Babylon5 #110

#110 Sleeping in Light

粗筋

Shadow戦争が終結して惑星間同盟が設立されて20年が経った地球暦2281年のある夜、 Minbari本星の同盟本部の寝室でJohnとDelennは眠っていた。 Johnは、Z'ha'dumの淵の底で死にかけていた時の Lorienとの会話の場面、 続いてBabylon5でUlKeshを倒した後でLorienが彼に 生命エネルギーを与える場面を夢で観る。 そしてLorienがDelennに彼の余命が 20年であると告げる場面で目を覚ます。
ベッドから置きだした彼は、気配に気付いたDelennには 外の空気を吸って来ると言い、Entil'Zaの制服に着替えてバルコニーに出て 夜明けが近い外の光景を眺めていた。 やがて起きて来たDelennは、勤めて明るく彼に話し掛け、二人はベンチに座った。 ここに来て未だ一度も見ていない太陽が昇る瞬間を見たい、 この目に焼き付けておきたいという彼の言葉を聴いたDelennは顔を曇らせて、 また同じ夢を観たのねと尋ね、彼は頷く。 彼は同じ夢を三晩連続で観ており、 二人ともそれがLorienの与えた彼の寿命が 尽きようとしているのを意味すると解っていた。 暫く悲しげに彼の肩に顔を寄せていた彼女はやがて、 メッセージを送りましょうかと尋ね、彼はそうしてくれと答えた。 そのとき太陽が地平線に顔を出し、二人は朝日を浴びながらその光景をじっと見詰める。

地球では、Ivanova将軍がオフィスで秘書から今日の公務予定について聞かされていた。 彼女が見世物のように講演や儀式に引っ張り出される事に不満を洩らしているとき、 突然ドアが開いて突き飛ばされた警備員が転がり込み、 続いてRangerと彼を止めようとする警備責任者が入ってくる。 IvanovaはRangerが来たら直ぐに入れるようにという自分の命令に反したと 警備責任者を叱りつけ、Rangerの持ってきた文書に目を通した。 そして直ぐにMinbariに向かうと彼らに告げる。

Centauri王宮では、Vir Cotto皇帝がベッドで二人の女性と戯れていた。 突然寝室のドアが開き、 Minbariから特使が着いたと衛兵が告げる。 あわててベッドから顔を出したVirは、 衛兵と共に入ってきたRangerを見て「残念だ」と呟き、 書類を受け取るが目を通さず直ぐに、 今後数日間の公務をキャンセルするように首相に伝えろと衛兵に命じた。 未だ中身を読んでいないのにと訝る衛兵に、 中身は判っていると彼は答える。

火星の豪邸では、 Garibaldiが美味そうに葉巻を燻らせていた。 そこに、仕事の合間に立ち寄り Garibaldiの娘のMaryのテニスの相手をさせられていたFranklinが すっかりくたくたになって部屋に入って来る。 Garibaldiは娘に、Franklinはもう年だから彼女の相手はこれ以上無理で、 自分が替わりに相手になってやると言い、 Maryはコートに戻ろうとするが、 途中でGaribaldiに会いたいというRangerを連れて戻ってきた。 受け取った書類を見た彼はちょっと顔を曇らせるが、 なんでもないと娘には答える。 しかしMaryが出て行ってから、 「例の知らせか」と尋ねるFranklinに「Sheridanが危ない」と頷く。 直ぐに休暇を取ってMinbari行きのチケットを取るというFranklinに、 自分とSheridanとは過去に色々あったが友人だとGaribaldiは言って、 二枚予約するように求める。

Sheridanは到着したFranklinの診察を受けていた。 後どのくらい生きられるかと尋ねる彼にFranklinは始め答えるのを渋ったが、 重ねて問われてあと4,5日と答える。 続いてDelennは大丈夫かと尋ねるFranklinに、 彼女はMinbari人で地球人とは違う、 彼女の考えている事がよく判るときもあるが、 20%も判らない事もある、 けれど彼女は嘗てのGrey評議員であり、大丈夫だと彼は答えた。 そこに当のDelennが入ってきたのを期に、Franklinは暇を告げる。 DelennはJohnに取りすがって、Franklinが何と言ったか尋ねるが、 彼は答えをはぐらかしてパーティーの準備が整ったかを尋ね、 この日を盛大に祝いたいと彼女に言う。

