Babylon5 #50

#50 Dust to Dust

粗筋

Zocaloでは店先に反Clark大統領のポスターを並べた売店の店主が、 Night Watchの腕章をした警備と口論していた。 通りかかったSheridanは、ここでは言論の自由が保証されており、 ポスターは大統領への攻撃ではなく、その職にある人物への攻撃に過ぎない と言って、店主の肩を持った。 店主が満足して去った後で、 SheridanはNight Watchの警備に、今度このような事があれば 責任者を処罰する、と警告する。

GaribaldiとIvanovaの元に、 Psi CopのBesterから7時間後にBabylon5に到着する、 というメッセージが届く。 それを聞いたSheridanは軍事委員会を招集し、 Besterに意識を探られないための対策を協議する。 Ivanovaは、いっそ彼の船を撃墜しようと言い出すが、 Sheridanはそれを却下し、 暴力的でないDelennの提案が受け入れられる。

DownBelowで錯乱状態になった男が医療ラボに運びこまれ、 Franklinは彼がDustという麻薬を使用した事を確認する。 この麻薬はテレパシー能力を引き出す作用があり、 服用すると他人の考えがそのまま脳に入ってくるため、 その強力な刺激でショック状態になる。 いわば精神的なレイプが出来、襲われたテレパスは廃人化する事もある。 この所、基地ではDustの中毒患者が立て続けに出ていた。
一方入港ゲートでは、Minbariから戻ってきたVirをLondoが迎えていた。 上機嫌のVirはLondoの問いに、 戦士カースト以外のMinbariはとても親切だったと答え、 彼らから贈られたMinbari風の服を見せる。 しかしLondoは、自分がCentauriの代表である事を忘れるなと Virに釘をさした。

Besterの船が入港許可を求めてきたとき、 当直のIvanovaは他のスタッフを退室させ、一人で船に対する攻撃命令を出す。 彼女の考えでは、Delennの提案した策ではBesterに対しては不十分だった。 しかし彼女の攻撃命令は、 ぎりぎりで入ってきたSheridanによって取り消される。 彼は、こんな事でキャリアを棒に振る気かと、Ivanovaを諭す。

Besterが危うく殺されそうになった、と怒りながら会議室に入ってくると、 SheridanらがMinbariのテレパスたちに囲まれて座っていた。 Sheridanは彼に、「君が我々の心を読むのを阻止するために、 このような対策をした。私は君が大嫌いだし、 Taliaの一件以来全く信用していない。」と告げる。 それに対してBesterは、Sleeperプログラムは前任者が開発したもので 自分は知らなかったと釈明するが、 「その後、彼女は解剖された。」とGaribaldiを挑発する。 Garibaldiは激高するが、Ivanovaに挑発に乗らないようにと窘められる。
結局Besterは、テレパスたちを退席させるために、 テレパシー能力を一時的に消す薬の注射を受ける事になった。

その頃、DelennとLennierはCentauriとDraziとの領土交渉に同席して、 両者の仲裁を試みていた。 しかしLondoはCentauriが戦争の始めに要求していた以上の惑星の割譲を求め、 いやならNarnと同じ目に遭うとDrazi大使を脅迫し、交渉は決裂する。 両者が怒って出て行った後、残ったVirはDelennに、 Minbari赴任に口を利いてもらった礼を言う。 Lennierは、Londoはすっかり悪くなってしまい、 もはや自分たちでは救えないと言うが、 Virはそんな事はない、とLondoを庇う。

数時間後、Franklinからの注射によって能力を失ったBesterは 本題を切り出し、「大量のDustがこの基地で密売されようとしている。 異星人の手に渡るのを何としても阻止しなければならない。」と告げた。

そのころG'Karは密売人と会って、Dustの取引の相談をしていた。 Narnにはテレパスが存在しないため、彼はDustを用いてその能力を引き出し、 対Cautauriの武器にしようと考えていた。 先にサンプルを貰うが、 密売人は「異星人にはどのような作用があるか判らない」という。

いやいやながらBesterと協力する事になったGaribaldiは、 一人の情報屋を捕らえてきた。 始め彼はしらを切るが、Besterの巧みな演技によって、 Dustの大物密売人が来ていて、 Downbelowの一角で取引が行われるらしい、と話す。 二人は密売人を待ち伏せし、一網打尽にすることが出来た。

