Thirdspace

Thirdspace

オープニング

日本語:

時は地球暦2261年の半ば、戦争と新時代の間の年だった。 Shadow戦争は終わったが、祖国には依然暗闇が待っていた。 Santiago大統領は暗殺され、後継者のClarkは地球を捕虜収容所に変えてしまった。 我々は地球から独立したが、隔離措置により補給ラインを断たれた。 こうなったら一隻の輸送船も失う事は出来ない。 そんな状況の中、我々は第三空間とコンタクトして何とか生き永らえた。 だが、二度と遭遇しない事を願うばかりだ。 この次は誰も生き残れないだろうから。 --Sheridan

英語:

It was the middle of the Earth year 2261. The year between wars, and the beginning of a new age. The Shadow war was over, but there was still a darkness waiting for us back home. President Santiago had been assassinated, and his successor, president Clark, was turning Earth into a prison camp. We'd broken away from Earth, and in retaliation they had quarantined us, trying to strangle our supply lines. We were desperate, and we couldn't afford to lose even a single supply ship. In the midst of all of this, we made contact with Thirdspace, and we almost didn't survive it... I only hope we never come across it again. Because the next time, no one is going to survive it. --Sheridan

粗筋:

輸送船を巡り、海賊船団とIvanova率いるStarFury Delta中隊が激戦を繰り広げていた。 Ivanovaは海賊のリーダーに、そちらには勝ち目がないから手を引くか降伏しろと警告するが、 海賊側は輸送船の積荷のQuantum40を諦めるつもりはなく、 ジャンプポイントが開いて応援の海賊母艦が現れる。 しかしそれはIvanovaの思う壺で、直後にSheridanの率いるWhitreStar艦隊が出現し、 海賊母艦を攻撃して包囲した。 SheridanはIvanovaを労い、WhiteStarが海賊たちをDraziの犯罪者収容施設まで護送するので 彼女とDelta中隊はBabylon5に戻るように命じる。 そして今回の件について噂を広めれば、 高価な積荷は全て罠ではと海賊が疑うようになるだろうと言った。

Deleta中隊が亜空間をBabylon5に向かっている頃、 ZocaloではLytaがテレパススキャンの顧客である初老の兄弟に会っていた。 兄Leoは弟のAlexが自分の妻と浮気をしたのではと疑い、 20年前から口も利かない仲になっていたが、 病気になったため死ぬ前に真実を知りたいと、 Lytaに弟のスキャンを頼み、Alexもそれに同意したのだった。 Alexにスキャンについて説明していた彼女は、 突然亜空間内を漂流している巨大物体のイメージを感じる。 そのイメージはスキャン中も何度も現れ、 気分が悪くなった彼女はスキャンが済むと直ぐに席を立ったが、 Gaimにぶつかってよろめく。
一方亜空間では、StarFuryの一機がスキャナー領域の端に何か巨大な物体を捉える。 それは亜空間ビーコンによる航路を外れて漂流していたため、 そのままでは見失うと判断したIvanovaは、1000kmおきにStarFuryを配置して 信号を中継する方法でその物体を調査に向かった。
三機を次々と中継に残して遂に漂流物体にたどり着いたIvanovaは、 それが全く未知の人工遺物である事を確認する。 彼女はその巨大さに驚愕し、基地に牽引するためにWhiteStar5隻と 全StarFuryの応援を要請した。

一足先にBabylon5に戻ったSheridanは、 Ivanovaらが牽引中の未知の人工遺物についての報告を、 ドッキングベイに迎えに出たCorwinから受けた。 その遺物はあまりに巨大なため、ジャンプゲートを通すために、 ゲートの支柱をずらして間隔を広げる処置が取られていた。 やがてIvanovaの指揮の元にその物体が通常空間に現れたとき、 その様子を観察ラウンジで観ていたLytaは 廃墟となったZocaloに沢山の死者が倒れているイメージを見る。 イメージの中で怪我をしてよろめき歩く彼女の背後の壁に、 彼女に襲い掛かろうとする怪物の影が映っていた。