JohnとDelennの他にIvanova, Vir, Garibadi, Franklinが出席した パーティーの席で皆は勤めて明るく振舞い、 Garibaldiが持ち出したPak'ma'raの取り調べでSheridanが反吐まみれになった話で 大笑いする。 しかしIvanovaは一人で自分の世界に浸っている様子だった。 Pak'ma'raの話から、Virが突然Londoの思い出を話し出す。 LondoがPak'ma'raが嫌いだったが、ある日彼らの部屋の前を通ったとき、 この世のものとは思えないほど美しい歌声が聞こえた、 それを聞いていた彼は涙を流して もし神が存在するならこんな声で歌うのだろうと自分に言ったと彼は話し、 Londoとは過去に色々あったがそれでも彼に会いたいと言うと、 その場は静まり返り、皆は寂しそうな表情を浮かべた。 そのときSheridanはグラスを挙げ、今は無き友に乾杯をしようと言った。 「G'Kar」とGaribaldiが言い、「Londo」とVirが続ける。 「Lennier」とDelennが続けると、IvanovaとFranklinが同時に「Marcus」と言い、 六人はグラスを挙げる。

パーティーも終わり、酔いつぶれたVirはバルコニーのベンチで居眠りをしており、 Sheridan, GaribaldiとFranklinは三人で尚も何かを話していた。 Ivanovaは一人で佇んでいたが、ふと通路に出て行くと、 Minbari人従者と話していたDelennが追って来て呼び止める。 自分を気遣うIvanovaに、 20年間この日の事をJohnと話し合ってきたので大丈夫、 でも彼が居なくなれば寂しくなるとDelennは答える。 それに対してIvanovaは、 親しい友人たちが居なくなって行きもう二度と会えなくなる、 そんな現状が嫌でたまらないと答えた。 息子がこの場にいない理由を尋ねられたDelennは、 Drazi宙域でのRangerの訓練中で、 Rangerに入った息子を特別扱いしないと二人で決めたのだと答え、 さらにJohnは古い友人たちとこの夜を過ごしたかったのだ、 息子には思い出を残して去りたいのだと話した。 その後彼女はIvanovaに、 現在Johnが大統領職を退いた後に就任したEntil'Zhaの職を 彼が居なくなった後に引き受けてくれるように頼む。 始め躊躇ったIvanovaだが、 今の状態に満足していないのでしょう、 私と二人で新しいものを築きましょうとDelennに言われて、 考えておきましょうと答えた。 最後に二人は固く抱き合い、Ivanovaは寝室に向かう。 その直後に現われたJohnは、Entil'Zha就任依頼の是非をDelennに確認し、 二人も寝室に引き上げる。

Johnが起きているのに気がついたDelennが声をかけると、 眠くないんだと答えた彼は、 明日は地球では何曜日かなと尋ねた。 そして恐らく日曜日だが、 子供の頃日曜日には父親にドライブに連れて行ってもらったと思い出を語り、 自分も明日の朝、行く先を決めずにドライブで出かけると言い出した。 彼の意図を察したDelennはショックを抑え、他の皆にはどう言うのか尋ねるが 彼らが起きてくる前にそっと出かけたい、 自分は最後に宇宙に出て宇宙を感じたいと彼は答え、 さらに次のように続けた。
自分とDelennが同盟と築いてきたものは半ば神話となったが、 このまま自分がMinbariで死ねばその話は平凡に終わってしまう。 しかし宇宙で行方不明になれば神話は続き、 また「星の海への旅立ち」というMinbariの伝統にも合致しており、 Minbari人により受け入れやすい。
それを聞いたDelennが最後まで彼は戦略を考えていると言うと、 その点が君の好きな所だろうと彼は答える。 しかしDelennは、そうではない、でもあなたを愛していると答え、 二人はベッドの上で固く抱き合った。

