Babylon5 #99

#99 Phoenix Rising

粗筋

Black Omegaの新たなシャトルがBabylon5に入港し、 Bloodhound部隊の第二陣が到着した。 隊員に作戦計画を説明していたBesterは、 新たに入室した隊員にも状況説明を行った。 Byronをリーダーとする脱走テレパスたちは全て地球人のため地球法が適用され、 従って自分たちPsi Corpsの管轄下にある。 Byronを中心とした一団はBrown区で篭城し、同情を得るためにハンストを行っているが、 彼らは袋のねずみである。 問題はもう一つの、基地内に散らばっているグループであり、 彼らは奪った武器で武装している。 最小限の犠牲を出すのはやむをえないが、 彼らもまた同じテレパスであり、 Psi Corpsの迷える子羊であるとBesterは言い、 「Psi Corpsは母であり父である」という言葉で訓示を結んだ。 その頃基地の一角では、脱走テレパスの一人がBloodhoundに追われていた。 しかし彼女を追い詰めたとき、 彼の後ろにPPGを構えた他の脱走テレパスたちが現われる。
Besterの訓示が終わる頃に黙って部屋に入って来たLochleyは、 隊員たちが出て行った後で、「狩を楽しんでいるようだ」と彼を牽制する。 彼は彼女に、テレパスの管理は一般人の保護のためにどこの政府もやっている事であり、 自分たちのやり方は最善では無いかもしれないが必要な事だと反論する。
二人が乗ろうとした移動チューブのドアが開くと、 中にはBloodhound隊員が磔にされていて、 壁には「Byronを自由にしろ」と書かれていた。

SheridanのオフィスにLochleyが入ってきた時に、篭城中のByronから通信が入った。 彼はSheridanに、武装闘争をしている仲間を説得し投降させる自信があるが、 まず彼らに会うためにBloodhound部隊を基地から追い出す事を求めた。 Sheridanがそれは出来ないと言いながらも交渉を続けようとしたとき、 部屋にBesterが、交渉は無意味でByronは約束を守らないと言いながら入ってきた。 そしてByronに、四人もの死者を出した以上Sheridanもお前たちを逃がすつもりはない、 必ず全員捕えると言って威圧した。 Byronは「それは違う」と言うが、通信を切った後で傍にいたLytaの質問を遮った。 SheridanはBesterが交渉の邪魔をした事に怒りを露にし、 彼が報告書を置いて出て行った後でGaribaldiが何をしているのかLochleyに尋ねた。

Besterは自室に入るなり、待ち構えていたGaribaldiにPPGを突きつけられる。 彼はGaribaldiを捕えた後に洗脳してSheridanを罠にかけ、 Edgarsの陰謀を阻止するのに利用した事をあっさり認めたが、 その供述を記録する事は拒否する。 それならば殺すと脅すGaribaldiに、そんな事は出来ないとBesterは平然と答え、 GaribaldiはPPGの引き金を引こうとするが、手が言う事を聞かずに苦悶の表情を浮かべる。 落ち着いて椅子に腰を下ろしたBesterは、 自分を傷つけたり傷つけられる事を座視できないように Asimovのロボット三原則に倣った条件付けをGaibaldiに施し、 さらにそれを取り除けないように神経ブロックを開放する前に施したと説明した。 そして一方で自分へ憎しみの感情を持つ事は抑圧しなかったため、 Garibaldiは葛藤に苦しみ続ける事になると言う。 もう一度BesterにPPGを向けたGaribaldiは、どうしても引き金を引けない事を知り、 Besterが出て行った後で怒り任せにBabcomユニットに発砲した。