Virは通路を歩きながら、 発見された人工遺物の正体についてオフィスに向かうSheridanとDelennに尋ねていた。 現在LondoがCentauri本星に戻っていて不在のため、 彼は非同盟惑星連合の代弁者として二人に会いに来ており、 連合諸国も調査に参加させるように求めていると説明する。 二人はBabylon5当局が代表して調査し、 その成果を全ての諸国に平等に分け与えると説明するが、 二人はお互いを信用しており自分は二人を信頼しているが、 他の者は誰も信用していない、特に金銭がらみの事ではとVirは言う。 それを聞いたDelennは自分が彼らに説明する事を提案したが、 Virはこの場合話し手の問題ではなく聞き手の方の問題ではと答えた。 彼がオフィスから出て行った後で彼の言う事も一理あると指摘するDelennにSheridanも同意し、 放っておけば各国は群がって新たな兵器に役立つものを奪い合い、 相手が先に手に入れるのを阻止するために爆破も辞さないだろうと付け加えた。 それを聞いたDelennは、今回の措置は彼が未知の物を見ると目を輝かせ、 その目は「僕のものだ」と言っている事と関係があるのかと彼をからかい、 それは中傷だとむくれる彼にキスをして彼のオフィスを後にする。 その後、彼は人工遺物の映像を眺めながら、「とにかくこれは僕のものだ」とにんまりした。

ZackはStarFuryで人工遺物の周りをパトロールしながら、調査作業を監視していた。 彼は遺物の表面に攻撃を受けたらしい跡を見つけ、 危険があるかも知れないので十分距離を開けて作業するように注意する。 修理用ロボットが人工遺物の表面サンプルを回収するために近づいたが、 突然エネルギーが流出して作動不能になった。 ロボットを回収して調べた結果、 遺物によって全てのエネルギーが搾り取られたらしいと判明する。 その報告を受けているSheridanに、地球からIPX(InterPlanetary Expeditions社)の 関係者が彼に会いに来たと司令室から連絡が入る。
その頃Lytaは自分の部屋で、熱に浮かされたように全身を震わせながら、 壁中に「ここは危険だ、忘れるな」と書きなぐっていた。

Sheridanのオフィスで待っていた女性はIPXのElizabeth Trent博士と名乗り、 人工遺物の調査をさせるように申し入れた。 なぜ地球当局の渡航禁止令を無視して堂々とここに来られたのかを Sheridanが尋ねると、IPXは六カ国以上の政府と関係があり 禁止令など自分たちには適用されないと彼女は答える。 そこでSheridanは、調査をさせる替わりに得られた全ての情報を自分たちにも知らせ、 他の種族にとって脅威となるいかなる技術も持ち出さない事を求め、 もしそれを破ろうとすれば遺物を破壊すると言った。 始めTrentはそんな事は出来るはずがないとせせら笑うが、 彼は自分が本気である事を解らせた。 さらに彼は彼女に、調査中は禁輸を掻い潜って基地に必要物資を供給する事も求める。 ちょうどそのときIvanovaから、 同位元素による年代測定の結果、人工遺物は少なくとも100万年以上前の 物と判明したという連絡が入る。 それを聞いたTrentはSheridanの条件を受け入れ、二人は握手を交した。

カーゴベイはさまざまな装置や物資を運び込むIPXの調査チームでごった返しており、 Ivanovaは秩序を保とうとしててんてこ舞いをしていた。 そこにやって来たFranklinが彼らの様子を軍隊蟻の行進に喩えると、 何匹か殺しても判らないかしらとIvanovaは言い出した。 そこにTrentがやって来て、有機物質持ち込みの件でFranklinと打ち合わせを希望する。 彼らが去った後で、疲れきったIvanovaは眠りに行った。

眠っているLytaは何度も寝返りを打っていたが、突然目を開けて部屋から出て行った。
Zackが移動チューブに乗ると、そこには既にLytaが乗っていた。 髪を振り乱した彼女は目が据わり、こわばったように突っ立って「危険、忘れるな」 と呟いていたが、その様子にZackは気が付かずに この所色々有って大変だったなと彼女に話し掛ける。 突然チューブが途中で停止し、Zackは司令室に問い合わせた後で、 思いきってLytaをデートに誘った。 さらに彼は、初めて会ったときから彼女が好きだったと告白し、 君は男をやる気にさせる女だと言って結婚まで考えている事を仄めかす。 しかしLytaは彼の言葉が耳に入らない様子で表情も変えずに 「危険、忘れるな」と呟き続けていた。 彼女が気を悪くしたと判断したZackは、今の事を忘れてくれと言い、 再び動き出したチューブに彼女を残して外に出た。 一人になった彼は、「これでよかったんだ」と独り言を言う。