夜明け前に、SheridanはBabylon5司令官時代にDelennが贈った制服に着替えていた。 彼が通路に出ると、向かい側に白い服で着飾ったDelennが立っていて、 今日は日曜日だからおめかしをして来た、 ドライブにはもってこいのすばらしい天気だと告げ、 出かけるなら皆が起きてくる前に出発しないと、と続ける。 彼が後ろから彼女の肩に手を置くと、 それまで精一杯気丈に振舞ってきた彼女は耐えられなくなり、 いきなり振り返って彼の腕の中に崩れた。
「おやすみDelenn、私の空の中で最も輝く星・・・」 涙を流しながらJohnがこう言うと、 目に涙を湛えた彼女はやっと、 「おやすみなさいあなた、私の空、私の太陽、私の月・・・」 と答える。 最後に彼は彼女の頬に右手を当て、 しばしの間二人はじっと見つめ合った。 そして彼は背を向け、ゆっくりと歩み去る。 彼女はその姿に左手を差し伸べ、彼は角を曲がる時に一瞬躊躇ったようだったが、 そのまま振り返らずに見えなくなる。

小型艦にただ一人乗って出発したSheridanは、Babylon5に現われた。 がらんとした入港ゲートを出るとそこに居たのは警備員が一人だけで、 彼の姿を見て慌てて姿勢を正す。 直ぐに司令官が飛んできて、出迎えをしなかった非礼を詫びるが、 彼はちょっと寄ってみただけだと答えて、 他のものは何処に居るのかと尋ねる。 それに対し司令官は、この基地は数年前に地球に返還された後にその役目を終え、 もはや誰も立ち寄らなくなり予算も削減されたため閉鎖して取り壊される事になり、 残っているのはほぼ閉鎖要員のみだと答える。 それを聞いたSheridanは、自分と同じ境遇だなと一人ごちた。
人気の無いZocaloに立ち、 自分がZ'ha'dumから生還して群集に結束を呼びかけたときの思い出に耽っている彼に、 何時の間に現われたZackが声をかける。 彼もまた警備主任時の制服を着ており、 地球に戻っていたが退屈で、ここの最後を見届けるために戻ってきたと説明し、 それを聞いたSheridanは彼宛てのメッセージが戻ってきた理由を納得する。 ここに居ると、嘗てここで暮らしてきた25万人の人々の声が聞こえるような気がすると Zackは言い、Sheridanが解体式典に参加するために来たのだと思って食事に誘うが、 ここにはちょっと寄っただけで直ぐに出発して Shadow戦争終結の場であるCoriana星系に向かうと彼は答えた。

Coriana6の近くに到着したBlueStarの中のSheridanの生命徴候が弱くなったと 艦のコンピュータが警告している頃、 MinbariではDelennが一人のベッドに横たわり、空いている彼の場所に手をやってから 枕を抱きしめていた。 彼はさらに自ら艦のシステムをオフラインにし、 ぼんやりと外の宇宙を眺める。 そのとき、正面に明るい光の球体が現われ、 「君は誰だ、何が望みだ、何故ここに居る?」というLorienの声が響く。 そして「何処に行くんだ?」という声に振り向くとそこにLorienが立っていた。 「忘れられたかと思っていたのか? 我々は君をずっと待っていた。」とLorienは言い、 「辺境の向こうで?」と問うSheridanに頷く。
「私は帰れるのか?」とSheridanが尋ねると、 「いいや、旅は終わった。次の旅が始まるまで、今は休息のときだ。」とLorienは言い、 外が明るくなって船内にも光が溢れる。 Sheridanは微笑み、「あの光は・・・、太陽が昇ってゆく・・・。」と呟いて 光の中にその姿は溶け込んだ。 やがて内部の光は消えた艦は、無人のまま残された。

