Babylon5 #86

#86 Endgame

粗筋

Sheridan率いる開放艦隊は、亜空間を火星に向けて進んでいた。 その一隻のMinbari艦の中では、 意識のないIvanovaのベッドの横でMarcusが見守っていた。 Delennが病室に入ってきて、彼にIvanovaをBabylon5に送る輸送船の準備が出来たと告げた。 死んでゆく彼女はここで戦いに参加したいだろうとMarcusは言うが、 Delennは彼女が最後の時を安らかに過ごせるようにBabylon5に送る必要があると説明した。 MarcusはIvanovaの手を握り、黙って部屋を出て行った。 Delennも悲しげに彼女の顔を眺め、暫くして病室を去る。

火星のレジスタンス司令部では、攻撃の最終準備が進んでいた。 打ち合わせをしているFranklinとLytaの前にNumberOneが、 味方の地球軍士官を連れてきた。 30名のテレパスの入った冷凍カプセルを補給物資に紛れ込ませて 地球軍の各戦艦に積み込ませるように言われた彼女は、 テレパス一人で何が出来るのかと疑問を呈したが、 Lytaに遮られた。
その頃Garibaldiとその部下は、地表で軍の補給基地を偵察していた。 彼らの見守る中、補給船が飛び立ち、 火星周辺に展開している地球艦隊へ向かった。

補給基地の周囲の監視壕では、 監視員がSheridan軍の攻撃にあわせてレジスタンスが動いてくる事を警戒し、 別の監視壕へ報告を求めていた。 その応答が無いのを不審に思った一人が通信員に尋ねたとき 彼女は酸素マスクを被って、「ここと同じ事が起こっているから」と答え、 PPGを突きつける。 突然ドアが開き、NumberOneらのレジスタンスたちが突入して 監視要員を制圧した。 先ほどの通信係はレジスタンスに、他の監視壕への警報はされなかったと言う。 いっしょに監視壕に入ったFranklinは、Lytaの頭に何かの装置を取り付ける。

解放艦隊の旗艦AgamemnonのブリッジにSheridanは立ち、 このような恐ろしい日が二度と来ないように願っていると ブリッジ士官たちに言った後で、艦隊の各艦に最後の指示を始めた。 彼らはまず火星の基地を制圧し、挟み撃ちを食う可能性を排除する。 味方に加わった地球軍の艦船とWhiteStar艦隊が地球に向かい、 惑星連合の艦船は背後の警戒に当たる事になっていた。

同じ頃火星周辺に展開している防衛艦隊の旗艦Apolloでは、 Lefcourt将軍が指揮を取っていた。 亜空間に動きがあるという艦長の報告に対し、 亜空間での戦闘は双方にとって危険過ぎる、 いずれSheridanたちは通常空間に出てくると将軍は答える。 そして艦長の問に対し彼は、自分が指揮を取るのは地球に反旗を翻す可能性が無く、 かつ士官学校での教え子であるSheridanを良く知っているからだと言う。 将軍はSheridanを高く買っていたが、その彼と周囲の人間を殺さなくてはならない、 こんな恐ろしい日が来るとはと述懐した。 そして艦隊に、寝返った地球の艦船を含め国籍に関わらず全ての敵艦は 攻撃対象だと訓示し、陣形を取るように命じた。

火星の監視壕では、FranklinがLytaに装置の装着を終え、 彼女はテレパシー信号を送るために壕の外に出て行った。 Garibaldiは艦隊に合図の信号を送る。

亜空間に待機しているWhiteStarのブリッジでは、 Lennierが考え事をしているMarcusを見て、 またIvanovaの事を考えてるなと声をかけていた。 Babylon5が彼女を救う最後の頼みの綱だと言うMarcusに、 あまり期待しない方が良い、Babylon5には使えるものは何も残っていないと Lennierは言い切った。 何が言いたいのかとMarcusが追求するのに対しLennierが何か答えかけたとき、 Garibaldiからの信号が入った。 彼らはSheridanに連絡し、同時に作戦行動に入る。

Garibaldiが皆に大気圧の減少に注意するように指示した直後、 火星の大気圏内にジャンプポイントが開き Marcusの指揮するWhiteStarが出現して地上基地への攻撃を始めた。 その知らせを受けたLefcourt将軍は、敵の陽動作戦だとして陣形の維持を命じる。 そしてここで敵が攻撃を始めたのは何か切り札を隠しているからでは考え込んだ。
その頃火星では、Lytaが上空の戦艦に潜入させたテレパスたちに テレパシーを送っていた。 壕のなかではテレパス一人で何ができるのと疑問を挟む通信員に、 Franklinが自分たちの作戦について説明を始める。
彼らはShadowのインプラントを脳に埋め込まれており、 Lytaの信号によって目覚めると、同化するための機械を探し始める。 そしてシステムに侵入して戦艦を制御不能にする。
それを聞いた通信員は、テレパスを生きた武器として使うのかと食って掛かるが、 Franklinは彼らは実際に武器であり、 多くの人命を救うためにはやむを得ない犠牲だと言い切る。 しかしそう言う彼自身、自分の言葉に納得していない様子だった。
防衛艦隊戦艦の中ではテレパスたちが目覚め、行動を開始した。