人工遺物の周囲で枠組みを組む作業をしていた内の一人が、 保守ロボットが編隊を成して遺物に向かって飛んで行くのに気がついた。 ロボットが制御を受け付けないため、周囲をパトロールしていたStarFury中隊が 攻撃し、ロボットが遺物にぶつかる寸前に全てを破壊する。
一方、警備班を率いたZackは補修ロボットの制御室に向かうが、 入り口の前には警備員が倒れておりドアはロックされ開ける事が出来なかった。 仕方なくドアを壊して中に入ると、 そこには目が据わってこわばった表情のLytaが立っていて、 「止めなければ」と言いながらZackにPPGを向けようとするが、そのまま床に崩れた。

医療室でFranklinの診察を受けたLytaは、どうやって保守ロボット制御室に入ったか 何も憶えていないと主張する。 診察の結果も特に異常はなく、彼女をそのまま帰すことにしたが、 その様子をカメラでSheridanらが監視していた。 一緒に居たTrentは、Lytaが自分たちが監視しているのに気付いていると指摘した。 彼女の言う通りカメラを切り替えると、Lytaは切り換えたカメラの方に向き直る。 LytaのランクはP5だが、監視カメラに気が付くのは少なくともP10クラスのはずと Ivanovaが指摘すると、そのランクは彼女がVorlon本星に向かう前のものだと Trentは答える。 その事を彼女が知っていたのに驚くSheridanに、 IPXはLytaをずっと監視し続けていたとTrentは説明し、 さらに彼女の足取りについて話した。

Koshのスキャンをして以来、Vorlonに取り付かれたようになったLytaは、 火星に渡ってそこで貨物船の船長に自分をVorlon本星に連れて行ってくれるように頼んだ。 これまでVorlon宙域に入って戻ってきた船は無いため、 はじめ船長は断わったが、大金を積まれて彼女を宙域境まで送る事に同意する。 Vorlon宙域境で三日間信号を送り続けたが反応がないために 船長は引き返す事にしたが、 その直前に彼女はライフポッドを盗んで脱出し、Vorlon宙域に入った。 ポッドには三日分の空気しかなかったが、 恐らくVorlonは貨物船が立ち去るのを待っていたのだろう。
TrentはLytaがVorlonに操られて遺物を破壊しようとしたと推測し、 彼女を拘束するように求めるが、Shridanは証拠が無いと言ってそれを拒否した。 それに対しTrentは、もし彼女が自分たちの作業の邪魔をすれば自分たちで必要な措置を取る と言い捨てた。

遺物を取り囲む枠組みが完成し、 IPXの調査チームによる遺物表面の冶金調査と内部の音響スキャンが始まった。
その頃DownBelowでは、男が夢を観ていた。 星空の中に広がる巨大な円形の街の真中に何かの立像を思わせる黒い巨塔が立っており、 頂上の周囲では電光が煌いていた。 突然景色が変わり、巨大な瞳を思わせる中から、 Shadow艦を思わせる黒い触角が彼の方に伸びてきた。 目を覚ました彼は大声で「あれを遠ざけろ」と叫ぶ。 周囲の人々は彼を見てゆっくりと取り囲み、じりじりと彼に詰め寄った。 その様子を、先ほどの夢の世界から何者かの巨大な瞳が見つめている。
Trentは個人記録を口述しており、 その中でこの遺物は宇宙船ではなく何かの装置であり、 自分の想像が正しければジャンプゲートの存在をかすませてしまうほどの 世紀の大発見で、全てが変わってしまうかもと述べていた。
一方、DownBelowの別の場所では、犯罪組織のボスであるDeuceが 巨大な立像を思わせる黒い巨塔の幻影を見て、「なんて美しいんだ。」と呟いていた。