以下は、Ivanovaのナレーションが続く。

数日後、Coriana星系でSheridanの船が見つかったが、彼は見当たらなかった。 エアロックは閉じていたが、内部に彼は居なかった。 一部のMinbari人は彼の復活を信じている。 しかし私は彼に会う事はなかった。
Babylon5の通路を歩いてきたIvanovaは、 移動チューブの前で待っていたVir, Zack, Delenn, GaribaldiとFranklinに合流する。 六人はチューブに乗り、出発ベイへと向かった。 彼らがシャトルに乗った頃 最後に残った作業員がシャットダウンスイッチを切って、 基地の明かりは全て消えた。 やがてシャトルがエアロックから出て行き、 同盟各国の戦艦が二列に並んだ中を通過する。 各艦が基地の周りを離れると直ぐに、 基地は内部から爆発を開始し、爆発は後方から先端へと進んで バラバラに飛散していった。
Babylon5は最後のBabylonステーションだった。 それ以降は作られていない。 基地は未来を変え、我々も変わった。 未来は自分で切り開くもので、他人に委ねるものでないと教えてくれた。 互いに思いやらなければならない事も、 我々がやらなければ誰もやらない。 真の強さは最も意外な場所から生まれて来る事も教えてくれた。 そして基地は、私たちのような者にも常に新たな始まりはあり得る、 そういう希望を与えてくれた。 Delennはその後、生きている間は毎朝欠かさず夜明け前に起きて、 太陽が昇るのを眺めた。
残された人々のその後の姿が映し出される。
Garibaldiは火星に戻り、娘の寝顔を見ていた。
地球に戻ったFranklinは相変わらず、 種族に関わらずに患者を救おうと奮闘している。
Centauri王宮では、VirとZackが書類を覗き込んで何かの検討をしている。 寵妃の一人がVirを誘い、彼はそちらに行こうとするが、 Zackが彼を再びデスクに引き戻した。
IvanovaはEntil'Zhaの制服を着て、 Minbariの建物の通路を歩き、 バルコニーで夜明けを眺めているDelennの様子をそっと見る。 そのDelennは、ベンチの横に今でもJohnが座っている事を感じ、 そちらを向いてそっと微笑んだ。 そして昇ってきた太陽に向かい、彼女はゆっくりと左手を差し伸べる。


印象に残ったシーン、台詞

Minbari連邦に拠点を置く惑星間同盟は、地球暦の2261年に創設された。 20年前に、Shadow戦争が終結した直後だった。 あれから20年、生き残った我々は全てを見てきた。 我々は皆、この日が来るのを予期し、そして恐れていた・・・。
The Interstellar Alliance, based on the homeworld of the Minbari Federation, was founded in the Earth year 2261, shortly after the end of the Shadow War, twenty years ago. Twenty years of history. Those of us who have survived have seen it all. And those of us who understand, have been waiting, and dreading, the arrival of this day...
Garibaldiによる、始まりのナレーション。

Babylon 5 was the last of the Babylon stations. There would never be another. It changed the future, and it changed us. It taught us that we had to create the future, or others will do it for us. It showed us that we have to care for each other, because if we don't, who will? And that strength sometimes comes from the most unlikely of places. Mostly, though, I think it gave us hope that there can always be new beginnings, even for people like us. As for Delenn, every morning for as long as she lived, Delenn got up before dawn and watched the sun come up...
Ivanovaの最後のナレーション。


Memo

このエピソード全体(もしかするとシリーズ全体かも)が、 ISNによる特別ドキュメント番組という体裁になっており、 番組制作費は、Anla'shok記念基金から出た事になっている。

この出来事の日付は言及されていないが、 Garibaldiが知らせを受け取ったのは火星の独立記念日の直前だった。 従って2281年の暮れだろうと推察される。

Ivanova将軍の警備責任者は、Rangerに必ずしも良い印象をもっていない様子で、 一部のRangerの振る舞いには我慢ならないとまで言っている。 どうやら地球軍とRangerとの間には、何らかの軋轢があるらしい。

SheridanがEntil'Zaになる事、また光となって消えるという彼の最後は、 何れもLondoが死にかけ昏睡状態になったときの として見ている。 実際にあれはある種の予知夢だったと言えるだろう。

実は2267年頃に、地球はDrakhの奇襲を受けて全滅の危機に瀕する。 ("A Call to Arms"とCrusadeの設定) しかし2281年時点では、Edgars Industryが事業を地球で拡張しようと 計画しているし、IvanovaもFranklinも地球に居た可能性が高いから、 その危機を脱したらしい。 なにしろ本来その過程を描くはずのCrusadeが途中で打ち切り状態なので、 結末が判らないのだ。

Minbariでのパーティーの出席者以外に、Zackもまた招待されていた。 しかしその他の友人たち、例えばLochleyについては何の言及もない。

Virの説明によるとPak'ma'raの歌は彼らの宗教儀式の一環で、 年に数回しか歌われる事はないという。
Garibaldiが彼らをぼろくそに貶しているときにこの話を持ち出したのは、 Virの心の優しさを象徴しているようだ。

Lennierがこの時点で既に生きていない事がパーティでの会話から判るが、 彼はテレパス戦争で命を落としたらしい。 Delennに約束したように、 死ぬ前に彼女に償いをするために再会できたのだろうか?

