Babylon5 #104

#104 And All My Dreams, Torn Asunder

粗筋

夜明け前にJohnがふと目を醒ますと、隣に寝ているはずのDelennの姿が無かった。 寝室を出ると彼女は居間でろうそくを点し、一心に祈っていた。 彼は彼女に明日に備えて眠っておくように言うが、彼女は何も答えない。
朝になって再び起きてきた来たJohnがシャワーを浴びて出てきたとき、 彼女は未だ祈り続けていた。 その様子を黙って見てから寝室に引き返したJohnは、 ベッドに腰を掛けて靴を履こうとして取り落とす。 そのときDelennが戻ってきて、黙って隣に座った。 そのシーンに彼の言葉が重なる。

誰の人生にも、知りたくない事を知り、自分の気が進まない事を しなくてはならない、そんな時が来る。 今がその時だ。

Londoは会議室へ向かう通路を封鎖しているZackと押し問答をしていた。 彼はCentauri共和国は同盟の顧問であり、現在行われている秘密総会に参加する権利が あると主張するが、あなた方は招かれていないとZackは答え、 これ以上事態を悪化させないでくれと宥める。 それを聞いたLondoは憤然として引き返すが、 彼に付いてきたVirは、「これ以上悪化する事などあるのですか」と言い捨てた。
その秘密総会の冒頭、SheridanとDelennは大使たちに、 過去六ヶ月間の襲撃事件について調査してきた結果、 Centauriが黒幕である事の決定的証拠を得たと報告する。 そして、黒幕を突き止めれば総会のいかなる決定にも従う、 という以前の約束を守ると誓ったあと、証拠を次々と提示し始めた。
まずFranklinが、襲撃者が使っている高エネルギー兵器のビーム周波数が Centauriのそれと一致している事を説明する。 次にGaribaldiが、Drazi本星で自分が襲われたときに拾った Centauri王宮の衛兵のボタンを提出すると共に、 襲撃に関する秘密調査に関する情報がLondoから漏洩していたらしい事を示唆した。 これらの証拠に関する報告書は、また本人たちによって 部屋に篭ったLondoの元にも届けられていた。 次にLondoの元を訪れたのはG'Karだった。 自分のボディーガードという名目でCentauri本星を訪れ、 スパイしてきた内容を証言するのかと皮肉るLondoに、 それは違う、自分は本心でお前を守るために行ったのだし そのときに知りえた事は証言しないとG'Karは答えるが、 あのときLondoはCentauriの軍事物資生産が増加したり 艦隊が異常な動きをしているのを知り、 その直後に全ての情報が機密にされた事を指摘し、 彼がそれ以上政府を疑わなかった事を暗に責めた。 そして総会が彼を待っている事を告げる。

総会の場でLondoは、 提示されたのは疑わしい状況証拠に過ぎず、 Centauriは捏造の被害者だと主張した。 そして自分に示された証拠書類を引き裂き、 これはジョークだと言って部屋を出て行こうとする。 そのときDelennは彼を呼び止め、Lennierを呼んで最後の証拠を提出させた。 Centauri艦隊によるBrakili船団襲撃の記録映像が議場で提示され、 LondoだけでなくSheridanやDelennまでもが、呆然としてその映像を見詰めていた。 記録映像が終わった後、SheridanはLondoに何か弁明はあるかを尋ねるが、 彼は何も無い、政府と話してからだとだけ答えた。 それに対しSheridanは、Centauri政府へ伝えて欲しいと言って、 惑星間同盟は艦隊を送ってCentauri艦船を領域境で完全に封鎖し、 もし制止を無視すれば攻撃して拿捕すると宣言した。 この措置はCentauri政府が事件を謝罪し、賠償を支払うまで続けられる。

次の同盟総会まで一時間しかないのに、政府からの返答がない事にLondoは 苛立ちを募らせていた。 Virは嫌疑が事実なので返答ができないのではと言うが、 そんな馬鹿な事があるものかとLondoは答える。 やっと本星の大臣から通信があり、 提示された証拠はすべてでっち上げだという摂政からの返答が伝えられる。 そしてLondoに、総会での返答の訓令が送られた。
再開された総会の席で、Centauri共和国は同盟による封鎖を認めないとLondoは宣言した。 Centauriは同盟を脱退すると共に、 全ての輸送船に戦艦の護衛を付け、 攻撃に対しては必要な全ての措置を取り、 彼本人は直ちにCentauri本星に戻ると言うLondoに、 一旦戻ればもう戻れないと言ってSheridanは引き止めるが、 それがそちらの望みならもう戻らないと答えてLondoはVirを連れて議場を後にする。 次のCentauri本星行きの便を予約するように命じる彼をVirは諌めるが、 自分が本星に戻って嫌疑が晴れれば直ぐにここに戻れると彼は言い、 VirはCentauriの代表としてBabylon5に残るように命じた。