Lefcourt将軍の予想通り、Sheridanの艦隊は亜空間から火星の近くに出現した。 しかし彼が命令を下す前に、Apolloを始めとする戦艦のシステムに異常が発生し、 相互の連絡が取れなくなると同時に艦は制御不能になった。 将軍はブリッジの要員に原因を突き止めるように命じる。
Sheridanは自分の艦隊に、未だ動ける残り10隻の戦艦を攻撃し、 武器とエンジンを破壊するように命じた。

Apolloの艦内では保安部員が機械を身に巻きつけたテレパスをようやく発見し、 発砲を始めた。 その頃Sheridanの艦隊は防衛艦隊の動ける艦船への攻撃を終了し、 惑星連合の大部分の艦船を見張りに残して WhiteStarとMinbari艦および地球の艦船からなる艦隊は亜空間に入って地球へ向かった。 MarcusのWhiteStarもそれに従ったが、 彼はLennierに艦の指揮を任せてブリッジを離れ、 Babylon5から医療記録をダウンロードして 「死、不治の病、最終手段」をキーワードにして検索を始める。 彼は直ぐに、背中を撃たれて昏睡状態となったGaribaldiに対する 治療の記録を見つけ出した。

制御不能となって漂うApolloでは、 保安部員がようやく送り込まれたテレパスを排除した。 Lefcourtはこのままでは敵の動きを観ているだけになると言って、 機関部員に復旧を急ぐように叱咤する。

亜空間を進むMinbari戦艦のDelennの前に、Lennierが現われた。 なぜ来たのかと怪訝な顔をする彼女に、 Lennierは呼ばれたと聞いたのでと答え、二人は顔を見合わせる。 そのときMarcusのWhiteStarが反転し、艦隊を離れていった。
Marcusが艦隊を離れ、恐らくBabylon5へ向かったとDelennから連絡を受けたSheridanは、 さらに彼女から彼の行動の理由を聞かされて絶句するが、 地球の妨害のためにBabylon5との連絡は出来なかった。 やむなくSheridanは、予定通り亜空間を出る事を艦隊に命じる。

艦隊は地球の上空に現われ、Sheridanは地球の人々への演説を始めた。 彼は自分たちは現政権によって殺された何千もの人々の代理として ここに来たと言い、Clarkを逮捕しNightWatchを解散して 政府を人々の手に取り戻すのが目的だと宣言して、 地球の人々に立ち上がるように呼びかけた。
大統領執務室でClarkはその演説を聞きながら命令書を書いていた。 彼が防御システムのボタンを操作すると、 軌道上の防御プラットフォームが作動を始めて ミサイルが次々と開放艦隊に向けて発射された。 SheridanはWhiteStarとStarfury部隊に迎撃を命じるが、 Starfuryは次々と破壊されて行く。
EarthDomeではCrosby議員が兵士たちの警護を受けて大統領執務室に向かい、 閉ざされたドアが壊されようとしているとき、 Clarkは最後の指示を防御砲に送り、頭にPPGを当てた。 ドアが壊される寸前に彼は自殺し、 Crosby議員らが執務室になだれ込む。 Clarkの机の上の命令書には "The ascension of the ordinary man"と何度も書かれており、 その文字を丸で囲って、"Scorched Earth"(地球を焦土に)という言葉が残されていた。 Crosbyは直ちにSheridanへ連絡をする。 彼女の説明では、Clarkは死の直前に防御砲を地球に向けてセットしたようで、 発射を阻止しなければ地表の40%が壊滅するという。 それを聞いたSheridanは各艦に防御砲への攻撃を命じ、Delennにも援助を求めた。 Delennの命令でMinbariのNial級戦闘機部隊が発進されてStarfury部隊に加わり、 戦艦も一斉に防御砲への攻撃を始めた。 防御砲は次々と破壊されて行くが、 ミサイルの反撃によって艦隊もかなりの被害を受け、 Agamemnonもミサイルの直撃を何発も受ける。 遂にAgamemnonの主砲は破壊されるが、 近くの防御砲は地上への攻撃を始めようとしていた。 Agamemnon以外にそれを止められないと知ったSheridanは、体当たりを命じた。
Agamemnonが速度を上げ、防御砲に向かっているとき、 ジャンプポイントが開いてApolloが現われた。 Apolloの攻撃によって防御砲は破壊され、 Delennが息を呑んで見守る中、Agamemnonは間一髪で炎の中から無事に姿を現した。 全ての防御砲が破壊され地球が救われた事を知ったSheridanは、 James艦長に向かって喜びを爆発させた。 Lefcourt将軍はSheridanに、 Apolloのトラブルの件では査問委員会に出てもらうと言いながらも、 「お帰り」と労いの言葉を掛けた。
戦いの後、DelennとFranklinもSheridanとEarthDomeに向かうのか尋ねたJamesに Sheridanは、Delennは自分の仕事で忙しいし、 Franklinは恐ろしい過ちを止めるためにBabylon5に向かっていると答えた。

