこで自分の事をいつも考えてくれるEdgarsに出会ったという。 そしてもしFranzと別れた直後にBabylon5のGaribaldiに連絡したら 彼は仕事を捨てて自分の所へ戻ってきたかと尋ねた。 判らないと答える彼に、「それでは駄目なの」と言い残して部屋を出て行った。

Edgarsが透明のカバーに覆われた三つのベッドが並んだ部屋に立っている所に Wadeが入ってきた。 Edgarsはベッドの一つの横に座り、 カバーの中に入って寝かされている瀕死の男の肌に触ってみた。 その男の肌は青白く、顔には幾つものできものが出ていた。 Wadeは止めるが、Edgarsは自分には感染しないと言う。 Wadeから薬品の投与を止めて5日目だと聞いたEdgarsは 以前より薬の作用が早まっていると言う。 彼はかすかにうめいた男にもう直ぐ終わると話し掛け、 Wadeに彼らを安楽死されるように命じて部屋を出て行った。

深夜にGaribaldiはEdgarsのオフィスに現われ、 色々と考えた結果彼に協力すると決めたと言った。 Edgarsはそれを喜ぶが、計画の全てを話すには 彼が本当に信用出来る事を示す必要があると言う。 そしてそのためにSheridanを捕えてClarkに引き渡す事を求めた。 始めGaribaldiはそうすれば彼は殺されると言って反対するが、 Clarkは公判を開くまではSheridanを殺さないから、 その前に手を打てるとEdgarsに迫られ、遂に同意した。 そしてSheridanを捕えるならまずその父親のDavidを先に捕えるべきだといった。 彼によるとDavidはCentauri製の特殊な薬品が必要な病気に罹っており、 その薬品の線から辿れば必ず居場所を特定できるという。 そしてSheridan本人を罠にかけるのは自分がやると言い、あす出かけると言って 部屋を出て行く彼に、正しい事をしている事を忘れるなとEdgarsは声をかけた。


印象に残ったシーン、台詞


Memo

始めの部分のGaribaldiの独白によると、火星には200万人が住んでいる。

二回に渡るSheridanの艦隊が進軍するシーンで、 Omega級戦艦には"F"の文字が入っていた。 もしこれが艦名の頭文字なら、この艦はFuriesという事になるが、 前回の話ではFuriesはProxima3の防衛に回ったはずだった。

今回も前回に引き続きIvanovaの台詞の中に名前が出てくるだけで Delennは登場しない。 このまま行くと彼女とJohnとは、地球との戦争が決着するまで会えなそうである。

瀕死の状態の三人は恐らくテレパスだろう。 Babylon5でLiseが受け取ったのが、 投与を止めたと言っていた薬品だろう。 どうやらEdgarsはテレパスだけを発病させるウイルスと、 それを発症させない薬品を両方開発したようだ。

Edgarsが最後にGaribaldiに言った「正しい事をしている」という言葉は、 嘗てNightWatchの連絡員がZackに言った言葉と 同じである。 どちらも物語の筋としては全く逆の「間違った」行為を決断した時に言われている。

Garibaldiを拉致したのがEdgarsの組織だとすると、 その時にあった事について尋ねたのは、 Garibaldiが記憶を取り戻していないかを探る目的だったのだろうか?

EdgarsがGaribaldiにテレパスによる支配が始まろうとしていると警告するなかで、 1917年のロシア(ロシア革命による共産党の権力掌握)、 1939年のベルリン(ヒトラー政権誕生)に続いて、 2030年のイラクと2112年のパリが、 「民衆が独裁者へ権力を与えた」例として挙げられている。 前者はその直後に言及された「ジハード党」と関係あるようだ。 また後者は、地球同盟が成立する過程での、一時的な揺り戻しらしい。
この2030年のイラク、JMSがどこまで考えていたのか判らないのだが、 フセイン政権崩壊後に却って泥沼化したイラクの現状を見ると、 十分に起こりうるのでは、と感じてしまう。

Franklinが恐怖を感じるほどの、Sheridanの命令の内容は何だったのか? テレパスをShadow艦を同化して利用する計画だろうか? (川崎さん、わたるママさんの推測) Shadowは銀河を去ったが、確かに彼らの艦は残っている可能性がある。 しかし例えば火星の地下にまだ埋もれているものが有るのだろうか?


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