Besterの「約束を守らない」という発言についてLytaに尋ねられたByronは、 ついに重い口を開いた。

嘗てByronはPsi Copに所属しており、Besterの弟分だった。 あるとき脱走テレパスを乗せた民間輸送船を捕える任務で、 テレパスを引き渡した非武装の輸送船を破壊するようにBesterに命じられたByronは、 その命令に抵抗する。 しかし命令に背けば彼自身も殺されるとBesterに言われ、 結局彼は輸送船の破壊を実行した。 本部に戻った後で彼はこの件を周囲の者に話すが、誰も彼の言う事に耳を貸さなかった。 これをきっかけにして、彼はこれ以上無実の人々を傷つけないためにPsi Copを脱走した。
外部で武装闘争を行っているThomasらのグループは、 Bloodhound部隊らの攻撃で守勢に追い込まれていた。 Thomasは一般人の人質を取って立てこもる事を決意し、 仲間を率いて医療室に向かった。
Garibaldiは医療室のFranklinを訪ね、 テレパシーによる神経ブロックを外す方法を尋ねていた。 そのとき突然、Thomasに率いられたテレパスたちがPPGを乱射しながらなだれ込んできた。 Garibaldiは激しく抵抗するが手ひどく殴られ、最後はFranklinらと共に人質にされる。
やがてBobcom回線に現われたThomasは、 Byronらの解放と全員の基地からの安全な脱出、それにテレパスの祖国実現への交渉を要求し、 2時間以内に要求に応じなければ人質をまずGaribaldiから殺し始めると脅迫した。 それを見た篭城中のByronは、ここから脱出して彼らが実際に殺人を始めるまえに 止めなければとLytaに告げる。 彼女はVorlonに強化された自分の能力を使って、 警備に見つからずに二人が医療室に行き着ける経路を探し始めた。
Thomasたちは、治療中だったテレキネシス能力を持つPeterを ベッドから運び出し、入り口のバリケードの守りに就かせた。 Franklinは自分の患者への仕打ちに抗議するがあわや殺されそうになり、 彼を庇おうとしたGaribaldiも再び手ひどく殴られる。 やがてやって来たZack率いる警備班は、 Peterのテレキネシスによって散々な目に遭い、一時撤退を余儀なくされる。

Sheridanのオフィスを訪れたBesterは、 自分の言う事を聞かずにByronを信じるからこんな事になるのだと言い、 さらに事件の管轄権は依然としてPsi Corpsにあると自慢げに続けた。 彼が去った後、SheridanはLochleyにその件を確認するが、 Psi CorpsからBabylon5に管轄権を移して欲しいという要請に対し、 地球のLuchenko大統領は検討中で数時間後に返事があるはずと彼女は答えた。
Thomasの設定した交渉期限が切れた頃、 Lytaの見つけた通路を通って医療室の入り口にたどり着いたByronとLytaは、 「皆に良かれと思ってして来た」と言うPeterを落ち着かせ、中へと入っていった。 その頃Garibaldiは、「大義があるのなら暴力でなく話し合いで解決しろ、 自分が力になる」とPPGを向けたテレパスに話し掛けていた。 しかしその時、Lochleyと対策を話し合ったSheridanがBobcomの画面に現われ、 テロリストと交渉は出来ないと言って10分以内に投降を求める。 それを観た見張りのテレパスはPPGの引き金に指を掛けた。 しかし彼が発砲する寸前に現われたByronが逆にPPGを発砲し、 撃たれたテレパスは床に崩れた。
やがてSheridanの執務室のBobcom画面にByronが現われ、Psi Corpsを引かせて 自分と仲間のテレパスたちをBrown区に集合させて彼らを説得させる事を求めた。 そうすれば暴力事件を起こしたテレパスたちと自分がBabylon5当局に投降すると彼は言い、 その引き換えに、残りのテレパスを安全に基地から脱出させて欲しいと条件をつける。 SheridanとLochleyはその条件を受け入れた。
Besterはその決定に異議を唱え、せめてByronの身柄だけは引き渡すように求めたが、 Lochleyは地球当局から惑星間同盟側に事件の管轄権を引き渡すという返事があったため、 BesterがByronの身柄を確保したいなら自分で地球と交渉するよりないと答えた。 そのときZackが、Byronから受け取った事件に関係したテレパスたちのIDカードを 持って現われる。

ByronがBrown区の封鎖地区でテレパスたちと一人一人抱き合い別れを告げているとき、 封鎖区画の入り口に立ったBesterはテレパシーで自分の姿を投影し、 Byronの目の前に現われた。 彼はPsi Corpsの恩をByronに思い出させ、自分と一緒に来るように求めるが、 Byronはそれを拒否した。
彼の説得に失敗したBesterはBloodhound部隊を集め、 どんな方法を使っても必ず任務を全うし、Byronを連れ帰ると命じた。