ISNのニュースが始まり、放送が中断された際の女性キャスターが復帰した。 彼女は涙で喉を詰まらせながら、 放送の中断後自分たちの仲間の多くが捕らえられ殺された事を話し、 その後Sheridan率いる多国籍艦隊による地球開放のニュースを読んだ。

Franklinは亜空間を飛びながらBabylon5への交信を試みていたが応答は無かった。 彼はLennierに、Marcusが見た自分の医療記録を再生させる。 その中で彼は、Garibaldiを死の縁から蘇らせた装置は 元々死刑執行のための道具であり、 危険すぎるため二度と使ってはならないと述べていた。

Babylon5の医療室への通路には保安部員が倒れており、 あちこちに物が散乱していた。 意識のないIvanovaが横たわるベッドの横にMarcusも横になり、 二人は治療装置で結ばれていた。 彼は意識を失う前に彼女に目をやり、「愛しているよ」と呟いた。


印象に残ったシーン、台詞

"This is Captain John Sheridan. We are here on the authority of a multi planetary force, that can no longer stand by and watch one of their greatest allies falling into darkness and despair. We are here on behalf on the thousands of civilians murdered under the current administration, who have no else to speak for them and on behalf of the earth force units that have joined us to oppose the ternary that has darkened earth, ever since president Santiago was assassinated three years ago. We are here to place President Clark under arrest, to disband Nightwatch and return our government to the hands of her people.
We know that many in the government have wanted to act, but have been intimidated by threats of retaliation against your families, your friends. You are not alone anymore. We call upon you to rise up and do what's right. We have drawn their forces away from earth and disabled them. The time to act is now. This is not the voice of treason. This are your sons, your daughters, whose loyalties have never wavered, whose beliefs in this alliance has forces us to take extraordinary means for justice, for peace, for the future. We have come home!"

John Sheridan司令官だ。 我々は多国籍軍を組織してここにやって来た。 偉大な地球が暗黒と絶望の淵に落ちて行くのをこれ以上傍観してはいられない。 我々は現政権の命令により殺害された何千もの民間人に代わってここにやって来た。 彼らの代弁者としてだ。 また我々に合流した地球軍の代理でもある。 彼らはSantiago前大統領暗殺後の地球を蝕む恐怖政治に対して異議を唱えたいのだ。 我々の目的はClark大統領の逮捕とNightWatchの解散と、 我々の政府を民衆の手に戻す事だ。
政府内に行動を起こしたい人は多い。 しかしながらその報復が家族や友人に及ぶと脅されてきた。 だがあなたたちはもう一人じゃない。 立ち上がって正しい事をすべき時が来た。 地球艦隊は我々が地球から遠ざけ、不能にした。 今こそ行動を起こす時だ。 これは反逆者の声ではない。 彼らはあなたたちの息子で娘なんだ。 彼らは忠誠心を持ち続け、地球同盟を信じてきた。 だからこそこのような非常手段に出たんだ。 正義と平和と未来のために。 我々は祖国に戻って来た。

:地球に対するSheridanの演説。

Memo

Lefcourt将軍の艦隊は戦艦35隻からなっている。 これは相当な数ではあるが、新型ではなく通常のOmega級戦艦である。 WhiteStarはOmega級戦艦よりはるかに強力だし、 Sheridanの艦隊にはMinbariのSharlin級戦艦が10隻近く加わっている。 まともに戦った場合に、果たしてLefcourtの艦隊に勝ち目はあるのだろうか?

Lefcourtによると、亜空間での戦闘は通常空間での戦闘よりはるかに危険らしい。
一方大気圏内でジャンプポイントを開く事は危険だが、 正確な緯度経度の情報があれば可能らしい。 (#52 "
Messages from Earth"も参照) 大気圧の低下は、ジャンプポイントを通って亜空間に大気が吸い込まれるためだろう。

MarcusはBabylon5の医療記録を簡単に閲覧していたが、 Franklinは自分以外がアクセスできないようにしていなかったのだろうか?

Franklinの医療記録から、Cailynが 既に死んでいる事が判る。

Clarkが書き残した"The ascension of the ordinary man"という言葉は 直訳すると「普通人の昇天」となる。 「普通人」とは非テレパスの事だろうか? もしそうなら、この事はEdgarsが危惧していたように ClarkがもはやPsi Corpsの傀儡になっていた可能性を示唆する。

地球を目前にしてのSheridanの演説は、かなり「政治的」に慎重な言い回しだった。 Clarkの恐怖政治を支えたのは、Psi Corps, Night Watch, 公安省と軍という 四つの組織だった。 (c.f. #73 "Epiphanies") しかし彼はその責任をClark個人とNight Watchのみに押し付けて、 残りの三つには言及しなかった。 軍は元々彼自身の出身母体だし、公安省は政府の正式な機関である。 そしてPsi Corpsには100年の歴史があり、容易に手をつける事はできない。 しかしここでPsi Corpsの責任を問わなかった事が、 おそらく後のテレパス戦争に繋がって行くのだろう。


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