Zackは警備班のミーティングで、基地内で暴動が頻発しており、 このままでは拘置所が溢れるという報告を受けていた。 自分の部屋に閉じこもって何かを叫ぶ者もおり、 その数の増加は遺物が現われてからの事だった。 彼は人々が遺物の発する何かに影響されていると疑い、 詳しい報告書を求めると共に、 留置者が口走った内容も残らず記録するように部下に命じる。

Ivanovaは自分の部屋で眠っていた。 夢の中で彼女は起き上がり、ドアが開いて明るい光が差し込んでいるのに気がついた。 外に踏み出した彼女は何時の間に制服を着ており、 彼女の周りの壁には遺物の表面にあるのと同様の奇妙な文字が刻まれている。 彼女の前面には、遠くまで続く低い建物が連なった巨大な円形の街が広がる光景があった。 スポットライトが投じられている空には巨大な岩山のようなものが幾つも浮かんでおり、 円形の街の中央には、立像のような塔がそびえていた。 彼女の前にその光景を眺めているVirの姿があり、 彼女が近づくとVirは、「美しいですよね、私もあそこに行きたい。」と言う。 「あれは何なの?」と彼女が尋ねると、 「それを訊いてはいけません。」と答えた彼の両側には いつの間にか二人のCentauri女性がいて、彼の身体を撫で回していた。 彼はうっとりとした表情を浮かべ、どこかに姿を消す。 一方Ivanovaの後ろの壁から何かの触角のようなものが伸び、 彼女の肩のあたりに近づいてきた。 その気配に気がついた彼女は振り返り、悲鳴を上げて目を覚ました。

次の日の朝、調査チームの次席であるBill Morishiが Zocaloで朝食を取りながら調査報告書を書いていると、 周囲に段々と人々が集まって来た。 彼は気にせずに仕事を続けているうちに、 人々はじりじり前に出てきてついには彼のテーブルを取り囲んだ。 遂にMorishiが何の用件かを尋ねると、 その中にいたDeuceが、 お前は仕事が遅い、もっと急いで早くあれを動かせと彼をなじった。 Morishiは肩をすくめ、仕事に戻った。

通路を急ぐTrentを掴まえたSheridanは、遺物調査の進展具合の報告を求めるが、 彼女は表面を採取しただけで未だ何も解らないと答えた。 彼は自分の妻も惑星考古学者でこの手の調査については知っているが、 調査の進展が不自然に遅すぎると指摘し、 遺物が来てから基地では暴力事件が増えているとも付け加える。 それは司令官の問題で自分たちには関係ない、 自分はほとんど眠らずに仕事をしており忙しいと彼女は行って移動チューブに乗ろうとするが、 彼は彼女が抱えている遺物の表面の文字を写した書類を取り上げ、 それがVorlon文字である事を指摘する。 そして彼女が研究成果を隠している事を見破り、 48時間以内に満足できる報告書を出さなければ取引を打ち切ると告げた。

保安本部ではDeuceを掴まえたZackが、 なぜエアロックを開けようとしたのか追求していた。 散歩に出ようとしていたと主張していたDeuceは、 急減圧して基地が大変な事になると怒るIvanovaに、 あの遺物があそこに有るからだ、あの街の住人が自分たちを呼んでいて その声を聞いたからにはドアを開けるしかないんだと言い出した。 「街」という言葉を聴いたIvanovaが鋭く反応して「どんな街」と尋ねると、 あんたも見たんだろう、顔にそう書いてあると彼は答える。
彼が連れて行かれた後でZackがIvanovaに街について尋ねると、 彼女は自分は知らないが、もし他に街の話を聞いたら知らせてくれと答える。

制御室に入ったTrentは、司令官が自分たちに関係ない基地の異常まで責任を 押し付けようとしているとMorishiに怒りをぶつけた。 そして司令官は自分たちを働かせて発見は横取りしようとしている、 そうなる前に作業を急がなくてと続ける。 Morishiが彼女に、遺物は外部からエネルギー源を得る仕組みになっており、 攻撃によってそれが壊されたらしいと説明すると、 彼女は最大のエネルギーセルを取り付けて遺物を作動させるように求めた。 それを聞いた彼は遺物の目的が解らないのに危険過ぎると反対し、 その作業には自分の承認も必要なはずで説得してくれと言うと、 彼女は自分の想像を話した。