G'KarはDelennを自室に呼び、 Londoに同行してCentauri本星に行く決意を告げた。 それを聞いて驚く彼女に、 Londoは事件の真相を突き止めて同盟脱退を止めようとするだろうが、 その結果彼の命はさらに危険なものとなるだろう、 彼だけが事態を収拾できるのだからどうしても守らなくてはならない、 とG'Karは説明する。 理解しながらも、もし開戦となればここに戻れなくなると言う彼女に、 彼は自分の本の始めの部分の訂正ページを渡し、 その部分は今より怒りに囚われていた頃に書いたものだから直したいと言って、 もし戦争になって自分がCentauri本星から戻れなくなったら Narn本星にその訂正版を送るように求めた。 Delennは彼の眼を見つめ、「あなたがすばらしい作家だ、 あなたと一緒に仕事が出来て光栄だった」と労う彼女に、 彼は「君の目には、私の来世まで余りうるほどの感謝の念が見て取れた。」と返し、 二人は別れを告げた。

SheridanはZackにGaribaldiの居所を尋ねるが、 一時間以上探しているが見つからないという返事だった。 実はその頃、彼は部屋で酔って眠っていた。 直ぐに彼を連れてくるように求められたZackが部屋のチャイムを何度も鳴らし、 ようやく目を醒ましたGaribaldiはグラスを隠してドアを開ける。 しかし彼の様子を見て直ぐに酔っているらしいと気が付いて意見するZackに、 彼には自分に意見する資格などないと彼は反発する。 そしてこの事を大統領に報告されれば首になり何もかも失ってしまう、 自力でやり直すチャンスをくれと頼む彼に、 Zackは疑わしげに頷く。
やがて現われたGqaribaldiに、SheridanはCentauriと同盟との交戦を避ける 作戦を説明した。 同盟諸国の艦隊はジャンプゲートの出口を封鎖し、 Centauriの輸送船団を待ち構えている。 輸送船を護衛しているCentauri艦隊は、 DraziやBrakiliの艦隊になら勝てると思って攻撃するだろうが、 WhitreStar艦隊が相手なら交戦を避けて引き返すだろう。 現在WhiteStarが亜空間でCentauriの動きを監視しているので、 Garibaldiが連絡係を務め、 何か動きがあれば直ぐに自分に連絡して欲しいと彼は話し、 Garibaldiは快諾した。

Centauri本星の王宮に到着したLondoとG'Karは、 上空を次々と通過するCentauri艦隊を見上げていた。 二人を迎えた大臣は、 Londoの言葉に免じてG'Karの同行は認めるが、 もし彼が一人でうろついていればその場で射殺すると宣告する。 そしてLondoの摂政との面会要求を、 何事にもふさわしい時期があると断わった。

亜空間でCentauri艦隊を監視していたWhiteStar47から、 異常な動きがあるので至急大統領に知らせてくれという通信が Garibaldiに入った。 しかし彼はまたも酒に酔って眠っており、 しかたなくWhiteStar47はそのまま艦隊の後を追う。
Darzi宙域のジャンプゲートに、Centauriの輸送船と護衛艦隊が現われた。 封鎖していたDrazi艦隊の警告に答えずにCentauri艦隊は直進し、 後から現われたWhiteStarの呼びかけも無視して 双方は戦闘を始めた。

寝室で眠っていたJohnとDelennの元に、ZackがDrazi宙域で戦闘が始まった事を 知らせに来た。 同じ頃VirはLondoの部屋で、Centauri王宮と通信していたが、 応対した大臣は緊急連絡のためにLondoに繋いでくれという要求を相手にせず、 一方的に通信を切る。 そこにFranklinが急いで入ってきて、 直ぐに部屋を替わるように求めた。 戦闘の噂が広まり、Centauriの攻撃で殺された種族の民間人が 復讐を叫んでいると彼は話し、 新たな部屋を用意し、Centauri王宮との通信も確保してあると説明する。 通路で二人はVirを捕えようとするBrakili人数人に囲まれるが、 Franklinが説得する隙に彼らを殴り倒し、 安全な部屋に避難した。