パーティーでの乾杯の場面で、DelennとGaribaldiのグラスはワイングラスではなく、 おそらく中身は水である。 Minbari人にはアルコールは害があり、 Garibaldiはアルコールを断っている。

J&Dの息子(恐らくDavid)は、2281年の時点ではRangerの訓練を受けているから、 Drakhに操られたLondoが贈ったKeeperから 上手く逃れたと思われる。 もしかすると彼がKeeperに取り憑かれた事に誰も気がついておらず、 もっと後に大事件を起こすという可能性もあるが。

Sheridanは惑星間同盟の大統領職を18年間勤めたが2年前に再選を辞退し、 その後はDelennが大統領職に就いている。 恐らく大統領職の任期は6年で、Sheridanは3選された訳だ。 一方で彼はDelennからEntil'Zhaの職を引き継いでいた。

Sheridanが最後に乗っていった艦は、 WhiteStarではなく外見は似ているがより小型の船である。 実際、Babylon5を離れる際に、シャトルを使わずに ドッキングベイから直接出ている。 おそらくこの艦がBlueStarクラスと思われる。

Babylon5ステーションの最後は、"The Deconstruction of Falling Stars"での 500年後のシーンで言及された話と少し違っている。 あの時は「事故で破壊された」となっていたが、 500年近い年月のうちに正確な記録が失われたのかもしれない。
またSheridanの死についても、 100年後の討論会の席では Minbariで死んだと言われていたが、 実際には正確ではなかった。 こちらは残されたDelennやIvanovaが意図的にあいまいにした可能性が高いが、 それによってSheridanの意図通り、二人の偉業は伝説となった。

録画を確認した所、500年後のシーンでは単に「破壊された」とだけ言及されていて 「事故で」という言葉はなかった。 こちらの思い込みだったようだが、「破壊された」と言われれば 事故かテロと思うのが普通だろう。 確かに今回の解体シーンも、破壊されたうちには入るのだが。

Babylon5ステーションの解体式で、最後のスイッチを切った作業員は、JMS本人である。 まさに、製作者がシリーズの舞台を最後に閉じるという演出である。

Sheridanの死の経緯は、同じく遺体が見つかっていないValenのそれと重なるものがある。 Valenもまた、Lorienによって「辺境の向こう」へと運ばれたのだろうか? 残る「現在のその人」Delennは、およそ80年後の2362年まで生きている訳だが、 彼女もまた同様の最後を遂げ、愛するJohnと 「影の降りない場所」で再会を果たして欲しいものだ。

この最終回は、通常のオープニング映像が存在しない。 その代り、最後に主要登場人物の シリーズ当初の肖像と、最終回かその近くの髪に白いものが混じった肖像が 並んで紹介されている。 実はこのリストは第五シーズンではなく第四シーズンのそれであり、 このシリーズが第四シーズンで打ち切りの可能性があったために、 先にこの回を撮影した事を裏付けている。
その中の当初の肖像で、Delennは第一シーズンの純Minbari人の姿である。 また終末時の肖像では、LondoとG'Karはそれぞれ Sheridanが見た未来での姿である。 注目すべきなのはMarcusで、 彼の映像と対になっているのは、彼の遺体の保存装置のプレートである。 それによると、彼の遺体は後の世に蘇生できる事を願って、 Ivanovaの意思によって冷凍保存されているらしい。

Babylon5ステーションが閉鎖され解体されてしまったのは、 ある意味地球同盟の衰退、少なくとも宇宙に対する関心の低下を示唆している。 重要性が失われ、予算が削減されたと言うが、 基地を運営して行く事は可能と思われるし、 基地の機能を停止しても例えば記念博物館として活用できそうにも思う。 それをしなかったのは、やはり地球全体が宇宙への関心を失いつつある事を示唆しており、 それがまた、Ivanovaの憂鬱やZackの退屈、またIvanovaの警備責任者の Rangerへの不快感の原因にもなっているように思う。
なお、ステーションをあのように爆破しては破片が軌道上に散らばり、 むしろその方が航行の邪魔になるだろうと思う。


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