あの遺物は太古の種族が作ったジャンプゲートであり、 単なる亜空間ではなく、さらに高次の第三空間への扉を開く。 第三空間を経由すれば、亜空間で数日掛るような旅が一瞬で出来るようになり、 宇宙航行の概念が根本的に変わるだけでなく、好きな時に敵を攻撃できる究極の兵器となる。 従って、その技術を手に入れればどんな名誉もほしいままになる。
彼女に説得されたMorishiは、やりましょうと約束する。

移動チューブでIvanovaに会ったVirは、昨晩彼女の夢を観たと話し出した。 始めは聞き流してチューブを降りようとした彼女は、 「美しい街があって」という言葉に反応して、 彼に夢の詳しい内容、特に自分がどうなったかを尋ねる。 ちょっと口篭もった彼は、彼女は殺された、正確には何かに喰われたと答えた。 チューブを降りた彼女は直ぐに「遺物に問題が」とSheridanに連絡する。

エネルギーセルを遺物につなげようとしていた作業クルーに Ivanovaから何をしているのかと連絡が入った。 彼女の指示に従っていると答える彼に、 そんな指示は出していない、直ぐに中止しなさいと彼女は叫ぶがもう手遅れで、 遺物から偽足のようなものが出てエネルギーセルを捉える。 遺物は一部分が輝きだし、周囲に衝撃波を放った。
基地の内部では警報が鳴り響き、警備班は住民に部屋に戻るように求める。 しかし一部の住民は遺物から何かを感じているようにじっと立ち止まり、 また観察ラウンジには多くの人々が集まって 輝きを増す遺物の様子を伺っていた。 基地からはエネルギーが流失し、発進しようとしたStarFuryのパイロットから ゲートが開かないと報告が入る。 一方でコブラベイには、遺物の影響を受けた住民がStarFuryを止めようと押しかけ、 Zack率いる警備班と乱闘になった。 Ivanovaと落ち合ったSheridanは移動チューブの中で エネルギーの流失について報告を受け、 基地内の移動手段と回転、生命維持システムの保持を最重点にするように指示し、 住民が遺物からのテレパシーで操られており また遺物の表面にVorlon文字が刻まれていた事から、 自分はLytaに会いに行くので、彼女はTrentに会って情報を求めるように命じた。
やっとコブラベイのゲートが開き、次々とStarFuryが発進するが、 IPXの制御室ではTrentと一緒に作業をしていたMorishiが彼女にそれを報告した直後に PPGの発射音が聞こえた。

StarFury部隊は遠くから遺物を攻撃するが、何の影響もなかった。
混乱の中DelennはLytaの部屋に向かい、同じ目的でやって来たSheridanと Lytaの部屋の前で出会う。 呼びかけに応答しないため、Sheridanがドアのロックを解除して二人は中に入ると、 壁中に「ここは危険、忘れるな」と書きなぐられた暗い部屋の片隅に、 目を青白く輝かせたLytaが立っていた。 「我々は止めようとしたのだ。警告したが、失敗した。 もう手遅れだ、ドアが開きだした。」と彼女がVorlonの声で話し始めた頃、 遺物の上部が動き出し、飛び出た部分が開き始めた。
Delennの問いかけに対し、自分はあの遺物が発見された時に呼び起こされた 過去の記憶で警告だ、自分たちVorlonの大きな過ちが今度は君たちの過ちとなると Lytaは言い、 どんな過ちなのと尋ねるDelennに、最初の過ちでそこから全ての過ちが生まれた、 自らの自惚れによる過ちだと彼女は答えて、太古の出来事を語り始めた。