会議室ではSheridanが なぜ何の連絡も無かったのかとGaribaldiを糾弾していた。 Garibaldiは、解りません、こちらの監視を掻い潜ったCentauri戦艦が居たのでしょうと 言い訳をする。 そこにCentauriの攻撃を知った各国の大使たちが押しかけ、 止めようとするLennierやZackと押し問答になる。 WhiteStar艦隊は何をしているのか、なぜCentauriへの攻撃命令を出さないのかと激高する 彼らにSheridanも苛立ちを爆発させ、 我々はは平和や協力について話し合ってきたが、 君たちはそんなものを望んではいないんだろう、 戦争が望みなんだろう、その望み通りに戦争になったぞ、と叫んだ。

Centauri王宮では深夜にLondoの部屋のドアが激しく叩かれた。 G'Karがドアを開けると、大臣が衛兵を連れて入ってきて、 同盟との戦争が始まった事を告げる。 そして現在も同盟顧問であるG'Karを戦争終結まで逮捕監禁すると宣告した。 Londoはそれを許さないが、これは摂政直々の命令でそれに背いた者は死刑だと大臣は告げ、 それなら自分をG'Karと一緒に牢獄に入れろ、 まさか首相にそんな事は出来ないだろうと言うLondoを 本当に逮捕してしまった。 G'Karと同じ牢獄の中で彼は、 「我が神よ、麿はときどき何もかも解らなくなります。」と呟く。

その夜、Delennはまたろうそくを点し、床に座って祈りを始めようとしていた。 ろうそくの炎は何を意味するのか尋ねるJohnに、 「命よ」と彼女は答え、半ば独り言のように祈りの意味を話す。 Johnも彼女の横に座り、二人は黙って寄り添いながらろうそくの炎を見つめていた。


印象に残ったシーン、台詞

Delennの祈りのシーンで始まり、また二人の祈りのシーンで終わる演出が印象的だ。 二人が多くの犠牲を払って築いた平和への道が、 今あっさりと崩れようとしている。

私たちは皆、星の中心の分子として生まれるわ。 政治や政策や違いを理解しない分子として。 だけど愚かにも自分の本質と由来を忘れたの。 そしてエゴの極みで名前を名乗り、国境を巡って戦い、 自分たちの光が一番だと思ってるわ。 炎を見ていると私たちの中心に残る星のかけらを思い出す。 煌きが語るの、馬鹿は止めろ。 そして命は尊いと気付くのよ。 どの炎も違うから、消えるともうそれきりで全く同じ炎は蘇らない。 今夜多くのろうそくが消える。 これから先、一体どうなるの・・・。
We are all born as...molecules...in the hearts of a billion stars. Molecules that do not understand politics, policies, or differences. Over a billion years, we foolish molecules forget who we are and where we came from. In desperate acts of ego...we gives ourselves names, fight over lines on maps, and pretend that our light is better than everyone else's. The flame reminds us of the piece of those stars that lives on inside us. The spark that tells us..."you should know better". The flame also reminds us that life is precious, as each flame is unique. When it goes out, it's gone forever...and there will never be another quite like it. So many candles will go out tonight. I wonder some days...if we can see anything at all.
最後の祈りのシーンでのDelennの言葉。


Memo

前回JohnとDelennが、Centauriが襲撃の犯人である事を示す証拠を前に とても深刻な様子だったのがやや違和感があったのだが、 今回の展開を観て行くと、そのためらいが大国Centauriとの対決は 出来たばかりの新同盟にとって荷が重い事によるものだった事が解る。 Minbariも地球もどうやら艦隊を派遣する気はないようで、 そうするとCentauri戦艦と互角に戦えるのは、 WhiteStarとNarnの残存戦艦だけと思われる。

総会の場を後にする際にLondoがもうここには戻らないと言い残したのは、 実際にそうなる可能性が高い。 彼は以前にも、皇帝に即位すればBabylon5にはもう戻る事がないとZackに洩らしていたし、 このまま行けばKeeperの虜になってそのままCentauri本星と運命を共にする可能性が高い。
一方G'KarがLondoに同行する事を告げた際に、 Delennは彼がもう二度と戻らないと覚悟したような別れの言葉を告げ、 G'Karもそれを前提としたような返事をしている。 しかし彼の方は戦争終結後に戻ってくるようだ。


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