ドッキングベイでSheridanとLochleyが見守る中、 自由になったテレパスたちが外に出て行き、 続いて事件を起こしたテレパスたちがByronに率いられて現われ、 警備班への武器の引渡しが始まろうとしたとき、 Besterに率いられたBloodhound部隊が入って来て彼らの引渡しを要求する。 パニックを起こしたテレパスの一人がBesterに発砲し、 それをきっかけとして双方の銃撃戦となった。 LochleyとByronは共に発砲を止めるように叫ぶがByronは負傷し、 双方に犠牲者が出てしまった。 さらにタンクが破損して、引火性の薬品が床に流れ出す。 またしても犠牲者が出た事に絶望の表情を浮かべたByronは、 「もう終わりだ、多くの血が流れ我々は変わってしまった、あなたのせいで」 とBesterに叫んでゆっくりと落ちていたPPGを拾う。 そして傍らのLytaに、以前に約束した通りに 自分を捨てて行くように求める。 彼女は泣きそうになって出来ない、あなたを愛していると言うが、 他のテレパスたちを自分の替わりに導いて安全に基地から逃がす事が 自分の魂を救う事になると彼女に言い、 最後に彼女は彼とキスを交してゆっくりとSheridanらの方に歩いていった。 そしてByronはを口ずさむと、 残ったテレパスたちは彼の周りに集まった。 彼はPPGを床に拡がった薬品に向ける。 彼の意図を察したSheridanとLochleyが皆に逃げるよう叫んだ直後にByronはPPGを発砲し、 あたりは炎に包まれた。

清掃作業が続き、遺体が運びだされているドッキングベイで、 Sheridanにこれで満足かと尋ねられたBesterは、 どうしても理解できない様子で、 「テレパス同志が争うなんて、本当の敵は別に居るのに」と一人愚痴た。 彼と入れ替わりにFranklinが現われ、Garibaldiを見かけなかったかSheridanに尋ねる。 彼が医療室を訪ねてきた時に妙に落ち込んでいる様子だった、 彼が馬鹿な真似をしないと良いのだが、とFranklinは言った。

生き残ったテレパスたちが警備班とBesterの監視する中を基地を離れようとしている所に、 Lytaが駆け込んで来た。 彼女はテレパスたち一人一人の手を取り、 Byronが彼女に転送した記憶の内容の、安全な隠れ家への脱出経路とある秘密を テレパシーで伝える。 そしてその度に、「Byronを忘れるな」と声を掛けた。

Garibaldiは自分の部屋で酒瓶を開け、酒をあおっていた。 ISNが、地球のPsi Corps本部が爆破され、 壁に「Byronを忘れるな」と書かれていたというニュースを伝えている。


印象に残ったシーン、台詞

ByronがLytaに別れを告げるシーン。

Byron: 「君が行かなければ奴らの勝ちだ。 私たちの愛は偽りで、私の人生は無駄になる。 私の築いたものが崩れ去るんだ。」
Lyta: 「Byron, 愛しているわ、Byron! あなたを置いてなんていけない!」
Byron 「私は死んだも同じだ、もう遅すぎるんだ。 だが彼らは違う。 私のライフワークだ、そして過去の罪の償いなんだ。 私の命は救えないが、私の魂なら救える。」
Lytaは泣きそうになりながら、Byronとキスを交す。 彼女を抱きしめながら、
Byron 「君は私の柳だ。 強く、私より長く生きて、人々に木陰を与える。 最後にもう一度だけ強くなって欲しい。」
Lytaを放し、 「行け!」
ぎこちない足取りで数歩歩いた彼女が振り返りそうになると、 「振り向くな!」


Memo

#88 "The Deconstruction of Falling Stars"での100年後の場面で、 「Sheridanの冷酷さを示す証拠」として見せられた 記録映像のシーンが 正確に再現された。

Byronは死んだが、Lytaが彼の意思を引き継ぐ事になった。 原題の"Phenix Rising"は、炎の中から彼の理想が再び蘇る事を暗示しているのだろう。

基地を逃れたテレパスたちの行き先はどこなのだろうか? また、Psi Corps本部を爆破した犯人と彼らとの関係はどのようなものだろうか?

BesterはSheridanの前で「本当の敵は別に居る」と言った時、 半ば公然とテレパスの敵は普通人だと認めていた。

最後にLytaが基地を出て行くテレパスたちにByronの記憶を転送したときに言った 「秘密」とは、Besterの過去に関するものらしい。


前話へ 次話へ 戻る

inserted by FC2 system