Vorlonは千もの星を訪れ、光の存在として原住民の前に現われて秩序をもたらした。 原住民たちはVorlonを神として崇拝し、何時しかVorlon自身も自分たちを 宇宙そのものよりも優れた存在だと信じるようになった。 彼らは天国への門を開こうと決意し、 もてる全ての知恵と知識を使って別の次元への扉となるあの遺物を建造した。 しかし彼らは、自分たちがその世界に入る事ばかり考えていて扉が両方に開き、、 向こう側から何が入ってくるかを考えていなかった。
遺物の開口部が青白く輝き、そこに第三空間への扉が開いた。 そしてそこから二隻の小型船が現われる。
彼らは理解を超えた力と渇望そのものの反生命体で、 Vorlonよりも古く強いテレパシーを持っていた。 彼らはゲートを改造し、増強したテレパシーでVorlon人を操って お互いに戦わせた。 反撃したVorlon人は何とかゲートを停止させたが、 操られた者たちが破壊される前に遺物を亜空間に隠した。 彼らは自分たち以外を存在する価値の無い劣った者として全滅させようとし、 彼らの宇宙では何千もの種族が滅ぼされた。 Vorlonの自惚れによって今や彼らはこちらの世界の存在を知り、 彼らの闇の街からこちらの様子を伺っている。 両側の世界に扉が無ければ入って来れないため、 このゲートを破壊するためにVorlonは長い間探し続けたが見つからず、 ついに恐れていた日が来てしまった。
SheridanがLyta-Vorlonにどうすれば彼らを阻止できるのか尋ねると、 彼女は「学べ」と言い、輝く目と口から光の帯が彼の目と口に繋がった。
ゲートからさらに二隻の小型船が現われ、それぞれが開口部の四隅に止まって フィールドを張った。 一方StarFuryは構わずに遺物への攻撃を続けていたが、 さらに遺物のゲートから現われた小型戦闘機に反撃されて慌てて撤退する。

Lytaの部屋からふらつきながら出てきたSheridanが行こうとすると、 心配したDelennは一人では危険だと止める。 しかし彼は彼女に自分の役割を果たすように求め、 一人で武器庫に向かう。
部屋の中ではLyta-Vorlonが、「一つの過ち・・・、多くのうちの一つの・・・」と言い、 彼女の目の輝きが消えて床に崩れ落ちる。

IPXの制御室に入ったIvanovaは、Morishiがコンソールの上に倒れて死んでいるのを 発見した。 部屋の隅に隠れていたTrentは彼女に、 彼がStarFuryが遺物に近づくのを見てそれを邪魔しようとし、 それを止めようとしたら攻撃してきたので仕方なく撃った、 皆が何かに影響されて別人になっているようだと説明する。 そのときSheridanから、DelennがMinbari艦隊を呼ぶので 彼女はWhiteStar艦隊を集めて指揮を取るようにという連絡が入る。 そのやり取りの途中で、IvanovaはMorishiが背中から撃たれているのに気が付き、 Trentが嘘を付いていると知って彼女に向き直ると、 彼女はいきなりPPGを向けてきて乱闘になった。 Trentを伸したIvanovaは部屋に警備班を呼ぶが、 あと二時間で基地のエネルギーが尽きると司令室は告げた。

StarFury中隊は配置に付き、援軍を待っていた。 一方遺物のゲートからは新たな敵の戦闘機が出現する。 基地の周囲に次々とジャンプポイントが開き、 WhiteStarとMinbariのSharlin級巡洋艦隊が通常空間に出てきた。

基地の中では暴徒と保安部員との乱闘が続き、火災も発生していた。 Zackは乱闘をしながら、住民に部屋から出ないように改めて呼びかける。
武器庫では宇宙服を着たSheridanが、自分のパスワードと嘗紋でロックを解除し、 スーツケースのようなものを取り出す。 その中身は核融合爆弾だった。

WhiteStarのブリッジに座ったIvanovaは、Minbari艦のDelennに連絡して Sheridanからの合図を待つように求める。 しかしDelennはそんな余裕はないと答えた。 遺物のゲートから、沢山の戦闘機が出現し、戦闘が始まった。 Ivanovaは遺物の正面だけを狙うように命じる。 一方Sheridanは、ジェットパック付きの宇宙服でエアロックを飛び出し、 戦闘の最中を遺物に向かう。

Zocaloでは乱闘が続いていたが、倒れている女性を救おうとFranklinが飛び出し、 部屋に戻っていろとZackに怒鳴られる。 しかしFranklinは自分は怪我人を救うのが仕事だと言い返し、 仕方なくZackも彼を助けて女性を担ぎ出した。 そのときVirが現われ、「外で何が起こっているんです?」とZackに尋ねる。 そしていきなり彼に襲い掛かったが、Franklinに殴り倒される。 結局ZackもFranklinも再び乱闘に巻き込まれてしまった。