G'KarはサンプルのDustを自分で服用して、 よろめきながら部屋を出て行き、Londoの部屋に押し入った。 そのときLondoは、Virが本国に提出する報告書に目を通していたが、 Minbariを絶賛する文面に一々けちをつけていた。 そこにやってきたG'KarはVirを殴り倒し、 Londoを拉致してDownbelowへ向かう。 そしてLondoの記憶を読んで、 彼がBabylon5の大使になったのは左遷人事だった事を知り、 Londoの心の中で大笑いする。 さらに彼はLondoの記憶を探り、 彼がNarnへの戦争を始めた張本人だった事を知る。 さらにLondoの記憶の奥底に分け入り、全てを暴こうとしているうちに、 突然「十分だろう」という声が響いた。 それはG'Karの死んだ父の声で、 彼の目の前に、Narn本星で気につるされた父の死の場面が現れる。 彼の父は死ぬ前に、自分の名を称えるように彼に頼んだのだった。
その姿を呆然と眺めるG'Karの耳に、別の声が聞こえた。 振り向くと、そこにはNarnの老人が居り、 このままお互いの罪を追求して復讐の連鎖を続けて行けば NarnもCentauriも共倒れする、 重要なのは責任の所在ではなく、誰が苦しむのかだと言う。
G'Karは、しかし父の名を称えると誓ったのだ、と叫ぶが、 老人は、Narnは滅びようとしている種族であり、 それなら名誉を持って他を救うために戦うべきだ、 皆が救われるには、誰かが犠牲にならなくてはいけない、と老人は続ける。
老人の姿が消えた後、別の声が、今ここで選択するように彼に告げた。 なぜ、今になってそういうのか、これまであなたは何処にいたのか、 とG'Karが神に問いかけると、 「私はずっとここに居た。」 声は答え、G'Karは白く大きな羽を広げて空へと上って行くG'Lanを見た。
幻想は消え、G'Karは倒れたLondoと残された。 顔を手で覆って泣き伏すG'Karと気を失っているLondoから 少し離れて佇んでいたのはKoshだった。 彼はそっとその場を離れる。

やがて発見されたLondoは医療ラボに運ばれ、 やはり負傷したVirがベッドの横に付き添っていた。 一方G'Karは裁判にかけられ、Sheridanは彼を弁護するが、 彼は自ら有罪を認め60日の禁固刑が言い渡される。 Garibaldiは彼にG'Quanの書を返そうとするが、彼は受け取らなかった。

薬の影響が切れる頃、BesterはGaribaldiと別れ、 別のPsi Copが彼を迎えにきた。 二人の会話から、DustはもともとPsi Copがテレパス発掘用に開発した事が示唆される。


印象に残ったシーン、台詞

G'Karと老Narn人との会話
老Narn人: 我々は滅び行く種族だ、そしてCentauriも。 もはや、お互いを殺す事しか頭になくなってしまった我々には、 死がふさわしい。
G'Kar: でも、仕掛けてきたのはCentauriです。
老Narn人: 続けるつもりか? Narn人もCentauri人もこの世に居なくなるまで。 両方が死に絶えるなら、どちらが悪いかなど、どうでも良い事だ。 責任の所在よりも重要なのは、苦しむのは誰かという事だ。
G'Kar: そんな・・・。 私には、父さんの名を称える義務があるのです。
老Narn人: だが、どうやってその名を称えるのだ。 全ての創造物が居なくなったら、我々Narnには何も残らない。 望みも、夢も、未来も、命もない。 終わりのない殺し合いを止めて、もっと大きなものに目を向けるのだ。 我々が滅び行く種族なら、他の者たちを救って名誉の死を遂げようではないか。
G'Kar: そんな事はできない!!
老Narn人: お前は憎しみで心が乱れ、目が曇っている。 戦いの本質が見えていない。 我々は互いを救うために戦っているのだ。 孤独ではない。 今のままでは共倒れだ。 助かるためには、誰かが犠牲にならなくてはならない。 そうしなければ、いずれ我々は誰一人助からず、 Narn人も滅びてしまうだろう。
別の声: G'Karよ、今こそ正しい選択をするのだ。 より偉大で気高い存在となり、 より険しい道を歩むために。 宇宙は二度とこのようなチャンスを与えてくれないぞ。
G'Kar: なぜ今頃・・・。 もう手遅れでは・・・。 今まであなたは一体何処に居たのです。
別の声: 私はずっとここに居た。

Memo

Besterは自分たちPsi Copもまた、 彼らなりの方法で地球の為を思って働いている、 と主張していたが、後の普通人を劣等種と見なしている発言からしても、 額面どおりには信用できない。 それはTaliaをめぐる発言についても同様で、 「解剖された」と言うのが本当は不明だ。

Delennが仲裁したCentauriとDraziとの話し合いで、 Drazi側の代表の一人の名はVizakだった。 恐らくDraziの在Babylon5大使だろう。

G'Karの観た幻影に最後に現われたG'Lanは、Narnの宗教上の天使のような存在である。 これはまた、KoshがSheridanを救ったときに G'Karが見た姿であり、 この幻影がKoshによって見せられた事を強く示唆している。


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