IvanovaとDelenn率いる艦隊は遺物への攻撃を続けていたが、 さしたるダメージを与えられない。 堪りかねたStarFuryのパイロットからは撤退指示を求めてくるが、 Ivanovaは尚も攻撃続行を命じる。
宇宙服で飛び続けるSheridanから、位置についたという連絡があり、 Ivanovaは全艦隊に火力を集中して遺物のフィールドに小さな穴を開けるのに成功する。 そこから飛び込んだSheridanは遺物にあるトンネルから内部に入った。 彼は中心部にある巨大な尖塔の根本に降り立ち、核融合爆弾の設置を始めた。 尖塔の上空には向こう側の歪んだ映像が見えており、 ふと見上げた彼の眼に巨大な艦隊が近づいてくるのが映る。 彼は爆弾の設置を終わり、5分間のタイマーをセットした。
IvanovaのWhiteStarは手酷く攻撃を受け、ブリッジは怪我人で溢れるが、 Delennから彼女に遺物のゲートを見てと通信が入る。 そこには巨大な戦艦の姿が映っていた。
タイマーの作動を確認しているSheridanの後ろから 水生昆虫のような姿の巨大な怪物が近づいてきて、 触角を伸ばしてきた。 それに気付いた彼は直ぐに宇宙服のコンピュータに自動帰還を命じ、 怪物の攻撃をかわしながらトンネルに飛び込む。 そして遺物の外に出ると、Ivanovaに通信を送った。 Ivanovaが全艦隊に退避を命じた直後に、核融合爆弾が爆発する。 遺物は内部から爆発し、 ちょうどゲートを出かかっていた第三空間の戦艦も爆発に巻き込まれた。 Sheridanは衝撃波に捉まり、遠方に弾き飛ばされる。

ステーションでは突然乱闘が収まった。 群集は正気を取り戻し、Zackに胸倉を捉まれていたVirは、 彼の顔を暫く見てから「なぜ殴るんですか」と抗議する。 彼はIvanovaと一緒に移動チューブに乗っていた以降の事を何も憶えていなかった。
Minbari旗艦のDelennは、各艦に損傷した艦を援護して基地まで送り届けるように 指示していた。 そのときSheridanから、脱出時にジェットパックを使い果たしたので 自分を拾ってくれという通信が入る。 「もちろん、時が満ちたら。」と彼女は答え、 「それでいつ拾ってくれるの? 冗談だろう?」と慌てふためく彼の声に笑顔を浮かべる。

乱闘が収まった後のZocaloを補修班が清掃している。 SheridanのオフィスではTrentが自分の行為で基地を危険に晒した事を謝罪していた。 Shetidanは、多くの人々と同様に彼女もテレパシーに操られていたので 直接彼女の責任ではないが、 もっと自分に情報を教えればこんな事にならなかったと苦言する。 彼女は部下のMorishiを死なせて仕舞ったと悔やみ、 遺物に関する全ての調査資料をSheridanに手渡した。 そして彼の質問に、この仕事を続けて行けるか暫く考える時間が必要だと言う。 それに対し彼は、少なくともあなたは経験から学んだ、 辛い経験だがそうでなければ学べないと答える。
彼女が出て行った後で、彼は資料にさっと目を通して机に置いた。 彼女が未だ情報を隠しており、あそこに行きたかったのだろうが 小さな嘘がそれを断念させたのなら幸いだと彼は考える。
SheridanがBlue区の通路を歩いて行くと、 Delenn, Ivanova, ZackとFranklinが次々と合流する。 そのシーンに彼のナレーションが重なる。

騒動の後、説明を求める人々にこう答えた、 あの装置は武器でネズミ捕りだったと。 それは真実だ。 あれはテレパシーを放出して暴動を引き起こしたと。 あれは破壊されたとも言った。 全て真実だ、そして同時に全て嘘だ。 完全な真実が不要な場合もあるのだ。 我々はVorlon人が大昔に犯した過ちの代償を払ったが、 他の者に同じ経験をさせる必要はない。 皆多くの問題を抱え、他人のものを請け負う余裕などない。 今回は上手く切り抜け、皆無事だ、大事なのはそこだ。 こんなトラブルは二度と起こらない。
Lytaは観察ラウンジで外を眺めていた。 彼女はVorlonが最後に言った「多くの過ちの一つ」という言葉を思い返し、 他にもあるんだわ、と呟く。


印象に残ったシーン、台詞

When the dust settled and people wanted explanations, we gave them one. We told them the device was a weapon, a mousetrap. Which is true. We told them it used a telepathic trigger and caused an outbreak of fighting. And he told them it was finally destroyed. It's all true. And of course it's all a lie. Because there are time we don't need the whole truth. The Vorlons made an error thousands of years ago, and we paid the price for it today. Why encourage anyone else to do the same? They've got more than enough trouble of their own. They don't need to inherit anyone else's mistakes. They got through it alive. That's the important thing. This isn't the kind of problem that's likely to ever happen again.

Sheridanの最後のナレーション。

Memo

このストーリー、特に第三空間の「こちらの様子を伺っていて、 ドアを開けさせようと呼びかける闇の街の住人」という設定には、 H.P.Lovecraftの影響をかなり色濃く感じる。

Zackの制服がDelennの用意した新しいタイプである点等から推測すると、 この話は本編の#75 "Atonement"とほぼ同時期になるらしい。 ただ、そこまで限定すると、話にかなり無理が出てきそうだ。

亜空間にStarFuryを1000kmおきに配置してビーコンの信号を中継する捜索方法は、 嘗て#26 "A Distant Star"で Cortezを捜索する際にも実行している。

最初の海賊との戦闘でStarFuryが失われていなければ、 Delta中隊は全部で9機からなっているようだ。

ZackがLytaに好意を持っていたのは、 本編の#73 "Epiphanies"あたりでも描写されている。 移動チューブの中での彼の告白シーンで、Lytaの様子が明らかに変なのに、 口説いている彼は最後までそれに気がつかずに一方的に話し続けていて、 実は彼女の事など見ていないのが何とも可笑しい。 LytaとZackとの関係に関してはこのシーンが、 その後彼が彼女に好意を持ち続けながらも 積極的に口説こうとしなくなった点などの説明になっている。
Zackが彼女に告白したのがこのタイミングでなかったら、 彼女はそれを受け入れた可能性は十分あったと思うが、 その場合その後の展開が大きく変わっていただろう。 例えば、Byronの悲劇は 起こらなかったと思われる。 そう考えると、小さな偶然が大きな歴史を左右すると解る。

Trentが話したLytaのVorlon行きの経緯は Lyta本人が話した内容とほぼ一致するが、 少しおかしい点がある。 彼女が貨物船を雇ったのが火星だとすると、 彼女はBabylon5を脱出した後 再び火星に戻った事になる。 脱走テレパスとして追われる身の彼女が、 そんな危険な真似をするだろうか?

Deuceは本編#15 "Grail"に登場している。 あのような騒ぎを起したにも関わらず、その後も彼は捕えられもせずに 犯罪組織を仕切っているようだ。

Morishiの話では、地球にジャンプゲート技術をもたらしたのはCentauriだが、 彼らも宇宙空間にあったゲートを解体して持ってきただけで、 最初に開発したのははるかに古い謎の種族である。 (もしかするとVorlonかもしれない。)

第三空間ではどんな距離でも一瞬で移動できる、というTrentの説は本当だろうか? 少なくとも向こうのエイリアンの艦隊は、ゲートに達するのにそれなりの時間が掛っていた。 Trentの説は、ゲートを彼女に開かせるためにエイリアンが吹き込んだ 出任せの可能性もある。

Lyta-Vorlonは、第三空間との扉は両側に必要だと言っていたが、 すると最初にVorlonが扉を開けたときに、第三空間のエイリアンは それを待っていたのだろうか?

最後のSheridanのナレーションとLytaの呟きは、 この事件の続きが起こりそうな事を示唆している。 あの遺物は本当に破壊されたのだろうか? あるいは同様の装置がどこか別に存在するのだろうか? またVorlonの他の過ちとは何だろうか?

最初の海賊を罠にかけた後の場面で、 Sheridanの台詞が「(海賊たちを)Draziの自由港に送る」と誤訳されている。 Draziの正式な国名である"Drazi Freehold"を誤解したと思われる。


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